金田一少年の事件簿(松本潤版)

金田一少年の事件簿(松本潤版)

キャストを一新しての2代目。2001年にSP→連ドラが制作された。

金田一を松本潤、美雪を鈴木杏、剣持を内藤剛志が演じた。準レギュラーの佐木は当時Jr.の長谷川純。

鈴木杏は堂本版96年『金田一少年の殺人』で都築瑞穂役で出演していた。今作放送時は14歳(SPは誕生日前の13歳)で歴代美雪最年少、中学生で高校生役を演じていた。一方で松本潤は17歳(8月30日生まれなので放送後半に18歳)

内藤剛志は95年1月から今作まで27クール連続で連ドラ出演という新記録を持っているとされていて、記録は今作で途切れたとされるが実際にはレギュラー出演していたこの次の秋クール『科捜研の女』に出ていたので(シリーズモノなのでノーカン扱いなのだろうか?)、実際に出演が無かったのはその次の02年冬クールである。

原作は00年で1度完結、最終巻だった『Case7 金田一少年の決死行』が2月に発売されたばかりで原作終了直後のドラマ化。堂本版以降の原作からドラマ化されているが、『墓場島』までで高校関係者の犠牲者や犯人が多くなっていて原作自体が長編事件で高校関係者が関わる話を自重傾向にあったためか、残っていた未ドラマ化話の大半が高校が舞台にもなっておらず、さらに冒頭やエピローグでも不動高校のシーンがないため、このシリーズの金田一と美雪が制服姿なのは最終回ラストカットのみ。しかし何故かDVDジャケットは制服姿の2人である。ちょうどDVD普及期だったため、当時普通にDVDで発売されていた(『魔術列車』のみタイトル作として発売、『仏蘭西銀貨』が収録されたVol.2だけ1話収録で後は2話ずつ(Vol.4に『誘拐』『魔犬』が収録されている以外は前後編をそのまま収録)のVOL.1~5のナンバリング表記のみ)。2022年にBlu-ray BOX化してSP含めて全話まとめられた。

放送当時は堂本剛版の印象が強く、原作の完結までは短編集、ノベルスまで全購入し続けて見届けるもアニメ版や再度のドラマ化までは興味が無く、スルーしたので一切見ていない。今回Hulu限定配信を機に金田一全シリーズ完走を果たすべく(山田版のSP2作目以降は再度リアルタイムで見ているので山田版のSP1作目までを)、一気に全部見てみた。

魔術列車殺人事件

2001年3月25日2時間SPとして放送。エンディングで続編の可能性を匂わせており、夏ドラマとして連ドラになった。原作のファイル15。堂本版最後のTVシリーズ「墓場島」の次の事件である。

『学園七不思議』に続いて今作でも主題歌は無い。わざわざ最初の単発ドラマのために主題歌は用意しないという方針だったようだが、3代目4代目では単発SPでも主題歌を用意するようになった。

今作での金田一と美雪は小学校以来5年会っていない設定で、美雪はミス研旅行で佐木、女子2名(山田優、神崎詩織)と4人で、金田一がたまたま偶然列車にいて再会。5年経っても変わらぬ無邪気さで金田一への好意を向ける美雪は幼く描かれており、ちょっとした事ですぐに子供っぽくはしゃいだり、金田一に甘えたりするカワイイ妹キャラみたいになっている。金田一は無邪気な美雪に恐ろしく冷たいクールなキャラクター。美雪曰く5年前から変わってしまったらしく、美雪と衝突するが美雪がさわらわれたと知ると即座に追いかけるなど熱い一面も見せ(原作通りなだけだが)、その後は美雪に対する過度に冷たい態度は無くなった。また剣持とも初対面で当初剣持は邪魔者扱い、金田一も生意気にふるまっていたが、美雪を追いかけて罠にはまって凍った湖の下にドボンした金田一を剣持が飛び込んで救出した事でお互い非礼を詫びて和解、事件解決への協力を求める流れ。

撮影時期の関係からか現場が雪景色となり、原作の底なし沼が凍った池にドボンに変更されたが、あんな冷たい水に沈んだら数分で気絶即死してしまうであろうことは広く知られており(当時流行っていた映画で『タイタニック』もそれで死んでいるし、『ホワイトアウト』でもこの方法でドボンさせて犯人を葬る場面がある)、あまりにも無理がありすぎると誰も指摘しななかったのだろうか…。

事件自体はほぼ原作通りだが、堂本版とは違う金田一を作るという意気込みは前面に出ていて、クールな金田一子供っぽい妹キャラな美雪という露骨なキャラクター面での変化も加えていて確かに別物。推理時の偉そうな金田一の態度は豹変ではなく普段の態度の延長でナチュラルな感じにはなり、カッコいいが、愛嬌は皆無になってしまった。美雪もウザカワレベルで子供っぽ過ぎるが、しかし鈴木杏が当時13~14歳と考えると単なる年相応であり、当時の美少女子役として人気だった鈴木杏のかわいさをそのまま生かした感じでもある。なお女子2名(山田優、神崎詩織)は事件発生後電車旅が終わるとそのまま引き返して帰ってしまい、ビデオ要員の佐木しか残らなかったが、残るという美雪に友人(山田優)が言い放った「勝手にすれば~」が地味に酷すぎて吹いた。本当に友人同士なのか。

