8thBest Ballads in Love The greatest love songs of DEEN
2019年11月6日
セルフカバーラブソングベストアルバム。2018年3月の25周年武道館ライブから2002年以降キーを下げていた2000年以前の楽曲の原曲キーを取り戻し、以後のライブでも原曲キーで演奏していたが、今作でも全曲原曲キーでのセルフカバーとなった。複数回セルフカバーされてきた楽曲もあるが原曲キーでは初となる。
全曲が池森秀一のVocal+山根公路のPiano+Strings編成となっている。『あなたの想い出に残るDEENのラヴソング投票』として楽曲リクエストとその楽曲にまつわるエピソードの募集が特設サイトにて行われてそれを参考に選曲された。募集ではバラードと言わずラブソングとしか書いていなかったものの、『Ballads in Love』というタイトルだけ先に発表されていたため、ラブソングでバラード曲に票が集中したようで10曲全て原曲からバラードだった曲が選出された。
メンバーは順位まで把握しているようでラジオにて池森が「Blue eyes」が1位だったとコメントしていたが、正式な順位発表はされていない。
初回盤はDEENとゆかりのあるアーティストと共に録音したCD『Premium Instrumental Album』付属。今作のセルフカバーアレンジから池森のボーカルパートを抜いてfeaturingアーティストの演奏による楽器がメインメロディーを奏でるという編成のインストアルバム。パッケージは2001年のバラードベスト『Ballads in Blue The greatest hits of DEEN』を踏襲している。
ファンクラブ限定盤は2019年7月27日にBillboard Live TOKYOで行われた『AOR NIGHT CRUISIN’~4th Groove~』から「i…」のライブ音源を追加収録。
通常盤は同公演から「五番街のセレナーデ」のライブ音源を追加収録。
これらライブ音源2曲に関しては翌年のBlu-ray『DEEN PREMIUM LIVE AOR NIGHT CRUISIN’』で映像化された。
ライブ音源の小出し複数商法はこの後に映像化されそうだなという推測とさすがにそろそろライブ音源先出し複数商法に付き合いきれないという事でFC盤、通常盤は未入手。
配信版では何故か『Premium Instrumental Album』から最後の「MY LOVE featuring ダイスケ」だけ追加収録されている。
1.MY LOVE~Introduction~
作曲:山根公路・宇津本直紀、編曲:山根公路
今作で唯一”編曲:山根公路”になっている導入インスト。これ以外の楽曲は全て侑音に丸投げ任せているという驚きの制作状況となっている。というのも侑音のメイン演奏楽器であるギターは今作には一切使用されておらず、ピアノとストリングスのみのアレンジであるため、山根さんの担当範囲のはずだったが…。
2.夢であるように
作詞:池森秀一、作曲:DEEN、編曲:侑音
13thシングル(1997)のセルフカバー。テイルズバージョンを除くとキセキ、Triangleに続く3度目のセルフカバー。Triangleではなくなっていた原曲由来のピアノアレンジが復活。キセキVersionをよりシンプルにしたような印象だが原曲キーのため、キセキVersionのような暗さは無い。
『Premium Instrumental Album』ではfeaturing 佐々木史郎(Flugelhorn & Trumpet)。初期からレコーディングに参加に参加しているゆかりの深い人物。
★★★★☆
3.もう泣かないで
作詞:池森秀一・川島だりあ、作曲:山根公路、編曲:侑音
41stシングル(2013)のセルフカバー。初のセルフカバー。このアルバム以前でセルフカバーされた事のあるシングル曲としては「coconuts feat.kokomo」が最新だったが、今作が最新セルフカバー記録を更新した。比較的新しい曲なのでシンプルなピアノ+ストリングスバージョンといった装い。
『Premium Instrumental Album』ではfeaturing 勝田一樹(Alto Saxphone)。DIMENSIONメンバーで初期からレコーディングにも参加、『AOR NIGHT CRUISIN’~2nd GROOVE~』ではDIMENSIONをサポートに招いて共演した事もある。また原曲にもSaxphone(Soloは別の人)でクレジットされており、原曲に引き続きの参加となった。
★★★★☆
4.このまま君だけを奪い去りたい
作詞:上杉昇、作曲:織田哲郎、編曲:侑音
