貴族探偵 全11話

原作は麻耶雄嵩の短編推理小説シリーズ。月9ドラマ30周年記念作品としてドラマ化され、30周年記念作らしく視聴率がさほど振るわなかった割に延長SP放送が多かった。

喜多見切子(井川遥)を師匠と呼ぶ新人探偵の愛香(武井咲)が依頼人(木南晴夏)の屋敷に出向いたところ殺人事件が発生。刑事の鼻形(生瀬勝久)とドタバタしながら探偵として事件を捜査し始める愛香。しかし突如庭に謎のテントが出現。執事やメイドを従えて現れたのは貴族探偵(相葉雅紀)だった…というコメディ推理ドラマ。

1話

開始20分近くも貴族探偵の登場を引っ張ったはいいが出てきた瞬間の“相葉雅紀がコントで貴族ぶろうとしているけど全くなりきれてなくて相葉雅紀にしか見えない”状態で盛大にズッコケた。『マイガール』のような自然体の役どころなら活きても相葉雅紀に貴族キャラは…。同じ嵐でも毒舌執事経験のある櫻井、俺様キャラが得意な松本、とりあえず何やらせても役に染まれる大野、二宮はあっても相葉にこの役はキツイ…。

事実上の主人公は武井咲であり、刑事の生瀬勝久と共にほぼ出ずっぱりで物語をリード。武井咲は貴族探偵一行が犯人だと推理するが、執事やメイドが真相を掴んでおり執事やメイドの推理タイムに。貴族探偵は登場まで引っ張った後も出番が無く、時々ゲスト関係者の女性たちと遊んでいる様子がインサートされるのみ。

設定上、執事やメイドが事件を捜査・解決するという話なので貴族探偵は何もしない。犯人告発も執事やメイドが行い、再現VTR出演も全部彼ら。貴族探偵は推理長台詞も無く、最後ちょっと締めるだけなので必然的に出番がない。喋れば途端にドラマが”貴族ぶろうとしているけど全くなりきれてなくて相葉雅紀にしか見えない雑なコント”状態になってしまうので出番がないのは正解だとも思うが…。

メイドが中山美穂というのも…。中山美穂が連ドラ復帰するのは15年ぶりで、あの馬に携帯を食われて家に帰れなくなるという内容の月9ドラマで盛大に大コケ(当時の視聴率レベル)して以来。まさか15年経過してメイド脇役で月9で返り咲くとは思わなかったが…メイド役なんて新人の若手の女の子に回すようなアイドル枠になりそうなところをアラフィフのメイド姿って誰得なんだろう。何故か褒めたたえるニュース記事まで上がってたけど”ミポリン”全盛期が美化されているアラフォーどころかアラフィフ世代限定の感覚なんじゃ…。「世界中の誰よりきっと」「未来へのプレゼント「ただ泣きたくなるの」など全盛期のヒット曲は知っているけどドラマは「眠れる森」くらいでしか知らないんだよな…。

井川遥と武井咲の特にラストの会話劇が何だか「世にも奇妙」入ってて、井川遥が既にいない?感じが漂っていたのはちょっと気になる。公式サイトの人物紹介じゃ死んでる人扱いだし幽霊なのか?武井咲は霊能者なのか?

2話

愛香(武井咲)が探偵に取材したいという人気作家の別荘に向かっていると貴族探偵(相葉雅紀)一行に遭遇。揃って別荘に到着すると作家は死んでいた!死んでるだけの役に大和田伸也を使うという無駄遣い…。

管轄外なのに鼻形(生瀬勝久)を始めとした捜査チームが現場にやってくるという問題は1度貴族探偵を経験した事から貴族探偵担当という事で上層部に指名されたためと雑に説明。一応現地の刑事もゲストで出てきた。

作家のファンだったというメイド田中(中山美穂)が今回はメインという扱いで、初回では見せなかったような変なテンションの高さで出番が増加。もしかして初回の後に謎の中山美穂メイド絶賛記事が上がったのは2話へ注目を引くための仕込みだったのか?
久々の初回2桁視聴率に喜んでメイド中山美穂を前面に推して2話も15分延長にした結果…あっさり1桁に急落というのがいかにもフジテレビ。

初回同様に愛香が間違えた推理をして今回は関係者4人のうち2人を犯人と指名。メイド田中が残り2人が犯人だと推理し、再現VTRで今回影の薄かった佐藤(滝藤賢一)と山本(松重豊)も活躍した。

最後だけ持って行った貴族探偵だが、今回は登場も早く、出番も初回より多く、初回よりも若干嫌味がかったテイストにしたことで初回よりはマシな貴族キャラになってきた感じが。実際しっくりこなくて撮影し直すくらい貴族探偵をどうキャラ付けるか制作サイドも迷っていたという話も出ているので、2話でだいぶ定まってきたところはあったのかも。

ラストで師匠の喜多見(井川遥)に愚痴っていた愛香だったが、初回以上に喜多見=幽霊を示唆するような意味深なカット割りや病院の回想シーンがインサートされた。また消えたチョコレートを持って行ったのが貴族探偵?というエンディング映像といいこの辺りは気になる。

