津久井克行と日浦孝則の2人組classのデビュー作にしてミリオンヒットを記録した「夏の日の1993」は1993年4月21日に発売され、発売30周年を迎えている。この曲は今でも懐古系番組で振り返られる機会もありそれなりに有名だが(先日も乃木坂46の5期生が番組で歌ってた)、class自体は続く2ndシングル「もう君を離さない」も4位30万ヒットを記録し、3rd4thは16位に落としながらも10万枚を突破するなど全くヒットが続かなかったわけではないがほぼ1発屋の扱いとなり、シングル6枚、アルバム4枚、ベスト2枚を残して1996年には解散した。
その後、所属レコード会社アポロンは消滅したため、全作品が早期に廃盤となった。
時は流れ…2007年の『R35 Sweet J-Ballads』ブームに乗っかって、一時再結成してTVやライブに出演していたのを記憶している人は少なくないと思う。
その後どういうわけか2008年に「冬の日の2009」をリリースした際には津久井克行と岡崎公聡という謎のオジサンとの2人組に変わっており、このメンバー交代劇の際にグループが乗っ取られたとしてファンに衝撃が走った。元々要望に応えてのclassとしてのメディア出演だったが津久井はclassとしての活動継続を希望、日浦は既に解散したデュオなのだから新しい作品は生み出せないとして否定的だったため、日浦は抜けて新メンバーを加えて再始動というところで合意したらしいが、日浦が希望していなかった「家庭の事情」を脱退理由にされてしまったため日浦が反論。この際に改めてclassは解散したグループであるという認識を示した。同時にその新メンバーがまさかの当時の事務所社長でありミュージシャン経験のないカラオケ好きの素人おじさんでしかない岡崎公聡だったため、社長にclassが乗っ取られたとしてファンの間でざわつく事態になったのである。
新生classは再度メディア出演が増えたと思ったら2009年秋に津久井克行が突如病死(津久井の病気発覚は再始動後の2009年年明けとされているので再始動には関係が無かった模様)。残された岡崎公聡はclassの活動を終了するとしてclassとしての活動は完全終了。脱退扱いとなっていた日浦孝則は現在もソロで活動している。
そんなclassだが、デビュー10周年である2003年には津久井克行と日浦孝則の2人でちゃんとした形で”同窓会”と称した一時再結成をしてシングル1枚、そしてミニアルバム1枚(シングル収録の2曲+新曲4曲)を翌2004年に残している。津久井克行と日浦孝則の2人が解散後に残した最後の作品はこの2003~2004年の作品群+2007年にコンピ盤で新録音した「夏の日の1993(Sea Side ver.)」となる。
2003年当時、90年代のミリオンヒット8センチシングルを一通り集めていく中で入手していた「夏の日の1993」、その10年ぶり新録音がリリースされるという情報を聞いて当時リアルタイム購入したのがこの『夏の日の1993~2003 up to date session~』である。今作がリリースされた当時、classの旧作は廃盤(中古では投げ売られていたが)となっており、新規のベスト盤も2005年までリリースされなかったので空白の期間であった。
気がつけば今作の発売からピタリ20周年。既に現物は所持していないものの音源を残しておいたのは正解だった。現在これもとっくに廃盤になっており、配信もされていない。特に夏場は相場が上昇しやすいようで入手は困難でますます埋もれつつある。
『R35』以降の懐古ブームや「冬の日の2009」の時ほど話題にならずに終わっているので半ば忘れ去られる…以前にほとんど知られていないようなので、改めて20周年を機に取り上げてみる。
夏の日の1993~2003 up to date session~
2003年7月9日
作詞:松本一起、作曲:佐藤健、編曲:富田素弘
アレンジをガラッと変えたセルフカバー。2003年のアップデートというのが猛烈に時代を反映しており、リミックスのような大胆変更が施された。バブリーな原曲アレンジに対して今作ではチッチキタカタカカツカツとしたR&Bブーム期の典型サウンドメイクが施されており、アコースティックギター+チキタカリズム+コーラスのベビガーベビガー(Baby Girl)というリミックスバージョンみたいな仕上がりに。随分機械的で味気ないリメイクだなぁ…というのが当時の印象だが、時代に合わせた結果という事で、15周年(2008年)でリメイクしていたら「冬の日の2009」アレンジみたいな王道の仕上がりになっていたと思う。2003年だからこそこうなった。
2人のハーモニーは健在で、音数が少なくなったのでよりボーカルを堪能できるのは今作のいいところ。また一部歌い方が変わり、Bメロ部分のSay LoveやSo Tightの部分、実際にはセイェイェイラブ、ソウウォウウォウタイトとイェイイェイ・ウォウウォウしていたのがセイエーラブ、ソウウォオータイトに変わっているという細かい違いが。
たぶん多くの人が原曲を聞いて1993年やあの頃の音楽を思い出すんだろうけど、このバージョンを聞くと2003年を思い出す。2003年が刻まれた時代性の強いアレンジだと思うんだけど、あまりに聞かれてなさすぎてこの感覚を共有できないんだよな…。
2003年当時はそれにしても興味なかったけど水着の君に惚れた!っていうだけの中身のない歌詞だなぁと思っていただけだったけど、現代だとセクハラ論争になりそうなくらいに騒がれそうな歌詞だよね。
★★★★☆
C/W 夏の日の・・・・
作詞:松本一起、作曲:佐藤健、編曲:富田素弘
松本一起と佐藤健を再起用して表題曲と同じ富田素弘アレンジを施した10周年の続編。元の歌詞がけっこう酷い(笑)女性の見方だと言われがちなだけに続編も難しいところだが…。恋したままサヨナラしたという言及があるように2人は速攻別れてしまっていたという設定で10年経って大人になって再会した2人がもう1度燃え上がる…ような内容になっている。トビウオからレディーになり…って10年経ってもそのレベルの相手の見方かよ…っていうツッコミは入りそうだが、まぎれもないあの「夏の日の1993」の続編である。
相変わらず簡易打ち込みリズム+アコースティックギターというシンプルなサウンドだが、今作の方がチキタカ感は薄めでリミックスというよりかはデモトラックの旨味を生かしたようなアレンジだろうか。やはり時代が違えばもう少し厚みのあるアレンジになっていたとは思うんだけど、1993年から10年での音楽の流行りが何もかも変わり果てた感は音に存分に出ていると思う。これも2003年が刻まれた1曲だろう。
なお「冬の日の2009」も「夏の日の1993」のアンサーソングのような歌詞になっているが、「夏の日の1993」→「夏の日の・・・・」→「冬の日の2009」と物語は繋がっているのか、今作は亡き物として「夏の日の1993」→「冬の日の2009」なのかは解釈が分かれるところ。ただ「冬の日の2009」はド頭から”今からもう1度始めよう”とかのたまっているので今作は無かった事になった可能性が高い。歌詞もより落ち着いてるけど、ツッコミどころも無くなってしまって率直に「冬の日の2009」はこの曲にあったある種のトンデモ感というか面白味が無くなってしまっているんだよな…。
★★★☆☆
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