2019年2月公開。
原作は魔夜峰央による少女漫画誌『花とゆめ』に82~83年に連載された漫画。作者が当時埼玉県の所沢市に転居した事から埼玉ディスをネタにして連載が開始されたが、程なく横浜に引っ越したことや、今作自体が漫画としての強烈なストレス下において執筆(近所に編集長ら漫画家生命を左右する偉い人が住んでいた)していて作者曰く追い詰められおかしくなっていた状態で執筆されていた事もあって、連載は中断されたまま未完となった。86年には短編集『やおい君の日常的でない生活』に収録された。
本来そのまま埋もれて消えていたはずだったが、2015年頃からネット上で発掘されて大ウケするようになり、復刊したところ予想以上のヒットを記録。その勢いでついに映画化となった。
原作が未完のためオリジナルでの完結及び作中の話を過去の伝説の話として、現代パートも新たに設定された。高校3年生の役で45歳のGACKTが起用された。
埼玉ネタがかなり細かく満載なので、地名・店名等知っている埼玉県民であるとより楽しめるがそうでなくても思い切りの良いありえない設定でのトンデモ描写の数々はぶっ飛んでいて十分に楽しい。一方で地名がたくさん出てくるものの、千葉や群馬も含めて実際の現地とは大きくかけ離れた僻地か砂漠かというような光景に描かれているのでご当地モノ(いわゆる聖地的な)のような要素はほぼ皆無。原作者が実際に今作を執筆していた土地にして原作でも出てきた所沢にしても今作では結局「所沢に来るか?」という台詞は出てくるが、所沢を目指している様子がそもそもなく、本来であれば所沢へは西武池袋線で池袋から電車1本で行けるが追われる身となったため逃走ルートは池袋に出た後で千葉や茨城経由で春日部に入っていくというルートで所沢からむしろ遠ざかってしまい、所沢に行かない(現代パートで熊谷を出しているが、秩父とかも含めて出てこない)。
良くも悪くも架空色が強く、地名は出てきても実在するその場所は出していないため、映画を通してその場所がネタ扱いのイメージとして定着するような事も無い。これは配慮なのかは不明だが、埼玉ディスとして話題になったとはいえ、これを見て怒る人はよほど短気かよほどセンスが合わなかったかといった感じで、嫌な感じは全くなかった。
設定やストーリーはあってないようなものではあるけど、一応郷土愛を打ち出しつつも物語自体もきちんと着地。コメディとしても例えば堤監督とか福田監督とかみたいに監督の名前がもう先に出てくるくらいの個性的な芸風やギャグの詰め込みが無くて、いい意味で誰が監督というのが見えないのも良かった。
独特の埼玉県の県民性とか立ち位置というのを程よく落とし込んだ面白い映画だった。
★★★★☆
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) (2019-09-11)
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