3話

愛香(武井咲)の元に依頼にやってきた女子高生(橋本環奈)は教師の恋人(内野謙太)が殺人事件の犯人にされ、マスコミと同級生から追い詰められ孤立化していた。橋本環奈が付き合っている相手に普通のOVER 30’S WORLDのおじさんを起用したというのはアラサー視聴者に夢と希望を与えるためか、若手イケメン俳優を使ってしらけさせないようにしているのか。

かつて女子高生だった頃に師匠(井川遥)に同じように救われた愛香は自身を重ねて捜査に乗り出す。そこにはまた貴族探偵(相葉雅紀)一行がいた。

殺されたのは岩佐真悠子。久々に見た気がするが「がんばっていきまっしょい」とか「ブザー☆ビート」でギャル系の学生やってたのからもう干支1周か…(遠い目)。開始25分程度で愛香は夫の高橋努を犯人と推理するが、また失敗。今回は山本(松重豊)が推理し、真犯人の陽月華を暴いた。

死体がバラバラで腕と頭が切り離されていたというのがキーになっていたので、愛香の推理では夫の高橋が妻の寝顔にキスしている動画が実は生首だけだったというもので猟奇的だったが、真相は美容師の陽月華がマネキンの頭部だけ外して死体の頭部をセッティング。腕も駆使して来客にまるで岩佐真悠子の髪を切っているように見せかけていたというアリバイ工作だった。

どっちにしても怖ぇ…。

軽快に飛ばしてたけど、なんでこんなエグい話になったんだ今回。

また岩佐真悠子は橋本環奈と教師が付き合っているのを掴んで脅して金を取っていたとされていたが、犯人の陽月華の不倫(?)もつかんで脅して3年も金を取っていたと判明。なんだこの人、文春主婦か?なんでそんな次々と隠している交際を暴いていたんだ。家ではボクサーの高橋努(ドMと告白)に暴力三昧だったというし、いったいどんな人だったんだ…。

前2回以上に気合いの入っていた愛香はまたしてもな失敗に落ち込むが橋本環奈は尽力してくれた愛香に感謝。愛香は貴族探偵にこれまでのささいなふるまいから本当は最初から分かっているんじゃないか?と問い詰めるが逃げられてしまう。また今回は師匠の登場は回想のみで幽霊のような出現はしなかった。

橋本環奈が最強クラスのオーラを放つ中で、武井咲の回想シーン女子高生姿は出すタイミングが悪かったとしか言いようがないほど現役感が無くなっていた。いつの間にかすっかりお姉さんになっていたんだな(遠い目2)…。

4話

地下アイドルの有畑しずる(藤川千愛)がライブ後に自殺。しずるは恋人「田名部優」との恋愛をブログに綴っていたが最近失恋したと落ち込んでいたという。ファンのオタク集団は田名部優の特定に躍起になっていて愛香(武井咲)に調査を依頼してきたが愛香は拒否。直後に1話の関係者でお得意様の依子(木南晴夏)がやってきてを“いづな様”を迎える儀式が行われる温泉へ行くことに。そこに記された名前から「田名部優」が来ている事が分かる。さらに貴族探偵(相葉雅紀)や鼻形(生瀬勝久)まで客として登場。愛香は危惧するが案の定、田名部を名乗ってやってきた男(渋谷謙人)が殺されてしまった!

導入雑!世間狭ッ!

“いづな様”を迎える儀式をする女将が釈由美子。釈由美子といえば『スカイハイ』でイズコ役をやっていたが名前が近いからこの人選なのだろうか?そして冒頭のオタク集団が『電車男』から干支が1周したのに当時のままの典型的オタク像で止まっている辺りがマジでシエクスン…。そして交際相手とのラブラブな日々と失恋までをブログに綴る地下アイドルって。

これまで愛香は捜査の際にはちゃんと手袋をしたりと証拠品を扱う際はそれなりに注意を払っていたが、今回はベタベタ素手で触りまくり。メモ書きの跡が出てきた時は鉛筆でサラサラ浮かびださせたまでは良かったが、筆跡が「田名部優」の物か確認するため、なんとそれを素手でぶち破って「田名部優」の名前が書かれたお札の前まで持っていく始末。破らずにメモ張ごと持っていけばいいのに何故証拠になるかもしれんものを破いたりしちゃってんの…?

