23rdSg 夢で逢えたら/DEEN&原田知世

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23rdSg 夢で逢えたら/DEEN&原田知世

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2002年5月22日
DEEN史上唯一のシングルカット。『和音~songs for children~』ではfeaturing 原田知世だったが、シングルカットに当たってはDEEN&原田知世に名義を変更。さらに「夢で逢えたら」の最初の歌唱者である吉田美奈子の兄であり、大瀧詠一のエンジニアも担当していた吉田保によって新たにミックスし直されたsingle mix。帯には一応“New Mixでシングルカット”と書かれているほか、“single mix by Tamotsu Yoshida”と普段はエンジニアなんて省略するのに帯に記載するという異例の事態となっている。が、あまりに消極的で小さく書かれているのでほとんど気づかれなかったのではないか…。なお吉田保がミックスを担当しているのは表題曲(+カラオケ3トラック)だけで、「the end of the world」「夢で逢えたら afternoon cafe style」はいつも通りの稲垣祥一郎が担当している。

またCDのマスタリングには原田光晴を起用。当時、大滝詠一、ナイアガラ関連、山下達郎など周辺のリマスターをよく担当していたエンジニアで、吉田保の起用に合わせての起用だったと思われる。これもまた普段はマスタリングエンジニアなんてアルバムにしか掲載しないのにわざわざ記載しているので、吉田保、原田光晴という原曲とその周辺に接点のある人材を起用をしたんだよ!リスペクトだよ!という分かる人には分かってほしいという意図が込められているのではないか…。正直当時全く知らんかった

C/Wには別バージョンや新規洋楽カバーを収録。さらにカラオケバージョンが3種収録され、池森の声だけを残したfor female、原田の声だけを残したfor male、そしてオケのみのfor loversとカラオケバージョンの名称も変更して3種収録。しかしコーラス歌唱は残されている。このコーラスがクセモノで原田知世のコーラスは小さめだが、サビの池森ボーカルはコーラスというより二重ボーカルっぽくなっていてサビ全てを主メロで歌っている。3種のカラオケいずれも機械的にメインボーカルトラックしか消していないため、for female、for loversでサビになると思いっきりオフのはずの池森ボーカルが聞こえる…という珍妙な事態になっていたりもする。

シングルカットではやはり厳しく、初登場44位と最低位を大幅更新した。最低売上は後年に更新しているが、シングルでは最低位のままとなっている。アルバムでは2016年C/W集の『Another Side Memories~Precious Best Ⅱ~』が51位を記録して最低位を更新、2021年の『シュプール』も49位を記録して2作が44位を下回っている。なお1ヶ月前に原田知世がリリースしていたシングルとほぼ同じ(43位)であった。当時のファンでも大半がスルーする結果となったが、C/W「the end of the world」「夢で逢えたら afternoon cafe style」や珍しい3種のカラオケバージョンは今作でしか聞けないし、前述のように吉田保MIXはベスト盤でも聞けるが、原田光晴マスタリングはこのシングル盤のみであり、細かい聞きどころは多い。原田知世サイドからの需要もわずかにあるためか、大半の作品が余らせて投げ売りになりAmazon最安値1円化するDEEN作品において珍しく今作は相場を保っていたりもする。

夢で逢えたら

作詞作曲:大瀧詠一、編曲:DEEN
Vocal&Chorus Arranged by 時乗浩一郎

吉田保によるsingle mixとされるが「すてちまえ!」「秋桜~more&more~」「恋人よ、夢も嘘もすべて」辺りのリミックスと比べてもパッと聞きほぼ同じ。長年どこが違うのか把握していなかったが、今回何かとっかかりはないかと聞き込んでみてようやく違いらしき部分を発見した。

イヤホンでじっくり聞くとアルバムでは笛や鐘の音色っぽい音がやや強めで左右どちらか寄りになっていたのがsingle mixでは基本的に引っ込んで中央になっているっぽい…など音の定位がビミョーに異なる。“春風そよそよ”のバックでピーヒョロリロー~と鳴り響く笛の音がアルバムではやや左寄り強めに聞こえたのがシングルでは中央やや抑えめになっているとか、1分48秒のサビ直前の”もとへかけてくる”の後のチャンランランがアルバムだとやや右寄りだったのが、シングルでは中央やや抑えめになっているとか、スピーカーで聞いても良く分からない違いはあるように聞こえる。これらの些細な違いの部分を足掛かりに聞いてみると、その後のベスト盤収録時は全てsingle mixになっていると思われる。アルバムがDEEN featutring 原田知世、シングルがDEEN&原田知世と使い分けているわけではなく、以降のベスト盤ではfeaturing 原田知世、feat.原田知世のいずれかで表記されているが全部Single Mixなので表記はぶっちゃけその時の気まぐれっぽい…。

結果的に初出のオリジナルミックスは『和音』でしか聞けないと思われる。吉田保によるSingle Mixは後のベスト盤全てに採用されているっぽいが、ベストではその時々のエンジニアによってリマスターされてしまうため、吉田保MIXで原田光晴マスタリングという当時のナイアガラ関連エンジニア群による組み合わせを真に堪能したいのであればシングル盤が最良…なのかもしれない。

