34thSg 永遠の明日
2008年12月10日
6月の初の日本武道館公演、9月にはその模様を抜粋収録した初のライブアルバム『DEEN at 武道館~15th Anniversary Greatest Singles Live~』、11月15日からは「LIVE JOY-Break13 ~NEXT STAGE~」を開催している中で発売された久々のシングル。クラシックスとベスト盤での新曲発表が続いていたため「Smile Blue」から1年4ヶ月ぶり、通常シングルとしては2年4ヶ月ぶりとなった。
「夢であるように」以来11年ぶりとなるテイルズシリーズのタイアップという事もあって、発売前から久々のヒットが期待されていた。今回が勝負所という事でNYロケを決行してMVを制作(次のアルバムのフォトセッションも兼ねる)、シリーズ人気に大便乗し、C/Wにはサントラ盤にしか収録されていなかった「夢であるように~テイルズ オブ デスティニーVersion~」を収録。
初回盤はテイルズ オブ ハーツの映像を盛り込んだVIDEO CLIP2種(Animation type、CG type)、「夢であるように」が主題歌として流れる「テイルズ オブ ディスティニー オープニング・アニメーション・ムービー」を収録。特典映像はテイルズに全振りし、裏ジャケもテイルズ仕様となっている。
テイルズシリーズのナムコにDEENサイドからまた仕事がしたい旨の手紙を送り、ナムコサイドもそう思っていたと各所で語られており、逆オファーのようにDEENから話を持ち掛けたということっぽい。積極的にタイアップ取りに行くことなんてあまりなかったのにこっちから手紙出したなんて話が出たのは異例な事で15周年なので武道館ライブだけでなく新曲でいっちょ久々にヒットを!という思惑もあったのだろうか。
期待通りに初登場6位を記録。31st『このまま君だけを奪い去りたい/翼を広げて』以来3年ぶりにして現時点で最後のシングルトップ10ヒット作となった。既にシングル売上は累計1万を割り込んでいる中で記録した初動1.4万枚は初動だけで前述の31stを除く26th「太陽と花びら」から現在までの全シングルの累計売上を上回る。
累計2.7万枚に達し、31stでも突破できなかった2万枚の壁を乗り越え、22nd「見上げてごらん夜の星を」以降の全シングルの売上を上回った。1st~21st+クラシックス1st2ndに続く24番ヒット…と書くと若干しょぼく見えてしまうところではあるが、21世紀以降では1位である(2000年代以降にすると2000年の3シングルに続く4位)。いずれにせよ相当なタイアップ効果であった。
珍記録として今作が最高6位となった事でシングルでの最高位1~10位を全てコンプリートした(11位は獲得済みのため厳密には1~11位までの最高位をコンプリート)。この後も未獲得だった最高位を何度か獲得した事で30周年の現時点で13~16位、18~23位、25~28位も獲得済みとなっており、12位、17位、24位を取れば28位までに一気に拡大できる。昨今の売上での12位はさすがに厳しくなってきており、取れるうちに取れなかったのは痛恨だが、トップ10コンプだけでも凄い記録である。この記録は1位常連の人気をキープしてもトップ3レベルを長年キープしても取得不可能な記録だ。最上位からトップ10級、トップ20級の人気を緩やかに下げつつ長期にわたって維持もしなければ獲得できない大記録である。
永遠の明日
作詞作曲:池森秀一、編曲:DEEN&時乗浩一郎
ニンテンドーDS用ゲームソフト『テイルズ オブ ハーツ』テーマソング。テイルズシリーズでは2005年の『テイルズ オブ ジ アビス』主題歌だったBUMP OF CHICKEN「カルマ」が大ヒットを記録しており、この頃まではプレイステーション2で発売されていてCMもけっこう打たれていた記憶があるが、翌2006年よりニンテンドーDSメインに移行、2008年はWii,Xbox 360でそれぞれ新作が出た後に最後にこの『テイルズ オブ ハーツ』がニンテンドーDSで出たという流れだったようだ。そしてPS3へ移行していったのでDSで出たシリーズはこれが最後になった模様。ニンテンドーDSから曲が流れても果たして音質的にどれだけグレードダウンして鳴るのか…?というのはある…。
