38thSg Brand New Wing
2011年4月6日
東日本大震災発生から1ヶ月弱での発売。3月12日以降しばらくは発売延期が相次いだが徐々に元に戻り始め、今作は延期にはならずに発売された。5月の日本武道館公演も演出を変更して厳かな雰囲気の中で開催された。
初回盤はVideo Clip、Live at 中野サンプラザ(「LIVE JOY-Break15~History~」FINALとなった1月23日の中野サンプラザ公演で先行披露していたライブ映像)、4月27日発売のDVD/Blu-ray『DEEN at 武道館2010 LIVE JOY SPECIAL』のSpecial Preview(ダイジェスト)を収録したDVD付。
「LIVE JOY-Break15~History~」はこの後の『Graduation』初回盤DVDに抜粋収録されたが、「Brand New Wing」は収録されなかったため、このライブ映像は今作のみの収録。先行披露したライブ映像がそのシングルの特典映像として収録された事例は今作が最初で最後となっている。
2011年の武道館公演直前となる4月27日にDVD/Blu-ray『DEEN at 武道館2010 LIVE JOY SPECIAL』発売、そして6月のニューアルバム発売も告知されており、今作と合わせた3作購入応募者全員プレゼントが実施された。これはアルバム『Graduation』のメンバー各自のライナーノーツが記載されたA4くらいのサイズのパンフレットだった(返送用の140円切手同封で応募というシステム)。
Brand New Wing
作詞:池森秀一、作編曲:田川伸治
「LOVE FOREVER」以来の田川A面採用。「LOVE FOREVER」でいち早くA面単独作曲を担当していたものの、外部作家起用が無くなってからもずっとC/W、アルバム曲担当になっていて何故か表題曲採用は山根時々池森という状況がずっと続いていたが、今作以降その見えない壁が無くなった。クロスするように池森作曲撤退により山根or田川になっ
バンド+管弦を交えた軽快なダンスロックナンバー。ファンクな要素もあり、作りこまれたサウンドにも聞き応えがある。2003、2004、2006、2007年と春のシングルが多いためかまた春の旅立ちソングか…というところはあるにしてもこれまでにない突き抜けた勢いのこれぞシングル曲なシングルだったと思う。当時よりもなんかダンス系のノリがよりメインになっていったもう少し後の方が時代にハマったような気もする。流行とズレるのはいつもの事
初回盤DVD収録の1月23日の中野サンプラザ公演で先行初披露した際は楽曲自体は既に完成しているがサビで両手を広げながら歌っているだけで振付は一切無かった。ここからMV撮影までに踊るという方向性で振付がついたようだ。そのMVでは池森さんがダンサーとサビでビシッと振りをキメているのだが…。
これまでと傾向の異なるようなステージ用の振付を何故か武道館でみんなでやろうなどと言いだし「みんなで踊って完成する曲」とまで公言。着ムービーをDLすると池森さんの振り付け講座映像へアクセスできるという特典も制作。着ムービーランキングで当時一世を風靡していたKARAとAKB48を抑えて週間1位を獲得したとかで武道館ライブ当日のMCで1位を報告しつつも不思議がっていたが、振り付け指導映像見てないって人ー!って挙手を求めたところなんと会場の半分以上、ほぼ7,8割が手を挙げるという超珍事が発生する始末。着ムービーランキングがニッチすぎたというオチであった。「恋するフォーチュンクッキー」とか恋ダンスとか流行って以降の世界に生きる今の感覚だと着ムービー購入者限定振付講座なんて大半が買わないだろう事は容易に想像できるが、2011年当時ダンス動画バズりの世の中になる遥か前だったのもある
その後、演奏前に一旦練習をすることになったがグダグダでざわつく場内。山根さんが思わず「なんか騒然としてますよ!」と口走ったほどだったが、結局もう1回練習していざ演奏(DVD化の際はここまでの長いグダグダはオールカットで一気に演奏開始のところまで編集で飛ばされている)。池森さんは満足げだったが、今までの手振りとは動きが違うので観客側から見ていてもイマイチ一体感がなく、正直何をしたかったんだろうという印象だけが残った。これまでの手振りと違って素早くシパシパしているだけみたいな。
