4th 全部だきしめて/青の時代
1998年7月29日
1996年の番組開始当初から毎週使用されていたフジテレビ系『LOVE LOVE あいしてる』テーマ曲のKinKi Kids単独バージョンと剛主演ドラマ主題歌という強力な両A面シングル。初めて本格的なジャケ写違い複数商法も実施され、初回盤は「全部だきしめて」メインの赤、「青の時代」メインの青の2種でミニ写真集付属、そして通常盤の合計3種でジャケットデザインが異なる(曲順変更はなく共通)。2007年マキシ化再発は以降基本的に通常盤ジャケ写のマキシサイズ化となっている。
初動45万から4週連続1位→2位→3位→7位→9位と8週連続トップ10入りで上位に居座り、100位以内26週ランクイン(後年200位拡大後に+3週の合計29週)で3作目となるミリオンを突破したが116.0万枚に留まり、最初の2作には遠く及ばない売上だった。4週連続1位とか推移的には最高ヒットレベルの勢いもあったように見えていたのだが…数字がそこまででもなく、お盆前後で強力な新譜が無かったというのもある(4週目の1位は7万台)。実際4週連続1位の間の3週は前週リリースで初登場1位だったポケットビスケッツ『Power』が2位だった。4週連続1位の間に初登場2位に追いやったのは2週目にTUBE『きっと どこかで』だけというくらいには強力な新譜が出ていなかった。
全部だきしめて
作詞:康珍化、作曲:吉田拓郎、編曲:武部聡志
フジテレビ系『LOVE LOVE あいしてる』テーマ曲。番組オリジナルバージョンはCD化されておらず、1997年11月に番組のバックバンド勢と共にレコーディングした吉田拓郎とLOVE2 ALL STARS名義でリリースされたアルバム『みんな大好き』にはアレンジの異なる吉田拓郎ソロ歌唱バージョン(演奏は番組のベテランミュージシャン勢)で先に収録されていたので、リリースされている音源上は吉田拓郎とLOVE2 ALL STARSのカバー曲という事になる。その後、吉田拓郎サイドでは1998年のアルバム『Hawaiian Rhapsody』でハワイアン風にアレンジした「全部だきしめて〜tropical〜」を収録(これは単独名義)、1999年のベスト盤『THE BEST PENNY LANE』、2024年のベスト盤『Another Side Of Takuro 25』にも何故かtropicalで収録されていてそっちがメインバージョンのような扱い。
番組では基本編成は光一→剛→拓郎の順にソロを取る1番のショートサイズ(Aメロ2をカット)だった。光一の歌い出しから、”だから何も信じられなくなっても~”が剛のソロパートでCDのAメロ2のメロディーで歌い、”きみがいたから勇気をおぼえて~”のBメロは拓郎が歌っていた。CDではAメロ1を光一、Aメロ2を剛、Bメロを2人というパート割に変更。
拓郎バージョンは番組オリジナルとは明確に違うなーという感じだったのでこっちの方が近いけどそれでも当時はこれもまた少し違和感があった。発売時点で2年近く馴染んでいた曲で満を持してのリリースではあったし、すぐに慣れて、今ではこのバージョンがスタンダードに聞こえる。TV出演時は2人が習得したアコースティックギターを演奏しながらパフォーマンスしていたのでアコースティック色をやや強調したアレンジでまとめたっぽいし、長く広く愛されるバージョンとしてはこれが最良のアレンジだったのかもしれない。康珍化の歌詞は相変わらず分かるようでよく分からなかったりするが、ザ・拓郎節なメロディーは本人がヒットチャート上位から遠ざかって久しかった90年代でも十分に通用する事を証明したような会心の1作だったと思う。
当時は後年よりも権利の問題とか色々あったんだと思うんだけど、今作はそういうのを越えて番組の企画シングルとしてLOVE2 ALL STARSと吉田拓郎、KinKi Kids、篠原ともえも参加しての文字通りのオールスターで音源化してほしかったなとも思う。
