テレビ朝日「土曜ナイトドラマ」枠(23時15分~)。前クールの「おっさんずラブ-in the sky-」終了から1月の間はこの枠でドラマの放送は無く、2月開始となり7話で終了した。
1話
「都心から離れた那野県のある商店街」が舞台とされ、少し田舎の街という設定のようで商店街で亡くなった祖父亡くなった祖父(森本レオ)から受け継いだ時計店を営む若き女性店主の時乃(浜辺美波)は祖父から時計だけでなくアリバイ崩しの技術も継承していて、1回5000円でアリバイ崩しの依頼も承っていた(とはいえ刑事の係長によると1度だけ依頼して解決してもらったことがあったとの事なので祖父の時代にバリバリ御用達だったわけではない模様)。
霞が関から飛ばされてきてこの町の警察で管理官になった察時(安田顕)と時乃は偶然交通事故に現場に居合わせたが、被害者の小説家の男は殺人を自供して死亡。しかし死後に調べたところ殺害時間と行動がかみ合わず殺害は確かながらアリバイが証明されるという事態になってしまう。察時の名前が美幸(よしゆき)だったため女性と勘違いして下宿の依頼を受けていた時乃は美幸(みゆき)という女性ではなく男性だった事に驚くが刑事ならいいかという事で下宿が決定。何度かアリバイ崩し承りますをアピールするもプライドの高い察時は拒否していたが、署内でも意地になって孤立したことでこっそり依頼。宣言通り時乃により事件は解決し、察時はしっかり5000円払って自分の手柄にするのだった…。
トリック自体はそもそも小説家の男は殺したと思っただけで殺していなかった、被害者女性は生きていて帰宅したが女性のマンションの管理人が小説家の男のファンで、女性と別れたかった小説家の男は管理人に部屋に忍び込んで何か弱みを探してくれと依頼していたが思ったより早く帰宅してきたため衝動的に殺害…というけっこうテキトーな顛末だった。
アリバイ崩し専門というだけあってさすがにアリバイの方に重点が置かれているな…。基本的には浜辺美波のアイドルドラマといった趣きで昨年NHKで3日間だけ放送された『ピュア!~一日アイドル署長の事件簿~』から腹黒要素を取り除いたような明るさで浜辺美波がマイペースでニコニコ可愛いというところに比較的特化しているような印象も。あと刑事のレギュラーが多めでキャラが濃いというかけっこうコメディノリだったかな。
2話
星野真里が元夫の忍成修吾に殺される事件が発生したが忍成修吾には鉄壁のアリバイがあった。前回手を借りたものの2度と時乃に依頼しないと察時は頑ななだったが、店外に「アリバイ崩し承ります」の張り紙を出して広く募ろうとする時乃に危険が及ぶのを危惧して自分専属でアリバイ崩しを請け負ってくれと契約。毎回察時がなかなか依頼しない事で時間を引っ張るパターンが続くかと思ったらここはあっさり進行した。
事件自体も冒頭で殺害シーンを見せながらも真相は今回もアリバイ崩し以外にもう一展開あって、余命短いと悟った星野真里は借金のある弟に保険金が降りるように忍成修吾に殺害を依頼して忍成修吾には鉄壁のアリバイを用意してあげていた、というもの。結局忍成修吾が逮捕されてしまったものの、保険金は弟に行くので星野真里的にはどうせ死ぬならオールオッケーなんだろうけど、けっこう葛藤してた忍成修吾にしてみれば踏んだり蹴ったり…。
3話
夢遊病で姉を殺したかもしれないという橋本マナミのアリバイを探す、という崩すのではなく探す展開に。3話で早くも逆展開になるとは思わなかったけど、今回は前2回ほどひっくり返す流れでもなく普通にもう1人のゲスト木村了が犯人。アリバイ探しは祖父から教わってないと言いつつ、特に苦労する様子もなかったので少し拍子抜けではあった。
4話
家族旅行に出かけていたはずの察時から時乃にヘルプが入り、雄馬(成田凌)を運転手にして長野の山荘で起きた殺人事件の解決に奔走する話。これに伴いいつもの刑事レギュラー陣は一掃され、察時、時乃、雄馬の3人のみ+いつもの自宅風呂ではなく露天風呂入浴シーンとなり、これがアイコン画像やニュースになるという浜辺美波のアイドルドラマとして実に一直線な展開に。ゲスト俳優陣も地味な面々でいつもは犯人やその関係者がゲスト枠で公式紹介されているのに疑われることになる少年と刑事のデビット伊東の2人しか掲載してもらえず肝心の犯人のオッサンがゲスト枠に載せてもらえない端役扱いになっている始末。察時が家族旅行という事で妻と娘登場かと思いきやドタキャンされて1人旅になってしまったという扱いで登場すらしないし…。
4話にしてもう察時が開始直後から頼りっぱなしなのも面白かったが、時乃がアリバイ崩しをしている事を知らない雄馬の隙を突いて時乃に情報をもらって結局バレずに自身の手柄として難なく乗り切る察時、そして仲間も少なく疑わてしまった少年をかばいたいという目的でソリの合わない2人が結託するという珍しい展開も見られたのでレギュラー陣減らして舞台変えたのがいろいろ効果的だった(時乃を呼び出した理由が1泊のつもりだったので着替えもってきてくれというかなり苦し紛れだったのを間髪入れずに少年を理由にして結託に持ち込めたのは雄馬の勘が鈍すぎるのもあったが…)。
5話
