16thSg 手ごたえのない愛
1998年11月18日
ビーイングが新たにBMGジャパン内に設立したBERGレーベルへ移籍。自社レーベルを持っていなかった80年代末~90年代序盤のビーイングがB’z、B.B.クィーンズ系列の所属先としてBMGと提携していたが、徐々にビーイング主導のレーベルへと変化していた(BMG ROOMS→Rooms Records→VERMILLION RECORDS)。1st~3rdまでの初期のB’z作品はBMG側に権利があって『Flash Back』を非公認リリースされるなんて事もあった。BERG設立によりこの辺りの関係がある程度決着したのか2000年にはこのBERGレーベルから『B’z The “Mixture”』発売に至っている。
BERGレーベルからは続けて1999年にZAIN所属だった七緒香が移籍してきて、大葉るかが唯一BERGレーベルからデビューしたが、結局所属したのはDEEN・七緒香・大葉るかの3組だけ。七緒香も大葉るかも2000年でリリース停止のまま活動終了してしまったので、DEEN専属レーベル状態のまま存続するも形骸化していった。
移籍して特に何か変わったという事も無かったが、むしろTV出演においては今作が大きな区切りとなった。「CDTV」のゲストライブ、「ミュージックステーション」へは今作での出演が最後である。Mステは発売時に出演した後、2年連続となる12月の年末スペシャルにも前作ではなく今作で出演している。一方でNHK「ポップジャム」のみ次回作まで出演できていたはず。
後の扱いが今作以降大きく異なり、今作以降はセルフカバーされる機会が激減する。前作までは最低1回、数回以上のセルフカバーがされているが、今作は早速セルフカバー0回である。
ジャケットは前作同様にロックバンドらしい佇まいの4人、裏ジャケは左上に椅子に座る池森1人という構図。CDトレイ下には翌年開催のツアーBreak3日程が書かれている。
ついに初動3万割れで初登場13位。ロングヒットしなくなり、ストレートに落ちていって5週ランクインに留まり、累計5.5万枚と一気に落とした。通常回ならまだしもMステ年末スペシャルにこの売上で出れたのってけっこう奇跡だったんじゃ
2024年3月10日のB-Gram音源全曲DL/ST配信の際、B-GramからリリースされていたC/Wベスト『Another Side Memories~Precious Best~』も対象となり、「恋人よ、夢も嘘もすべて」までの収録内容(Ariolaの権利表記になっていた「Break it!」以降はカット)で一緒に配信された。これにより何故かA面未配信、C/Wだけ配信されているというねじれ現象が今作~『Classics TWO SEPIA『秋桜~more&more~』までの7シングルに発生する珍妙な事態となった。
手ごたえのない愛
作詞作曲:小松未歩、編曲:徳永暁人
またしても小松未歩提供でこれで4曲目。FIELD OF VIEWで3曲(1曲シングル予定だったが中止になりベストの新曲「+4」の1曲になったのでシングルは2曲)、今作を最後にGIZA勢へはあまり提供しなくなって最大2曲(愛内里菜と岩田さゆりの2人、三枝夕夏 IN dbと北原愛子は1曲ずつ)なので、DEENへの4曲は小松未歩の最多提供となり、シングル表題曲ばかり4曲というのもダントツとなる。既にDEENは自作体制へ移行する準備は万端でC/Wでは前作から編曲までDEEN名義へ移行していた。小松未歩の名前を売り込んでヒットメイカーの印象をつける目的も十分に果たしていたのにねじ込むように提供曲を表題採用させていたのでDEENへの相性が1番いいと判断されていたのだろうか。
徳永暁人を編曲に初起用、これまでとは一線を画すハードでロックな重たいロックナンバー(ハードロックというとこんなのハードロックじゃないとかいうプロのロックリスナーがどこからともなく沸いてくる感じのJ-POPのハードロック調、みたいな?)。小松未歩のセルフカバーは率直に暗くて地味な仕上がりで、今までの曲と比べても素材として暗めの曲だったのを激しいロック調にアレンジして強いインパクトを残すように盛り立てた感じ。前作以上に4人組ロックバンドとして進んでいくことを宣言するようなカッコいい1曲だったが…ちょっとシングルで出すにはハード過ぎたか。明らかに今作でファンいなくなっ当時も今作は続けてレンタルせずに『The DAY』待ちにしてしまった記憶がある。そんな感じで今回はいいやと思ってスルーしてそのままDEENを忘れてしまったリスナーが多そう。
この路線でさらに進んだらどうなっていたのか想像がつかないが、後年ほど貴重な4人組ロックバンド路線だったなと思うようになった。あと珍しく間奏でキーボードソロがあって曲によってはどの音を演奏しているのか分からなくなりがちなキーボードあるあるの中でも明確な山根さんの見せ場の1つでもある。
『PERFECT SINGLES+』の音圧激下げを最も実感できる1曲でもあり、シングル盤、『The DAY』、その他ベスト盤で今作を聞くのと同じボリューム設定のまま『PERFECT SINGLES+』を聞くとイントロの瞬間からあまりに音が遠くで鳴っているかのような小ささに驚く事間違いなし。
キー下げ前の演奏はBreak3のみなので声変わり前のライブ映像が残されていない。久々に演奏したのはBreak7だったようだが最も声に張りがなかったあのタイミングでのキー下げでこの曲を演奏ってどんなことになっていたのか…。Break8韓国公演の映像ではメドレーの中で前作「君さえいれば」と続けて演奏しているがかなりひく~い…。2005~2006年にかけて『The BEST キセキ』を引っ提げてのツアーBreak10のアンコールラスト手前で今作を演奏した時はかなり意外だったが、低いながらも少し力強さもあってその後のDEEN’S ROCK路線への予告のようでもあったのが印象深い。原曲キー復活以降は最初の25周年武道館メドレーで披露されたのみだったが、30周年武道館ではフルサイズで演奏された。
★★★★☆
3rdアルバム『The DAY』
5thベスト『PERFECT SINGLES+』
6thベスト『DEENAGE MEMORY』
7thベスト『DEEN The Best FOREVER ~Complete Singles+~』
C/W 愛しい人
作詞:池森秀一、作曲:田川伸治、編曲:DEEN
前作に続いて田川曲がC/W。編曲は連続でDEEN名義となり、一足先に完全自作での実験場となった。キーボード主体ながらグルーヴ感が心地いいウィンターソング。抑えめで大人っぽい曲調だが、バンドの実力が上がっているのか、脂の乗った時期だったのか、普段あまりやらない路線をやってもどれも一定以上引っかかってくるような強さがある。この充実の時期に何故人気が落ちてしまったのか。
『The DAY』とはちょっと路線が違うかなという気もするが、それでも「Guilty~消えることのない罪~」「逢いにゆくよ」のバラード2連発のところが最大のネックである『The DAY』においてこの曲とどちらかを入れ替えていたらちょっと印象が変わっていたかもしれないとも思う。
★★★★☆
1stC/Wベスト『Another Side Memories~Precious Best~』
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