Synchronicity(40周年記念盤)

リリースデータ

メンバー

THE POLICE5thアルバム『Synchronicity』の40周年記念盤。40周年とされているが実際には1983年6月1日だったため41周年も過ぎ去った謎のタイミングで発売された。今作は2019年のBOX『Every Move You Make:The Studio Recordings』でもリマスターされていたが、新たなリマスターが施されており、Geoff Pascheがリマスターを担当。さらにCompilation and audio reserch、Tape active researchの担当者2名がマスタリングより上にクレジットされており、収録する音源の調査やテープの状態の確認も担当者の名前を責任もって記載するほど念入りに行った模様。

日本盤は2種での発売。
40周年記念盤スーパー・デラックス・エディションはアルバム本編、B面やボーナストラック集、デモやアウトテイクや別ミックスを収録した未発表音源集、未発表ライブ音源2枚の6CDのBOX仕様。アート・プリント・フォト4枚付、オリジナル・ライナーノート付（奥田祐二・訳）、日本盤のみSHM-CD仕様。
40周年記念盤デラックス・エディションはアルバム本編、B面やボーナストラック集のDISC-2までの2CD。オリジナル・ライナーノート付（奥田祐二・訳）、日本盤のみSHM-CD仕様。

輸入盤では6CD Super-Deluxe-Edition、2CD Deluxeの2種が日本盤の2種に相当する。これ以外にライブ音源2枚を省いたDISC-4までの4LP SDE、2CDと同内容の2LP Deluxe、「Murder by Numbers」をカットしてオリジナルLPに準拠した全10曲の1LP Picture Discでも発売された。

配信においてはDL/ST共に全84曲のSuper Deluxe Editionのみが配信されており、CD6枚分がフル配信されている。スーパー・デラックス・エディションになると23100円と跳ね上がり、デラックス・エディションは3960円と価格差が激しかったのと、今作は既に『Every Move You Make:The Studio Recordings』で聞いており、高額BOXに手を出すほどではないと思ったものの、配信がどうなるか様子見していたところ、スーパー・デラックス・エディションが見事にフル配信されたため、デラックス・エディション(2CD)のみの入手とした。CDでDISC-2まで、DISC-3〜6は配信での視聴となる。

DISC-1はオリジナルアルバムのリマスターだが、『Every Move You Make:The Studio Recordings』でリマスターはやったばかりなのであまり新鮮味はない。今回の解説でも物凄い高評価だった事と大ヒットした名盤である事が繰り返されていて賞賛されまくっており、一般的に最高傑作・名盤として語り継がれている作品なのは間違いないが、元々興味のきっかけがアレンジ丸パクリスペクトのZARDデビュー曲からの「Every Breath You Take」という現役時代のファンとも洋楽リスナーとも全く違う角度から聞いているので最初聞いた時は「Every Breath You Take」以外は思ってたのと違うなというのと以前のアルバムの方がアルバムとしては好感触で、今作はシンセの導入などそれまでよりも実験的要素も増えているので意外ととっつきにかった。ワケの分からない部分もある(主にAndy Summersが自ら歌唱している「Mother」のエキセントリックすぎる作風のインパクトによる)ので万人ウケする名曲の宝庫というタイプのアルバムではないと思う。トータルでの完成度、これまでも踏まえて駆け抜けたバンドの進化の果て、終着点としてはこの上ない高みにあり、とてつもないアルバムなのではないかなと改めて聞いて感じた。

DISC-2は当初の発表で"全トラック初CD化"と書かれていたが、完全に誤記となる。「Truth Hits Everybody(Remix)」は2019年のBOX『Every Move You Make:The Studio Recordings』(2021年単品『Flexible Strategies』)、「Man in a Suitcase (Live)」〜「Tea in the Sahara(Live)」は1993年のBOX『Message in a Box:The Complete Recordings』でCD化済みとなっていた。Derangement2曲はStewart Copelandによるリミックスで2006年のドキュメント映画時に制作されるもStingが了承せずにお蔵入りしたとされており非公式での発売はあったようだが、権利表記は2024年になっており公式初収録となる模様。

よってDISC-2の7曲目まではB面集。過去BOX2作ではコンプリートされたなかった7曲が全て網羅された事には価値がある。まあ曲自体はそんなに…ではあるけど…。その後のインスト2曲はどうやら当時日本限定でカラオケシングルを出していたらしく、その時の音源っぽい。「Every Breath You Take」の方は2023年にレコードで再発した際に替え歌の「Every Bomb You Make」も一緒に収録していたようだけど、いずれにしてもCD化は貴重なのではないか。12〜16にライブ音源が続くのは何なのかと思ったがこれはライブアルバム『Live!』のDISC-2に収録されたシンクロニシティーコンサートと同じ日の公演だが『Live!』ではカットされていた未収録曲を集めたっぽい。「Walking on the Moon(Live)」「Hole In My Life(Live)」「One World(Not Three)(Live)」は映像作品『Synchronicity Concert』に収録されていた映像からの音源化と思われ、権利表記が映像初出の1984年になっているが、映像に未収録だった「Invisible Sun(Live)」「Murder by Numbers(Live)」は権利表記が2024年になっているため初公開音源という事だろう。最後Derangement2曲はStewart Copelandによる何ともパッとしないリミックスでお蔵入りしていたのも分からなくもない。曲数はもっとあったようだが今回2曲に絞られたのは単に収録時間の関係か、マシなのがこの2曲だったのか。

配信だと30〜65曲目、CDのDISC-3,4はデモや別音源集。アルバム本編の曲のDemo、Out-Take、Alternate Mix、Alternate Version、Instrumentalなどが2〜5バージョン連続して収録された後に、「Murder By Numbers (Demo)」、そしてその後は未発表曲(アルバム曲の一部に使用したりしなかったりした未完成曲っぽい)や最後は謎にカバーまで収録されている。デモはやはり完成度が低い感じがするがアウトテイクやAlternateはちょっと違う別バージョン的にデモより進化しており、完成に至るまでの過程を垣間見れる感じ。まあコアファン向け、BOX向けの蔵出し音源ではあるなという感じ。

配信だと66〜85曲目、CDのDISC-5,6は1983年9月10日のオークランド公演のライブアルバム。『シンクロニシティ・コンサート』として単独映像化されているのは11月の公演でこの音源はDISC-2にも頻繁に登場していたが、それより2ヶ月前の公演となる。といってもツアー初期という事でもなく、このツアー7月から翌年4月までのかなりのロングツアーだった。これが30公演目だったようなので、既にだいぶこなれていた時期と思われる。何故この公演が今更発掘されたのかは謎だが、そもそも映像になった11月公演だって思いっきりツアー途中だしな…。ライブアルバム『Live!』のDISC-2に15曲収録されていたのが11月公演で、同じツアーなので構成も似ているが今回は19曲と拡大。『シンクロニシティ・コンサート』の完全版ライブ音源といった趣き。3人の演奏は圧倒的な安定感で良く分からずとも凄いのが伝わる内容。

スーパー・デラックス・エディションだと正直供給過多気味な上に高額過ぎて持て余すのは確実だったが、デラックス・エディション2枚組をCDで聞いて、残りは配信でさっと聞くという聞き方が出来たのでこれが最適だった。

スーパー・デラックス・エディション　　 デラックス・エディション　　　　輸入盤LP　　

印象度★★★★☆

2024.9.1更新

※CD(ブックレット)はDISC-2までのデラックス・エディション参照。DISC-3〜6はAmazon Musicのみで視聴。

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