ルパンの娘

2019年7~9月、全11話。

代々泥棒一家Lの一族の三雲華(深田恭子)と代々警察一家の桜庭和馬(瀬戸康史)は結婚を考える恋人同士だったが両親への挨拶の際に華は和馬が警察一家だと知ってしまう。以後結ばれない愛に苦悩しながらもLの一族であることを隠しながら交際を続けるが…。

原作小説には無いダッセェ泥棒スーツ仮面姿に変身して謎のダンスを踊りながら仕事モードに入り、悪党とアクションを繰り広げたりと中途半端にやれば見ていられないようなハイセンスな要素を、全力で振り切ってやった結果、意外と面白くなった…という奇跡の茶番ドラマ。随所に飛び交うオマージュギャグやおふざけなどもあるが、後で実は伏線になっていたり、締めるところはちゃんと締めていたりと、そこそこ真面目なドラマに限ってありがちな前提破綻が無かったのも何気に凄かった。

振り切るというかメチャクチャだったのが登場人物の年齢設定。深田恭子が実年齢より数歳若い役を演じるのはもうアラサー付近になってからほぼ毎回なので今更違和感はないが、これに伴い02年の『First Love』では教師と教え子で禁断の関係だった渡部篤郎が17年ぶり共演で父親に。そして美魔女設定により深田恭子と5歳しか離れていない小沢真珠が母親(一応55歳設定)、深田恭子の12歳も年下の栗原類が引きこもりの兄役(喋れない設定なので台詞ゼロでPCに打ち込んだ人工音声で会話するが最終回では喋った)ので、実年齢還暦手前(59歳)のどんぐりが76歳の祖母役…とトンデモな事に。

いやこれ実年齢ではどんぐり(祖母)が深田恭子の母親役でも別におかしくない。59歳と36歳なのでむしろそれでもまだちょっと若いくらいである。

こんなキャスト的にメチャクチャな家族でもなんだかんだ浮世離れした展開によりけっこう自然に見えてしまう上に、渡部篤郎が父親として娘をちゃんと心配している様子が描かれたり、現Lの一族当主としてきちんとしきっているところも出てきたり、終盤では祖母の若い頃の話から一族間の因縁に深みを与えるなどストーリー的にも面白い部分も多かった。

一方で肝心のメインのラブストーリーである華(深田恭子)と和馬(瀬戸康史)のカップルは何だかあまりしっくりこない感じで、華は仕事モードの時はキレッキレなのに普段はウジウジしすぎだし、和馬はまじめすぎて面白味が無いしで何より運命が運命だけにほぼ最後まで2人のシーンは苦悩苦悩また苦悩で重苦しい…。ウジウジと熱血馬鹿真面目の組み合わせだけに重い×重い…。

華は幼馴染のミュージカル泥棒(大貫勇輔)との方がノリと相性が合っているかのように描かれているし、和馬も途中で登場した他人と目が合わせられないコミュ障のエミリ(岸井ゆきの)との方がなんだか合っていた。特に後者の方は不器用ながら好意を伝えようと頑張るエミリと、エミリに対しても誠実に優しく対応する和馬…という和馬の真面目さがとても良く出ているというお似合いっぷり。終盤別れてからはこの2組のカップルで結婚まで行く流れになったが、本来運命に引き裂かれて悲しいという展開のはずがそっちの方がお互い良くね?と思えてしまうという。

結局、華と和馬の祖父同士が元親友で華の祖母とも60年来の親友。当時は和馬の祖父と華の祖母が華の祖父の後押しで付き合う事になり、付き合ってからも3人で仲良くしていたという関係だったが、華がLの一族である事を告白したことでぎくしゃくし、さらに華の祖母を60年前に襲撃した犯人がエミリの祖父(後の警視総監)。当時は犯人の顔を華の祖父が目撃したのみで正体が分からなかったが、顔に傷を負った華の祖母は姿を消し、警察一家とLの一族では付き合えないとあきらめた和馬の祖父に代わって密かに華の祖母を思っていた華の祖父はLの一族の婿養子に入るために独自でスリの技術を習得して現在に至っていた。

そして華の祖父はようやく元警視総監が当時の犯人だと突き止めるも真相を掴んだ華の祖父が殺される事件をきっかけに(結局戸籍をもらって偽名に使っていた浮浪者の男性が殺されたので本人は生きてた、また殺したのはエミリの従兄で和馬の元上司だった)、元警視総監がエミリに和馬と結婚して監視するように命じていたことも発覚してお似合いに思われたカップルも破綻。晴れて…もないが華と和馬は結ばれる。

警視総監の件が無かったらエミリがちょっとかわいそうなだけだったけど、エミリはギリギリまで元警視総監の言いなりになって和馬を窮地に追い込むなどこれなら仕方ないかという終わり方になった上に(本心は好きだったんだろうけど祖父の命令だったので好きじゃなかったと最後にコメントし、和馬はお礼を言って別れた)、このおかげで躊躇なく茶番的ハッピーエンドにもっていけて予想外にライトな結末になったので終わり方も良かった。予想以上に楽しいドラマになった。