14thAl CIRCLE
2013年12月18日
20周年記念オリジナルアルバム。過去関わったゲストとの再共演もあり、ビーイングのアレンジャー池田大介、古井弘人が再度参加したほか、AOR期に初参加していた大平勉、2009年以降にコラボしたparis match、樹林伸、湯川れい子も新曲に参加している。
ヒット曲のほとんど(ビーイング管轄)が事務所権限で公開不可能なためかYouTubeにはあまり積極的ではなかったDEENもさすがにこの20周年のタイミングでオフィシャルチャンネルを20周年を迎えた直後の3月末に開設。いくつかのMVを上げた後に(何故かビーイング管轄のはずの「夢で逢えたら」も2013年4月開設時点で上げているのは地味に謎。30周年ベスト配信ではカットだったのに…)、47ツアーBlu-ray/DVDのダイジェスト映像、「二十歳」「雨の六本木」「もう泣かないで」のショートサイズMV、「もう泣かないで」MVメイキングを上げた次に今作のライナートーク映像を3回に分けて公開した。
『DEEN NEXT STAGE』のセルフライナートーク(シングル『Celebrate』初回盤DVD)以来2度目となる現存するセルフライナートーク映像となり、無料でお手軽に見れるのは今作のみとなる。
初回盤は「DEEN AOR NIGHT CRUISIN’~2nd GROOVE~」2013年7月21日Billboard Live TOKYO公演の模様を収録したDVD付。ソロ曲以外の全曲が収録されている。タイトルからカットされているがライブの正式タイトルは「DEEN AOR NIGHT CRUISIN’~2nd Groove~feat. DIMENSION」であり、いつものサポートメンバーとは異なる(当時)3人組インストバンドDIMENSION(とそのバックバンドのリズム隊)との共演。ギター、キーボードが2人ずつになったので通常時より厚みのある生演奏になっている。また「雨の六本木」がバラエティソングになった最初の様子が垣間見える映像でもある。
20周年という事でサークル=輪を意識したジャケットになっているが、サークルというより蛍光灯に見える気がするとか…しないとか…。
1.二十歳
2.Peace & Smile! feat.paris match
作詞:池森秀一・古澤辰勲、作曲:田川伸治、編曲:杉山洋介
paris matchとのコラボ曲。コーラスにミズノマリ、編曲に杉山洋介が参加しているほか、paris matchの元メンバーで脱退後もparis matchとの共作が続いていた古澤辰勲も作詞で参加。リズム隊は打ち込みでブラスを交えたダンスチューン。LOVE&PEACEでポップな世界観だがサウンドがどこかクールでギターソロもオシャレ。コラボレーションの効果が存分に出た1曲。
paris match関連作はいずれもparis matchに寄せたような普段のDEENとは異なる曲調になっているが、今作はDEENのポップな要素にも寄せた1番いい感じに双方の融合が果たされた1曲という印象もある。
★★★☆☆
21stアルバム初回生産限定盤のみDISC-2『DEEN DANCE MUSIC PLAYLIST mixed by Yosuke Sugiyama』
3.もう泣かないで
4.今夜はParty Night!
