20th Power of Love
2000年4月19日
通常シングルとしては初のマキシシングル。マキシケースではなくアルバムと同じ10mmケース仕様。以降現在までDEENのシングルCDはマキシシングル用の薄いケースを使用せずにアルバムと同じケースを基本的に採用している。表ジャケットには池森、裏ジャケに山根・田川が写っている。
「君さえいれば」をレンタル落ちで購入したり、欠かさずレンタルで聞きつつあったが、前年のシングル群のあまりの良さと高校進学を機にここからは全部買うぞと意気込んで買いに行ってビックリ。…あれ?3人?とここで気づいた。雑誌インタビュー等では特に触れておらず、インターネットもこの後くらいにようやく開通したので宇津本直紀が辞めたという情報を知るすべがなかった。インターネットが開通してから調べたところなんか去年のカウントダウンを最後に辞めていたと知った。今作が発売されて3人になったのに気づいたという声が散見されるが、当時FC会員になってない限りは今作がリリースされて3人になっていたので脱退に気づいたというリスナーは案外多かったのかもしれない。
新曲1曲のみでC/Wは初のリミックス、初のライブ音源…と新しいこと尽くめの1作にして、リミックスの収録に関しては当時のトレンドに乗っかってみた感もある内容のシングルとなっている。また今作よりカラオケバージョンの名称がORIGINAL KARAOKEではなくInstrumentalに変わった。
初回盤はDEEN Balloon封入。これはMVでも使用されている風船でこの後のツアーで使いましょうという感じで封入されていた。7月の大宮ソニックシティ公演に参加したがあえて持って行かず、未使用のまま現在も今作に挟まれている。
また5月のアルバム、6月の初のVHS(横浜アリーナ公演)の発売も告知されており、3作連動応募キャンペーン「プレミアム・キャンペーン2000」、今作のみで応募可能な「スピード応募抽選スペシャルビデオプレゼント」応募券封入。「プレミアム・キャンペーン2000」は今見るとちょっと笑える内容。
プレミアム① 限定3名様
スーパープレミアムグッズプレミアム② 50名様
特製レアグッズプレミアム③ 1000名様
オリジナルグッズ
プレミアムプレミアムと連呼しているものの全く中身が無いのが凄い。「スーパープレミアムグッズ」のみアルバムで詳細発表と書かれており、アルバム『’need love』にて「DEENのメンバーからあなたにだけメールが届く!スーパーモバイルキット!」なる時代を感じる謎の代物である事が明かされている。特製レアグッズとオリジナルグッズは詳細不明のままである。
「スピード応募抽選スペシャルビデオプレゼント」のビデオの内容は「このビデオをもっていると6/21発売のVIDEOがより楽しめる内容」と書かれているので、横浜アリーナ公演の未発表映像かなにかと思われる。いずれも挑んだがかすりもしなかった上に、当時のファンサイト文化の中でも当選者の話を見かけた記憶はなく、詳細は不明のままである。なお何故にこんなにプレミアムだスペシャルだとテンションが高かったのかと言えば、やはり新時代ミレニアム2000年という空気がそうさせたのだった。
初登場18位、3週ランクイン、3万枚突破に留まった。
Power of Love
作詞:池森秀一、作編曲:DEEN
作曲も編曲もDEEN名義となっているが、池森さんが持ってきたサビ頭のフレーズからメンバー3人で広げて作ったという。このクレジットの”DEEN”はここからは3人なんだな…思った記憶。で力強いロック路線からバンド感を押し出したバラード路線が続いていたが、今作ではみんなで盛り上がろう的なパーティーチューンでこれまでを思うと異色な1曲。MVもエキストラを動員して楽しそうにワイワイしたノリになっていて、これまではあまり人間味を見せていなかったが、今作以降はライブの雰囲気も含めてメンバー3人の親しみやすいキャラクターも前面に出していくようになるので、ビーイング的ななるべく素を見せない神秘的なイメージを堅持するという方針もここで事務所GOOD-DAY主導に変わってきていたんじゃないだろうか。といってもどれだけパーソナルを出すようになっても親兄弟姉妹以外の家族(結婚の有無)の話題は一貫してNGにしている模様当時は驚いたというか率直に『The DAY』以降のシャープでカッコいい雰囲気が最高だったのでちょっと違うんだよなぁ…というのもあったけど、でも親しみやすくなったのは確かだしな…。2010年代のアンチエイジング路線にも通じるここからのDEENの基礎にもなっていった3人のDEENの再デビュー作といった装い。
今作には演奏クレジットは無いがアルバム『’need love』にて新たなサポートドラマーは藤沼啓二と判明。この曲ではパーカッションを佐藤唯史、シンセベースを遠山無門が担当、Additional Keyboard扱いで時乗浩一郎も参加している。後年は田川さんがパーカッションを買い集めていってサポートを呼ばずに全部自分でパーカッションをやるようになったが、2000年代前半頃までは必要ならパーカッションも呼んでいたようだ。またBreak5ではたぶん通常ツアーで唯一だったと思うんだけどサポートにパーカッションがいた。またレコーディングもビーイングのスタジオから事務所所有のTAKE OFF studio、そこのエンジニア陣へと移行したようだ。
