25th 雨ニモ負ケズ

2002年5月22日
年明けに『Home Sweet Home』を引っ提げてのツアーでライブにも復帰。5月9日にはその模様を収録した初のライブアルバム『THE CONCERT CONCERT TOUR 2002~Home Sweet Home~』もリリースし、2週間後にリリースされた。シングルでも完全にポップ路線から離れて非売れ線の方向性になった事もあり、初登場25位とついにトップ20落ちで売上は1万台半ばまで低迷。しかしここから3作連続で1.5万枚前後の売上で下げ止まった。
今回も過去曲リメイクの「PENGUIN(North Pole Version)」が初回プレスのみ収録。公式サイトの記載によれば今作は初回盤と通常盤の品番が分かれていたようだ。当時のレンタル屋には何の問題も無く、オール初回仕様(全曲収録)で入荷されていたのであまり意識していなかったな…。
今作では槇原のクレジットはKeyboards、毛利泰士はSynthesizer Prgrammingとなり、アルバムでもそのまま同じ表記で統一されている。
雨ニモ負ケズ
シングル盤歌詞カードにはひっそりと(歌詞とクレジットの後に)「この曲は、ボクが敬愛する宮沢賢治さんの作品にインスパイアされたものです」というコメントが記載されていた。宮沢賢治の「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」で始まる詩として有名だが実際には没後に発見されたメモで亡くなる2年ほど前に書かれたものとされているらしい。今作ではサビで”雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ”とマを漢字に変えて引用して”自分ニモ負ケナイ”と続けている。宮沢賢治風にカタカナを駆使しているのはこの部分のみである。
珍しく生のバンドサウンドで制作されており、ギターは山弦(佐橋佳幸・小倉博和)が揃って参加、ベースは松原秀樹、ドラムは沼澤尚、パーカッションはまたろう、復帰ツアーとなった『THE CONCERT CONCERT TOUR 2002~Home Sweet Home~』のバンドメンバーが揃ってレコーディングに参加している(ツアーには小倉博和だけで佐橋佳幸は不参加)。
『Home Sweet Home』期の明るさから一転して、この時期はシングルをシングルとして売る気が全く感じられない実験的というか地味な楽曲が続くことになり、セールスも低迷していった。この曲では延々と教訓が繰り返されるばかりで、A→B→A→B→間奏ギターソロ→B→サビ→間奏”べきだ”→サビ、とサビがなかなか来なくてようやく来たサビもそこまで盛り上がるわけでもないというパッと聞きではかなり分かりにくくシングル向きではない。そんなわけで最初はナンダコレ…と全く良さが分からなかったんだけど、何度か聞いているうちにメッセージもだんだん入ってきて意外と悪くない1曲に印象が変わった。打ち込み基本の槇原ソングでは珍しいツアーメンバーによるバンドアンサンブルが聴きどころか。
Album Ver.はツアーメンバーの生バンド演奏はそのままで録り直した感じでも無いのでミックス違いといった印象。シングルはもっとジャカジャカとしたリズム感が強調されているように聞こえたが、Album Ver.はアルバム全体の流れを考えてもう少し角を削って丸くしたような音像。
★★★☆☆
12thアルバム『本日ハ晴天ナリ』(Album Ver.)
8thベスト『Completely Recorded』
C/W 縁
ずっと一緒にいてくれた相手に対して感謝するのではなく、サビに持ってきたのは神様にこんな縁をくれてありがとうと感謝するというやや地味目の神様系ミディアムナンバー。こういった系統の曲だと出会えて良かったとか相手に対して自分と出会ってくれてありがとうと感謝する形式が多いけど、今作はあくまで「縁」についての曲という事もあるからか相手ではなく神様への感謝を押し出すというのはこの時期ではまだ珍しい。神様連呼が多い印象のある後のエイベックス期っぽさがある1曲。
★★★☆☆
12thアルバム『本日ハ晴天ナリ』
初回盤のみC/W PENGUIN(North Pole Version)
7thアルバム『UNDERWEAR』収録曲のリメイク。前2作と同様で原曲当時は参加していなかった毛利泰士が今作ではシンセプログラミングで参加している。加えてこの曲では前2作と違ってトップクレジットがRe-mixed by YOSHIHUMI IIOになっており、このシングル以降、沢田知久に代わって録音ミックスのエンジニアとしてメインで起用されるようになった飯尾芳史によるリミックスが施されている。よって今作は前2作同様に槇原と毛利の2人で打ち込み直したリメイク音源を飯尾がリミックスした、という事になるのだろうか。
原曲のイントロや間奏にあったロングトーンの民族的なコーラス(アァァァイェエェェェェ~みたいなやつ)がリミックスにより強調・引き延ばし・連発されており、語尾を繋いでスーパーロングトーンにしたかと思えばモールス信号の如く切り刻んでみたりとアァァァイェエェェェェコーラス1パートで遊び放題の引き伸ばしが施されておりこの部分こそが飯尾によるリミックスが強く出ている部分だろう。これだけで1分20秒近く消費、そこからようやく本イントロが始まっていく。このため楽曲の尺も原曲より長くなっている。間奏やアウトロでもそこまでではないがやはりこのコーラスパートだけリミックスでいじりまくっているのは前2作と異なる部分だだが、逆にそれ以外は原曲を打ち込み直しつつも原曲より落ち着いた感じのシンプルな仕上がり。発売当時はいかんせん上の2曲が地味だっただけに、ベスト盤でなんとなく聞いていた程度だったこの曲の印象が格段に上がったのを記憶している。
★★★★☆
North Pole Versionアルバム未収録
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