ZARD SINGLE COLLECTION〜20th ANNIVERSARY〜

※『Hypnosis』はシングル時は「岡本仁」表記だったが現表記である「岡本仁志」に修正されている。

※黄色＝ZARD全アルバム未収録曲(C/Wの別バージョン、没後リメイクはこちらに含む)
黄緑色＝シングルバージョンでは全アルバム未収録曲（ベスト・編集盤・オリジナルのいずれかに別バージョンでは収録済み)
水色＝オリジナルアルバム未収録曲(いずれかのベスト・編集盤には収録済み）
「眠り」(シングルVer.)」「GOOD DAY」(シングルVer.)、「翼を広げて」、「愛は暗闇の中で feat.Aya Kamki」、「素直に言えなくて feat.Mai Kuraki」、「果てしない夢を」(黒盤音源)はこの後『ZARD Forever Best〜25th Anniversary〜』に収録された。
後にシングル版も差し替えられている初期ミックスのアルバム未収録は除く

リリースデータ

ZARD2ndBOX作品。20周年を記念してのシングルコレクション。デビュー(1991年2月10日）からピッタリ20周年の日に発売された。1st〜45thまでの全シングル収録曲をリリース順に収録。ボーナストラックとして坂井泉水が参加したシングルから7曲を収録している。リマスターは島田勝弘が担当。各カラオケバージョンを除くと30th〜32ndの3作に収録されていたシークレットトラック（いずれも表題曲のリミックス）、42nd初回盤のみ収録されていた表題曲のピアノインストの合計4曲は未収録となっている。LPレコードサイズジャケット、豪華ブックレット仕様。ブックレットはシングル1作ごとのジャケ写を拡大したもの、その裏面に歌詞、当時のアーティスト写真、スタッフの3行解説が記載されている。どういうわけかO社ではアルバム扱いで登録はされるも300位圏外扱いでチャートインしないという事態となった。サウンドスキャンでは集計されていたようなのでO社が登録だけして何故か集計しなかったようだ。

基本的に08年にリリースされた1stBOX『ZARD Premium Box 1991-2008 Complete Single Collection』にその後発売された45thシングルが追加されただけで収録曲は同じ。Premium BOXはリマスターされていない、各シングルを当時の音源のまま1枚ずつ12cmマキシシングルとして収録しているため各シングルにカラオケが収録されていた場合はそのカラオケもそのまま収録されている、未発表曲「約束のない恋」収録したCD、特典DVDが追加されていたという違いがある。

Premium Boxでも同じだったようだが、後のミックス変更が差し替え扱いのシングルは変更後の音源で収録されている。「不思議ね…」は『Request Best〜beautiful memory〜』に収録された歌い出し直前のシンバル音が左右逆になったミックス、「黄昏にMy Lonely Heart」は『ZARD BLEND�U〜LEAF&SNOW〜』のミックス、「Don't you see!」「君に逢いたくなったら…」は『ZARD BLEND〜SUN&STONE〜』のミックス、「永遠」は間奏からモノラルに変わる『永遠』のミックスが今回も一貫して採用されている。「Hypnosis」は低い、高い、イントロギター片方寄りの3種類ある中で低いバージョンが採用された。

Premium Boxとの兼ね合いが非常に微妙な1作ではあるが今作はシングルコレクションアルバムとしてまとめた形式である事と2011年時点での最新リマスターである事が最大の特色(※)。Premium Boxでしか聞けない「約束のない恋」はそこまで名曲との評判も聞かないのでこれはあきらめてリマスタリングの方を取ることにして今回購入した。今回のリマスターは長年ZARDを担当していた島田勝弘となっており、海外のエンジニアに頼んでやたら迫力が増した『Golden Best』とは違っており、原曲を丁寧に音質向上させて整えたような印象になっている。感覚的には『Golden Best』の時がリマスタァァァァァァァ！！！っていうド派手な印象だったのに対して今回は丁寧にリマスタリング致しました。という感じである（例えが分かりにく）。追悼ベスト以降の3作はリマスター表記も無かったが、今回はそれらよりも気合の入ったリマスターを施しつつも『Golden Best』ほどの迫力重視ではなく、ちょうどいい感じ。これより新しいリマスターは翌年の『ZARD ALBUM COLLECTION〜20th ANNIVERSARY〜』、2016年の『ZARD Forever Best〜25th Anniversary〜』、2017〜2019年まで月刊で発売された『ZARD CD&DVD COLLECTION』、2020年の1st〜30thシングルの8センチシングルをマキシシングルにしてのリマスター単独発売、2021年のオリジナルアルバムリマスター単独発売(『時間の翼』のみリアレンジ)と割と多数存在するが、毎回島田勝弘がそのたびにリマスターしているようであまり大きな違いは感じられなくなっている。後のリマスターの方がより綺麗に仕上げているかなという感じではあるけど。

