3rdAl The DAY

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3rdAl The DAY

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1998年12月16日
『SINGLES+1』を経て2年3ヵ月ぶりのオリジナルアルバム。『SINGLES+1』以降の2シングルを収録。移籍前の「君さえいれば」も収録されている。Produced by BMFではあるものの、今作でSound Produced by DEEN表記となった。

BERGレーベル移籍第1弾アルバムとなり、「手ごたえのない愛」には詳細クレジットは無かったので今作で初めてレコード会社のA&R担当としてあのやたら名前が良く出てくる山口さん(山口育孝)がクレジットされた。以後イベントや番組の司会担当としてファンの前にも顔出しで登場したり、ブラックビスケッツやキンモクセイなどBMG所属ミュージシャンのA&Rを担当しており共演のきっかけ(?)になった事も多い重要人物の1人である。山口さんの発案でアルバムの方向性が決まる事も多いとか…。

また結果的に宇津本直紀在籍時、4人でリリースされた最後のアルバムになった。先行シングルがヒットしなかったためか、初登場9位、累計で15万に届かないなどベスト盤の大ヒットから一転して大幅に売上を落とした。

今作は当然国内でレコーディングされているが、何故かCDプレスが香港で行われたらしく、帯の片隅に小さくPrinted in Japan、Pressed by SONOPRESS,Hong Kongという表記がある。海外の方が安いので海外委託したという事なんだろうか。こんな表記があるのは今作だけだが安かろう悪かろうで品質が良くなかったとかなのだろうか。謎が多い。

香港プレスが関係しているのかは不明だが、2013年のリマスターBOX『PERFECT ALBUMS+1 20th Anniversary』では今作は劇的に音が良くなったようには聞こえる。ただ『pray』など元々の音が割とデカかった作品が軒並み潰れていた音が聞こえるように綺麗になった感じなので香港プレスとは関係がないかもしれない。

1.ONE DAY

作詞:池森秀一、作曲:宇津本直紀、編曲:DEEN
完全自作による1コーラスのみのアルバム導入アコースティックナンバー。二次会で昔好きだった級友に再会する様子が描かれている。さらっとしているんだけどけっこう耳に残る。
★★★★☆

2.love me

作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:池田大介

12thSg 君がいない夏
12thSg 君がいない夏 1997年8月27日 前作から1年ぶりの新作。96年9月に2ndアルバム『I wish』リリース後に初の全国ツアー「LIVE JOY-Break1“I wish”」を開催し、学園祭ライブ含めて1996年11月5日...

時期が異なる少し前のC/Wだが今作の路線に非常にマッチしていたためか再活用された。エレキギター・ベース・ドラムを再録音してトラックダウンし直し、冒頭の雑踏の音はカットされている。アレンジ自体は同じなのでパッと聞きは間奏ギターソロがちょっと変わったくらいしか違いは分からないが、よく聞くと演奏全体を貫いているリズム隊とギターによるズンズン感(?)はこのアルバムバージョンの方が増していてロックバンドらしい重みが出ているのかなと思う。

なおベースを誰が弾いているのかは明記されていない。全体クレジットで徳永暁人のベース表記があるものの編曲した「手ごたえのない愛」は確実だが逆にそれだけの可能性もある。当時のライナーの”エレキギター・ベース・ドラムを再録音”という書き方からしてこれで打ち込みということは無いと思われ、田川伸治のクレジットにBassが併記されているのでベースも田川演奏だったのかもしれない。

3.手ごたえのない愛

16thSg 手ごたえのない愛
16thSg 手ごたえのない愛 1998年11月18日 ビーイングが新たにBMGジャパン内に設立したBERGレーベルへ移籍。自社レーベルを持っていなかった80年代末~90年代序盤のビーイングがB'z、B.B.クィーンズ系列の所属先としてBM...

4.GRAVITY

作詞:池森秀一、作曲:DEEN、編曲:DEEN&池田大介
「夢であるように」に続く2度目のバンド名義での作曲。作曲:DEENが4人を指すのは2作目にして最後。今作の路線に沿ったシャープなロックナンバー。いきなりサビから始まるが、当時のライナーでは元々イントロがあったがカットしたと書かれていた。タイトルのGRAVITYは重力というよりも引力の意味合いで使用されているようで恋心を地球と月の公転に例えている。ちょっとスケール大きめの歌詞と力強い歌声と演奏はこの時期を象徴していて、4人組ロックバンドDEENの最高峰的ロックナンバー。もっと聞きたかったなぁこの路線…。
★★★★★

