シャーロック

2019年秋ドラマフジ月9。フジテレビ×ディーン・フジオカで古典的な海外の文学作品を国内仕様に変換してドラマ化した「モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-」、『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(単発)に続いて今度は有名なシャーロック・ホームズを原典として現代日本に置き換えたもの。

ディーン演じるシャーロック・ホームズに該当する主人公の名前は誉獅子雄、ワトソンに該当する精神科医の名前は若宮潤一(岩田剛典)と設定されていて、特に作中であだ名としてシャーロックと呼ばれている様子も無いが、イニシャルが一致するようになっている。2人以外のレギュラー陣も原典相当者とイニシャルが一致するように設定されているため、基本的に原典の該当人物から大きく外れるような設定はされていないように仕掛けられている模様。

誉獅子雄はフリーの犯罪捜査コンサルタントで、警部の江藤(佐々木蔵之介)が捜査の際に頼り切りにしているため、実質的に警察同様の捜査権限を持っている(手が回らない調査の部分は何でも屋的な存在の情報屋レオ(ゆうたろう)が動き回って情報収集&サポートする)というか、常に誉獅子雄が偉そうに警察そっちのけで容疑者に接触したりしているので、中にはあまりにナチュラルに現場に入っているので事件関係者の中には刑事の1人なんだと勘違いして受け答えしているような様子も…。江藤としても事件解決時には手柄を全て自分のものにして表彰されて浮かれていたりするので全面的に任せるといった寸法。

また誉獅子雄がフリーの犯罪捜査コンサルタントなる謎の肩書の職業でどのように金銭を得ているのか探偵とどう違うのか全く明かされまいまま話が始まってそのまま進行していたが、話が進むにつれて江藤が報酬の話を何度か持ち出しているため、基本的に江藤が手柄を見返りにして個人的に報酬を支払っているっぽい。しかしこれだと大した額にならないのでは…?という細かい疑問に応えるかのように、終盤になるといつの間にかフリーの犯罪捜査コンサルタントじゃなくて普通に貧乏探偵呼ばわりされるようになっていたので、単にディーン的演出カッコつけてフリーの犯罪捜査コンサルタントとか自称させていただけっぽい。

初回では学生時代に不正に医師国家試験のテスト内容を入手して医者になっていた赤羽(中尾明慶)が死亡する事件が発生。同じく不正受験仲間精神科医になっていたのが若宮で事件を解決していく中で、最終的に不正が明るみに出てしまう可能性が出たためずっと気にしていた若宮は事件解決後に医者を辞めてしまい、無職になったところに誉獅子雄が家に乗り込んできて同居する事になるという形で強引にコンビになった。このことに不満を抱いた若宮が念のために記録として日記をつける事にしたという事でワトソン役に。誉獅子雄以上に完全に無収入になってしまった若宮が家賃を貯金以外でどうにかできるとは思えなかったが触れられないままこれまた話が進行し続けていたが最終回で大家さんが登場し、家賃滞納状態だったことが判明した。

このような出会いのため、2人の仲は良くなく、毎回誉獅子雄が偉そうで若宮が反発するという仲違い系コンビになってしまい序盤が特にギスギスしててしんどかった。

また誉獅子雄の偉そうな態度といい、事件が解決する前にカメラ360度回転しながらヴァイオリン弾く謎の決めカットといい、ちゃっかり自分で主演主題歌パターンといい、すっかりディーン・フジオカ自体がブランドになってしまっていてそれを月9でもそのままやるとは思わなかった。ディーン氏の出演ドラマを見るのは『探偵の探偵』『ダメな私に恋してください』『今からあなたを脅迫します』以来だったけど、ここまでではなかったはずで、モンテ・クリスト、レ・ミゼラブルを経てブランド化が進行したのか…?

月9らしい豪華ゲスト俳優攻勢やストーリー自体の重みもあって面白いには面白いだけにちょっとキザすぎる。ヴァイオリン決めカットとかいくらなんでもディーン氏のプロモーションビデオすぎるだろ…と思ったんだけど、実はディーン氏は全く弾けなかったのに練習して弾けるようになったとコメント。マジか…。そして結局そんだけ不自然にキメまくっても結局カッコいんだから凄い

基本1話完結ながら、3話の犯人で刑事の市川(伊藤歩)が逮捕後に心酔している守谷なる人物の名を出したのを皮切りに6話で出てきた精神科医の20年前の殺人事件の告白映像に出てきた告白した女性=8話の犯人長谷川京子と判明し、彼女が心酔して殺人を言われるがままに行った相手もまた守谷。この守谷は誉獅子雄が長年追いかけている人物らしく、徐々に誉獅子雄と若宮に別れの予感を漂わせながら10話ラスト~最終話冒頭にかけて市川ら4名の囚人が脱走。脱走シーンと並行して江藤が1人で屋上で「君が代」を熱唱して突如ラスボス感を醸し出す『20世紀少年』や『怪盗山猫』の佐々木蔵之介がまた出たのかみたいな展開に。

最終話では直後にOPタイトルのキメカットで江藤がレストレードとサイン。これは原典のレストレード警部に相当する人物であることを改めて明示したもので要するにそれはイコール黒幕じゃないよっていう事なだけど、レストレードだけじゃ分かりにくいためか、続けて若宮がワトソン、ダメ押しのように誉獅子雄がシャーロックとサインして今回のサインは単にドラマタイトルなだけじゃなくて原典の該当人物のサインだよとしつこくアピール。

