2ndCover 君がいる夏-Everlasting Summer-

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2ndCover 君がいる夏-Everlasting Summer-

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2014年6月11日
“あの頃がよみがえる究極のSuumer Healing Album”と称された初の全英語詞洋楽カバーアルバム。1970,80年代のヒットナンバーを中心とした8曲+発売から20周年を迎えた代表曲「瞳そらさないで」(瞳そらさないで2009)の英語詞セルフカバーを収録した全9曲…とギリギリ10曲に乗らない曲数となったが一応フルアルバム扱い。

リゾートライブから発展した企画作品となっていて、みんなが知っているあの頃の洋楽ヒットでより懐かしリゾート気分で盛り上がろうという趣旨だったようだが、世代を外れると途端に知らない曲しかないという洋楽カバー作品だけに実際のところDEENリスナーがどれだけメンバーと同じ思い(懐かしさ)を共有できたのかはかなり怪しいところがある。同年のリゾートライブ「Summer Resort Live~4th wave~」では今作からの選曲を中心としたが、通常のツアーや武道館で演奏されることは無く、以後もリゾートライブ時に数曲演奏される程度となっている。

前年にYouTube公式チャンネルを開始させた事もあってか、今作ではロケに出向いて周辺で一気に撮影してくるという手法で簡易なショートフィルムが5曲制作されて発売前の宣伝映像として活用された。この手法は2年後の『バタフライ』でもさらに簡易化されて行われ、2人になってからの2018年以降はほぼ毎アルバムごとに様々な手法でアルバムの簡易PV映像の制作が続くようになった。何故か『THE GREATEST CLIPS 2014-2017』では5曲のうち2曲しか収録しておらず、あくまで宣伝用ショートフィルムであってCLIPではないという扱いになっていたようだ。

初回盤は「DEEN LIVE JOY-Break18~CIRCLE20→21~Final 2014.3.9 中野サンプラザ」から抜粋収録したDVD付。スリーブケース付のトールケース仕様。

1.Just When I Needed You Most

作詞作曲:Warmer Randall Edwin Van
Randy VanWarmer(1978)
邦題「アメリカン・モーニング」としても知られる。ていうかなんだオリジナルと関係ない邦題…。Aメロでmorningと歌っている+英語=アメリカっていうイメージだけで「アメリカン・モーニング」にしたのかこれ…。

ドラムのHIDEだけ不参加でメンバー+ベース宮野和也+ストリングス4名という編成。原曲の雰囲気を崩さずにアコースティックギターをより前面に出しての爽やかなカバー。う~ん確かにアメリカンなモーニングな感じするわー…。なんとなくでも聞いたことが無かったので1曲目から正直今回のアルバムこれ少なくともコンセプトとしては対象外になりそうだなという予感が漂った。たださすがに有名洋楽スタンダードだけにメロディーも馴染みやすく、割とすんなり知っている曲へと変わった(そろそろオリジナルアルバムの収録曲では忘れてしまう曲も出始めた頃合いだったので…)。
★★★☆☆

2.So Much In love featuring Kasarinchu

作詞作曲:Roy Straigis/Billy Jackson/George Williams
The Tymes(1963)、Timothy Bruce Schmit(1982)
曲説明の一文では“イーグルスのティモシー・B・シュミットが82年発表”と書かれており、オリジナルよりも1982年の映画『初体験 リッヂモンドハイ』に使用されたカバーバージョンの方が世代的にメンバーにとっては馴染み深かったようだ。またかつてSHUでカバーした「YOU MAKE ME FEEL BRAND NEW」と同様に山下達郎の『ON THE STREET CORNER 2』ではこの曲もカバーされていた。

カサリンチュの2人をゲストに招いており、タツヒロがボーカルとして参加して池森とデュエット、コウスケがヒューマンビートボックスで参加し、アカペラバージョンで聞かせる。ヒューマンビートボックスで始まるのが異色だが、原曲だと指パッチンっぽくみんなでリズムを取っているような部分をヒューマンビートボックスで置き換えた感じでちょっとカッコよくなっている。コーラスワーク全開なところはほぼそのまま再現。
★★★☆☆

3.California Girls

作詞作曲:Mike E.Love/Brian Douglas Wilson
The Beach Boys(1965)
「kokomo」を引用した事もあったThe Beach Boysが原曲だったが、メンバーインタビューではDavid Lee Roth(1985)のカバーの印象が強烈とコメントしている。

The Beach BoysよりもDavid Lee Rothの方がエレキギターが効いていたが、カバーもDavid Lee Roth版に近い方向性。3曲目にしてフルのバンド編成でだいぶエレキギターを押し出している。何気にけっこうキーが高めで、サビはほぼ裏声。コーラスを厚めに被せているのでギリギリ感はあまり感じさせないようになっている印象。
★★★☆☆