最終的には釈由美子が犯人だと推理。温泉が枯れたのをバレないようにするためなどと温泉の出を確認するような行動を一切取ってなくて何の証拠も無いのに妄想で高飛車な態度を取って追い込むというこれまた前3話に比べると愛香の様子がおかしい。途中からほとんど妄想じゃないかっていう。しかも直後に貴族探偵が犯行時間に一緒にいたから釈由美子じゃ無理!と証言するという1番痛いハズしっぷり。

前回まではもう少し慎重な姿勢で推理していたし、こんな妄想ばかり並べたり、単純なアリバイ確認まで怠ったりはしていなかったと思うんだけど演出変わった?既にこれまで推理3回外しててより慎重にならなきゃいけない状況でのふるまいとは思えないほど雑になってしまったような…。

今回執事たちが来ていない(いつもの登場人物図解整理はメイド田中(中山美穂)が映像を送り込んでくる形で出演)ので貴族探偵が推理するのかと思いきや、反対の山を短時間で走破して落ちた橋を引き戻した佐藤(滝藤賢一)の活躍で、分断していた道が開通。いつも通り使用人たちが推理を行った(今回は佐藤メイン)。

殺された「田名部優」は「田名部優」では無かった。赤川和美というのが殺された男の本名。その友人で赤川和美を名乗っていた女(柳ゆり菜)が本物の「田名部優」だった。しずると優は同性愛だったが、しずるが死んだ事でファンから恨みを買い命の危機を感じた優はいずな様を頼ってここにやって来たが本名を公開すると狙われるので友人で女性名っぽい赤川和美に事情を話して名前交換をしてここに来ていた。犯人はそんなことは知らずに優を名乗っていた赤川君を人違いで殺してしまったという。

というわけでここにきて初めて目当ての人物を殺していなかった事を知った哀れな真犯人。当初アリバイが無いとされていた阿部力がその真犯人だった。F4(花より男子)の1人が犯人かよ…。

何故か今回も延長回だったが、終盤で突如の同性愛、名前入れ替え、勘違いで殺人…と色々ぶっこんできてしっちゃかめっちゃかに。橋を落とした人物に至っては阿部力が橋を落とす必要が無くなってしまったので、全く別のもう1人の女性が貴族探偵ともっと一緒にいたいから落としたというとってつけた説明が最後に加えられる始末。色々ぶっ飛んでいた…。

5話

貴族探偵(相葉雅紀)が何者なのかを探るため、依子(木南晴夏)の紹介で貴族探偵と親しいという桜川鷹亮(竜雷太)に会いに行った愛香(武井咲)。しかし依子はすっぽかしてバカンスに行ってしまっていたので帰ろうとしたが外孫の皐月(加藤あい)が依子とも知り合いで仲に入れてくれた。桜川との面会も果たせた愛香だったが貴族探偵の事を聞こうとしたらなんかそこにもう貴族探偵いた…。

屋敷では孫の弥生(北香那)の婿にして桜川家の次期当主を選ぶための儀式が行われており候補のオッサンたち4人が集まっていた。貴族探偵は儀式の立会人として呼ばれていたという。北香那は『バイプレイヤーズ』で中国人役で終始カタコトで喋ってた人か。

そんな中、候補の1人だった忍成修吾が突如吐血。暗躍系俳優の忍成修吾が第一犠牲者として退場するとは思いもよらない。しかし退場(病院送り)にはなったものの、かろうじて生きているという。桜川は儀式は続けると宣言するが、密室の別館にいた候補者たち残り3名は相次いで全員死体で発見されて次回へ続く!

初の前後編という事で、背景説明などに費やしてややスローな展開だった。執事勢も中山美穂、松重豊が登場せず、佐藤(滝藤賢一)が終盤相次いでの3人死体発見時にボディーガード役で先陣を切っていたのみ。

加藤あいが久々のドラマ復帰となったが、34歳で30歳設定で雰囲気がほとんど変わってなくてビックリ。深田恭子といいこの辺りの世代は一世代上の人たちに比べて老けないなぁ…。

6話

5話の続きだったが、新たな事件は起こらず、前回出番のなかった田中(中山美穂)、山本(松重豊)が合流するもなんと開始10分ちょいで愛香(武井咲)は真相が分かったと告げる。

4話でほぼ想像だけで固めた推理でもなんでもない妄想も酷かったが、今回は100%全部想像だけで話を展開する愛香。弥生(北香那)が殺人を犯し、使用人(白洲迅)がかばったというストーリーを妄想。お互いがやったと思い込んでいた2人はお互いをかばうために否定しなかったが、貴族探偵(相葉雅紀)は愛香の推理を酷い妄想だとバッサリ。ついに公式に妄想扱いされちゃったよ…。

真相は殺された3人はそれぞれを殺しあったものだと判明。愛香の推理前に鼻形(生瀬勝久)が言っていた3人が殺しあった、という推理が当たっていた事に。最後の1人死んでるじゃないか!と当初愛香はギャグ扱いしていたが、実際には最初に刺された奴が生きてて最後の1人を殺害した後に力尽きて死んだというのが付け加えられた以外は鼻形正解。愛香はまさかの鼻形にすら劣るという悲劇…。どうしてこうなった。一応愛香のフォローとしては弥生がやったと勘違いした使用人が密室を作り上げたという部分だけは妄想が当たっていた。というわけで名指しする犯人はおらず、3人がそれぞれ殺しあったという形で事件は解決した。

