8thAl Diamonds

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8thAl Diamonds

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2006年10月11日
2年2ヵ月ぶりのオリジナルアルバム。キセキ展開の前の2004年末のシングル「愛の鐘が世界に響きますように…」は未収録となり、2006年になってからの2シングルを収録。最新型DEEN’s ROCK ALBUM 完成!!!と銘打たれ、LIVE JOYを意識したシンプルなロックバンド路線の楽曲を中心に収録。今作より基本的に編曲は個人名義となったほか、山根公路メインボーカル曲を収録するようになった。

サポートメンバーは一気に簡素化され、ベース宮野和也、ドラムHIDEとライブと同じサポートメンバー、時々いつものストリングス隊、ゲストのブラス隊という必要最小限のサポート起用でまとめるようになり、レコーディングにおける様々なスタジオミュージシャンの起用はしなくなった。

初回盤はシングル2曲のMVと「Making of “Diamonds”」を収録したDVD付。実態はアルバムの制作模様ではなく、候補デモ2曲を聞かせてロッテの応援歌(「ダイヤモンド」)をボビー・バレンタイン氏に選出してもらう、ボビー・バレンタイン氏が参加したMV撮影模様などほとんどボビー・バレンタイン監督絡みの映像で構成されており、Making of “Diamonds”というタイトルは少し違うのではないかという勢い。プレミアムキャンペーン応募券封入。サイン入りプレミアムグッズ50名、プレミアムグッズ500名…と内容はほぼ不明だった。店舗特典でスリーブケースも付属した。

池森さんが髪を下ろしていた長髪期は今作が最後となった。ツアー開始直後に散髪して以降は短髪が続いている(伸ばして下ろしていたのは1996~1998、2003~2006辺りの2つの期間だった)。また田川さんもいつの間にか肩にかかりかけているくらい長髪になっていたが同じくツアー開始直後にさっぱりしていた。

1.虹の彼方へ

作詞:池森秀一、作曲:池森秀一,時乗浩一郎、編曲:Steve Good
このアルバム、やけに池森さんが作曲に大奮闘しているが、全て共作となっていて編曲はSteve Goodに託している。そのどれもが割と王道のポップ、ロック系になっていて趣味に走っている様子があまりないのも特徴。それほど今作ではライブメンバーとのシンプルな編成でのレコーディングになった事もあってストレートなロックバンド感をイメージ、率先して自ら曲作りもしていたのだろうか。

1曲目からAOR期とは異なるストレートなバンドサウンド。低めのキーになっているがだいぶ声を張るようになっていてAOR期のようなコロッコロとした裏声の多用も落ち着き(使わないわけではなく高いところはふわっと使用するが)、ここでまた歌い方が変わった。今ここにいる事を再確認し、いつからか忘れてしまった夢を思い出して前へ進んでいこうとする大人の再スタートのような歌詞が勇気をくれる。進路を定めて翌年に向けてもう1度夢とか目標を探しに行こうとしていた当時の心境にもドンピシャだったので思い深い曲の1つ。ただ見に行ったBreak11の12月22日アミューたちかわ公演では演奏されなかったのが残念だった。どうやら入れ替え曲だったようで映像化されているFINALの1月28日東京厚生年金会館公演では演奏されていて代わりに「東京」が無い。
★★★★☆

2.ダイヤモンド

33rdSg ダイヤモンド
33rdSg ダイヤモンド 2006年8月2日 1995年に1年だけロッテの監督を務めたボビー・バレンタイン氏は2004年に2度目のロッテ監督に就任。2005年はシーズン2位だったがプレーオフで勝利して日本シリーズへ進出するとストレート4連...

3.Family

作詞:池森秀一、作編曲:山根公路
DEEN史上最速なのではないかというくらいアップテンポのストレートなギターロックナンバー。別のロックバンドかと思うほどハードなサウンドでカッコいい。一方で歌詞は両親への感謝を歌ったハートフルな内容となっていてそのギャップがDEENらしいというか池森さんらしい。この激しいサウンドに載せて“父と母のおかげなんです”とカッコつけずに飾らない単語で感謝を繰り出せるところが(一部ファンの間でももっとハマりの良い歌詞があっただろうとか”チチトハハ”ってせっかくのカッコいいロックサウンドがもったいないという声もあって賛否ではあったけど)長く愛される所以だろう。当時よりも年齢を重ねてこのストレートな感謝な言葉がより沁みるようになったなぁ…。

後半のロックメドレーで演奏される機会が多くなり、今作の中ではシングル含めても最もライブで生き残った曲になったんじゃないかと思う。
★★★★☆

4.Starting Over

32nd Starting Over
32nd Starting Over 2006年5月24日 "キセキを超えて新たなスタート!約10年ぶりに織田哲郎が書き下ろしたDEENの原点バラードシングル!!!"と銘打たれた『The Best キセキ』からの流れを継続しての新たな始まり...

