第63回 LINDBERG 2000-2002 +2009

00年のリリースは作曲家ベスト『WORKS』のみ。前年アルバム制作と並行して渡瀬マキが妊娠出産した事に伴い、産休に突入していたため新作リリースが唯一無い1年となった。00年後半には早くもライブ活動を再開し、01年にはポリドールへ移籍。結果的にここからリリースしたシングル1枚、アルバム1枚が最後のチャートインとなってしまい、02年はインディーズレーベルへ移動。ついに全作100位圏外となり、半年後には解散を発表。02年8月24日、SHIBUYA-AXレベルまで落ちていた会場キャパを何とか渋谷公会堂に引き上げてのラストライブを行い、数日後にFC限定のシークレットライブを持って解散した。

ここからの末期はベスト盤一切未収録。ベスト盤制作に動くのがテイチクと徳間だけなのでポリドールとインディーズである末期はベスト盤選曲対象外。解散後もオールタイムベストはリリースされていない上に売れなすぎて恐ろしく入手困難。そんな末期を振り返る。

32ndシングル frosty love
01年2月21日
ポリドールからの唯一のシングル。現役時代最後のチャートイン作品となった。もう冬も終わりそうな時期だったというのに全開なウィンターソング。全盛期並の疾走感がたまらないが、やや声に元気が無くなってきている感じもして何かが足りない感もある。あとボーカルへのリバーブのかけたかが何だかモヤモヤしていてはっきりしないような…。それでも聞かれる機会さえあればそれなりにフェイバリットに挙げるリスナーも多そうな曲だ。
★★★★☆
13thアルバム『LINDBERG]V

frosty love


33rdシングル you were there
02年1月1日
まさかのインディーズ落ち&100位圏外。アルバムと同時発売だったのだが、非常に退廃的空気の漂うけだるい曲調。歌い方もかなり変わっていて逆にこれLINDBERGなのか?と分からないくらいなんだけどそれが見事に哀しい雰囲気にはまっている奇跡の名曲。全く違う方向だが、"ボクの傘は役に立たない"といつになくネガティブで無力感がMAX。今までこんな哀しみだけの曲はなかった。切ないとかじゃなくひたすら哀しい。LINDBERGとしての音楽ってやりつくしたかに見えたがこの曲は1つの答えだったかも。最晩年屈指の名曲だと思う。再結成以降は往年の元気イメージを要求されるだろうし、バンドがこのモードになることも無いと思う。
★★★★★
14thアルバム『LINDBERG]W

you were there


34thシングル Teenage Blue
02年6月26日
解散を発表してリリースしたラストアルバム先行シングル。名曲「SUNSET BLUE」の続編であの曲のその後が描かれている。あれ以来久々にこの街を訪れた主人公が過去を回想。「私の中の少女はあの頃の少年に永遠に恋してる」は名フレーズ。Wをリアルタイムで聞いていた少年少女がちょうどいい年になって、まさにこのフレーズを解散していくLINDBERGに当てはめる事が出来る。最後を飾るにふさわしい終着点のような曲だったのだが扱いは悪く、解散ライブでも披露されない始末。09年の復活以降に比べてもこの曲はかなりキーが低くなっており、やはり解散当時の方が喉がやられていたような気がする。98,9年までしか選曲されないベスト盤を聞いてから09年作品を聞くとまあ普通に復活したように感じられると思うんだけど、この末期を踏まえて09年作品を聞くといかに華々しく復活したかがより鮮明に分かる。
★★★★★
15thアルバム『LINDBERG]X