というのもこの後も江藤が実は守谷を逮捕していたが、誉獅子雄には逮捕されていた事すら黙っていた事、突如情報を一切出せないと言い出したので2人が決裂してしまう挙句に、出世した江藤は上層部から脱走した守谷は政財界の黒い繋がりが多かったが警察関係者の中にも献金を受け取っていた者がいるため、ニュアンス的に「再逮捕ではなく見つけ次第殺せ」と命じられていた。このため人が変わったように部下に見つけ次第殺して問題ないと厳しい態度を見せたので直属でずっと一緒にやってきた小暮(山田真歩)でも不審に思うレベル。以降も誉獅子雄に結局泣きついたと思ったらやっぱりバカのフリして徹底して利用しようとしたりとけっこう黒い部分を急に出しまくってきたので早めにレストードサインを出して黒幕じゃない事を示したかったのかも。元々江藤が出世目当てで案外ドライだったりするのも描かれてはいたがこの展開のせいで突如キャラ変しすぎて見えてしまったし、台詞でも人が変わったみたいだと言わせたくらいなので、せっかく佐々木蔵之介なので黒幕ミスリードで遊んだというのもあったのかもしれないが…。

そしてついに守谷壬三(大西信満)に辿り付いた誉獅子雄だったが…。そもそも探していた目的は何か特別な恨みがあるとかではなく、犯罪を重ねる守谷壬三について知りたいという知的好奇心程度で、守谷壬三にしても退屈を抱えている点で我々は共通しているとか、似た者同士感を醸し出すなど意識高い系トークを繰り広げるばかりで双方会いたかったらしいけど結局会ってお互いどうしたいのか何だかハッキリしない始末。特に守谷壬三が今回繰り返し行ったのは手配しておいた囚人脱走計画ばかりだし、目的が全く分からない…。

最後は更なる囚人脱走の合図のスマホ1プッシュを止めるか止めないかを誉獅子雄に迫る守谷。いやあんたどんだけ囚人脱走にこだわってんの…?とますます意味不明になってくる中、誉獅子雄が止めようとするとそのまま誉獅子雄ごと引きずり込んで海へダイブ。双方発見されず、飛び込む瞬間しか見てない若宮・江藤・小暮の3人は直前まで何があったのか知らないのでそもそもどうして海へダイブしたのかも分からない。まあ見ている方も守谷壬三が「本当に私が守谷壬三と思いますか?」と偽物感をアピールしながらいきなり誉獅子雄を引きずり込んでダイブした事くらいなのでなんでそうなったのかよく分かってないんだが…。

そしてそのまま誉獅子雄も守谷壬三も行方不明のまままさかのTHE END。

また最初に脱走した他の3名のうち3話の犯人市川(伊藤歩)は誉獅子雄らと接触して再逮捕、田中(渋谷謙人)という男は誉獅子雄に追い詰められて情報をしゃべろうとした際に側近に殺され、その側近も即自殺で終了したが、春日(北原里英)という女は10話の都知事に爆弾送りつけてニヤリしたのを最後に出番終了。その他、守谷壬三が手引きして脱走する名もなき囚人数名も脱走シーンのみで出番終了。

肝心の守谷壬三も全く迫力の無い地味なフツーのオジサンで(役者も初回から有名なドラマ俳優を散々起用してきたのにここで急に映画主軸の俳優でテレビでの知名度は高くない人という…)、もうちょっと渋くて低い声を想像してたら割と声も高くて理屈っぽい割には威厳が無い。正直数々の犯罪者(特に女性陣)が心酔するようなカリスマ性も皆無で、理屈っぽいといっても言っている事は良く分からないし、声に感情がこもってないので終始無機質な棒読みみたいに聞こえてますます話が入ってこない。最後に偽者かもよ?アピールをやはり棒読み調に淡々と行うしで終始機械のようで(演技派の俳優さんだと思うので演技が下手なのではなく恐らくそういう演出)何が何だか…。

まあこの終わり方は有名な「ライヘンバッハの滝」オマージュなんだろうけど、こんな崖でも無く高さも無い埠頭で低予算で片づけるとは思わなかった。日本で崖をやると出た2時間サスペンス定番wwwとか笑われそうな気もするし、寒空の下リアル滝まで出向いてロケするのもしんどそうではあるが…。

投げっぱなしで終わりかお得意の映画化かと思ったら放送内容未定だった翌週が特別編となる事が判明。門司かれん(木南晴夏)というフリージャーナリストを名乗る女が若宮を訪ねてきて誉獅子雄の功績を記事にしたいと言ってきて改めてこれまでを振り返る事になるというあらすじが公開されていたので総集編かと思ったら…。

門司は家賃を滞納していた若宮の家賃を大家に渡して報酬を先払いしてしまったので強制的に手伝う事に。犯人への聞き取りは恨んでいる可能性が高いから私がやると宣言し、門司は歴代犯人たちへと面会、若宮は事件関係者で結果的に救う事になった面々に会いに行く…という両面で話が進行した。

歴代ゲスト陣が再出演して事件後を語るという展開上、簡単な回想シーンも多かったが総集編というよりも各回の追加の補完+続編という構成で予想よりも面白い展開に。犯人の中で長谷川京子だけは自害しているのでそれを除くと2話の犯人(菅野美穂)のみ写真だけ出てきて「菅野美穂に出演面会拒否された」と。犯人側はイカれた思考のやつが多かったので反省してないか、更に壊れてるかとかばかりで、1話犯人(松本まりか)相手に門司も挑発言動に及んでいきなり怪しさMAXになってしまう始末。半分ほどして門司は若宮に問い詰められて、元夫のDVに苦しんで殺されたフリをして逃げる大騒動を起こしたがその後始末で誉獅子雄に救われたという過去を語る。

若宮が接した関係者は救われた人たちなので若宮含めて感謝の思いを伝える(若宮も相手によって誉獅子雄行方不明の件を話したり話さなかったり)というほっこりとした流れに。

