9th Private eyes
1997年11月12日
作詞:AKKO,小林武史、作編曲:小林武史
8センチシングルがまだ主流の中で12㎝マキシシングルとしてリリースされた。3曲目がInstrumental(カラオケ)ではなく、「YES 〜free flower〜(remix)」となっている。初登場8位から5週ランクインに留まり、累計10万割れと最低売上を大幅更新。
11月25日には『Private eyes Rough Mix』と題したエッセイ+8㎝CDも発売された(上記右の画像)。これは角川CDmini文庫という角川とコラボした商品で文庫本よりさらにミニサイズのミニ本と8㎝CDが一体化したコンパクト仕様。本の内容は全ページ白黒のAKKOと風景の写真集にポエムが添えてあるもので表紙に記された作品の名義は“Takeshi Kobayasi&AKKO”となっていて藤井不参加。Music Perfomed by MY LITLLE LOVERとなっていてCD盤にもMY LITLLE LOVERと書かれているのでかろうじて音楽部分はMY LITLLE LOVER名義なので藤井も含まれる…といった具合(ただしメンバー表記は無いので藤井の名前は無い)。CDには新曲「Tokyo Tower」「ランデブー」と「Private eyes(re-mix)」が収録されていた(『Private eyes Rough Mix』は作品名で曲名ではない)。3曲ともリミックス色の強い打ち込みサウンドとなっている。藤井あんまり参加してなさそうなサウンド…「ランデブー」は次のシングル『空の下で』C/W、企画アルバム『The Waters』に収録されたが従来のバンド路線にリアレンジされており、「Tokyo Tower」は『The Waters』に収録された際にversion 2になっていてこれもアレンジがまるで異なる。『Private eyes Rough Mix』は3曲ともそこでしか聞けない音源となっている。
『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』の解説では当時R指定テクノと呼ばれた…とあるが、全く記憶していなかった。『Singles』に外されたので初めてちゃんと聞いたのが『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』だったがやはり覚えてなかったし…。世間的にも実験に走りすぎてコケたシングルくらいにしか思われてなかったのでは。
1番は音数少なめで進行し、2番以降はリズムトラックも入ってくるがもう完全に”リズムトラック”であって”打ち込みのドラム”ではないトラックメイカー志向な1曲。オリジナルの時点でも最初からリミックス曲のような異色さが漂っている。今となってはピアノストリングスまみれでお馴染みのあの小林武史がこんなテクノ志向を見せて自分が所属するバンドのシングルとしてリリースしていたなんてコバチル、コバオロメン、コバックナンバー以降のピアノストリングスが特徴でお馴染みのコバタケバラード世代に聞かせてもコバタケソングスだとは信じられないのではないだろうか。小林武史ってこんな電子方面テクノ方面に傾倒して攻めてた時期があったのかという歴史的遺産として『Private eyes Rough Mix』と共に価値のあるシングル曲。
『Private eyes Rough Mix』に収録されているre-mixはオリジナル5分19秒に対して6分52秒まで長くなっているが大雑把な印象はあまり変わらず、引きのばしというかいわゆるExtendedのような仕上がり。ほぼ別アレンジになっていた「YES〜free flower〜(remix)」とはremix、re-mixと表記が異なるが、一般的な一部素材だけ使ってトラックはほとんど新規な一般的なリミックスをremixと表記し、Extended的な元のアレンジを長くしたようなこちらはミックスをもう1度やり直したという考え方でre-mixとして意図的に分けたものと思われる。
扱いは不遇。一応全盛期に当たるトップ10ヒットシングル群なのに『Singles』『Best Collection~Complete Best~』両方に外されたのでベスト盤収録が自選集『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』1回だけ。自選しているだけマシではあるけど。
★★★☆☆
角川CDmini文庫『Private eyes Rough Mix』(re-mix)
3rdアルバム『NEW ADVENTURE』
2ndベスト『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』
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