原田知世は山根さんと同い年(山根さんが1月生まれなので学年だと1つ上)で池森・田川よりは年上だったが、ほぼ近い世代同士でのコラボだった。多くのカバーが世に出ている有名曲だが案外最初に歌った吉田美奈子のバージョンがそんなに有名だった…というわけでもなく、我々の世代だと1996年に復活したラッツ&スターがリリースしたバージョンのヒットが印象深く、最初に聞いた時はラッツ&スターのカバーだと勘違いしていた。作者の大滝詠一の歌唱による音源は存在しないとされていたが没後に実はレコーディングしていた音源があったとして発表されたものなので発表においては故人の遺志ではないが作者だけにこれも原典の1つともいえる。

数々のカバーの中でも男女デュエットでカバーしたというのが今作の特筆すべき点だと思う。その後誰も追従しなかったが、DEENとしてはこの曲は男女デュエットだという事なのか再度カバーした際はparis matchのミズノマリとデュエット、パート割も全く同じであった。吉田美奈子バージョンの旨味を生かしてイメージを損ねない範囲でアレンジされており、アコースティック主体ながらストリングスも交えて優雅な感じのオケになっていて心地いい雰囲気。間奏の台詞はカットしている。原曲における間奏の台詞はカバーの際にマストなわけではなく、ここに関してはカットしたり改変する者も多いようだ。キーは完全に原田知世に合わせているので池森さんは聞いたことないような低音地声で声を張らないかなりふわふわとした歌唱で寄り添っているようなイメージ。DEENというより原田知世のバックバンドにDEENが入ったという方が近いかも。

MVはホールを貸し切ってライブ風に演奏しているシーンのみで構成。ライブ風なだけでその場で演奏している音声は使用していないが、MV初登場となるベース宮野和也やドラムHIDEだけでなくヴァイオリン2名、フルート1名、パーカッションまで参加し、リーダーはキーボードではなくグランドピアノ、宮野和也もウッドベースを演奏しているなど謎に本格的アコースティック編成の生演奏スタイル。なのに音源使わないってなんとももったいねぇ…。今作発売直後から行われた和音ツアーではゲスト出演が実現してDEEN&原田知世でのライブ映像も残されている。

変わりどころの音源では『DEEN at 武道館2011 LIVE JOY SPECIAL』DVD盤限定の「Summer Resort Live’11」ライブCD池森単独ボーカルバージョンのライブ音源が収録されている。ここではキーを池森さんに合わせているので低音地声歌唱ではない池森通常音域での単独歌唱を聞く事ができるレア音源となっている。

2021年の『POP IN CITY~for covers only~』の通常盤のみボーナストラックとしてコラボ相手をparis matchに変更した2度目のカバーも発表しているがそちらはやや影が薄いか。正直なんで同じ事やったんだろうっていうのはある。
★★★☆☆
1stカバーアルバム『和音~songs for children~
12thアルバム初回特典2ndバラードベスト『Ballads in BlueⅡ~The greatest hits of DEEN~』(single mix)
6thベスト『DEENAGE MEMORY』(single mix)
7thベスト『DEEN The Best FOREVER ~Complete Singles+~』(single mix)
9thベスト『DEEN The Best DX~Basic to Respect~』(single mix)

C/W the end of the world

作詞:Sylvia Dee、作曲:Arthur Kent、編曲:DEEN
Vocal&Chorus Arranged by 時乗浩一郎

Skeeter Davis(1962年)のカバー原田知世が1994年にカバーアルバム『カコ』でカバーしていた曲。スケジュールの関係で原田知世の以前のカバーのボーカルトラックだけ使用したとの事でDEENサイドのみで新たにアレンジしてデュエットにしている。邦題「この世の果てまで」としても知られているが今作では邦題は表記されていない。翌2003年には竹内まりやが『Longtime Favorites』でカバーしているがそちらでは邦題を使用している。

原田知世が以前カバーしたバージョンはかなりアンビエントな感じの独自カバーだったようだが、今作はDEENサイドで編曲されていて原曲から逸脱はしていない正統派カバー。原曲準拠にアレンジし直した原田知世カバーに池森さんがゲスト参加しているような感じ。

カバー曲はC/W集未収録の法則に従い、アルバム未収録のまま。
★★★☆☆
アルバム未収録

C/W 夢で逢えたら afternoon cafe style

新たに制作された別アレンジ。別アレンジというよりよりボサノヴァ、昼下がりのカフェそのままなアコースティックスタイルに演奏を差し替えたといったところか。オリジナルではサビ部分で2人ともメインメロディーを歌唱していたが、このバージョンでは池森さんがメインのメロディーを歌ってなくてハーモニー(ハ森)している。DEEN&原田知世でDEEN主導のコラボとしてはサビで池森さんがハ森ハモりになってしまうのはどうかというのもたぶんあったんだろうけど、C/Wならそれもありという事だったのだろうか。
同年11月のトリビュート盤『ナイアガラで恋をして Tribute to EIICHI OHTAKI』には何故かこっちのバージョンで収録されたようだが、DEENとしてはアルバム未収録。
★★★☆☆
アルバム未収録

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