17thSg 遠い遠い未来へ
1999年3月25日
読みは「とおいとおいみらいへ」だが、歌詞中では普通に”遠い遠い未来へ”と書かれており、タイトルだけがジャケットのように真ん中の「遠い」が“へ”を伸ばしたような記号になっているというPC表記泣かせなシングル。公式サイトすら潔くあきらめて『遠い遠い未来へ』と表記している始末。作詞したAZUKI 七はGARNET CROWのシングル「Last love song」の歌詞の中で”長い長いストーリー”の部分でもこの記号を使用している。なおO社では「遠いゝ未来へ」で登録されていたようだ。
Break3ツアー終了直前の発売となり、ジャケットにはメンバー4人が写っていて『The DAY』に引き続き池森さんの髪が長いままになっているが、ツアーでは短髪にトランスフォームしていた(ツアー前半の模様で構成したPVでももう短髪)。というかこれジャケット新たに撮り下ろさずに『The DAY』のフォトセッションのアウトテイクなんじゃ…
ビーイング提供プロデュースによる制作は今作が最後となった。初登場22位となり、初のトップ20落ち。4週ランクインで累計は3万台まで落としたが、1999年の4シングル(クラシックス含む)では順位・売上が最も低い。翌2000年まで含めても今作の売上を下回ったのは「Power of Love」だけなので当時としてはかなり不調だった。また全体の売上が著しく減少してチャート全体のレベルが低下していったので順位に関しては今作とシングルカット「夢で逢えたら」を除くと2000年代前半までトップ20をキープした。22位を下回ったのは2006年になってからだった。
遠い遠い未来へ
作詞:AZUKI 七、作曲:大野愛果、編曲:古井弘人
古井弘人は少し久々の登場だが、作詞と作曲には当時のビーイングの新人作家陣を起用。AZUKI 七と古井弘人はこの後にGARNET CROWで同僚となった。AZUKI 七、大野愛果は共に小松未歩の時と全く同じ売り出し方をしてこの時期DEEN、FIELD OF VIEW、3期WANDSに連続登場し、自作している大黒摩季にまで提供していて間もなくGIZAの主砲作家となった。まあ明らかに会社命令の表題曲提供というビーイングパターンで、FIELD OF VIEWと3期WANDSはこの体制から自作へと完全に抜け出せないままに解散させられてしまったが、DEENは今作をもってスッパリとこの体制から抜け出した。事務所やレコード会社とビーイングの力関係が他とは違ったのかなんなのか…。
珍しいUKロックっぽい質感のサウンドで、ギターで引っ張っていくロックナンバー。大野愛果のメロディーも確かなグッドメロディーで好印象だったので今作よりシングルのレンタルも開始した(翌年購入に移行後に改めて購入)。が、この曲の良さを語り合える友人が早くもいないというくらい一気に周囲でもDEENが聞かれなくなっていった。「夢であるように」であんなに盛り上がっていたのに…。
前述のようにトップ10入りが難しくなってからも2000年代前半までトップ20圏内を定位置としていた当時でトップ20落ちしてしまうほどにヒットしなかったというのもあるが、翌年には8センチシングルが一気に廃れて市場から消えていく中で2008年まで9年アルバム未収録のままだったというのでますます存在感が薄くなった感はある。まだ記憶が新しかったはずの2001年時点でアルバム未収録シングル表題曲というアドバンテージでも『Ballads in Blue』25位というスルーされっぷりはちょっとあんまりだ。投票したんだけどおかしいな…
そんなわけでなんかもう埋もれまくってしまってDEENが一気にマイナー化してしまったという印象は当時もあった。正直今作以降知らないという人が一気に増えるのも事実だろう。ただこの曲が今までに比べてインパクトが弱いということは無く(2000年以降ならなんか今までと違う…となるのは分かるが)、変わらぬ良曲だけに何故ここまで埋もれてしまったのか。1999年いっぱいはレンタルで聞いていたんだけどなんでこんな名曲連発で売れなくなってんの?という思いを抱き続けた結果、2000年以降は全購入を決断するのに個人的には繋がった。
次のアルバム『’need love』が全曲自作セルフプロデュースとなったためか、提供である今作は未収録となった。2001年の『Ballads in Blue』では指定30曲に含まれていたため収録チャンスだったが前述のように25位と低迷して落選、その後収録機会のあるベスト盤がしばらく無く、2008年の『PERFECT SINGLES+』でようやくアルバム初収録を果たした。
PVがBreak3のメイキング映像みたいになっているのでなんとなくライブの雰囲気を見た事があるような気がするがライブでも不遇で原曲フルは当時のツアーBreak3で披露されたっきりでこれは未だ映像化されていない。Break10のアコースティックコーナーで披露されたのが唯一残されたフルでのライブ映像。アコースティックアレンジでのスタジオ録音はされずじまいで、その後は2008年武道館のバラードメドレー、2013年武道館バラードメドレー、25周年武道館で原曲キー復活…と、なるべく多くシングル曲を披露する周年武道館ライブの機会にメドレーで披露された事しかない。
★★★★☆
5thベスト『PERFECT SINGLES+』
6thベスト『DEENAGE MEMORY』
7thベスト『DEEN The Best FOREVER ~Complete Singles+~』
C/W 晴れた空の下、きみつれて
作詞:池森秀一、作曲:山根公路・宇津本直紀、編曲:DEEN
重めのミディアム系ロックナンバー。ディレイかけまくったギターがなんとも気だるい感じを表現していて疲れ切ったような平メロに対してサビだともう少し開けて明るくなるが歌詞もそれに呼応していて平メロは平日疲れたサラリーマンのような描写、サビは休日に君と一緒に都会を抜け出して出掛けよう(超訳)というアクティブな内容になっていて働く人々の平日と休日のコントラストを示している。ただしサウンド全体の気だるさや君と最近話をしていないという旨の冒頭のフレーズがエンディングでリフレインしている事からもサビでの週末に君と出かけようというのは主人公が平日に電車に揺られながら妄想しているだけ、冒頭から君と週末出かける妄想世界へとトリップしていきエンディングで再び現実に帰ってきた…と捉えられなくもない。最後の”週末いっぱい喋ろう…”には“…”が追加されているところも妄想だけでループする日常を繰り返していくかのようでもあってなんとも味わい深い。
2番のAメロから間奏に突入してしまうショートカット編成のためサビが2回しか出てこなくてギリギリ3分に届かずに終わってしまう短い曲ではあるが4人組ロックバンドDEENを堪能できる1曲でもある。
このシングルはBreak3ツアー途中でのリリースで「遠い遠い未来へ」はツアー2日目からセットリスト入りして先行披露されていたようなんだけど、今作は最後まで演奏されずにツアー終了。次のBreak4でも演奏されなかったので、そのままライブ未披露曲となってしまい、たぶん2015年の「マニアックナイトW(`0`)W Vol.2」が初披露。この時は1曲目を飾った。2017年Break20の「Best of マニアックナイト」でも再度1曲目に演奏された。
★★★☆☆
1stC/Wベスト『Another Side Memories~Precious Best~』
コメント