桜川(竜雷太)は使用人の弥生への深い忠誠と愛情を認めて弥生との結婚を許可。一行は感動ムードに包まれるが、ひとしきり終わってから愛香と鼻形はそういえば最初に吐血して病院送りになった金山(忍成修吾)に毒を盛ったの誰だ?という残された謎に気づく。慌てて2人は病院へ確認に行くが既に金山は退院しており、診察記録も残っていなかった。どういうことだ?と唖然とする2人だが、それよりも愛香はこの病院が桜川家の経営である事に気づき、また師匠である喜多見切子(井川遥)が死亡したのもこの病院だった事を思い出し、事務所に戻って改めて死亡届を引っ張りだして(現れた幽霊の切子は無視)切子の死に疑念を抱いていた。

初期の頃は切子と会話しているような描写だったので、切子が死んだことを認めずに生きていると思い込んでしまったとかそっち系かと思ったが、そのあたりはちゃんと分かっているらしい。

と、愛香は切子の件に完全移行、鼻形は出番が無く、金山の件が放置されてしまう中で、貴族探偵は桜川と2人で密談していた。事件を仕組んだのは桜川だろうと貴族探偵が告げていたが、事実上貴族探偵が初めて自ら推理を語っていることになるんじゃないのかこれ。金山は桜川の指示で死んだフリをしただけで、目的は残り3人を疑心暗鬼にさせて潰しあってもらう事

桜川は認めはしなかったものの、不自然に愛香の話題を持ち出し、見どころがあるとかいずれ師匠(切子)を越えて脅かす存在になるのでは?などと評価。あんな妄想と醜態しか見せていないのにどこをどう見たらそんな高評価できるのか…。さらに切子を殺したのが貴族探偵である事にもいずれ気づくのでは?とも告げ、謎が深まったところで次回切子の回想話へ続く。

暗躍系俳優の忍成修吾がやっぱり暗躍。しかしいったいどこで雇われた者だったのか、正体不明のままだった。暗躍しても最後はあえなく捕まるか消される…というイメージも強かっただけに逃げおおせたのは暗躍キャリア(?)の中でも珍しいのでは。

あと竜雷太の声が聞き取りにくいほど振り絞るようなギリギリな喋り方だったのは役作りでわざとそうしていたのか、素でこうなってしまっているのか。後者だとしたら高齢だしかなり心配なところだが…。またこれらと使用人と弥生のラブストーリーが主軸になったので、前回は桜川家の事情説明役として出番の多かった加藤あいは今回はほぼ空気だった。

7話

愛香(武井咲)が師匠の切子(井川遥)が死の直前に関わっていた事件の報告書を読む形で1年前の回想。切子のクライアントである社長の小木茂光が自殺したとされたが、現場にやってきた切子は殺人と断定。そこには貴族探偵(相葉雅紀)一行も来ていた。鼻形(生瀬勝久)はまだ交番のおまわりさんで切子がやってきた際には現場の管理責任者をやっていた。鼻形にいくつかの調べごとをお願いし、このお礼として最終的に犯人逮捕時に鼻形に逮捕させることで鼻形の手柄とし、鼻形が刑事に転身するきっかけになった…ということらしい。このためいつもは現場でツッコミ役をやる鼻形だが最初と最後にちょろっと出ただけ。

また姿は見せないが執事勢がいつもの3人以外にこれまで未登場のもう1人「鈴木」という名前の人物が警察に捜査資料を取りに行っていることが示唆された。

切子と貴族探偵はパーティー等で会った事はあるが現場で会うのは初めてで推理対決だとお互いに闘志を燃やす。妄想を推理と言い張る出来の悪い弟子と違い、切子はさすが師匠。開始20分程度で真相を見抜き、ちゃんとした推理を展開するが、真犯人を名指しする前に殺された小木茂光の後妻で家族には嫌われていた広末涼子が会社と家族を守るために自殺で処理してくれと懇願。

このため広末犯人ムードが漂うが山本(松重豊)が推理を引き継いで続行。切子が推理していなかったトリックを追加で説明し、犯人は昔の愛人で秘書だった森口瑤子と判明。いきなり後妻になった広末と違い、昔からの付き合いだったので息子や娘も森口瑤子を慕っていたが復讐の元愛人と化した森口の豹変っぷりにショック。結果的に広末の献身っぷりが評価され家族関係が改善された。

という報告書だったので現在の広末涼子らに話を聞いた愛香はその後貴族探偵と切子の間に何かなかったか?と問うと2人で話していたようだ、と。

事件後2人で話していた貴族探偵と切子。推理対決は負けだと言う切子に対して貴族探偵は手抜きをしたと指摘。切子はわざと中途半端な推理をして犯人も名指ししないことで広末涼子が家族をかばうような言動に出るように仕向け、さらにそれを受けて貴族探偵が真犯人を告発するようにも仕向けたのではないかという。

師匠スゲーよ!特技:妄想の弟子と偉い違いだよ!