5.ロッソ!!

作詞:池森秀一、作曲:池森秀一,時乗浩一郎 編曲:Steve Good
ロックでもロッテでもなくロッソつまりROSSO。トマトソースを使ったイタリア料理の形容詞であり、今作はそのまま恋人にパスタ料理を振舞う様子が描かれたパスタを作る過程の曲。打ち込みのイントロからこれまた輪郭のハッキリしたカッコいいロックサウンドに載せて“トマトベースのソース オイルが決めてさ”とか料理の極意をサビ頭に持ってくるというこれまた池森スタイルが炸裂。しかもオシャレにキメきれなくて、1番終わりでそろそろ乾杯と言っているのに2番の間もまだ乾杯に至らず2番終わりでようやく乾杯しようとしたら“コルクが抜けない”という茶目っ気も披露。女性ファンはこの感じにカワイイと感じるのだろうか。歌詞が歌詞だけにポップな印象ではあるんだけどサウンド自体はこれもストレートでカッコいい。

蕎麦森と化した今だったらパスタではなく創作アレンジ蕎麦だったなんてオチの歌詞になっていたのだろうか(トマト系の蕎麦メニューも考案プロデュースしてカフェで売ってる)。
★★★★☆

6.東京

作詞:池森秀一、作曲:池森秀一,時乗浩一郎 編曲:Steve Good
ストレートに激しいロックサウンドに載せた暗めのロックナンバー。「東京」をテーマにした曲、北海道から夢を追って出てきた池森さんとしてはやはり上京者しての目線になるのか、”欲望と希望の価値が同じように渦巻く”という冷たい街東京のイメージを描写しつつも“期待すれば裏切られる だけど夢もくれる”とも描き、また“君に出逢えた街”でもある東京の良い面も悪い面も色々な思いが込められている。歌詞の面では暖かみのある曲が続いていたので、一際シリアスで重さを感じる。歌詞とサウンドもここではぴったり合っている。2010年代になるとやたらアンチエイジング路線な歌詞ばかりになって、こういうシリアスさが無くなってしまったようにも思うなぁ…。
★★★☆☆

7.Life is

作詞:池森秀一、作編曲:田川伸治
何にも縛らずに街を出ていき長く会っていないかつて夢を語り合った“君”への手紙という形式の歌詞になっていて、主人公もまた旅先で手紙を書いていると冒頭で宣言をしているが、そのままの意味の旅でもあるが、人生=旅として生き方を考えるロックバラード。これまた後年は見られなくなる感傷的な歌詞だ。

当時は暗い曲調だなぁくらいで印象薄かったんだけどライブで聞いたらメロディーがいいなぁと印象が上がり、学生時代の友人がすっかり会わなくなった過去の存在となっていく中で歌詞も深みがあっていいなぁとさらに印象が上がっていった。この曲を書いた時の池森さんが35歳くらいの頃か。アラサー以降で響き方が変わる曲かも。「Life is」というタイトルだがその答えは特に提示されない。考えさせられる曲だ。
★★★☆☆

8.Sail away

作詞:池森秀一、作編曲:田川伸治
一転して前向きな応援歌的な楽曲。航海に例えて失敗も不安も吹き飛ばして風に乗って進んでいこうぜ(超訳)というひたすらな前向きさが頼もしい。ギターが引っ張っていくサウンドも爽快でこれもライブ映えするなぁと思った記憶がある。
★★★★☆

9.上海ロックスター

作詞:山根公路、作曲:山根公路,池森秀一、編曲:Steve Good
DEEN名義では初の作詞:山根公路山根公路メインボーカル曲にしてここで上海ロックスター爆誕

何故上海なのか正直誰も分かっていないが、上海の老齢のロックスターの生き様を描くという架空の人物を歌うスタイルの楽曲。続編は過去のロックスターの人生を描く方式になったため、時系列ではこの曲が最も新しく、老齢を迎えた現在という事になる。

実は完全なソロボーカルではなく、サビ以外は池森&山根でほぼ交互にボーカルを担当。和音ツアー以降始まったライブの山根ソロコーナーでピアノ弾き語り系の曲よりもギター抱えてロックナンバーを歌う事が多かったため、その線でFC限定で発売した山根公路ソロ『COZZY』をリリースする前後から池森さんが山根ソロコーナーの盛り上がりを絶賛しており、どうしてそんなに人を喜ばせる事ができるのか、山根ロックスターで行ってほしい、山根ロックスターをプロデュースしたい等の発言をしていた。上海とは一言も言っていなかったが、ロックスターというアイデアはそのまま生かされ、今作では池森さんが作曲に関与、さらに編曲も池森&時乗曲を主に編曲しているSteve Goodに託していて山根編曲ではないので池森プロデュース要素も強かったと思われる。