作詞:池森秀一、作編曲:山根公路
ダンサブルでファンキーなディスコっぽいブラスポップ。冒頭のコーラスからLIVE JOYと歌っているようにライブを意識した内容になっていて、ライブ空間そのものがテーマ。2番のサビでは“上海のスターもRock Rock Rock”なんていうフレーズも登場する。DEENのライブまで行ってないとこの曲の面白さや雰囲気が掴めないところではあるが…パリパリパーリナイ連呼しているのでとりあえず耳には残る。昔のディスコっぽいノリなのでコール&レスポンスのノリもちょいダサな感じがあり、実際作曲していてダサくなるんじゃないかとけっこう考えた事も明かされているが開き直ったのが絶妙だったか。
ライブをテーマにしているだけであってライブ定番化必須候補曲だったはずだが…あんまり定着しなかった。後半メドレーに組み込もうにもアップテンポの曲と並べるとテンポダウンした感じになってしまう事もあり、意外と使いにくい曲だったのかもしれない。あと今作はダンス、ファンク系の振付がつきそうなノリの曲が多く、これはまた振付しまくって強要ムードになるんだろうなと思って覚悟していたんだけど、明らかに反省会議でも開かれたかのように「Brand New Wing」までの強要ノリは無くなっていた。今作発売前の2013年武道館2daysでは2日目に「coconuts feat.kokomo」で締めるダンスメドレーを演奏した後に訓練された前列のフレンズさんたちが振付についてこれるのに気を良くした池森さんが次はもっと難しい振りにしなくては!などとまた問題発言をし始めて、田川さんが確認するように観客に振ったところ池森さんが期待していたような拍手が起こるどころか戸惑いの無反応という気まずい沈黙が流れて「簡単な方がいいですね」と軽くまとめてトークを締める…という一幕もあったくらいなのでさすがにどんどん複雑にするとかどこに向かっているのか分からないような真似は総意でちょっと違うんじゃないかという認識は観客側にあったようで個人的にも安心した(これで大歓声と拍手で歓迎ムードになってたら…)。
★★★☆☆
5.Future<Album Version>
6.Twist of fate
作編曲:田川伸治
田川ソロ。ブラスっぽい音も入っているがサポート参加は無く1人オケ制作になっているっぽい。ジャジーなテイストを盛り込みつつもジャンルレスなオシャレ感を醸し出した楽曲。インストではあるがシャバダバとスキャットでのボーカルは入っていてギターと一緒に自ら歌唱。随分変わった方向性をやったなと当時は思ったんだけど、ここから先は現在と地続きになっていたように思う。脱退以降解放される意外と歌いたかった欲、これまでルーツとして前面に出していたロックから興味が離れつつあることを示唆する田川伸治の音楽性の転換点として重要な1曲だったのかもしれない。
★★★☆☆
7.雨の六本木
8.My Life My Dreams
作詞:池森秀一・樹林伸、作編曲:田川伸治
『マリアージュ』に参加していた樹林伸が共作で再登場。一人称は”俺”となり、いつもと違うイケオジRyoから見た池森すなわち池叔父ではなくイケてるオジサンの略語である感漂う樹林伸特有のアダルトムード漂う歌詞になっているので共作の効果は存分に出ていると言えるか。ラテン風味のサウンドになっているが、この頃にはアルバムに1曲はラテン、DEENといえばラテンと堂々コメントするようになっていて、ラテンダンスチューンはライブでも盛り上がるDEENらしい路線という認識がメンバーにあったようだ。ただ山根さんはあんまりラテン要素無さそうで田川さんはいつの間にかパーカッションのクレジットがつくようになっていて自ら買い揃えていた事もあり、ラテン路線は池森意向(もう作曲しないので意向のみ)・田川任せ(作曲編曲を一手に手掛ける)だった印象はある。
低めのキーで制作したためなのかサビになってもあまり声を張り上げずにしゃがれ気味の抑えた歌唱をしているのがこの曲に関しては少々気になる。クールってかなんか声抑えすぎてね?と思ってしまう。
★★★☆☆
9.永遠のジャンヌダルク
作詞:湯川れい子、作曲:田川伸治、編曲:大平勉