4.How Deep Is Your Love

作詞作曲:Barry Alan Bibb/Maurice Ernest Gibb/Robin Hugh Gibb
Bee Gees(1977)
映画「サタデー・ナイト・フィーバー」邦題「愛はきらめきの中に」でも知られる有名曲。2011年には河村隆一が『THE VOICE』でカバーしていたほか、かつて共演した原田知世もDEENと共演した前年2001年にアルバム『Summer breeze』で取り上げていた(夏がテーマだったため『Summer breeze』では「Just When I Needed You Most」もカバーしていた)。

アコースティックサウンド+ハーモニーを生かした王道的なカバー。間奏のギターソロにラテン風味を入れてくるのはDEENといえばラテン派(?)な池森&田川っぽい。

脱退後に田川伸治が2018年にソロでもカバーしているので相当お気に入りだったようだ。
★★★☆☆

5.Reality

作詞:Jordan Jeff/Pimper Carola、作曲:Cosma Viadmir
Richard Sanderson(1980)
映画『ラ・ブーム』主題歌邦題「愛のファンタジー」としても知られる。

だいぶ原曲に忠実にカバーしつつAOR期のDEENの雰囲気も融合させたようなロマンティックで大人っぽい仕上がり。他の曲同様に特に聞き覚えもなかったのだが、人気が高かったのか、30周年ベストにいきなり選曲されたのは意外だった。
★★★☆☆
9thベスト『DEEN The Best DX~Basic to Respect~

6.The Loco-Motion

作詞作曲:Gerry Goffin/Carole King
Grand Funk Railroad(1974)、原曲はLittle Eva(1962)
日本ではORANGE RANGE「ロコローション」が今作をパロディしすぎて作者のCarole King側に抗議されてアルバム収録以降クレジットがカバー扱いに変わった事でも知られる。1987年にKylie Minogueのデビュー曲(表記は「Locomotion」)としてもカバーされてヒットしていたのでORANGE RANGE騒動の時にはカイリー・ミノーグのパクリだと思ったリスナーも多かったようだ。今回のカバーは1974年のGrand Funk Railroadのロック調のカバーを基にしており、一文説明でも“74年にグランド・ファンクがカバーして全米No.1を獲得”と書かれている。

1コーラスの前半を池森、後半を山根が歌っているツインボーカル編成。部分的に山根ボーカルとか、初期の上海ロックスターでA,Bメロで池森がとか、3人ボーカル曲とか、ゲストと池森のデュエットとかはあったが、DEEN単独で本格的に半々でのツインボーカルは初と言えるかもしれない。かなりキーを上げたようで池森パートでもかなり声を張り上げているが、山根パートは完全にハイトーンボイス任せになっている。ゆったり聞かせる曲ばかりな今作の中でほぼ唯一の盛り上げ系ナンバーとして一際インパクトがある。簡易的ながら制作されたMVでもグラサン姿でシュールにふざけているメンバーの姿を拝むことができるし、このアルバムというとこの曲の印象が最も強く残った。

「ロコローション」騒動の時に存在は知っていたものの、2004年当時は原曲をしっかり聞いて確認する環境は整っていなかったのでちゃんとは聞けていなかった。改めてDEENバージョンを通じてしっかりフルで聞いてみたら意外とORANGE RANGE「ロコローション」とは似ても似つかぬ曲だった。確かに「The Loco-Motion」に対して「ロコローション」というタイトル、“DO THE ロコモーション”なんてそのままぶち込んでいたりとメロディーが全く同じで歌詞もパロディという部分はあるものの、どちらかというと思いっきり引用元のネタバラシをしているという感じで全体には「ロコローション」は「The Loco-Motion」のカバー曲とするには正直改変し過ぎである。せいぜい部分引用&パロディがいいところで、引用した事の許可も取らずに勝手に発売した事でCarole King側に抗議されたのかもしれないが、「ロコローション」の”Ah ah なんかいい感じ”の部分はSHAMPOO「Trouble」という全く別の曲のパロディなんだし、複数の曲の組み合わせパロディに対して自分だけ権利表記させてカバー扱いにさせた「The Loco-Motion」サイドもそれはそれでちょっとズルくねーかこれ…と盗作騒動から10年ほど経過した2014年夏、改めて思ったのだった。
★★★★☆
9thベスト『DEEN The Best DX~Basic to Respect~

7.Don’t Worry,Be Happy

作詞作曲:Bobby McFerrin Jr.
Bobby McFerrin(1988)
映画「カクテル」挿入歌。1986年の「トップガン」のヒット後にトム・クルーズが主演した映画だが、主題歌だったのはThe Beach Boys「kokomo」。2010年に「coconuts feat. kokomo」としてサンプリングした事があったが、ここで密かに繋がる。この映画見ていたのかな。

