いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46

2019年7月公開。2015年の『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』以来2作目の乃木坂46のドキュメンタリー映画。監督は岩下力。2018年秋頃からゆるっと監督による密着撮影が開始されたが、乃木坂46の現場ではほぼ常にメイキングカメラが回っているため当初は特にメンバーにもドキュメント映画の撮影が始まっているとは知らされず、12月の若月佑美の卒業セレモニー後に映画第2弾の制作が知らされた。

公開開始から間もなくしてキャプテン桜井玲香が卒業を発表したが撮影時知らされていなかったため今作はシングル「Sing Out!」発売直後頃までを西野七瀬の卒業を軸にしてまとめた内容となっている。

2019年12月25日にBlu-ray/DVD発売。

コンプリートBOX、スペシャル・エディションの2種発売。
DISC-1は映画本編・予告。
DISC-2は完成披露上映会舞台挨拶、初日舞台挨拶
コンプリートBOXのみDISC-3は4期生初の映画舞台挨拶ツアー
コンプリートBOXのみDISC-4はDOCUMENTARY of 乃木坂46アウトカット集

コンプリートBOXは生写真5枚、フォトブックレット付属の特製アウターケース仕様。
スペシャル・エディションは初回仕様のみ生写真1枚、特製アウターケース仕様。

レンタル版はDVDのみで本編1枚。

前作とは異なるがフラットな作風

前作の監督丸山健志は初期からのMVを撮影し続けていた旧知の監督だったが、今作の監督岩下力は乃木坂46のことは名前しか知らず、監督依頼と撮影を通してメンバーや乃木坂46の事を知っていった経緯から、今作自体が監督視点で見た乃木坂46として監督目線のテロップで進行していく。

前作は特定のメンバーのみにスポットを当てて乃木坂46の活動よりも個人のパーソナルに迫るような内容で、加えて母親目線のナレーションを入れるという若干作りこんだ感じでやや暗い部分の多い映画だったが、今作は監督が乃木坂46を知らないのでけっこうフラットな視点で見たまま、感じたままをテロップしながら伝えていく構成。過度な演出や作りこんで感動させようとする仕掛けが無くて自然な感じで見やすかった。ややカメラの切り替えがシパシパ早くて明確な何かがあるわけでもなく、本当に映し出されたままを感じるようなスタンスなのでまとまりがない感じもするんだけど、暗くなりすぎず、メンバーの様々な思いを映し出している印象。

特に過酷な面を映し出してそれでも頑張っている少女たちの姿を見せて感動を誘うというAKB48的な手法が当たって以降それがフォーマットになってしまった部分はあまりドキュメントを見せてこなかった乃木坂46でさえも前作では急に見せてきた感じがしてこういうのはもういいかなと思ってしまったので、今作はそういったフォーマットに乗っからずに制作されたのは大きかったのかなと。その分だけ他のドキュメントより監督の目線が強いので好みは別れるかもしれないけど、辛さを強調せずにフラットに見せてくれたのは個人的にはかなり良かった。

また卒業に対するスタンスの違いなども各メンバーのインタビューを軸に差が出ているのは興味深い。結局この直後に桜井が卒業を発表、白石もこの映画公開の夏頃に卒業を決断したようなことを後に語っているので心境の変化を拾いきれてない部分はあるんだろうけど。

斎藤飛鳥多め

西野七瀬の卒業を軸にはしているんだけど、監督が気に入ったのか、若いエースという事で西野以外の部分は飛鳥メインでという運営の指示があったのかは不明だが、斎藤飛鳥の出番が多く、後半は成人式への出席や同窓会への出席、さらにはラストカットが海外旅行に同行というかなり飛鳥押し。独特の立ち位置や考え方を持っていてクールそうで実は熱い部分もある人だけに他のメンバー以上に興味深くて少し深く密着して話を聞きたくなるのも分かるんだけど、他はせいぜい与田祐希の実家帰省密着くらいしか個人のプライベートに踏み込んだところがない上に与田も尺自体は短いのでやけに飛鳥プライベートだけ長いなというのはある。散歩というより”ヤギに引きずられる与田ちゃん”というのはそれはそれでなんだか面白いのでもう少し見たかったけど作風には合わないか。アウトカット集の方で与田が地元小学校でロングトークしている部分も見れるんだけど、確かにアウトカットだなぁという感じはするし。

特典映像のDISC-2の舞台挨拶の方は映画の補足的な部分もあるんだけど、DISC-3の4期生の舞台挨拶ツアーはまあ初々しさくらいしか…。4期生の加入も映画の流れの中では出てくるんだけどどうしてもメインにはなってないし、その4期生だけで舞台挨拶してもどちらかというと観客目線に近くなってしまうわけで…。アウトカット集は一応ナレーション説明も入り、割と忙しない印象の本編よりも割と何でもない風景ではあるんだけどゆったりした感じでこれはこれで良かった。

★★★★☆

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