「雨の六本木」に続いて湯川れい子にもう1曲作詞をお願いし、AOR期のアレンジャー大平勉がアレンジを担当。あえて外部委託する事で作風を広げようとする試みで、AOR風味の今作の中でもシティポップ感が強い1曲。ただこのアルバム、全体にブラスサウンドやオシャレっぽいグルーヴ感のある曲が連投されているため、流れで聞いていくとそろそろ埋もれ気味な印象にはなってしまう。アルバムの流れで聞くよりピックアップして聞いた方がいい曲に聞こえる。“結婚しようよ”という言葉が出てくるが、樹林伸に続いて湯川れい子まで何故DEENの作詞任されてすぐに結婚に走るのだろうというのは凄く気になった。「心から君が好き」も今作もなんかこれ結婚の曲だよ!っていう導きが曲から感じられたのだろうか。
今作もやや抑えめのボーカル。高音の伸びが良くなってきた一方で低音カスカス、濁り気味になってきている状況だったので2002年以降対応でそのまま作られていたっぽいこういうあまり高いところに行かないようなメロディーの曲は歌いにくくなってきていたように思う。
★★★☆☆
10.DANCE FEVER~上海ロックスター外伝~
作詞:山根公路・上海ロックスター、作編曲:山根公路
今作でクレジット上の”設定”を少し強化。作詞が山根公路と上海ロックスターの連名になり、さらにこれまでメインボーカル曲がある時のアルバムの山根公路のクレジットにつけていたVocal表記を外し、Additional Musicians枠でVocal:上海ロックスターとクレジット。ライブ作品でもゲストとして上海ロックスターを表記するようになるなどクレジットでも山根公路と上海ロックスターは別人とアピールしている…がアルバムライナートークでは普通に山根さんが完全に中の人どころか自分の曲として喋っ
今作ではロックではなく完全にサタデーナイトフィーバーのディスコノリとなっているが、前作をかなり長くライブで演奏する中で、田川さんに次の展開に本気で迷っていると暴露されたりもしていたが、マジで迷ってしまったようで率直にロックに飽きたともコメント。アルバムの作風に合わせたらこうなったという事らしいんだけど、これまでの流れとは異なるので外伝扱いとなっている。主人公と君、そして”彼の歌”とあるが、彼=上海ロックスターなのか、主人公=上海ロックスターで彼とはまた別のシンガーなのか、その辺りも含めて意外と謎が多い。外伝なのでいつの時代の上海ロックスターの描写なのかも不明だし。
既に半分ダサくなっていたような往年のディスコノリ、けっこうユル~イ雰囲気だったのでさすがにライブのアンコールもだいぶユル~イ空気になり、面白い事は面白いんだけど何か迷走が始まった感はあった。演出もやりきってしまって、継続する難しさが一気にのしかかってきたかのような。直後のツアー「Break18~CIRCLE 20→21~」では単独演奏(この時はバンド演奏スタイル)したがDVD化の際はカットされ、2014年武道館では早くも前作とメドレーで披露(演奏は放棄でダンス&カラオケ仕様)。2015年にはもう次が出来てしまったので1ツアー+武道館1回でしか披露されずに終わるなどこれまでに比べると披露回数が極端に少なかった。映像化は2014年武道館のカラオケダンス映像1回ポッキリなのでバンドで演奏した映像は残されずじまいである。
★★★☆☆
11.CIRCLE~あなたがいたからこそ~
作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:池田大介
アコースティック+ストリングスによるバラード。リスナーへの20周年感謝ソングとストレートに受け取れるところだが、あなた=DEENの事だとして見るとより伝わるかもと池森さん自らコメントしていた。かつて「先に行ってしまったDEENの背中が見えてきた」と1999年横浜アリーナで語っていたように、急にDEENになって大ヒットして制作に追われていた経緯もあってDEENという存在を自分たちの事ではなく、DEENとは存在そのものでDEENの参加者の1人という認識が池森さんには強くあるようだ。DEENという存在が自分たちを導いてくれた、DEENという存在があって自分たちが出逢い、そしてファンとも繋がれた、と。確かに“あなたとずっと一緒に歌 歌い続けていく”というフレーズ1つとっても、あなた=ファンよりもあなた=DEENと考えた方が意味が通る。
こういう感覚は自分で組んだバンドメンバーでは考えもしない視点だろうからリスナーとしてもあまり聞いたことが無く、かなり面白い視点だと思う。
★★★☆☆
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