池森さんは低音とファルセットを重ねたようなサブボーカル的な立ち位置で基本は山根さんのハイトーンボイスを生かしており、サビもけっこうキャッチー。歌詞が設定一直線だったり、グラサンに派手な扮装でロックスタースタイルで演奏する姿などネタ曲っぽくもあるが、曲自体はけっこう普通に名曲だったりもする。

なお今作時のみ実はロックスターの設定が異なる。Break11で初登場した際はロックスターの見た目は既に固まっていたが、池森さんがロックスターと呼び掛けると山根さんは自分は上海ロックスター本人ではないとして、「上海ロックスターという男の生き様を山根公路が代弁している」と説明していた。

Break11の後は47ツアー→Break12と続いてしばらく出番が無かったが、2008年の武道館では終盤の「ひとりじゃない」演奏前にギターを抱えた上海ロックスターっぽい扮装の山根さんが登場して客煽りを繰り広げたが自身の楽曲披露は無かった(2009年の武道館で曲は披露しなかったけど「去年も出た」と発言した事から上海ロックスターという事になった模様)。続くBreak13ではDVDでは登場場面がカットされてしまったが、ライブ本編終了後楽屋に戻った山根さんが宮野・HIDEらサポート陣も交えて談笑する中、ちょっと…ね…という感じで楽屋を抜け出してトイレへ入っていき、しばらくしてトイレの扉が開くと光り輝く上海ロックスターらしき姿が…という山根公路が上海ロックスターに変身している?と思わせるような映像を上映。

これにてあの人物は山根公路ではない、上海ロックスター本人であるという設定になった。その後も上海からサーフィンでやってきただの緊急来日だのお友達のDEENというバンドに呼ばれて…だのと色々おとぼけ設定が加えられ、メンバーも便乗しておとぼけに乗っかるという光景がお約束となった。

新曲が発表されても登場時に今作のギターリフを延々繰り返しながら登場するのが定番となったため、最早歌の部分よりもギターリフ部分が登場曲、テーマ曲のようになった感もあり、ロックスターが登場するDEENライブに数回以上足を運ぶともう曲本体よりもギターリフの方が聞いた回数が多くなる。
★★★★☆

10.By myself

作詞:池森秀一、作編曲:山根公路
シングル2曲以外はベース:宮野和也、ドラム:HIDEしか演奏参加が無いシンプルなロックバンド形態の今作だが、アルバム曲では唯一ストリングスを招いたロックバラード。平メロはさっぱりしているがサビではバンドがガンガン入ってきて力強く歌い上げる。イントロがストリングスのみ、以後しばらく聞こえないが間奏以降はけっこう強めにストリングスも入ってきて派手に盛り上がる。環境や平和など未来を憂う系のシリアスな楽曲になっていて、演奏が熱い部分では派手に盛り上がるのだが…それ以外は地味。このためか何故か今作の中で唯一なかなか印象に残らなかった。ライブ映えはしそうだしライブで見ていれば印象上がりそうなものだが、Break11で演奏されずにスルーされてしまい、2016年の「マニアックナイト Vol.3」送りになるまで10年放置だったと思われる。印象薄かったわけだ…。
★★★☆☆

11.扉

作詞:池森秀一、作曲:DEEN、編曲:田川伸治
初回盤DVDで明らかになっているが、ボビー・バレンタイン氏にロッテ応援歌の候補曲として「ダイヤモンド」と一緒に持っていた2曲のうちの選ばれなかった方が今作。デモの段階で哀愁漂うアコースティックギターのイントロがほぼ完成しているほか、サビ頭のI believe you,You believe meの歌詞もフェイクイングリッシュからあまり変わっていない。一応宮野&HIDEのリズム隊も参加しているもののほぼデモの雰囲気を生かしたままのアコースティック主体の演奏。全体に暗めな上に終わった恋の思い出の中に今もいるというけっこう後ろ向きな失恋の曲になっていてロッテの応援歌用の曲からはだいぶ離れた仕上がりに。“ただ明かりもつけない部屋で”とか主人公の時の止まりっぷりがハンパない。ROCKを掲げて前半は特に盛り上がるロックナンバー中心、後半にかけても「上海ロックスター」で新たな試みも見せた後、「By myself」がシリアスで重め、続けてこういう暗めのアコースティックナンバー…とアルバム終盤がなんか一気に暗くなるというのは異色。

もし応援歌になっていたらI believe you,You believe me辺りの歌詞からして勝利のために信じて頑張ろう系の歌詞になってアレンジももう少し明るくなっていたのかもしれないが、チャチャのリズムで!とCHOKKAKU氏に頼んでも「ダイヤモンド」以上に難解な要求になっていた可能性が…。
★★★☆☆

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