すっとぼける切子はメモ帳に何かを書いて貴族探偵へと渡す。それを見た貴族探偵は動揺。切子が去った後に切子を確実に殺せ!と鈴木に冷酷に命じる貴族探偵。その鈴木とは愛香の愛用しているアプリ「Giri」の音声を担当している仲間由紀恵だった。姿は初登場。

その後、事務所で愛香に貴族探偵に負けたと切子が報告している際には愛香が既に愛用していた「Giri」がアップデートされ、音声が変わった(仲間由紀恵の声になった)というあからさまに鈴木が監視ソフトを仕込んだかのような場面が…。

現在に戻り、その時の切子のメモを発見した愛香はメモ自体は破られていたが下に筆圧が残っていたのでそこから「政宗是正」という人名のようなものが浮かび上がった。「Giri」で「政宗是正」を調べた愛香だったが情報を拒否されてしまう。これが鈴木による監視ソフトならば愛香もタブーに触れた抹消候補入りを果たしたことになるのでは…。謎が盛り上がったところで次回へ続く。もうなんかストーリーがコナってきたな…。

ストーリーがコナる…物語全体の核心に迫るストーリーは興味深いが、毎回の事件自体はもう割とどうでもよくなってくる現象。一定以上の古株読者がもう組織にまつわる話しか読んでいない「名探偵コナン」に由来。

8話

師匠の切子(井川遥)の死に貴族探偵(相葉雅紀)が関わっており、キーワードになる人物が「政宗是正」。愛香(武井咲)は鼻形(生瀬勝久)に警察の力で調べてくれと依頼。そんな中、大学時代の先輩の上原多香子に呼ばれた愛香は母校へ。最近貴族探偵と知り合ったという上原多香子がお互い知り合いらしいという事で呼んだらしいが、研究室にいたかつての同級生が殺害されてしまう。

今回は捜査する刑事が鼻形ではなく、愛香は容疑者として取調室送りになってしまい出番激減。代わりに鼻形が任せろ!と登場し、事件を推理する事に。執事一行の状況整理を聞いた鼻形は犯人を貴族探偵と推理して大外ししてしまう。しかし鼻形は鼻形なりに熟考しており、手帳にはビッシリとメモ書きが残されていたり、貴族探偵を犯人と名指しするからには貴族探偵専任の立場も辞する覚悟を見せる、外した後に偉く落ち込む…などいつもおふざけ担当の鼻形とは思えない真面目さと覚悟を見せていた。妄想だけで犯人を決め、外した後もさほど悪ぶれる様子も落ち込む様子も無くて完全に外すのに慣れきっているいつもの人とは覚悟と気合いが違いすぎていたような…。

結局、犯人はモブ学生の1人で処理された。久々に見た上原多香子が今更の月9初出演、謎のキノコヘアーで誰だか分からない状態だったのは驚きだったが、それ以上に殺された女にだらしない男子院生をやってたのが松川尚瑠輝。『女王の教室』で準主役だったあの少年だったのがエンドクレジットで判明した時の方がビックリだった。男子の方が見た目変わるよな…。

ラストでは鼻形が「政宗是正」は公安の案件で謎の人物だと分かったと告げてくる。これが貴族探偵なのか?と謎が深まったところで次回へ続く。これ…まさか散々謎を振りまいて結局ハッキリしない謎のまま終わるいうオチじゃないよな…?

9話

冒頭から今回のゲストで作家の小市慢太郎に軽部アナがインタビューしているという映像内で軽部アナが「昨年はゲス不倫という言葉が流行りましたが…」となんの意味も無く前月9で連呼したゲス不倫を持ち出すフジテレビ。そんなにフジテレビはゲス不倫が好きなのだろうか。ていうか小市慢太郎、こないだ『CRISIS』で盛大に爆死したばかりじゃないか。

田中千絵が殺され、いつものように愛香(武井咲)は妄想で小市慢太郎が犯人と断定。他の人アリバイあるからというほとんど消去法みたいな決め方でついに来るところまで来たかコイツ…と思いきや証拠があると自信満々な愛香。もう9話だし、ようやくちゃんと証拠を掴んでいたのかと一安心したのも束の間、なんと小市慢太郎にはそっくりさんがいて入れ替わったと珍説を唱え始めた。作家である小市慢太郎のフリをしてかつて無銭飲食で逮捕されたソックリさん(小市慢太郎、特に雰囲気変える事も無くそのままで1人2役)を金で雇い、アリバイ作りに利用したという。入れ替わっていた証拠の指紋があると豪語する愛香。

しかし、鑑定結果はまだ出ていなかった

鑑 定 結 果 は ま だ 出 て い な か っ た 

直後に鑑定結果が鼻形(生瀬勝久)から知らされ、指紋は一致していたとして見事に証拠が砕け散り、玉砕。何故証拠が確定するまで待てなかったのだろうか。ものの5~10分待てばよかっただけじゃないか。9話にもなるのに反省の色ゼロじゃないか。

いつものように執事勢が本当の推理を展開。なんと小市慢太郎がそっくりさんと結託していた事と、小市慢太郎が犯人であることは当たっていた奇跡か。

だが本物の小市慢太郎は既に死体となっていて、真犯人は妻の高岡早紀。自由奔放な妹の田中と小市が不倫に走り、小市を脅して妹を殺害させたが、殺害状況に愛情を感じさせる小細工を小市が施したことから小市も殺害したという。高岡に脅迫され事件が片付くまで小市のフリをすることを強要されたソックリさん哀れ、というオチだった。