しかし結局特に何か明らかになるでもなく、誉獅子雄のコートだけが打ち上げられ、そこに遺書のような若宮宛のメッセージが発見された事で、若宮は区切りをつけて前へ進むと宣言。門司は誉獅子雄に会うまではあきらめないと告げて2人は別れ…。

3年後、降格した江藤と小暮が現場に到着すると何故か若宮は白衣で偉そうに誉獅子雄の真似ごとをしていたが、その推理は間違っているとして鑑識のフリをしていた男が正解を説き始める。何事も無かったかのように誉獅子雄が生還した2022年12月24日、堂々完結。江藤だけ「また課長になれる!」とか言って喜んでて吹いた

生還するのは原典通りなのでどう帰ってきてどう経緯が語られるのかを期待していたのに、まさか「3年後帰還」だけ原典にきっちり合わせてきて、経緯は綺麗にバッサリカットとは。思わせぶりだった「本当に私が守谷壬三と思いますか?」とか何だったんだよ…。しかも守谷の方から突き落としてきた、2人して転落するのが確かに目撃されている、というのは原典と明確に異なっているぞ…。

兄役(マイクロフトに相当)に高橋克典を起用しておいて出番が少なかったのでこの帰還には兄が関わっていて出番があるかと思ったら無いし。てっきり高橋克典の協力で身を隠しているとかそういう設定で活躍するもんだとばかり…。更なる補完続編を狙っているのだろうか。まさか本当に2022年にやるつもりじゃ…。

事件関係者のその後が垣間見えたのは面白かったけど、結局肝心なところが全部投げて終わってしまったのは残念だった。

シャーロック Blu-rayBOX(特典無し)
ディーン・フジオカ, 岩田剛典
ポニーキャニオン (2020-05-08)
シャーロック DVD-BOX(特典無し)
ディーン・フジオカ, 岩田剛典
ポニーキャニオン (2020-05-08)

死役所

2019年秋クール、テレビ東京で水曜深夜(木曜0時12分)で新たに始まった「ドラマホリック!」枠(40分)の1作目のドラマ。あずみきしによる漫画が原作(2013年連載開始)。

死んだ者たちの天国行き、地獄行きなど成仏するための手続きを行う市役所のような役所「死役所」を描いた内容。死者は基本的に死んだ時点での姿で役所に現れるため、例えば交通事故などで血まみれの場合は血まみれのまま、骨折や欠損等がある場合はその状態で役所にやってくる(さすがに顔半分が無いとかは深夜枠でもキツいためか1話で一瞬モブキャラで出てきただけで、大半の回のモブキャラは大けがの包帯姿や病院着というパターンだった)。49日以内に手続きをしなければならず、しない場合は強制的に「冥途の道」行き。

主人公は案内人のシ村(松岡昌宏)。「お客様は仏様です」が口癖で終始丁寧笑顔な対応ながら完全に心が見えないというどこか不気味な人物像。職員は何故か全員名前に「シ」が入っていてその部分がカタカナになっている。が、別に「シ」が入っているのが職員の条件というわけではないようで(こっちはむしろ作品自体の記号感というかメタ的な設定っぽい)、職員は全員死刑になった者たち。死刑を執行された死刑囚の場合は強制的に職員にされるらしい。

初回では死役所にミチル(黒島結菜)がやってきて、自身は殺されたと主張して役所に居座るという展開で、ミチルが唯一のレギュラーの死者・視聴者目線でやってくるゲスト死者たちを取り巻くドラマを見ていくという流れ。

しかしこのドラマ、基本何の救いも無い理不尽な死ばかりでとにかく気が重くなる。初回のイジメによる自殺少年(織山尚大)は飛び降りなのでいきなり足が曲がってて普通に歩けないという死者は死んだ時のまま、という世界観を強烈に印象付けてきた。ところがイジメていた少年も役者にやってきた。イジメていた少年によれば、自殺少年の義理の父(母再婚)に復讐で殺されたという。自殺少年は自分に無関心だったと義理の父を見ていたが、実は自分との距離の取り方やイジメ問題にどこまで介入すればいいのか解決の糸口に腐心していた事、そして復讐のために殺人まで犯したことを知り、初めて義理の父の自身への愛情に気づく。そしてイジメ少年は苛烈なイジメが評価(?)されて地獄行き、自殺少年はもし父がここに来た時にとシ村にメッセージを託すという救いのない中でも多少は救われる話だったが…。

2話は死産した赤ちゃんがやってくるので仏様一切喋れずといういきなりの超展開。一方的に視聴者向けに子供のできない夫婦の待望の子供だったが流産になってしまい生きる希望を失いかけるが復活する、という現世の物語が展開したが、役所では赤ちゃんが泣くのを職員とミチルがなだめているだけで、このドラマの設定上、死んだ後の現世の事を知る事も見る事も出来ないので、現世エピソードと役所の人たちは繋がらないという…。

3話からは本格的に救いが無くなり、3話で死んだ小さな飲食店の店主(三浦貴大)は、過去に強盗に親父を殺されていて常連と妻の協力もあって親父の店を継いで店を復活させ、子供ももうすぐ生まれるという状況だったが、親父を殺した強盗犯人が出所してきて逆恨みで息子の三浦貴大もまた刺殺したという無念すぎる展開で何の救いも無く、本当にやりきれねぇよ!と三浦貴大が苦しんでいるだけで終了し、残りは全員死刑囚だった事を知ってミチルが職員たちに何をしたのか迫るという話に。

4話では中1の豊嶋花が交通事故で血まみれの状態でやってきて片思いの男の子との最初で最後のデートで車にひかれて死んでしまったので、好きな子にこんな悲惨な姿を見せて死ぬなんて…と泣き崩れるしかない展開で救いなし。