TEENAGE BLUE


35thシングル It's too late
02年8月7日
まったりミディアムのラストシングル。ラストアルバム『LINDBERG]X』の中でも特に目立たない何でもない1曲が何故か最後の最後にシングルカットされた。「Teenage Blue」の方がらしかったのになぜゆえに最後にこんな消えそうな曲で文字通りひっそり終わりにするのか…。タイトルも解散する引き際が遅すぎたという事を暗に宣言してるかのようでなんともやるせない。あまりに意味不明すぎるシングルカットだったのでC/W2曲は新曲だったんだけどこのシングルは末期作品で唯一スルーしてしまった。
★☆☆☆☆
15thアルバム『LINDBERG]X

it’s too late


Bad boys,Good friends
アルバム最終曲。まさに最後にファンへの感謝とメッセージ。"Good-Bye 1人じゃないし そして音楽がずっと消えないから"というラストフレーズとライブの最後の定番だったという手拍子による「締め」、終演のアナウンスで本当に最後を感じる。解散アルバム出しておいてラストライブで披露されたのは集まったのが過去のファンばかりなので新しくて96年までという過去曲オンリー。唯一この曲だけが披露されている。
★★★☆☆
15thアルバム『LINDBERG]X
2ndライブ盤『
FINAL FLIGHT


こうして解散したLINDBERGだったが、09年デビュー20周年を記念して2009年期間限定での復活を発表。エイベックスから大々的な復活リテイクアルバムをリリースし、末期には不可能だったトップ10入りを再度達成(98年のベスト盤以来)。さらに復活特需に往年のファンが集結し、97年以来の日本武道館公演を行った。この2009年に公式にリリースしたのは新曲3曲を含むリテイクベストアルバム1作とシングル1作で新曲は合計4曲。これら4曲を振り返る。


Re-FLIGHT〜あの日描いていた大人になってるかい?〜
20周年記念作には男性メンバー3人がそれぞれ作曲した新曲が3曲収録された。平川曲であるこの曲は特に初期LINDBERGの勢いを再現し、まさにあの頃のリスナーへのメッセージソングとなっている。解散時にも初期リスナーへの呼びかけのような曲はやっていたが、むしろ少し枯れ気味だったあの頃より格段に元気になっているところが熱い。サブタイトルとなった描いていた大人にはなれていない大人が実際のところは大半というのが現実なんだろうけど、なんかもう1度頑張ってみようかなとかそういう気持ちにさせてくれるようなそういう解散時には無かった勢いがある。正直ここまでパワーあふれる曲が出せると思ってなかったので、本当に驚いた。
★★★★☆
20周年リテイクベスト『LINDBERG]]


それでも地球はまわるんです
川添曲。かなりパンクでテンポも速くて勢い溢れる楽曲だが、歌詞は暴走迷走期を引き継いだような陽気なノリ。当時40歳を迎えた人が書いたとは思えない程若々しい。正直渡瀬マキのパーソナルな面は全く知らないんだけど、やはり元来こういうノリの人なのかなと思う。またかなりテンポがいいわりにするっと突き抜けてしまい、他の2曲に比べると印象がちょっと薄い。
★★★☆☆
20周年リテイクベスト『LINDBERG]]


行こう!!!!
小柳曲。ほんわかしたアコースティック系のナンバー。初期の勢いを再現していたアルバムの中でもラストを飾っており、かなりホッとする落ち着いた楽曲。「!」がメンバーの人数分である4つになっているところがいい。
★★★☆☆
20周年リテイクベスト『LINDBERG]]


36thシングル LIVE your LIFE
09年12月9日
1年限定の再結成の最終月となり、ラストシングルと銘打ってリリースした新作シングル。PVを収録したDVD付としてリリースされたが、何故かコケてしまいチャートでは40位程度に終わってしまった。末期が100位圏外なので十分にも思えるが、『LINDBERG]]』がトップ10入りしたのに、往年のリスナーはもう熱が冷めていたのだろうか…。武道館でもライブやったっていうのに観客の半分以上がスルーした事になってしまうんだけど。今作も初期のひたむきで前向きでロックなLINDBERGを再現したような楽曲。その勢いは解散時よりもやはり格段に増しており、「大人青春」というフレーズまで飛び出し、荷物は重くなったけど旅は終わらないぜ!といった前向きで明るい素敵な中年の輝きを放っている。個人的には解散時のちょっと枯れ気味なもう若き日は過ぎ去った…みたいな味わいもかなり好きなんだけど(年齢的に執筆時の段階ではそっちが近いため)、09年はこうあってほしいという初期リスナーの期待に応えたこれぞLINDBERGといえる再結成だった。
★★★★★
アルバム未種録

LIVE your LIFE(DVD付)

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