原曲ののんびりした雰囲気にさらにウクレレを加えて陽気な感じに。ウクレレ奏者は招いておらず、田川クレジットにウクレレが加えられている。前曲から一転して超低音ボイスで歌っているが、さすがに低すぎて囁き気味&歌いにくそう。ウクレレの音の響きとか重視したのかもしれないがこの低さはちょっとキーが違うんじゃないか。
★★★☆☆

8.Lucky

作詞作曲:Colbie Caillat/Tim Fagan/Jason Mraz
Jason Mraz(2008)
これだけ極端に新しくこの時点でまだ6年前の曲。7,80年代の洋楽カバーに馴染みがあった世代は逆にこれだけなんか馴染みのない曲が混ざっている感じだったのかもしれない。他の曲のようにスタンダード化するのかも分からない段階だったし。

彩葉という女性シンガーとの事実上デュエットになっているが何故かカサリンチュのようにfeat.表記はされず、巻末のクレジット部分Additional MusicianのVocalの部分にのみひっそり表記されている。しかもいつものベースドラムストリングス勢の次という位置の低さとVocal枠では「So Much In love」でのゲストのカサリンチュのタツヒロの後なので、Vocal:Tatsuhiro from Kasarinchu(#2),Iroha(#8)となっていてちゃんと見ないと見逃すレベル。今作ではIrohaとしか分からず、正式表記の彩葉がクレジットされたのはこの後のリゾートライブにゲスト参加した際のライブCDが収録された『DEEN at 武道館 2014 LIVE JOY SPECIAL(Blu-ray盤)』のクレジットにてVocal:彩葉とクレジットされたのが唯一となる。という事で彩葉と書いてIrohaらしい。

この謎に不当なクレジットはカサリンチュと違ってインディーズデビューすらしていないような完全無名のアマチュアシンガーだったためなのだろうか。なんかこの時期に初の池森プロデュースで売り出そうとしていた様子でこの後のリゾートライブ(4th wave)にもゲスト出演していたらしいが、2014年のリゾートライブ(4th wave)はこの次のシングルC/Wと『DEEN at 武道館 2014 LIVE JOY SPECIAL(Blu-ray盤)』特典CDにでライブ音源化されただけで映像は残されていないので彩葉の写真や映像はCDブックレットやDVD/Blu-ray内において1度も出ていないのでどんな顔の人だったのか分からない。FC会報のライブレポとかなら写っていたのかもしれないが…。この彩葉には数曲のオリジナル曲を与えたりと少なくともデビューシングルくらいなら作れそうな様子で事務所グッデイのサイトにも所属者として一時名前が載っていたが音源化にすら至る事無く程なくして見かけなくなってしまったので結局作品を残す事すらできずに活動が頓挫し、一般人に戻られたようだ。MCでは来年(2015)デビュー予定だとかリーダーも曲を提供したとか調子のいい言葉も並んでいたとも聞くけど…発表されていた池森プロデュースによる3曲は後年プロデュースした人たちに改作流用されてしまい、現在は完全に無かった事になっている。

デュエットはいい感じなんだけど相手の正体がイマイチ不明な上に、このようにすぐに当人が謎に消えてしまったのがちょっとモヤる。またこの後やたらとアンチエイジング路線なラブソングが連発された時期とも一致しており、プロデュースを手掛けようとした過程で若い感性に触れた事による影響があったのかどうか。
★★★☆☆

9.Hitomi Sorasanaide-English Vesrion-

作詞:坂井泉水、英訳:Romeo V.Gonzaga、作曲:織田哲郎
発売20周年を迎えた5thシングルのセルフカバーバージョンの1つである「瞳そらさないで 2009」の英語バージョン。オケはそのまま使い回しで英語で歌いなおしただけと思われる。直訳すると歌詞が余ってしまうため色々調整されており、”瞳そらさないで”は“Look at me,don’t turn away from me”、”話そらさないで”は“Talk to me,don’t close your heart to me”とだいぶ単語が補強されている。このような日本語詞からの変化が面白いものの、2009アレンジの使い回しが続きすぎていたのはいかんともしがたく、本当に英語に変わったという1点だけなのが残念なところ。ライブでも途中で日本語になってしまうなど中途半端な形での演奏となった。

2007年の47ツアーでこのアレンジの原型を演奏してから早7年、3人→バンド→着うた→2009→’09+Ukulele Style→ストリングスバージョン…などかなり擦られまくったこのアレンジだが(主に冒頭スローサビパートを改変する事が多かった)、さすがにやり尽くしたのかこれを最後にこのアレンジでの新たなバージョンは制作されなくなった。
★★★☆☆

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