さすがにあまりに救いが無さ過ぎてフォローする事も無いので4話のメインエピソードはついに全体40分の半分程度で終わり、残りはミチルがもう49日目前だという話になり、死刑課の資料で気になっていたレギュラー職員たちの過去の資料(人生が全て書かれている)を読んでシ村が冤罪だった事も知って一気に旅立っていった。

というわけでキャストクレジット2番手ヒロイン枠だった黒島結菜が4話でまさかの急退場。なんだこの超展開と思ったが、ミチルのエピソード自体は原作通りにやっただけだったようで、ドラマ化にあたっては主人公のシ村は感情の見えない謎の人だし、49日居座ったお客様側のキャラというのは世界観や職員たちの設定や隠された過去などを視聴者目線で一緒に追体験して掘り下げていく役回りとして活用するのに最適だった、とい事だろう。

5話ではミチルは去ったが、去る前に死刑課でレギュラー職員の資料を読んでいたため、ハヤシ(清原翔)に殺人犯の姉になってしまった姉の事は気にしていないのかと言い残した言葉が心に引っかかり、シ村に話すという形でハヤシの回想という展開になったがやっぱり救いが無かった。

ハヤシは高校2年生の時に仲が良かった祖父が亡くなったが、この際に父親からハヤシは祖父と死んだ母の間の子だったと明かされ衝撃を受ける(姉はちゃんと父と母の娘で、父も母が遺した手紙でハヤシが中学生くらいの頃に知ったらしい)。そこからモヤモヤした心情で過ごしていたハヤシは祖父公認で付き合っていた彼女をイジメていた女子生徒を上階から突き落とす傷害事件を起こして退学になるもその後彼女と無事結婚。彼女に出生の秘密も明かして子供も生まれて幸せと思い込んでいたが、実はハヤシの出生の秘密を知った彼女はハヤシをやんわり遠ざけ元同僚と不倫キメこんでいて、生まれた娘も不倫相手の娘だった。娘が1歳になろうかというときに突如不倫相手から別れてくれと説明されたハヤシはブチ切れて子供含めて3人殺害で死刑に…。

と、ハードの重ね掛けでハードな過去が明らかになり、このドラマの特性上現世の様子を知ることはできないので残された姉の現状が分かるわけでもなく、さらにハヤシは殺した3人については後悔していないと言い切っているので結局話してちょっとスッキリしました程度…。シ村によれば殺された3人は同じタイミングで死役所に来ていたはずなので何を思い成仏していったのか…とはコメントしたものの特にそういった手続き資料が出てくるわけでもないので、ただ思いを巡らせるだけ。重すぎる…。

6話は今作の中ではライトな話となったが、2話に続いて死んだ人(中島歩)にまつわる現世の話がメインのため、主人公ほぼ出てこない。それどころか中島歩は満足して死んだので即成仏してしまい、事実上の主人公はお笑いコンビの相方として現世に残されたジャニーズWEST重岡大毅というジャニーズ後輩活躍話。明るい愛されキャラというほとんど重岡大毅本人のイメージそのままな役回りは良かったけどバーター感が…。

7話は結果的に今作で最も救いのある話だった。もう1人のレギュラー職員イシ間(でんでん)メイン回。イシ間が生きていたのは戦後間もない時期だったらしく、戦争で死んだ弟夫婦の14歳になる娘ミチを引き取って育てていたが、治安もよろしくなかったこの時代に畑泥棒をしていた兄弟を娘が1度助けたところ、図に乗った兄弟は再度出現して欲望のままに娘を暴行。修羅と化したイシ間は少年1人を容赦なく殺害、逃げたもう1人も静かに追いついて容赦なく殺害。ショックで沈み込んだ娘が何とか結婚にこぎつけるまでは見届けたが、ついに少年2人の死体が発見されてしまい犯人として逮捕、娘のレイプ被害は徹底して黙秘したためあえなく死刑となった。

話を聞いたシ村は老衰課にやってきた認知症の老婦をイシ間に引き合わせる。イシ間の事はしっかり覚えていたこの老婦こそが83歳で天寿を全うしたミチだった。イシ間の事を覚えている以外はほとんど話が通じないほどボケてしまっていたが子供と孫にも恵まれて幸せな人生を送ったらしいことを聞いたイシ間は感涙。この世に残してきた者たちを思いながらもその後どうなったのかさえ知ることができないという物語の中で、職員として半世紀以上(?)を過ごしたおかげで生きていたら絶対に不可能な再会を果たせるとはなんという好待遇…。そしてミチを見送ったイシ間の元には任期満了に伴い、49日以内に成仏せよという辞令が…。

8話では殺人課に母親により虐待死した幼女がやってくる。虐待に至る過程が描かれ母親(前田亜季)のクズ親っぷりと、異変に気づきながら救えなかった保育士の無念、しかし母親をかばい続ける幼女という相変わらずな救いのない話に…。ベランダに放置されて凍死させられた幼女だがこの時点で家もゴミ屋敷化、死んだ後も全く悪びれずに逮捕されずに済むだろうと男の事ばかり考えている程やべぇ母親だったがあえなく娘殺害容疑で逮捕されるところまで現世の様子も描かれた。しかし幼女が死ぬ直前の回想では夏くらいまでは家は綺麗で母親が優しかった様子もちらっと登場していて何故態度が急変したのかは不明のまま。

イシ間はこの幼女と一緒に成仏しようと決意(実際は幼女は天国行きだが殺人をしているイシ間は半世紀以上(?)強制勤務していても普通に地獄行きらしい)。受付をしようとしたシ村だったが、その前に自身の娘の死と妻が関わっていた「加護の会」信者だったらしき男が死役所に来ているのを発見。長年待ち続けた「加護の会」関係者の死者を前に目つきが変わる。