物語が開始される前の昨年10月に起こった未解決殺人事件の被害者の自宅から10年前の白骨死体が見つかった。殺された家主が横領の罪を着せて殺害した白骨死体の息子が復讐により犯行を企てたと考えられたが天才大学生の息子は自身が捜査線上に浮上するのは父の白骨死体が発見されるタイミングであることを計算して入念なアリバイ工作を練っていた…。
前回は察時と雄馬のみだったが再びいつもの舞台に戻って、これまでほとんど背景だった係長の牧村(勝村政信)が当時事件を担当していたので、雄馬もこれは牧村の事件だと事あるごとに主張。当時から頑張っていた牧村に解決させたいという。
ただ牧村という刑事、雄馬をジュニアと呼んで持ち上げている以外には人の良さくらいしか描かれていなかった上に、昨年10月の事件が未解決だったのも結局全然関係ないところをにらんで捜査を無駄にしたからと自ら振り返っていて刑事としてはかなり無能感が漂っていて「脆弱なアリバイだけど崩せない」などと名言風に言っていたくらいしか出番が無い…。
察時もこの辺は気にして、時乃からアリバイ崩しの真相を聞いた後は牧村だけ呼んで推理を聞かせてその後どうするかは任せると言ってあげたのになんと断りやがり、「刑事としてのプライドがある」「(自分が解決してないのに自分が解決したことにして)仲間を騙すのは嫌だ」などとカッコつける始末。何かヒントになるような証拠を牧村が探してきていたとかわずかでも真相解明に関わっていればまだサマになったけど、結局残った功績が昨年10月の捜査の時点で牧村の捜査方針があさっての方向向いてて迷宮入りしたという事実だけなので無能なまま終わるという。
犯人の大学生は1度出会った時乃がアリバイを崩した事を見抜いて去り際に察時に仲間を騙していて辛くないのかと挑発的にささやいてきたので、連続で騙している騙している言われた察時はさすがに気にして時乃に相談するが、時乃はその辺は気にしていないのでだったら普通にオープンにすればいいじゃないかと告げる。改めて考えた察時はそうなると今までの事も疑われると考え、結局手柄を優先することにして一件落着して次回へ続く。
牧村は頑張っているとか根性論みたいに散々繰り返して台詞で出てきただけに頑張ってるだけで一切の結果を出せてない、でも一丁前の事だけ言うという牧村の描き方にはしんどいものがあった。せめて牧村が調べた何かに解決へのヒントがあったとかだったらなぁ…。
6話
暴力団絡みの拳銃を用いた殺人事件が発生。雄馬の幼馴染の真壁(間宮祥太朗)が登場し、さらにその上司の村木キャサリンという刑事で主題歌を歌っている木村カエラがゲスト出演。圧倒的な女上司オーラを放って退場。何やってるんだ…。
最終章と銘打たれたが今回も普通に1話完結の普通の事件。冒頭で察時と時乃の会話を聞いていた雄馬が2人の関係を疑い事件解決後5000円を支払っているところも見られたのでついに事件を解いてもらっている事がバレた…と観念する察時だったが、雄馬は2人が付き合っていると勘違いしていただけのマヌケだったというオチがついて単なる最終章詐欺だった…。次が最終回だけど特に繋がる要素ないし…。
7話
雄馬の父(德光和夫)の秘書が殺害される事件が発生。もう1人の秘書(西田尚美)から被害者に地盤を継がせる話をしていたのはおかしい弱みを握られていたのではないかと聞かされた察時は徳光を疑う。しかし徳光は時乃の祖父と囲碁仲間でアリバイ崩しの事も知っていた。
という事でラスボス徳光のアリバイを崩す中で時乃に危機が…という煽りで、徳光が無駄に怪しく描写されまくったが、結局犯人は西田尚美。動機が自分の方が尽くしたのに地盤を継がせてもらえなかったというもので、そのために無関係な他人をアリバイトリックに利用して殺すなど最後にして最凶な犯人になってしまった。時乃の事件解決も今回は捜査資料で被害者2人の顔写真を見て似てるなと思っただけで思いついて解決しちゃったのでこれはやはり徳光へのミスリードに手間をかけ過ぎた弊害か…。
そもそも鈍器で撲殺&灯油で放火+ピンポンからの襲撃拘束&撲殺っていくらなんでも79歳になった徳光のあのご老体(公式の設定65歳になってたけど)でそんなアグレッシブな犯行はもう無理でしょ…。徳光の実年齢だと雄馬との年齢差考えたら親子じゃなくて祖父と孫でもおかしくないわけで。
そんなわけで今回は時間も無かったのと徳光は時乃のアリバイ崩しを知っているので時乃が自ら解決し、察時は徳光から手柄は息子にお願いアリバイ崩しは黙ってるからと言われて、証拠を見つけてきた雄馬に華を持たせて万事解決。危険がある事に変わりはないのでこれで最後だと宣言する察時だったが、言ってるそばから難解なアリバイトリックが発生してやはりもう1回頼もうとしているところで終了。
全部終わっての感想
7話しかないので1番遅く始まって1番最初に終わってしまった…。
浜辺美波のアイドルドラマとして実に正しくかわいいドラマだった(枠内のCMでも浜辺美波が出ているCMがガンガン流れてたし)。事件自体もそこまで変な事件は無かったし、脇のキャラも良かったしかわいいだけではなかったし、まだ余裕がありそうで続編も作れそうな感じもあった。
TCエンタテインメント (2020-07-22)
TCエンタテインメント (2020-07-22)
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