久々の池森単独作曲。セルフに移行した「JUST ONE」の時といい、BERG離脱した「太陽の花びら」といいここぞという節目には自ら作曲も手掛けていたが、今回は3人が複数デモを用意していて5~6曲の候補曲から決まったと言っていただけに見事な採用。今作に関しては期待される方向性に全振りして制作したのか、実に爽やかでDEENらしいと感じるポップロックナンバー。かつて先へ行ってしまったDEENとデビュー当時の事を形容していた池森さんだが、もう完全に追い越せたんじゃないかと思う。
歌詞は作品にかなり寄せているらしく自分では出てこないゲームの世界観から出てきた言葉があるという。次回作『Celebrate』初回盤DVDのアルバムライナートークでは”ぎゅっと強く抱きしめよう”というフレーズを例に挙げ“ぎゅっと強く”は使った事無いと力説していたが、2013年の『DEENAGE MEMORY』店舗特典ライナーノーツでは“心のかけら”がゲームから生まれたフレーズ(実際は“心の欠片”表記)発言しているのでいくつかあるようだ(何故一気に教えてくれずに5年差で新たに明かしたのか)。
このようにゲームの世界観に強く影響されたようではあるんだけど、後年のテイルズタイアップと異なり、空を割ったり大地やら世界やら闘って守る的な非現実的な世界観ではなく、”変わりたいのに変われない自分が嫌いだった”ところから前へ進んでいこうとする心情にスポットを当てていてゲームに関係なく日常レベルで共感できる言葉が並んでいるのでテイルズに関係なく聞きやすい。個人的にも当時ちょうどインターンで2週間ほど満員電車に揺られて都心に通勤していたタイミングだったのでこのシングルをめざまし代わりにして毎朝力をもらっていて(満員電車通勤にはMr.Children『SUPERMARKET FANTASY』を御伴に)思い出深い1曲になった。え?テイルズ オブ ハーツの思い出はないのかって?そもそもDSすら持ってな
今作の素晴らしい仕上がりからするとこの後2011年の時乗浩一郎のグッデイ退社がきっかけになったかのように池森さんが作曲撤退してしまったり、新たなテイルズタイアップの時には歌詞世界が完全にゲーム世界に変貌してしまう職人的なタイアップソング化してしまうのは正直少し残念に思ってしまう。この時の”心の欠片”取り戻してくれないものか…。
タイアップで予算が潤沢だったのかは不明だが、NYで全編撮影されたMVも開放的。今作初回盤DVDでは合間にゲームムービーが挟まれる仕様だが、『THE GREATEST CLIPS 2008-2013』にはオリジナル版のみ収録されている。ゲームムービーが挟まれるMVが2種ある(Animation type、CG type)のは『テイルズ オブ ハーツ』自体がゲーム本編は同じで途中で流れるムービーが担当会社が違うアニメムービーエディションとCGムービーエディションの2パターン発売されたため。NY行きは今回は本当に撮影だけで、NYレコーディングや現地エンジニアによるミックスマスタリングなどの制作作業は一切やってない模様。
実際にゲームで使用されたのは1コーラスのテイルズ オブ ハーツ Version(キーが+1)だが、この時はサントラ盤収録のみでDEENサイドには収録されなかった。当時在庫が潤沢だったレンタル屋でサントラ借りてきてそれだけ録音した記憶。
★★★★★
9thアルバム『DEEN NEXT STAGE』
9thアルバム『DEEN NEXT STAGE』(Ballad Version)
2ndライブアルバム『ALL TIME LIVE BEST』(2009年Break14ライブ)
12thアルバム初回特典2ndバラードベスト『Ballads in BlueⅡ~The greatest hits of DEEN~』(Ballad Version)
BOX『PERFECT ALBUMS+1 20th Anniversary』PREMIUM DISC(テイルズ オブ ハーツ Version)