全体的にはDISC-1は路線が固まるまでのブレイク期、DISC-2は路線が固まっての安定期、DISC-3はややロックバンド路線に傾いた時期、DISC-4は試行錯誤を開始した実験期、DISC-5はGIZAに染まって異様にサウンドが軽くなっていた時期、DISC-6は王道回帰、といった大まかな流れでZARDサウンドの変遷をたどっていける。人気があって一般的にイメージされるZARDサウンドはDISC-1後半〜DISC-3前半、DISC-2はまさにド王道の全盛期といった印象と思われるが、個人的にはDISC-3以降にリアルタイム感があり、改めて聞き返しても派手なオケヒの多用などが控えられてよりロックバンド的なサウンドに変わっていったDISC-3の時期が最も好き。DISC-4の時期も当時は残念に思っていたが複雑ゆえに意外と飽きない。DISC-5の時期はサウンドも軽く地味なのでかなりじっくり耳を傾けて聞かないとなかなか良さは見えてこない。葉山たけしの復帰によりDISC-6の時期には往年のサウンドが新たな形で蘇っており、ここから先の展開も楽しみだっただけに突如の急死の報は本当にショックだった。

BONUS DISCは「果てしない夢を」以外はBOX除いてZARD作品には初収録。その「果てしない夢を」はシングル盤のレーベルが白と黒があり、ミックス（主にドラムパートが分かりやすい）と随所に登場するコーラスの大きさが違っている。『ZARD BEST』には「白」が、at the BEING studioに収録された時も「白」だったので、今回貴重な「黒」音源での収録となったがここで切り替わったのか何なのか『ZARD Forever Best〜25th Anniversary〜』にも黒盤音源で収録された。Barbierはゲストボーカル坂井泉水となっているが、実際にはコーラス参加でしかなく、歌っているのは栗林誠一郎なのでここに入っているとかなり違和感がある。この4曲はいずれもZARDバージョン（C/WはZARDが先）が存在し、そちらは過去のアルバムに収録済み。このBarbierのシングル音源もBarbierの1stアルバム『Barbier first』に4曲とも収録されており、『complete of 栗林誠一郎&Barbier at the BEING studio』にも「あなたに帰りたい」以外の3曲が入っているのであまりレアではない。『異邦人』はTAK MATSUMOTOソロ最大のヒットになったカバーアルバム『THE HIT PARADE』に収録されているがシングルミックスは初収録なのでその点は貴重か。

値段が値段だけにコアファン向けではあるが、C/WはおろかA面曲だけでもほかのアルバムを使って集めようとしてもなかなか大変なので(1曲のために入手しなきゃいけないベスト盤がいくつも出てくる上に結局いくつかのシングルを手に取らないと全部揃えられない)とにかく1作で全部揃って手っ取り早いというのが今作の利点だ。

ただ2020年春頃からネット在庫が軒並み切れていき、MusingでもSOLD OUTのまま放置されていることから生産は終了してしまった模様。これにより現在は中古相場でも定価より高めとなっている。

2021年に配信されているシングルのラインナップは基本的にボーナスディスク以外のDISC1〜6の内容(カラオケなし、シークレットなし、初回音源なし)となっているが、「MIND GAMES(Redway Secret Mix)」「痛いくらい君があふれているよ(Re-Mix)」「永遠(What a beautiful moment Tour Opening Ver.)」の3曲は何故か外されている。

印象度★★★★★

2021.8.26修正

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