9話ではシ村の過去が一部明らかに。シ村と妻の幸子(安達祐実)の出会いから結婚までが明かされた。思ったより時代が古くて時代設定は1960年。案外イシ間が生きていた時代とほとんど同じだったのか…。

死役所にやってきた柄本時生は「加護の会」の信者で、彼がコンプレックスから徐々に宗教に心酔していく様子と本当の家族との関係崩壊が描かれるも「加護の会」自体のヤバさはさほど描かれず(指差しが禁止事項でこれをしてしまった信者の幼女を普段温厚な信者の女性が執拗に尻叩きで折檻している様子が不穏だった程度)、柄本時生の死因も「加護の会」に殺されたのではなく、実家に連れ戻されるもすっかり信者と化して家を飛び出して追いかけてきた弟から夢中で逃げて飛び出して交通事故死というもの。

シ村は妻幸子の名前を出して会わなかったか?と聞くが、柄本時生がなかなか思い出さないため「とっとと答えろォ!」と荒ぶる場面も。結局柄本時生によれば別の場所で特別待遇の信者がいるという事、特別待遇のその人が幸子という名前だったかもしれないと回答。しかしこれ現代でまだ妻が生きているとしても50年以上経ってるから普通にミチと同程度の老婆になっているのでは…。

最終話ではイシ間と9話の幼女の成仏をひとまずドラマの終着点としてその間に回想でシ村の残りの生前を描く形(別にシ村がイシ間に話しているわけではないので本編と回想に繋がりは無い)。

シ村と幸子(安達祐実)の間に娘の美幸が生まれて3,4歳になった頃(出会いが1960年設定だったので1965年~1970年より前?)。美幸は絵の具をなめてばかりで料理を食べようとしない。この事で幸子は気を病んでいた。医師によれば美幸は病気であり、このままでは死ぬ(絵の具しか食べないので栄養失調で)という見立てらしい。

…いや待てどんなテキトーな診断だよ。メンタル面での扱いが適当だった昭和の時代という事なのか。

またかなり追い詰められている様子の幸子に対してシ村があまり積極的に関わっている様子が無く、無関心なわけではないけど自分で何とかしようとしている様子が無い。医者へ行くのも妻任せだし、子供の事や家庭内の事は全て妻(夫は外で稼いでくる)という昭和の時代の一般的な価値観という事なのか。

幸子が近所の人に聞いた「加護の会」に相談に向かった3人。教祖の蓮田栄山(吹越満)は「あるがままを受け入れるのです」しか言わないので、帰宅後の美幸は「あるがままを受け入れても美幸は死ぬだけじゃない!死ねっていうの!?」と具体策が一向に示されないので栄山へ不満爆発

それ以前に栄山が吹越満そのままなのが怖い。9話で死んだ信者の柄本時生は普通に現代のはずなので柄本時生の生前で出てきた蓮田栄山はシ村の時代から50~60年弱は加齢しているはずなのに見た目そのままじゃないか…。イシ間とミチの再会の時のミチが80代のおばあちゃんになっているのは時間軸合ってたけど、柄本時生の死の方は時間軸どうなってるんだ…?あの栄山は吹越満顔のよく似た系譜とかでシ村の時代の栄山は初代現代の柄本時生が接した栄山は初代の息子(2代目)とか孫(3代目)なの…?

と、思ったら一応公式インタビューでは吹越満が

実はボクの実年齢に近くない役で、80歳くらいと30歳くらいの時代だったかな。老けなきゃと若返らなきゃです。そこは楽しかった。カツラや特殊なメイクは使わずに挑戦させて頂きました。どーみえるかなぁ。

と語っているので、設定上同一人物らしい。すまん80代にも30代にも見えない両方普通に50代半ばくらいだった…。

不満に思っていたはずが何故かシ村を置いて幸子は再び加護の会へ。帰宅しないのを不審に思ったシ村は加護の会へ向かうが幸子は修行に入ったので会えないから1週間後に来いという。言ってることが若干支離滅裂(ここにはいないとも言っていた)美幸は何とか連れ帰ったシ村はたった今栄山や教団に対して猛烈な不信感を抱いていたはずが、相変わらず絵の具舐めしかしない美幸に何故か栄山の教えである「あるがままを受け入れるのです」を実感、これが美幸なんだよなと悟りを開いて受け入れてしまう始末

この夫婦直前の態度(教団不審)と行動(入団&教え受け入れ)が揃って逆…

律儀に1週間待ったシ村だったが栄山はまたしても今は会えないなどとはぐらかし、冷静になってから来いだのまたしても微妙に支離滅裂な御託を並べ立て、挙句の果てにはシ村をも教団に引き入れようとしてくる始末。ただこれ以上は教団の様子は描かれず、結局加護の会が決定的に犯罪まがいのヤバい事をしているカルト集団のようにも描かれず謎のままだった。

失意の中帰宅したシ村は庭で殺されている美幸を発見。警察では1週間の妻不在で家の中が荒れ果てていた事(シ村は家事炊事洗濯等一切妻任せで全くやっていなかった様子)、美幸が絵の具を食べていた形跡があった事から、シ村は娘虐待の殺人犯扱いされてしまう。娘の診断や妻の失踪など他の捜査すべき点は一切不明のまま、一方的な取り調べでは自白強要&リンチによりあきらめて自白してしまうシ村…という胸糞展開が繰り広げられていてこれにて回想は終了。