6thベスト『DEENAGE MEMORY』
7thベスト『DEEN The Best FOREVER ~Complete Singles+~』
47thシングル『ミライからの光』C/W(テイルズ オブ ハーツ Version)
20thアルバム初回生産限定盤のみDISC-2『DEEN WINTER SONG PLAYLIST mixed by ☆Taku Takahashi (m-flo)』
C/W 遠い夏の夢
作詞作曲:池森秀一、編曲:DEEN&時乗浩一郎
47ツアーを3人で回った経験からか、池森さんが3人だけでのアルバムを作りたいとイベントやライブのMCで頻繁に公言するようになった。メンバー2人は3人だけだとちょっと厳しいでしょみたいな反応でイマイチ乗り気ではなさそうだったが、武道館ライブやりたいやりたい言い続けて実現させたのと同様にけっこう熱烈にやりたいアピールし続けていたようでそんな流れの中で早速C/Wでリズム隊サポート無し(宮野和也・HIDE不参加)のアコースティックナンバーが登場。3人+ストリングスで1番+間奏+サビで終わるシンプルなアコースティックバラード。離れてしまった人への離れてしまったけど心はそばにいる、いつでも戻ってきていいんだよ的な(超訳)歌詞になっているが、具体的にどのような状況なのかは明かされていない。このため「ありったけの笑顔」の続編的な世界観(夢のために恋人は海外に行って離れ離れ)なのか、未練たらたら失恋勘違い野郎なのか(これはない)、友人関係なのかは解釈次第。
しかしこれまた池森単独作曲って今作は凄いな。マジでこの状況からわずか数年で作曲撤退が信じられん…。蝋燭の最後の輝きとか言ってはいけな
★★★☆☆
2ndC/Wベスト『Another Side Memories~Precious Best Ⅱ~』
C/W 夢であるように~テイルズ オブ デスティニーVersion~
作詞:池森秀一、作曲:DEEN、編曲:池田大介
1997年の「テイルズ オブ デスティニー」で使用されていた1コーラスのバージョン。当時(といっても遅れて2000年発売?)のサントラ盤にのみ収録されていたが、DEEN作品に初収録となった。B-Gramの音源(ライセンス表記あり)であり、この曲が収録されているためか、『太陽と花びら』以降はシングルまで基本的に配信されている中で今作はシングル盤ごと未配信のままとなっている(「永遠の明日」「遠い夏の夢」共に各アルバム収録曲として配信)。配信市場においてはB-Gramが呪いとかドクロマークの権利表記みたいな事になってるじゃねーか…。
イントロ若干省略、最初から2番と同じバンドインした演奏で1番の歌詞、1番の歌詞のままサビ前の“君の迷い”のメロディーが2番のサビ前の”恋だった”のメロディー…というところが原曲とは異なるアレンジ部分となる。サビの歌詞も組み合わせになっている。1番2番とじっくりかけて盛り上がっていく原曲に対して1コーラスで一気に駆け抜けていくこのバージョンも凝縮された感じでまた違った味わい。
他はキー下げしても「夢であるように」だけは絶対に原曲キーを貫いてライブで演奏していたものの、ちょうどこの2008年から2010年にかけてはサビの高いところで裏声を使用するようになっていたため、今はこのCD通りには聞けないんだよな…と改めて思った記憶。
後年にはこのバージョンを再録音したパチスロ テイルズ オブ デスティニー Versionも制作されたほか、滅多に演奏されないがメドレーで「夢であるように」を演奏する際はテイルズバージョンで演奏されることもあった。2018年までのライブでの演奏状況はMany Times Negattayo参照。
★★★★☆
サントラ盤『テイルズ オブ デスティニー サウンドトラック』(テイルズ オブ デスティニー Version)
BOX『PERFECT ALBUMS+1 20th Anniversary』PREMIUM DISC
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