幸せのままで、死んでくれ/HIROBA

2022年3月8日
配信限定

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いきものがかり水野良樹のソロプロジェクトHIROBA名義での楽曲。小説家とコラボした2021年10月の『OTOGIBANASHI』以来となる新曲。

今回も小説との連動だがなんと自ら小説家デビュー。3月10日発売の同名小説は清志まれの名義となっていて作家名を新たに設定。今作自体の名義はHIROBA名義だが作詞作曲は清志まれ名義となっている。

幸せのままで、死んでくれ

Song Writing & Vocal: 清志まれ
Produce & Piano, Programming: 世武裕子
Drums: 伊吹文裕
Bass: 福井健太(People In The Box)
Guitar: 永野亮(APOGEE)

となっているが、清志まれ=水野良樹なので今回は自分で小説書いて自分で曲書いて自分で歌っているという全部自分でやっている初のパターン。前作『OTOGIBANASHI』は作曲のみに徹しており、初期のHIROBAでのシングル2作もゲスト小田和正、高橋優を招いていたので自身の完全単独ボーカルも初だ。今までのボーカルやっていた時よりもかなり本格的にかっこつけた感じの熱の入った歌い方になっていてボーカリストとしても作家としても本気で挑んでいくような熱い姿勢が歌声からも伝わってくる。ちょっとキメすぎててあまり好きな感じの歌声ではないけど…。

近年の活動を見ていると正直若い頃にレコーディングでの演奏はうまいサポートが弾けばいい、自分はあくまでソングライターだとしてギタリストとしての成長を捨ててしまっていたり(ライブではギターソロもサポート任せではなく水野自らちゃんと弾いているがギタリストしてはまともに見られていないのはこの姿勢が原因)、いきものがかりは音楽ファンには無視されているがあくまで大衆ポップスを志向しているとしていきものがかりのソングライター一点集中なスタンスでいすぎたのをちょっと後悔しているんじゃないかと思えてくるほど、HIROBAでは文化的というかもっと評価されるような場を求めて動いているような感じがする。放牧中もあくまでソングライター志向でやたらと提供ばかりしていたのが、HIROBAを立ち上げてからは自身のミュージシャンシップを前面に出すようになったり、積極的なコラボを展開したりするようになった。事務所独立したり、山下が脱退したり、目に見えていきものがかりの旬が過ぎ去り、40代が迫る中でソングライター1本ではない何かを得ようとしていたり、評価されたいという欲が出ているような…。

今作でもいつもと違うメンツと組んでいて、別名でもあり、いきものがかりの水野良樹臭はとことん消されているように感じられる。誰に提供してもなんだか滲み出てしまっていたまた水野感(また水系バラード)が今作にはない。早くからソロとして小田和正に見出されていて吉岡を差し置いて年末特番に毎年呼んでもらっていたりもしていただけにこういうガッツをもっと早く出してほしかったなとは思うけど、なんだか面白い事になりそうではあるし、もしかしたらいきものがかりがますますソロ中心になってしまう可能性も高いかもしれない(吉岡も牛歩の如くソロでの動きが鈍いものの他の作家との新曲で充実しているし)。でも放牧してもマンネリ感ほとんど変わらなかったのを思うと今はこれでいいのかも。
★★★☆☆

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