1stシングル(1993)のセルフカバー。原曲キーに戻してのセルフカバーは初。1999年のAcoustic Versionでさえ無理せず1つ下げていたのにまさかの…。1番は特にピアノよりもストリングスが目立つアレンジになっているが、ピアノメインにすると原曲とあまり変わらなくなるためだろうか。高らかな歌声に声の復活を実感できる1曲。
『Premium Instrumental Album』ではfeaturing ダイスケ(Acoustic Guitar)。一般的にはデビュー間もない新人時代の2011年から数年間日テレの『ZIP!』内の「スマイルキャラバン」コーナーに出演していた事で知られる。2012年8月に相棒として旅をしていた犬のZIPPEIが熱中症で急死した際にも大きく取り上げられたが、コーナー自体は2013年3月まで単独で継続し、テーマソング「あなたにしかできないこと」でトップ10ヒット、1stアルバムもトップ10ヒットを記録したが以後人気が続かず低迷。DEENとの縁は同じEPICだった事と2016年にアルバムの曲を池森プロデュースで制作したところ(例によって曲作りには参加しておらず、当時のダイスケのコメントからは編曲にくどうたけしを紹介して制作を監修してもらったような感じと思われる)。2人になってからの直近のDEENには一時サポート参加しており、「Aloha」ではギターとAlbum Versionでは部分的に単独ボーカルも担当。『AOR NIGHT CRUISIN’ ~4th Groove~』にもアコースティックギターで参加した事で、1人では本来賄えず同期を駆使するか抜くかしかないギターサウンドの厚みを出すことに貢献してくれた。ボーカルやコーラスよりもとにかくアコースティックギターでの参加が中心となっている事から池森さんからのアコースティックギターの名手としての評価が高いようだ。
★★★★☆
5.君がいない夏
作詞作曲:小松未歩、編曲:侑音
12thシングル(1997)のセルフカバー。2006年のacoustic version以来2度目のセルフカバー。そこそこ人気ありそうなのにライブ不遇が続いていたこの曲だが今回は満を持しての選出となった。ここに来てライブでの演奏頻度も上がってきたのは喜ばしいところ。オリジナルもacoustic versionもアコースティックギターが目立っていた楽曲だけにピアノとストリングスアレンジでガラッと装いが変わっていて新鮮。
『Premium Instrumental Album』ではfeaturing 名渡山遼(Ukulele)。2009年のリゾートライブ逗子公演にゲスト参加、翌2010年の「瞳そらさないで~’09+Ukulele Style~」でウクレレを担当するなど16~17歳の頃にDEENと接点があり、2011年の自身のアルバムでは「このまま君だけを奪い去りたい」のウクレレカバーを収録していた。
★★★★☆
6.君の心に帰りたい
作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:侑音
2ndアルバム『I wish』収録曲(1996)のセルフカバー。個人的にすっかり飽きていてあまり聞かなくなっていた初期のバラードではあったが、メロディーが強い曲だったんだなとは改めて感じる。これは元々ピアノイントロに始まり、ピアノイメージが強かったのでそんなにイメージは変わらないか。
『Premium Instrumental Album』ではfeaturing 下川美帆(Violin)。1999年の横浜アリーナから参加(と池森さんがMCで紹介する事がある)、以後レコーディングでもほぼ常連で参加。当初は2nd Violinだったり参加していない事もあったが途中からは1st Violinでストリングスが入れば筆頭で参加するようになった)。
★★★☆☆
7.Celebrate
作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:侑音
35thシングル(2009)のセルフカバー。この曲の選出は意外だった。そこまで人気あったのか。これもアコースティックギターの印象が強い曲だったのでピアノメインになったのはけっこう新鮮な味わい。
『Premium Instrumental Album』ではfeaturing 佐々木史郎(Flugelhorn)。「夢であるように」に続く2曲目の参加。こちらはFlugelhornのみとなっている。
★★★☆☆
8.星の雫
作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:侑音
7thアルバム『UTOPIA』収録曲(2003)のセルフカバー。映画『君のままで』もあったので当時のファンの間ではけっこう思い出深い代表バラードのはずが、マニアックナイト送りにされるほどライブ不遇だった曲でようやく再度陽の目を浴びた…。今回セルフカバーされた曲の中ではAOR期、最も声を張らずに高音部は裏声を多用していた時期の曲だけに力強さが増したのが分かる。