振付強要期の結果的に末期となったこの武道館ライブでは池森さんが1人御満悦といった印象で、ダンスについて何故か田川さんにばかり話を振るようになっていたりもした。山根さんは前述のように騒然としてますよ発言をして敏感に客の戸惑いを察知していたし、ロックスターの曲では振付があるけどやれる人はやってね的なスタンスを呼び掛けるなど、ついてこれない客が一定数出てきている事を察して発言に気を遣っていた節がある。田川さんはまだ比較的肯定的だった事から慎重な山根さんに同意を求めずに田川さんにばかり話しかけていたのか?とちょっと思ったくらいだったんだけど、いずれにしても振付をどこまで客に求めるのか少しメンバー間で温度差が出てきているような感じはあった。気を良くしていた池森さんは「もっと難しくしましょうか?」などと田川さんでもさすがにいやちょっとそれは…と言葉に詰まるような発言までする状態だった。
もしかしたら振付に関してはそういったちょっとこれ以上は勘弁しれくれとか強要しすぎではないかという意見がダイレクトに少なくない数が届いていてスタッフ会議にでも上がったのかもしれない。これを最後に少なくともBreak14での「これはもうやらない方が恥ずかしい感じになってんな!」などといった失言をしたり、みんなで踊って完成する曲だのといった発言は明らかに控えるようになり、本来あるべきもう少し自然なスタンスに変わったように感じた。「千回恋心!」の頃には今回の振付は覚えなくてもいいとまで断りも入れていたし(それでも前列コアファン御一行はしっかり覚えてきて踊りきって池森さんを喜ばせていた)。
振り返っても異質な雰囲気だったし、踊森振付御乱心期と名付けて差し支えないくらいにちょっと異常な時期だった。曲はいいんだけど前作といい今作といいちょっと当時のライブの思い出はよろしくなかった。
★★★★☆
12thアルバム『Graduation』
6thベスト『DEENAGE MEMORY』
7thベスト『DEEN The Best FOREVER ~Complete Singles+~』
21stアルバム初回生産限定盤のみDISC-2『DEEN DANCE MUSIC PLAYLIST mixed by Yosuke Sugiyama』
C/W Flower
作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:DEEN
『永遠の明日』C/W「遠い夏の夢」に続くような3人だけのアコースティック路線。久々のDEEN名義編曲だが翌年の次回作含めて何故か『マリアージュ』収録時のAlbum Mixではアレンジが変わっていないのに個人名義に変更されている。今作時点では『クロール』の「夏の終りのハーモニー」からの流れで3人だけの演奏だからあえてDEEN名義にしたという事だろう。『マリアージュ』では3人だけの演奏でも全部個人名義になったので実際には山根単独編曲だったというところか。今回もやや短めの構成(1番+間奏+ラストサビ)でじっくり歌い上げる。3人だけのアコースティックアルバム作りたい発言を続けていた池森さんだったが、2011年武道館の最後のMCで来年2012年の武道館ライブはお休みを宣言、代わりに20周年武道館に向けてもう1度47ツアーをやると宣言、そのタイミングで念願の3人だけのアルバムをようやく作る事も見えていたはず。今作は一足先にその始まりとなり、直後の『Graduation』ではなく、翌年の『マリアージュ』に収録された。「遠い夏の夢」はさすがに古すぎるのとストリングス入れてたのが仇になったか…?
Album Mixでは全体にハッキリした音像に変わっている感じ。
★★★☆☆
13thアルバム『マリアージュ』(Album Mix)
2ndC/Wベスト『Another Side Memories~Precious Best Ⅱ~』
コメント