これ以外の事件関係者に中村俊介がいたが、まさかの空気。同じフジの2時間サスペンス浅見光彦シリーズ(何故か2015年を最後にシリーズが止まっているようだけど)では長年主演をしている中村俊介だが月9にはあまり縁が無いらしく2013年の『SUMMER NUDE』でも途中登場、主人公カップルに割って入りそうな伏線を張っておくもなんも生かさずにそのまま空気化していたなそういえば…。

元々今回の事件現場の近くが切子(井川遥)の事故・死亡現場であり、「政宗是正」について鼻形と調べていた愛香。あまり新しい事は分からなかったが、切子の事件捜査にも不審な点があり、鈴木(仲間由紀恵)が関与していたらしい…という事が判明した程度。ここから疑惑を深めて貴族探偵(相葉雅紀)との関わり、鈴木の素性について慎重に調べていくというどう考えてもそういう段階だったはずだが、愛香は単独で直接貴族探偵の元へ向かい、貴族探偵を宗是正と呼んで切子を殺したと断定。最終回へ向けて貴族探偵への疑惑を視聴者向けに深めるのにはスリリングな展開ではあるけど、愛香の妄想癖が回を追うごとに酷くなっていってる…。

10話

師匠の切子(井川遥)は政宗是正の正体に迫っていた。だから政宗是正である貴族探偵(相葉雅紀)は鈴木(仲間由紀恵)に命じて切子を殺害した!と突きつける愛香(武井咲)。「面白い推理ですが、その妄想を裏付ける証拠は無い」と返す貴族探偵。中盤以降、証拠皆無の妄想だけでひた走ってきた愛香。なんか作中でももうナチュラルに妄想扱いされてんのな…。

貴族探偵は愛香は今まで1度も事件を解決していないが、1度でも事件を解決できれば全てを話すと約束。シンガポールにいる鈴木に「ケリをつける」と日本に呼び戻し、「女探偵さんともお別れか」と殺害を示唆する発言で怪しさ全開だが、さすがにあからさますぎ。もうそういうことではない、この件に関しては愛香の妄想オチ確定っぽいと思うとなんとも…。

具同家の別荘・星見荘に来いという謎の依頼書を受け取った愛香は貴族探偵の罠を疑いながらも出向く。依子(木南晴夏)は紹介者として登場。しかしひとしきりハイテンションで騒ぐととっとと帰ってしまった。木南晴夏の出番はこれで最後だろうか。1話の事件関係者ゲストかと思ったら一応レギュラー扱いだったけど、ほとんどの回で「今回はお休み」表記だった…。

具同家の当主次男の娘、真希(矢作穂香)の誕生会という事だったが、次期当主で真希の従兄弟というのが桐山漣、桐山漣の母方の従兄弟というのが佐藤めぐみ。この2人は昨年の同じパーティーの時にモーターバイクで事故死した青年の死に関わっているらしいが周囲には隠しているっぽい。そして真希の兄として辰巳雄大、辰巳雄大の先輩として南沢奈央が登場したが南沢奈央は死んだ青年の恋人だった。あとメイドで高橋ひとみも登場。

と、登場人物の設定だけでややこしい。『幽かな彼女』のメイン生徒で、ドラマ当時は広瀬すずよりも出世株ですぐに『イタズラなKISS』ヒロインになるなど活躍していた未来穂香が事務所移籍のドタバタで一時消えて去年研音で復活したら矢作穂香になってていつの間にか大人になったなとか、27歳の南沢奈央に30歳の辰巳雄大が先輩先輩連呼してて年齢設定が逆転しているし、いくら南沢奈央が『素敵な選TAXI』頃までの女子大生上がりなイメージからアラサー感出てきた感じになったからってそれでも先輩には見えないとかどうでもいいことが気になるくらい展開がスロー。前後編になっているためか、前回だったらもう愛香が妄想推理展開している時間帯にようやく登場人物全員が一堂に会するくらいのんびりした展開で合間を意味深だけど意味のないようなイメージシーンや何か企んでいる風の怪しいカットバックの連発だし。

真希の元には1年前の事件を脅迫するような文書が届いており、それを公開したところ、青年と南沢奈央が恋人だった事が判明して事故だと疑っていた南沢奈央が動揺したり、事件に関わっていたっぽい佐藤めぐみが動揺したり場はギクシャク。

そんな事より貴族探偵の正体を探りたい愛香は正体を知っているっぽい桐山漣の元へ向かうが、桐山漣は何者かに鈍器で殴られて殺害されていた。ひとまず部屋に戻ろうとした愛香は南沢奈央の部屋も開いているのを発見、入ってみると南沢奈央も殺害されており、部屋に戻り、鼻形(生瀬勝久)に電話したが、直後に殴られて気絶。ラスト数分でようやく話が動いた。