テキトー診断医者、仕事以外は家庭内の事全部妻任せで無関心な夫(態度が偉そうだったりするわけではなくむしろ態度は優しいんだけどとにかく 何 も し な い )、自白強要&暴行する警察…ととにかく昭和はこういう時代だったよねみたいな感じで構成されていたけどちょっとブーストかけすぎてて異様な感じだった。いくら昭和設定だからといってあんなんありなのか、昭和だから仕方なかったよね…で押し切られて納得してしまっていいものなのか

イシ間の成仏後、改めて他殺課のファイルの中から美幸の報告書の書類を見ていたシ村だが詳細は明示されず。さらに直接態度には出さなかったが幸子の名前を呼んで再び仕事へと戻っていったので、シ村の目的は死んだ幸子といつかここで再会する事…なんだろう…とぼんやり滲ませて終了。

美幸への殺人で死刑になったシ村はこの死役所では冤罪だった事がちゃんと明らかになっていたり、職員の人生が誕生から事細かに記載されている事からこの死役所にある書類にはいわゆる神の視点での真実のみが記載されているのは確かだと思われる。

職員になっている死刑囚と違って一般の死亡者は死後の本人の自己申告でしか書類に記載されていないのかとも思ったが、シ村が見ていた美幸の死亡の書類は画面に出たのは生まれた付近の経歴のみであったので良く分からない。ただ誰に殺されたのかも書いてあってもおかしくない。そもそも本人自己申告だったら誰に殺されたのかなんで死んだのか自分で分かっていない死亡者だらけになってしまうだろうし。

いずれにせよ原作がここまでしかやっていないので、これ以上はドラマで勝手に描くわけにもいかなかった模様。正直しんどい話も多かったが、終わってみれば続きが見たいドラマではあった。ていうかシ村に関しては完全に途中だもんなぁこの終わり方…。

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まだ結婚できない男

2006年夏クールで放送された『結婚できない男』の13年ぶり続編。主人公桑野(阿部寛)以外にも家族である母親(草笛光子)、妹夫婦(三浦理恵子、尾美としのり)、建築士としての桑野の設計した家を担当する事の多い大工の棟梁(不破万作)、桑野のアシスタントで現在は共同経営者となった村上(塚本高史)は続投。夏川結衣、国仲涼子、高島礼子といった相手役の女性3名は全て交代となり、今作では吉田羊、深川麻衣、稲森いずみの3人が新たに参加。

金田(高知東生)は2016年に高知東生がクスリで逮捕されたため、高知東生本人は出てこないが金田の名前が毎回登場するなどかなりしつこく存在が示唆されまくった。

妹夫婦の娘は前作では子役時代の平岡映美が演じていて現在も引退せずに女優をしているが何故かこれだけ平祐奈に変更になった(平岡と平は年齢も同じどころか両者誕生日が6日違い程度しか差が無いほど年齢設定は合わせている)。Gyaoのチェインストーリーで子供の頃はかわいかったのに今は反抗期だみたいな回想をした時には前作の映像を出したのでちゃんと平岡映美がクレジットされた。平岡映美の現在と平祐奈でそんなに何か変わるわけでもないし、普通にきれいな女優さんに成長してたんだから交代しなくて良かったのに…。

前作では夏川結衣といい感じになり、最後は付き合っている事を示唆して終了していたが、今作でも夏川結衣の存在のみ“女医と付き合っていた”という話だけで登場し、設定上は愛想をつかされて別れた、作中では村上が「(桑野は)昔女医と付き合っていた」と発言し、仕事仲間の森山(咲妃みゆ)が、「その女医なら最近富豪と結婚した」と発言していた。また9話で腹痛で桑野が病院に運び込まれた際に「あの女医には知らせるな」と発言した事から勤務先も変わっていない模様。しかし何度か出た存在示唆は全て「女医」で一貫していた。

あと前作では国仲涼子の飼い犬として登場していて桑野が妙に気に入っていたパグ犬は、同種のそっくりのパグ犬が1話でペットショップにて桑野に発見されており、前作同様に桑野が異様に執着していたが2話では新たな隣人となった早紀(深川麻衣)が購入。前作の国仲涼子と同様のポジションとなった。

当初は前作と変わらない事をかなり意識していて、桑野の性格や言動はほぼそのまま。阿部寛の2000年代初期のようなHTMLの公式ホームページもそのままだが、ドラマ公式の桑野の人物紹介だけ阿部寛のホームページ仕様になっているなど芸が細かい。名前も無いような大工の棟梁のつるっぱげネタまで役者そのままで残しているので、大人の事情的な変更は女医とは別れたという前作ハッピーエンドの崩壊と妹夫婦の娘だけ同一人物で役者交代になってしまったところくらいか。

主題歌もELTの「スイミー」を持田香織ソロで「まだスイミー」。全面リアレンジと共に歌詞もちょいちょい変更し、当時夏だったので夏の季節を示していた歌詞は全て秋仕様に書き換え。雰囲気を損なわないバージョンアップとしては13年も経過しているのになかなか徹底している。逆に数年とか5,6年程度じゃないのが良かったのkさも。

前作終盤にかけての夏川結衣との関係性が大盛り上がりだっただけに、吉田羊でどこまで行けるかは正直あまり期待は出来ないが、少なくとも変わらぬ面白さは最低限期待できる。そんな始まりであり、毎回の桑野の笑える行動、振り回される周囲の人々、最後は意外といい人という期待通りの流れで話は展開。

しかしどうも今作は”桑野にこういう事やらせたら面白いしきっと13年経過した桑野ならこうするだろう”みたいな考え方で物語がその場その場で進行していく感じなので、微妙な違和感があちこちに生じてくるし、夏川結衣をトレースしたみたいなまどか(吉田羊)も一応桑野と言い争ったりしながらも一定の距離間のまま進行。