5.VOYAGE

作詞:池森秀一、作曲:山根公路・宇津本直紀、編曲:池田大介
前曲に続いて宇宙規模で生きる事を歌ったダイナミックなロックバラード。今作のリード曲としてMVが制作された。砂漠で熱唱するというこれまたかなりダイナミックな映像となっているが、これは鳥取ではなく静岡県の中田島砂丘。2007年の47都道府県ツアーの際は再度この場所を訪れてロケ地だった事を公言している。全体にキーが高いこのアルバムの中でも特にサビの力強い高音の伸びが印象的。それゆえに数年後に歌唱不可に陥ってしまったと思われるが、2008年Break13では「love me」と共にキー下げで復活、2020年Break22では同じく「love me」と共に原曲キーでの奇跡の復活を遂げたのも印象深い。CDではフェードアウトのラストのラララ合唱をライブだとラララ~ララララララドゴォーーンと轟音と共に突然終わらせるのでちょっとビビる。

『Ballads in Blue』投票では15位で惜しくも落選。もっと行くかと思ったが…。『ALL TIME LIVE BEST』では唯一の投票対象音源だったキー下げのBreak13音源で一撃当選、Break22のリクエスト10位だった事も明かされているので根強い人気曲であるのは間違いないと思われる。
★★★★★
2ndライブアルバム『ALL TIME LIVE BEST』(Live/2008年Break13 ZEPP TOKYO)

6.Guilty~消えることのない罪~

作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:DEEN
力強いロックナンバーが続いた後はしっとりとバラード。タイトルが重いが”君以外の女(ひと)を好きになろうとした僕”という浮気・不倫男の懺悔曲。現代ではそんなに大げさなタイトルにも思えないところがあるが、当時有名人の浮気不倫がそこまで叩かれるような時代ではなかったため(ゲス不倫ベッキベキ騒動以降に加速した感がある)、浮気でそこまで!?Guiltyって言ってさらに“消えることのない罪”って罪の重ねがけ!?という感覚は長年あった。相手が全く怒るそぶりを見せない事で逆に主人公が追い込まれて罪の意識に苛まれていく…っていう構図になっているんだけど、そこにつけこむように”最後にひとつだけわがまま言わせて”と言いだしたと思ったらもう1度自分を選んでほしいと堂々のたまう始末。トドメにI’m Guiltyと罪人である事を認めつつこれはズルい。こういう曲は後にも先にもなく珍しい。新境地を開拓するのに意欲的な時期だったのだろうか。

やはりこういうズルい主人公は女性ファン受けが最悪だったのか『Ballads in Blue』指定30曲投票では全順位完全公開により堂々の最下位30位だった事が明らかになった。
★★★☆☆
43rdシングル『千回恋心!』通常盤のみC/W(Live at Zepp Tokyo)

7.逢いにゆくよ

作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:古井弘人
まさかのバラード2連発。こちらは一直線の求愛ラブバラード。しかし相手の様子が全く描かれていない。主人公が一方的に”今日をふたりの記念日にしよう”とド頭から宣言、”街行く人も景色も空も特別だよ 祝福されているようだ“と完全にハイになった状態で君の家へ向かっている場面が歌詞になっている。そして家が見えてきてどんな言葉で切り出そうかワクワクしているところまでしか描かれていない。恐らくは順調に交際を重ねてプロポーズ待ったなしの状況でのプロポーズ寸前の心情というほぼほぼ成功確定案件として描かれているんだとは思うが、勘違いだった場合全てが反転して超絶痛い人になってしまうという危うさも…。

どちらも単独ではいい曲なんだけど並べると良さが半減してかったるいタイムになってしまい、2曲まとめて飛ばしてしまう事が多くなった。単独で聞くと今作の方が古井弘人アレンジによるより洗練された落ち着きがあるようにも感じられる。

バラード2連投はやはり相殺してしまっている印象が強いのか『Ballads in Blue』投票では28位とこれまた最下位近辺となった。
★★★☆☆

8.眠ったままの情熱

作詞:池森秀一、作曲:山根公路・宇津本直紀、編曲:DEEN
「果てない世界へ」の後継のようなポジティブポップロックナンバー。ブラス主体だった「果てない世界へ」よりもギター主体となり、4人組ロックバンドとしてより進化したような1曲。なかなかやる気が出ない受験勉強の景気づけとして一時期この曲とFIELD OF VIEWの「ながれる雲」は筆頭でよく聞いていたのを思い出す(2002年頃)。

1999年横浜アリーナでの「君さえいれば」~「Memories」~「眠ったままの情熱」の連続した流れは盛り上がりのハイライトになっていて印象深い。しかしキー下げと路線変更に伴ってライブではほとんど演奏されなくなってしまった。「ひとりじゃない」の”世紀末”は”よのなか”と読んでいたのであまり気にならなかったが、今作は冒頭の歌詞が”ミサイルが僕を狙って飛んでくる始末で カッコつけてられないね 誰か言った世紀末”と世紀末をそのまま世紀末(せいきまつ)と歌っているので世紀始になってしまった2001年以降古い歌詞になってしまった。ミサイルが発射されるのが頻繁にニュースになるのは今も変わらず、ミサイルが飛んでくるのは世紀末である事とはあまり関係が無かったというのは皮肉な現在である。
★★★★☆