しかし、ラストカットで気絶した愛香を運んでいたのは怪しいカットバックの連発で雨の中、星見荘に近づいていた謎の人物=貴族探偵だった…というところで最終回へ続く。予告では全部判明してスッキリとか言ってたけど大丈夫だろうか。

11話

桐山漣、南沢奈央が殺されているのを相次いで発見した愛香(武井咲)は何者かに殴られて気絶。救ったのは貴族探偵(相葉雅紀)だった。愛香が目を覚ますと既に警察が到着していた。負傷していた愛香は捜査に参加できないままに執事ーズが鼻形(生瀬勝久)と共に事件を捜査・整理していた。執事ーズはやがて自分たちの推理を信じるべきか話し合うという謎の事態に。

全く捜査に参加できなかった愛香だったが鼻形が持ってきた執事田中(中山美穂)の状況整理ボードと話を聞いただけで犯人が分かったと告げ、開始20分少々、初の捜査ゼロで推理を展開しようとする。しかし執事ーズが制止し、自分たちから先に推理したいと申し出た。

1年前のモーターバイク事故関連で恋人を事故で死なせたのが桐山漣だと分かり、金で解決しようとした桐山漣にブチ切れた南沢奈央が衝動的に桐山漣を殺した。さらに南沢奈央は当時の現場にいて一緒に嘘の証言をした佐藤めぐみに話を聞きに行ったが、佐藤めぐみのところには貴族探偵が来ていて南沢奈央の凶行を阻止。しかし南沢奈央を止めている間に佐藤めぐみが南沢奈央を返り討ちにした、女性を見捨てない貴族探偵は証拠隠滅を手伝った、というものだった。貴族探偵は否定も肯定もしなかったが、執事ーズには常に自分たちの推理を信じろと話していたため、それでいいと告げ、ご主人様を犯人呼ばわりした事への御咎めはなし。

愛香は貴族探偵を救ってやると宣言し、執事ーズの推理は「惜しいところまで行っていました」といつも自分が言われている台詞を綺麗そっくりお返ししするというかなり無駄な前置きをして自身の推理を展開。この執事に犯人扱いされた貴族探偵を救ってやる的な態度いつも言われている台詞をそっくり言い返すあたり、やはりなんだかんだ蓄積されてきた悔しさが溢れたのだろうか。

犯人とされた佐藤めぐみだったが実は事件にノータッチだった。真犯人は依頼人だったはずの矢作穂香、巻き込まれて協力したのが兄の辰巳雄大。具同家次男の子供である2人は両親も既にいなくて一家の中では肩身の狭い思いをしていたらしく、具同家の跡継ぎである桐山漣を消したいと考え、そのために南沢奈央をそそのかしたという。

実は1年前の事故現場を矢作穂香も偶然目撃していて(隠滅や警察への証言には加担せず別の場所で見ていただけ)それを知った上で真相を調べないか?と南沢奈央をけしかけた。南沢奈央は矢作穂香の計算通りに桐山漣を殺したがこの際に桐山漣と佐藤めぐみの会話から矢作穂香も1年前の真相を知っていたとバレてしまった。だましていたのかと南沢奈央がブチ切れて襲い掛かって来たので辰巳雄大が止めたが、矢作穂香はその隙に反撃して返り討ちにしてしまった。

1年前の真相は辰巳雄大だけは全く知らされていなかったらしく、この土壇場で知らされた挙句に妹が巧妙な殺人示唆計画をしていた事や、目の前で南沢奈央を殺る場面まで目撃するという連続で理解が追いつかない展開を強いられていたらしい。辰巳雄大にとってはかわいい妹が悪魔のような計画を実行していたリ、南沢奈央は慕っていた先輩だったりしたので、いきなりこの超展開に巻き込まれたのはかわいそうすぎる矢作穂香を裏で指揮していた某犯罪プロデューサー(笑)でもいてくれた方がまだ救いがある勢い。

しかも貴族探偵がこのド深夜にこっそり到着していたのでとっさに矢作穂香はその相手をしなければいけなくなり、兄と南沢奈央の死体を放置。ようやく貴族探偵がいなくなり証拠隠滅を図ろうと思ったら愛香が死体を発見したのでこれも追いかけて殴った。理解が追いついてない兄の辰巳雄大は自室に戻ってもらったので全ての後始末を矢作穂香が1人で行った模様。

この子、前回は病弱なので今な~んもしてない(実質お嬢様ニート)という設定じゃなかったのか。深夜にアグレッシブすぎるだろこれ…。キャラ変しすぎな矢作穂香に対して、真相を暴かれた兄の辰巳雄大は情けない兄でごめん…と謝るのも納得というか…ホントなんもしてないもんな兄貴。1年前の事故にも今回の事件にも1人だけ全く関わってないメイドの高橋ひとみの空気っぷり…。そして貴族探偵は矢作穂香と会って別れてから愛香を救出するまで何してたの?