『Premium Instrumental Album』ではfeaturing 勝田一樹(Tenor Saxphone)。「もう泣かないで」に続く参加。こちらはアルトからテナーに変更。原曲にもサックスが入っていたがGary Scottによるソプラノサックスだったのでだいぶ聞こえ方が違う。
★★★★☆
9.心から君が好き~マリアージュ~
作詞:樹林伸・池森秀一、作曲:田川伸治、編曲:侑音
39thシングル(2012)のセルフカバー。「Celebrate」以上に意外な選曲。元々3人のみの構成でシンプルだった曲をこの編成でもう1回聞きたいのか…?っていう率直な疑問が…。これもアコースティックギターメインだったのでギターレスでピアノ+ストリングスは生まれ変わった感はあるけど、『マリアージュ』の収録曲はリメイクするならとりあえずバンドバージョンで聞きたかった。この曲だと池森作詞バージョン「心から君が好き」を復活させるとか…。
『Premium Instrumental Album』ではfeaturing 浜崎香帆(Acoustic Piano)。いや急に誰?となるが、東京パフォーマンスドール(篠原涼子がいた事で知られる90年代前半頃のグループだが2013~2021年に完全新規メンバーで復活していて2021年に無期限休止で事実上解散となった)のメンバー。ピアノ演奏ではこれがデビュー。池森さんと浜崎香帆の父が古くからの友人同士だったため、池森さんは友人の娘として浜崎香帆が幼い頃から知っていたらしく、ピアノが弾けるという事と東京パフォーマンスドールとはレコード会社が同じEpicだった事と偶然もあっての参加となったらしい。
★★★☆☆
10.Blue eyes
作詞:池森秀一、作曲:山根公路、編曲:侑音
バラードベスト『Ballads in Blue』収録曲(2001)のセルフカバー。Strings Style(2010)に続く2度目のセルフカバー。R&B、王道ストバラといった過去2つのアレンジに対して曲を前面に押し出したこのアレンジで改めてメロディーがいいんだなと。
『Premium Instrumental Album』ではfeaturing 侑音(Electric Guitar)。アレンジャー自らの参加。メインはギタリストなのにギターの無いピアノストリングス編成のアレンジを全面委任されてやってのけた対応力幅広な侑音だが、本来のギタリストとしての侑音が今作で唯一発揮された音源となった。
★★★★☆
11.MY LOVE
作詞:池森秀一、作曲:山根公路・宇津本直紀、編曲:侑音
19thシングル(1999)のセルフカバー。軒並み-1、-2にキー下げしていた2000年までの曲の中で1度もキーを下げた事のない唯一のシングル曲。それでも最後の高音「MY LOVE」は裏声になっていたが、このセルフカバーでは最後の「MY LOVE」地声が復活。これが地声で聞ける日が再度来るとはなぁ…。
『Premium Instrumental Album』ではfeaturing ダイスケ(Acoustic Guitar)。「このまま君だけを奪い去りたい」に続く参加。3人2曲参加となったが、全く同じ楽器演奏だけなのはダイスケのみとなった。何故か配信版では本編12曲目にこの音源だけ追加収録されているが何故そんなことになったのかは不明。
★★★★☆
今作収録曲のうち7曲が後にライブ映像化されているが、ライブでは今作における2nd Violinだった加藤大貴しか帯同していない。メンバー2人+バイオリン1人の3人編成だったので加藤大貴のヴァイオリンに他数名の演奏音源を同期で足すというやや苦しい編成となっている。また原曲キーで歌えるようにはなったものの、前述のように全盛期である1999年に「このまま~」をAcoustic Versionにした際でも-1にしていただけに、ピアノ+ストリングスで座って歌唱するような編成での原曲キーの高音はかなりしんどいものがあり、終始池森さんの表情は決死となってしまい、見ている方も力んでしまうというところはあった。
その後も決死の表情での復活原曲キー歌唱を続けていたが、2022年の47ツアーでは全面的に-1のキー下げにして無理をしなくなり、2023年武道館でもセルフカバー音源を原曲キーで制作した直後の「Memories」や「瞳そらさないで」「未来のために」など高音続きの楽曲は無理せず-1に下げるなど状況に応じて原曲キーと-1を使い分けて対応するようになり、方針をマイナーチェンジした感があり、決死の表情も解消された。
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