英治の結婚式で桑野がなんだかんだ結局は絆を感じさせる感動のスピーチをするとか前作との関連性からグッとくるようなところもあるにはあるんだけど、結婚相手自体は今作でパッと出のキャラで好感度もあまり高くないという…。この結婚相手の女性は桑野を嫌っていてやや自分勝手で英治を困らせるような性格で特に仕事面で重要な役割でも無ければ(事務所に仕事依頼を持ってくるポジションなんだけど稲森いずみのカフェを潰そうとしている依頼主の案件を持ってきたのがこの人だったりした)今作では最初から英治と付き合っている設定で始まったのに結婚に至るまでの物語も全く無い状態でいきなり結婚式が決まって次の会では即結婚式になってしまうなど、展開が急すぎた。

結局そのまま3人の誰とも大して距離が縮まらないまま、その場その場の桑野面白行動を繰り広げ続けたまま最終回直前になって、桑野が担当することになった離婚した男性の住む家を巡って別れた妻が土地の所有権を主張した裁判が始まり弁護士がまどかになり、2人が対立して法廷対決という形で最終回へ繋ぐも…。

当初法廷でまどかをやり込めた桑野だったが、結局夫婦関係を改善させるいい人っぷりを発揮してあっさり法廷問題は解決。これまでも何度か出ていたまどかが実家の母の弁護士事務所を引き継ぐという話が唐突に飛び出して事務所たたんで帰ると宣言。動揺した桑野は引き留める言葉を放ってまどかは感涙して帰るのを止める…が、桑野は噛んじゃったから今のはリハーサルでもう1回やり直そうと言い出し、まどかは激怒。最後は仲直りして映画を見に行くといううす~い展開でなんとなくいい感じにしてEND…。

いい事言うけどひっくり返すという前作の夏川パターンを踏襲したものの、今回の「今のリハだからもう1回やらせて」は前作の「でも結婚できないんですけどね!」からの「はぁぁぁぁ???」には到底及ばず、いくら桑野が変な人でもこれは無い…。

結局早紀(深川麻衣)に関しては一定以上距離を縮めることも無く終了。有希江(稲森いずみ)はみんなが桑野を否定する場面でも唯一肯定するなど桑野がいい人である事を早くから認めていて好感を抱いている様子だったが…。最終回手前での桑野とのもんじゃ焼きでもんじゃ道を散々並べ立てる桑野に対して上回るもんじゃ通っぷりを見せて桑野を上回り、最終的に楽しかったとコメントするまでは良かったが最終回になった途端に、まどかと桑野のケンカがいい感じに見えるからまどかをたきつけるためにわざと楽しかったと言ったがだったと言い出した。さらに自分が桑野と対等に話せるのは自分が桑野に合わせているからだなどと突如上から目線な事を言い出して本当は桑野さんみたいな人は無理みたいな事をのたまうという超脚本になってしまい、これまでわずかに積み重ねてきたキャラクター像をバッキバキにへし折る始末。

視聴率的にもパッとせずに終わってしまうなど終わってみればけっこう散々になってしまった。その場その場では確かに面白かったけど、桑野珍行動を単発で見せられるだけで連ドラとしての物語の連続性が割と致命的に無かった…。

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チート~詐欺師の皆さん、ご注意ください~

2019年秋ドラマ、日テレ系プラチナイト木曜ドラマF枠(木曜23時59分~0時54分枠)。全10話+最終回後にHulu限定で『チート~詐欺師の皆さん、まだまだご注意ください~』が2分割(12分×2)で配信された。Huluは未見。

捜査2課の刑事安斎(風間俊介)が非合法に設立して独自でメンバーを集めて結成した詐欺師を騙し返し摘発するスペシャリスト集団「チート」の活躍を描いた詐欺エンタメドラマ。主人公の星野沙希(本田翼)は頭脳担当で騙しの天才的素質を見込まれてスカウトされ、元探偵の根岸(上杉柊平)、元ハッカーの美月(福原遥)が同じくメンバーだが、そこにお人好しすぎて騙される天才である加茂(金子大地)が安斎によって加入させられて物語が始まる。

各メンバーはお互いの素性を詮索しないルールを当初設けており、労働時間を決めて活動している沙希は売れない地下アイドル如月モモとしても活動していた。

初回では加茂がチートメンバーに騙されて何が何だか分からないままに加入させられ、ワケの分からないままに詐欺師集団摘発のために使われるという展開。割とよくあるパターンというか、騙し騙されの世界では全く使い物にならない騙されやすいお人好しキャラを使って頭脳担当の主人公らが暗躍して詐欺師を捕まえるという。同じ日テレだと『怪盗 山猫』的なパターン。

1話完結で詐欺師をやりこめて逮捕していき、さらに主人公の星野沙希の別件アイドル活動、そして過去の匂わせ…と続きモノの要素もあり、毎回意味深な安斎(風間俊介)、逮捕された詐欺師が必ず憧れの存在として口にする詐欺師の名前ナミオカ、それは安斎の同期の刑事蓮見(桐山漣)が執拗に追いかける詐欺師でもあり、その人物がどうも星野沙希の父親らしく…と謎のふりまき具合は面白かったんだけど、組み合わせ方が奇異だった。

アイドル活動の方は富田望生、横田真悠との3人組ユニットになっているが、ぽっちゃり系の富田望生を1番人気のセンターとして扱うという珍妙な展開。この人、映画『あさひなぐ』でもぽっちゃりキャラなので1人だけ乃木坂46メンバーではない外部から起用され、『3年A組』でも食いしん坊パワーファイターキャラ扱いでアイドルキャラではない。そもそもアイドル活動時モモとしての星野沙希が完全に別人格。普段の終始不機嫌でぶっきらぼうな沙希に対してモモの時はちょっとズレた年長アイドルみたいな性格で共通点が一切無く、オンオフでキャラを切り替えている様子すら無いので沙希とモモどっちが素でやっているのかも分からないという…。