ようやく1人で事件を解決した愛香だったが、いざ解決したらしたで全く喜ばずに開口一番に執事ーズにわざと間違えましたね?と問いかける。こっちはこっちでなんかキャラが急成長している…。

貴族探偵は約束の切子(井川遥)の死の真相を語らずに去ってしまう。しかし帰宅後に真相が明らかに。今まで愛香と会話していた切子は幻かと思われ、愛香も幻のつもりで接していたようでこれが幻影なのか本物だったのかは最後まで不明だったが、切子は生きていた事が発覚。

とある事件を解決した切子はその裏に潜む政宗是正に命を狙われるようになり、貴族探偵に自分の偽装死を依頼。鈴木(仲間由紀恵)が請け負い、偽装死を完了し、貴族探偵サイドは鈴木を派遣して政宗是正サイドと交渉を続け最近になってようやく切子の身の安全の保障を確約していた。

切子の依頼で鈴木がギリとして愛香を見守り、愛香が訪れる事件現場にはいつも貴族探偵一行が手助けに来ていた。さらに切子は探偵事務所の隣の部屋に潜んでいて時折壁を叩いたりしていたという。これまでの伏線が一気に回収されたが、切子が実際に愛香の前に幻影を装って姿を見せていたのかは曖昧なままにされた。執事ーズに話を聞いた愛香は貴族探偵の元へ向かい切子と再会するが、切子は海外でセレブと結婚するといい、事務所を愛香の名義に変えて旅立ってしまった。弟子の愛香を大切に思っていたと散々やった後にナンダソレ…。

貴族探偵へ一応感謝を告げ、事件を解決したんだから女探偵ではなくちゃんと探偵と呼べと要求する愛香だったが、そこ?「女」がつくかつかないか重要?今回の事件は自分が解決したと豪語する貴族探偵。これは「矢作穂香と会って別れてから愛香を救出するまで何してたのか?」に対する答え=矢作穂香が何をしていたかその時点で知っていた、という事?

一応「探偵さん」と呼んであげたところ、愛香は唐突に貴族探偵を「あばんちゅーる」に誘い、2人がキス…しそうなところで終了(エンドロール後オチにやってくる鼻形がラストカット)。月9の30周年なので最後はラブで締めたかったのかもしれないがこれは唐突すぎた。

全部終わっての感想

途中からは事件がどうでもよくなってしまったが、一応概ねの謎を一気に明かしてスッキリ綺麗に終わった。元からファンタジーでありツッコミながら見てくださいなどと毎回表示していたので、細かいところがおかしかったのや、愛香と会話していた切子が幻影だったのか、本物だったのかとかこだわらない方が良さげ(生きているのが発覚する直前に出たのは幻影じゃなくて本物で、本物に手を握られた感触やワイングラスに本当に飲んだ跡があった事から愛香が幻じゃない?と不思議がる様子はあったけど…)。貴族探偵の正体なんて当然もってのほか

相葉雅紀の貴族は監督サイドの指示が変わって1度撮影したのを撮り直したみたいなニュースもあったように、相葉雅紀の演技力以前に貴族を実写化する上での演出サイドの迷走があったのは確かなようで当初は強烈な違和感しか無かったが、最終的にはそういうものだと慣れるしかなかった。他のキャラが濃かったのと最初からツッコミ待ちの姿勢で楽しく作られていたので、そういう姿勢で見れば楽しいドラマだったと思う。

何より地味に凄かったのが最後まで気合いの入れ方がブレなかった制作サイドの鋼のメンタル

月9の30周年を堂々掲げて、低迷していた月9を昨年紅白司会の相葉雅紀で復活させるという気合いで何とか初回2桁視聴率を確保。しかし肝心の相葉雅紀の貴族キャラが不評で2話以降一桁に低迷。しばらくは最早定番になっている低視聴率をネタにした月9やっぱりオワコン系ゴシップ記事だけでなく、話題を盛り上げるために仕込んでいたらしき隠し玉の仲間由紀恵、そして謎の中山美穂の持ち上げ記事、さらに毎回のゲストの豪華さ(加藤あいの久々のドラマ復帰とか)などドラマを盛り上げるような記事が出回る状態だったが、いつしか上げ記事も下げ記事も出ない無風状態に。フジ社長は解任が決定され、一足早く次のクールが『コード・ブルー』復活だと明かされるなど、ドラマ中盤頃には世間の興味は次に移ってしまうような状態になっていた。

だがそんな中において普通は話がグダったり、ストーリー崩壊したり、ゲストが急にしょぼくなったりしそうなのに、全くブレなかった。1話、2話、4話で延長をやり、先週であらかたのドラマが終わったのに全10話にせずに無理やり引き伸ばしてまで全11話にしてその11話も延長。延長回が実に4回、毎回の凝った演出やゲストの知名度等も最後まで全く落とさずに最初のテンションを保ったまま、伏線も軒並み回収してちゃんと終わった。低視聴率に全くめげず、途中でストーリーを変えたり、削ったりした感じも全くしないまま、もちろん何か謝罪に追われるような案件も起こさずに、初志貫徹で終わったという意味では30周年に恥じない貫禄の1作だったと思う。

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