2019年秋ドラマ、日テレ系プラチナイト木曜ドラマF枠(木曜23時59分~0時54分枠)。全10話+最終回後にHulu限定で『チート~詐欺師の皆さん、まだまだご注意ください~』が2分割(12分×2)で配信された。Huluは未見。
捜査2課の刑事安斎(風間俊介)が非合法に設立して独自でメンバーを集めて結成した詐欺師を騙し返し摘発するスペシャリスト集団「チート」の活躍を描いた詐欺エンタメドラマ。主人公の星野沙希(本田翼)は頭脳担当で騙しの天才的素質を見込まれてスカウトされ、元探偵の根岸(上杉柊平)、元ハッカーの美月(福原遥)が同じくメンバーだが、そこにお人好しすぎて騙される天才である加茂(金子大地)が安斎によって加入させられて物語が始まる。
各メンバーはお互いの素性を詮索しないルールを当初設けており、労働時間を決めて活動している沙希は売れない地下アイドル如月モモとしても活動していた。
初回では加茂がチートメンバーに騙されて何が何だか分からないままに加入させられ、ワケの分からないままに詐欺師集団摘発のために使われるという展開。割とよくあるパターンというか、騙し騙されの世界では全く使い物にならない騙されやすいお人好しキャラを使って頭脳担当の主人公らが暗躍して詐欺師を捕まえるという。同じ日テレだと『怪盗 山猫』的なパターン。
1話完結で詐欺師をやりこめて逮捕していき、さらに主人公の星野沙希の別件アイドル活動、そして過去の匂わせ…と続きモノの要素もあり、毎回意味深な安斎(風間俊介)、逮捕された詐欺師が必ず憧れの存在として口にする詐欺師の名前ナミオカ、それは安斎の同期の刑事蓮見(桐山漣)が執拗に追いかける詐欺師でもあり、その人物がどうも星野沙希の父親らしく…と謎のふりまき具合は面白かったんだけど、組み合わせ方が奇異だった。
アイドル活動の方は富田望生、横田真悠との3人組ユニットになっているが、ぽっちゃり系の富田望生を1番人気のセンターとして扱うという珍妙な展開。この人、映画『あさひなぐ』でもぽっちゃりキャラなので1人だけ乃木坂46メンバーではない外部から起用され、『3年A組』でも食いしん坊パワーファイターキャラ扱いでアイドルキャラではない。そもそもアイドル活動時モモとしての星野沙希が完全に別人格。普段の終始不機嫌でぶっきらぼうな沙希に対してモモの時はちょっとズレた年長アイドルみたいな性格で共通点が一切無く、オンオフでキャラを切り替えている様子すら無いので沙希とモモどっちが素でやっているのかも分からないという…。
刑事安斎はかなり性格が破綻して終始薄ら笑いを浮かべてヘラヘラ何かを企んでいるという組織のやべぇボスみたいで、毎回逮捕した犯人をどう見ても取調室ではないような部屋で追い詰めていく様子ばかりで本当にちゃんと逮捕して警察に収監させているのかも怪しく、これで普通に刑事ならキャラとして破綻しているようなレベルで怪しかった。
7話からはいよいよ物語が本格的に動き出し、まず安斎が被害者(依頼者)として連れてきた木﨑ゆりあが実はチートを翻弄するために安斎が送り込んだ刺客だったなんていう展開でラスボス風というか安斎が本当に黒幕だったという展開へ一直線。この過程で17歳のJKだと年齢詐称していた美月が演じている福原遥と同じ21歳だった事と、元探偵を名乗っていた根岸がただの職歴なし男だった事が発覚。
続く8話では安斎不在で加茂が連れてきたアイドル仲間のチケット詐欺案件を手掛けることになり、沙希=モモが根岸・美月にもバレてしまう展開となったが、これまで別人格のようだっただけにちょっと気まずいだけで普通に受け入れてるし、何だかきれいに双方が交わらない感じに。さらに沙希の父親=ナミオカと関係しているという思わせっぷりもフェイクで、沙希の父親は自ら出頭してきて安斎が姿を見せると「ナミオカを押し付けようとしている奴を確かめたかった」とコメント。ナミオカというのは安斎が仕組んだ架空の存在であり、安斎こそが黒幕、1話から逮捕してきたはずの詐欺師たちも蓮見の調査では実際には逮捕されてなかったことが判明。
安斎は元々詐欺師で学生の頃(?)に沙希の父親にスカウトされて組んで詐欺を働いていたが、蓮見の父親が騙された詐欺の一件などに関わったころには既に安斎の方が詐欺師として上回ってしまっていてつまらなくなった安斎は沙希の父親に全てを押し付けさらに沙希を事実上の人質にして沙希の父親が国外逃亡せざるを得ない状況に追い込んだという。再度沙希を利用して安斎が動き始めたので帰国した沙希の父親はナミオカなる人物が安斎だと確証を得ると自ら自首して蓮見に情報を流したので結局後は取調室に出てくるだけで終わってしまった。
そして安斎は巨大な詐欺を実行するためというよりそっちはオマケで沙希を使って新たに遊ぼうというノリでチートを結成、ナミオカという詐欺師憧れの存在を作り出しつつナミオカに憧れて犯行に及んでいた詐欺師たちをチートに確保させて、仲間に引き入れていた(ただし役者の都合上、最終展開で再登場したのは木﨑ゆりあなど一部のみ)。つまり刑事にしてはラスボスみたいな怪しい奴というキャラ通りにそのまま詐欺師の極悪犯だったっていう。
9,10話は地続きになっていて安斎がいよいよ行動を起こして姿を消し、チートに全て罪を着せようとしてきたのでチートが安斎を追う事になるが最終的に沙希が逮捕されてしまうという追い詰められ展開で9話を消費。9話の段階で既にあちこちに怪しい合図が仕込まれまくっていて、案の定10話での大逆転安斎逮捕劇では9話から既に安斎を騙すためのトリックが始まっていてチートは蓮見とも連携して逮捕もわざとで、機が熟すのを待っていたという種明かし回となり、ついに安斎確保。
しかし運ばれていくパトカーの中の刑事が6話で捕まえた詐欺師=安斎の仲間だったためあっさり逃亡。安斎の罠で詐欺師の娘であることが報道されてしまった上に、安斎確保のために一時自らを逮捕させる作戦だったため逮捕されたことまで報道された沙希はアイドルとしてのモモを引退しようとするが仲間たちのあたたかな声援でどうするのかあいまいなところで終了。さらにもう組んでいる必要が無いはずのチートメンバーも今後も一緒に行動するつもりのような感じ+そもそも安斎逃亡するので何か狙っているかのようにそんなチート面々を背後から見ている謎目線で終了。
なんだかんだ騙しの手口は鮮やかで面白かったけど、やはり地下アイドル兼任の主人公という謎設定が最後までかみ合ってなくて単なる二重人格みたいになってたのが…。アイドルを今でも続ける理由とかもう少し明かされるのかと思ったら、子供の頃からアイドルに憧れれいたという話が出た以外に何の動機も無かった。
結局は27歳になった本田翼に思いっきりアイドルをやらせたい!っていうのと本田翼に思いっきり罵りキャラやってもらいたい!っていうどう考えても両立できない破綻した設定をトチ狂ってまとめて実現してしまったというそんな本田翼ファンの制作側が御乱心で設定組んだようなドラマだった。終始ちゃっかりキャラで一貫していた福原遥の方が印象的だったな…。
TCエンタテインメント (2020-05-08)
TCエンタテインメント (2020-05-08)
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