刑事安斎はかなり性格が破綻して終始薄ら笑いを浮かべてヘラヘラ何かを企んでいるという組織のやべぇボスみたいで、毎回逮捕した犯人をどう見ても取調室ではないような部屋で追い詰めていく様子ばかりで本当にちゃんと逮捕して警察に収監させているのかも怪しく、これで普通に刑事ならキャラとして破綻しているようなレベルで怪しかった。

7話からはいよいよ物語が本格的に動き出し、まず安斎が被害者(依頼者)として連れてきた木﨑ゆりあが実はチートを翻弄するために安斎が送り込んだ刺客だったなんていう展開でラスボス風というか安斎が本当に黒幕だったという展開へ一直線。この過程で17歳のJKだと年齢詐称していた美月が演じている福原遥と同じ21歳だった事と、元探偵を名乗っていた根岸がただの職歴なし男だった事が発覚。

続く8話では安斎不在で加茂が連れてきたアイドル仲間のチケット詐欺案件を手掛けることになり、沙希=モモが根岸・美月にもバレてしまう展開となったが、これまで別人格のようだっただけにちょっと気まずいだけで普通に受け入れてるし、何だかきれいに双方が交わらない感じに。さらに沙希の父親=ナミオカと関係しているという思わせっぷりもフェイクで、沙希の父親は自ら出頭してきて安斎が姿を見せると「ナミオカを押し付けようとしている奴を確かめたかった」とコメント。ナミオカというのは安斎が仕組んだ架空の存在であり、安斎こそが黒幕、1話から逮捕してきたはずの詐欺師たちも蓮見の調査では実際には逮捕されてなかったことが判明。

安斎は元々詐欺師で学生の頃(?)に沙希の父親にスカウトされて組んで詐欺を働いていたが、蓮見の父親が騙された詐欺の一件などに関わったころには既に安斎の方が詐欺師として上回ってしまっていてつまらなくなった安斎は沙希の父親に全てを押し付けさらに沙希を事実上の人質にして沙希の父親が国外逃亡せざるを得ない状況に追い込んだという。再度沙希を利用して安斎が動き始めたので帰国した沙希の父親はナミオカなる人物が安斎だと確証を得ると自ら自首して蓮見に情報を流したので結局後は取調室に出てくるだけで終わってしまった。

そして安斎は巨大な詐欺を実行するためというよりそっちはオマケで沙希を使って新たに遊ぼうというノリでチートを結成、ナミオカという詐欺師憧れの存在を作り出しつつナミオカに憧れて犯行に及んでいた詐欺師たちをチートに確保させて、仲間に引き入れていた(ただし役者の都合上、最終展開で再登場したのは木﨑ゆりあなど一部のみ)。つまり刑事にしてはラスボスみたいな怪しい奴というキャラ通りにそのまま詐欺師の極悪犯だったっていう。

9,10話は地続きになっていて安斎がいよいよ行動を起こして姿を消し、チートに全て罪を着せようとしてきたのでチートが安斎を追う事になるが最終的に沙希が逮捕されてしまうという追い詰められ展開で9話を消費。9話の段階で既にあちこちに怪しい合図が仕込まれまくっていて、案の定10話での大逆転安斎逮捕劇では9話から既に安斎を騙すためのトリックが始まっていてチートは蓮見とも連携して逮捕もわざとで、機が熟すのを待っていたという種明かし回となり、ついに安斎確保。

しかし運ばれていくパトカーの中の刑事が6話で捕まえた詐欺師=安斎の仲間だったためあっさり逃亡。安斎の罠で詐欺師の娘であることが報道されてしまった上に、安斎確保のために一時自らを逮捕させる作戦だったため逮捕されたことまで報道された沙希はアイドルとしてのモモを引退しようとするが仲間たちのあたたかな声援でどうするのかあいまいなところで終了。さらにもう組んでいる必要が無いはずのチートメンバーも今後も一緒に行動するつもりのような感じ+そもそも安斎逃亡するので何か狙っているかのようにそんなチート面々を背後から見ている謎目線で終了。

なんだかんだ騙しの手口は鮮やかで面白かったけど、やはり地下アイドル兼任の主人公という謎設定が最後までかみ合ってなくて単なる二重人格みたいになってたのが…。アイドルを今でも続ける理由とかもう少し明かされるのかと思ったら、子供の頃からアイドルに憧れれいたという話が出た以外に何の動機も無かった。

結局は27歳になった本田翼に思いっきりアイドルをやらせたい!っていうのと本田翼に思いっきり罵りキャラやってもらいたい!っていうどう考えても両立できない破綻した設定をトチ狂ってまとめて実現してしまったというそんな本田翼ファンの制作側が御乱心で設定組んだようなドラマだった。終始ちゃっかりキャラで一貫していた福原遥の方が印象的だったな…。

CHEAT チート 〜詐欺師の皆さん、ご注意ください〜 Blu-ray BOX
本田翼, 金子大地, 上杉柊平, 福原遥, 岩本照, 富田望生, 横田真悠, 清原翔, 池内万作, 桐山漣, 風間俊介
TCエンタテインメント (2020-05-08)
CHEAT チート 〜詐欺師の皆さん、ご注意ください〜 DVD-BOX
本田翼, 金子大地, 上杉柊平, 福原遥, 岩本照, 富田望生, 横田真悠, 清原翔, 池内万作, 桐山漣, 風間俊介
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2019秋