CD音源でも池森さんがSing!と煽ってラララパートが始まるように、ライブでみんなで合唱するのをここまで最初から想定して制作された楽曲も初めてだった。Break5では最後の1曲として演奏され、ラララ歌唱によるコール&レスポンスもCDより長めに、今作封入の風船アイテムもあって大いに盛り上がったのを記憶している。てっきり「翼を広げて」に代わる最後に楽しく終わろう的なライブラスト定番になるんだろうなと思っていたら、AORへの路線変更もあってかBreak5での1ツアーポッキリで以降はほとんどライブでやらない曲になってしまった。2010年の日本武道館公演ではOPで和太鼓演舞が繰り広げられると直後に宮野和也・HIDEも含めた5人が横並びでアコースティックギターを演奏するという異色のアコースティックバージョンで演奏されたのも印象深い。
なおMVのダンサーは池森さんがこの頃まで通っていたと後年証言しているダンススタジオの講師の人だった事が明かされている(『ずっと伝えたかった I love you』初回盤DVD「池森秀一 ぶら散歩 Vol.1 ~上京篇~」より)。
★★★★☆
4thアルバム『‘need love』
5thベスト『PERFECT SINGLES+』
6thベスト『DEENAGE MEMORY』
7thベスト『DEEN The Best FOREVER ~Complete Singles+~』
3rd配信シングル(Jawaiian Style)
18thアルバム『NEWJOURNEY』通常盤のみBonus Track(Jawaiian Style)
C/W Power of Love(Cool-mix)
Remixed by DEEN&Team T.O.S.
C/Wにリミックスを入れるのが流行っていた時代に押されてかついにDEENもリミックスに手を出した。お任せではなく、DEEN名義でTeam T.O.S.という謎のチームと共にリミックスを担当した事になっている。Team T.O.S.の正体は謎だがこの後リリースの田川ソロ『A SURVIVED SCARCROW』のCO-PRODUCEもTeam T.O.S.表記になっていた事からトラックメイカー集団ではなさそうだ。単純にTAKE OFF Studioなので頭文字を取ってのT・O・S、つまりTAKE OFF Studioのエンジニアチームという事なのではないか。当時TAKE OFF Studio所属で個人名が表記されていたのは録音&ミックス担当の稲垣祥一郎くらいしかいないが、ノンクレジットのアシスタントなどが参加していたとかなのかな。
シンプルでクールなトラックに妙にサビ部分ばかり使用されまくるという構成になっていて、2番の平メロはカット。リミックスながら長くもなく割とあっさり終わる。リミックスは結局これっきりとなり、毎回収録されることは無かったがこれはまあ時代に乗っかってみた!としか。カバーと別バージョン、ライブ音源はスルーされる『Another Side Memories~Precious Best~』に何故か収録されたがされてなかったらこんなのもあった的な時代の産物、珍品音源になっていたかも。
★★★☆☆
1stC/Wベスト『Another Side Memories~Precious Best~』
C/W Memories(Live at Yokohama Arena 19991211)
作詞:池森秀一&井上留美子、作曲:織田哲郎
ボーナストラック的に収録されていて3曲目には「Power of Love(Instrumental)」が収録され、4曲目に収録。3rdシングルの1999年12月11日横浜アリーナでのライブバージョン。発売が告知されていたVHS『LIVE JOY Special 横浜アリーナ』からの先行収録。C/W集『Another Side Memories~Precious Best~』には収録されず、『ALL TIME LIVE BEST』にも選曲されなかったのでCD音源としてはこのシングルでしか聞けない。
元が打ち込み全開のトラックだったのでバンドアレンジでかなり進化。当時からライブでやるたびにアレンジを変えていたようで、映像が残されているBreak2ではアコースティックで演奏しているし、今作の後のBreak5ではシンセがド派手な別アレンジになっているし、その後もセルフカバーバージョンで披露されていたので、原曲キーに戻した2018年以降になるまで何気に原曲アレンジ準拠でのライブ音源が残されていなかった。
今作はストレートにロックバンド仕様にしたようなアレンジだが、間奏の英語詞ラップは池森さんが力強くラップしていてこれがいきなりカッコいい。後にライブでラップ部分もやる事になったがラップ詞が譜面に残っていなかったので耳コピしたと振り返っていた。そもそも誰が書いたんだよこのラップ部分…。
曲間を開けずに連続演奏していたので、ド頭には「君さいれば」の最後のギターの音が、最後には「眠ったままの情熱」のイントロが聞こえる。そっちも聞かせてくれよ…と思うところだがそこはビデオ買ってね、という事で購買意欲を誘う音源でもあった。
★★★★☆
アルバム未収録音源
DVD『LIVE JOY Special YOKOHAMA ARENA』に映像として収録
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