『C album』では表記はないが微妙に細部のアレンジが変更されたアルバムバージョン。冒頭から主にドラムの音色が異なっている。2番突入直前のジャカジャカ鳴るアコースティックギターと一緒にシングルでは無かったドラム音が先行して入ってくる部分は特に分かりやすい変更点。演奏のテイク自体が違うのか追加録音含むミックス変更なのかは不明。『C album』までは演奏クレジットが無く、『KinKi Single Selection』の演奏クレジットでシングルバージョンの演奏クレジットが初公開されただけである。
★★★★☆
3rdアルバム『C album』(表記はないがアルバムバージョン)
1stベスト『KinKi Single Selection』
5thベスト『The BEST』
青の時代
作詞作曲:canna、編曲:新川博
cannaはボーカル谷中たかし、キーボード周水の2人組ユニットで前年結成、1998年インディーズデビューしたばかりのド新人、ソニーからのメジャーデビューは翌1999年だったので今作で最初に名を知られる事となった。既に2ndC/W「ひとりぼっちのクリスマス」の作詞作曲をSally-Shu名義で周水が手掛けていたが、表題曲採用という凄い大抜擢でその後もKinKi Kids側に重宝されたが、canna自体は1999年に4thシングル「風の向くまま」が草彅剛・西村雅彦主演でシリーズ化もされた『TEAM』主題歌になったものの25位止まりでブレイクに至らず、フェードアウトしてしまった。やがて提供はcanna名義ではなく、周水単独名義となり、以降も関与が続くどころか、現在は山下達郎の事務所スマイルカンパニー代表取締役社長、スマイル音楽出版社長、スマイルグループ代表の座に”小杉周水”として就いている。いつの段階で正式に公表したのかは不明だが、山下達郎と厚い信頼関係を築いていた旧知のプロデューサーにして近藤真彦を担当した縁でJニーズに重宝された事でJニーズ関連企業の顧問や社長も兼任していた小杉理宇造が父だったという。継続しての起用やその後の作家としての活躍は実力が評価されてだったとしてもデビュー前時点で(Sally-Shu名義)C/Wに周水1人で提供させてもらってたり、cannaデビュー後とはいえまだ無名のド新人時点で当時のJニーズトップ級のKinKi Kidsのドラマ主題歌A面採用は小杉理宇造の息子(のグループ)だったから積極的にチャンスを回してもらえたんじゃないかというのは否定できない感じはあるよね
堂本剛主演TBS系ドラマ『青の時代』主題歌。ヒロインが奥菜恵で『若葉のころ』では光一に取られた(誤解を招く表現)ので今度こそカップル成立不良少年の剛が熱血な弁護士の上川隆也によって更生していく…という不良少年の青春物語になるかと思われたが、上川隆也には残酷な二重人格が眠っており、残酷な方の二重人格が初恋の人そっくりの奥菜恵に執着して次第に暴走していき、主人格の婚約者である篠原涼子を交通事故に遭わせて昏睡状態に追い込んで奥菜恵に迫っていくというかなり危険度の高い展開となった。上川隆也の残酷人格が主役の剛を食う勢いで暴れ回ったので、終わってみると剛がどんな役だったのかあまり覚えてないっていう…。最初は不良役なのでギラギラしてたのは覚えているんだけど、更生してからの後半はマジであんまり印象に残ってない。主題歌としての今作も不良少年が更生していく”青の時代”っぽい序盤では合っていたんだけど、後半は…二重人格の悪の人格が大暴れする展開では…”青の時代”の一言で受け止めきれないっていうか…うん…。
印象としては「FRIENDS」に続くドラマ主題歌の名バラード的な印象。当時から凄い名曲がまた来た!と発売を楽しみにしていたが、これを両A面の2曲目にしてしまうのも凄い。単独でもそれなりにヒットしたと思うんだけど、ドバラードを単独A面で4枚目のシングルとしてリリースするのは当時のJ社的にはナシだったのかもしれない(2nd,3rd共にC/Wはドバラードだった)。ソロパートが無く、終始2人で歌っているのは珍しい。
★★★★☆
3rdアルバム『C album』
1stベスト『KinKi Single Selection』
3rdベスト『39』
4th(バラード)ベスト『Ballad Selection』
5thベスト『The BEST』
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