9.さよなら

作詞:池森秀一、作曲:田川伸治、編曲:DEEN&池田大介
先行2シングルのC/Wでは連投していたが今作での田川作曲はこの1曲のみ。池森作曲に至っては一気にゼロとなっていた。

発売時期が近かったクリスマスを意識したようなシャンシャンした音が加味された切ない失恋ミディアム。淡々と進行していくので今作の中ではやや地味な佇まいだが、じわじわと染み渡ってくる良曲。意外と耐用年数が高く、『Ballads in Blue』投票時は24位とパッとしなかったが、2010年の『ALL TIME LIVE BEST』では久々披露となっていた直近のBreak14でのアコースティックコーナーでのライブ音源が収録された。2016年武道館Ballad Nightでもちゃっかり選曲されていたりする。
★★★★☆
2ndライブアルバム『ALL TIME LIVE BEST』(Live/2009年Break14 ZEPP FUKUOKA)

10.君さえいれば

15thSg 君さえいれば
15thSg 君さえいれば 1998年5月27日 前作から3ヶ月ぶり、『SINGLES+1』からは2ヶ月での立て続けのシングル。ベストをもって移籍ではなく、結果的に中途半端なタイミングとなったがB-Gram RECORDSでの最終作品。ジャ...

11.君のいないholiday

作詞:池森秀一、作曲:宇津本直紀、編曲:DEEN
ストイックな曲が多い中でとてもほのぼのとした一風変わったラブソング。失恋やギスギス系ではなく、彼女が友達と旅行で久々の1人の休日を満喫する主人公の1日の心情の変化が綴られている。当初1人を満喫していたが曲の終盤では君がいない休日に寂しさを感じていくなんだかんだ関係が良好そうな様子が微笑ましい。サビの”君の大好きなドリカムから僕の大好きなマービン・ゲイにかえよう”とあるが、ドリカムはともかくとしてマービン・ゲイが池森さんの趣味全開すぎるところも絶妙な面白さになっている。マービン・ゲイって誰?というのが多くの一般J-POPリスナーの実感だと思うけど、両親のケンカを仲裁しようとして父に撃たれて1984年に40代で亡くなっているというけっこう昔のソウルシンガーである。ソウルシンガーを目指していたというのであれば基礎中の基礎っぽいシンガーなので池森さんのルーツが垣間見える描写でもある。

DVDではカットされ映像は残されていないが、『ALL TIME LIVE BEST』で音源のみ収録された「Acoustic Medley」の最後に今作が収録されており、そこでは曲中のウォーウウォーウウォーウォーウウォーウウォー(ホリデーホリデー)のコーラスパートを観客とコール&レスポンスする模様が長々収録されている。『ALL TIME LIVE BEST』が発売された2010年時点での池森さんとこの1999年横浜アリーナでの池森さんとではキャラが異なっていて、ちょっと口調が違っているのがなんか面白い。ッアー・ッアー・イーイーというソウルシンガーとかR&B系を目指していた頃のクセが抜けきっていないようなリズムの取り方をして山根さんにも言わせて山根さんが不慣れにアーアーイーイー言い続けているのをもういいですとすぐに止めさせる天然っぷりなど変わらぬ部分との混ざり具合も面白い。一応盛り上がってはいるものの、その後このコール&レスポンスを試みる場面が全く無くなったことからもこれはナンカチガウ…ということになったのかな。コール&レスポンスを促す際に今日は収録が入っているんだな!と収録している宣言をして作品として残るから盛り上がってくれみたいな事も言っているのに、いざビデオ化されたら思いっきりカットされていたのだから当日会場にいた人は言ってたあれが入ってない…となったのではないか。
★★★★☆
2ndライブアルバム『ALL TIME LIVE BEST』(Live/1999年横浜アリーナ「Acoustic Medley」の1曲)

12.A day in my life

作詞:池森秀一、作曲:山根公路・宇津本直紀、編曲:DEEN・時乗浩一郎
初のアカペラ曲。ディレクターとして1stアルバムから関わっていた時乗浩一郎がアレンジャーとして初めてクレジットされた。1日を締めくくるような歌詞内容と、1曲目が「ONE DAY」だった事も含めて『The DAY』を締めくくるのにふさわしい1曲。どうにもパッとしない日はこの曲を聞くと少し前向きになれる。“今日はもう何も考えず丘の上に登りましょう”とあるように近所に手頃な丘があれば尚良かったんだけどな。

1999年横浜アリーナでの1曲目はこの曲だったがカットされていて映像化も音源化もされていない。ライナーによれば幕の向こうでこの曲を歌ってから幕が開ける演出だったようだ。2曲目が「瞳そらさないで」で、実際に「瞳そらさないで」の映像冒頭部分でバチーンと幕が開いているのは映像にも残されている。2002年の和音ツアーはサポートメンバーが専業コーラス陣も含めて多かったので多人数でのアカペラ披露が実現し映像化もされた。
★★★★☆

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