本人は速攻殺されてしまいほとんど生きているシーンが無いが、団長を演じたのはMr.マリック(素顔バージョン)であり、そのまま作中の手品の監修も担当。高遠(藤井尚之)に犯罪プロデューサー感もないが、でも当初の高遠ってこんな感じで全然いいんだよな。哀しき復讐者であり、最後に母が遺した渾身の復讐トリックに気づいてあえて1度身を退くところも含めてこれで終わっていてもあまり問題なかった。今作では原作のように脱獄して余韻を残すことはせず、金田一に元々は純粋にマジシャンを目指した子供だったはずだ!とキレ気味に怒鳴られてちょっと動揺したまま出番が終わるなど人間味も出ていてよかった。

連続ドラマ 第3シリーズ

堂本版1期2期に続く連ドラでの3期。2001年7月14日~9月15日土曜9時枠で前2シリーズと同じ枠、季節での放送。主題歌は松本潤が所属する嵐「時代」。OPでは「時代」イントロの激しいギターとラァッ!という掛け声部分のみが繰り返し使用され歌は入らない仕様、エンディングで歌の入った主題歌として使用されている。

春の『魔術列車殺人事件』から設定を若干追加変更したのか、金田一はクールなだけでなく、妄想癖があるというコミカルな設定が追加され、毎回謎の妄想シーンが繰り広げられるようになった。また金田一と美雪が5年会ってなかったと設定されていたが、連ドラでは普通に2人は同じ高校の同級生になっていて説明は一切ない。転校してきた様子もなく本当に何も触れないので5年会ってなかった設定は破棄されているのかもしれない。また『魔術列車』冒頭では女子2名(山田優、神崎詩織)が佐木に美雪ばかり映してな~い?とからかうようなシーンがあり、この際にいつも話をしている好きな人がいる(金田一)事を女子2名が指摘すると佐木が「みんな知らないと思うけど(その相手(金田一)とは)5年会ってない」と言い、美雪がそうだと同調すると友人はなんであんたが言うの?という会話があったが、連ドラでは佐木が美雪を好きな様子も全くなく、やはり破棄したっぽい。

今作では連載初期は単独の原作者であったはずの金成陽三郎がアニメ含めた金田一史上最底辺格下げクレジットにされている。ノベルスは最初から天樹単独だったのでノベルス原作の1,2話のみ「原作:天樹征丸、漫画:さとうふみや」、それ以外のエピソードは「原作:天樹征丸、原案協力:金成陽三郎、漫画:さとうふみや」である。原作途中から「原案:天樹征丸、原作:金成陽三郎」とか「原作:天樹征丸、脚本:金成陽三郎」になった末に追い出されるように金成陽三郎は降板してしまい、連載終了は「原作:天樹征丸、漫画:さとうふみや」で迎えており、アニメや原作の文庫化等の再刊の際は初期の金成単独原作作品も全て天樹&金成の連名に書き換えられてしまったが、今回のドラマ化においてはただの原案協力者扱いへの格下げであり、原作当時とこれではあまりに意味合いが違い過ぎる。

山田版、道枝版では名前があった頃は原作者を連名表記という形に変更する形でクレジットしている。結局この松本潤版での参加当時の原作話を一括で協力者扱いに格下げしている時が1番酷く、山田版以降は連名表記へと改善された事になる。さすがに原案協力扱いはやりすぎだったのでは?という事で無難な連名表記に戻したのだろうか(単独原作当時のまで一貫して連名表記にして後からばらすのも「作詞:大黒摩季&ビーイングスタッフ」並に酷いままだけどな)

1,2話 幽霊客船殺人事件

原作はノベルス2作目。ノベルス版は最初から「原作:天樹征丸」であるため、1,2話のみ原作クレジットも「原作:天樹征丸 さとうふみや」表記。堂本版で映像化された『悲恋湖』の動機となった船の事故が今作での過去の船の事故と同一で繋がりがある設定だったが、世界観がリセットされているためこの設定は破棄。

前作で仲良くなったためか冒頭は喫茶店のテラスで剣持が金田一と美雪に新婚旅行のクルーズ船旅行の話をしているが、タイタニックスタイルのパンフを見た金田一が自身がタイタニックポーズをしている妄想世界に突入。そのまま現実世界に移行し、実際に船でタイタニックポーズをキメているところに美雪が現れて驚愕、さらに剣持も出てきて驚愕という導入部分は設定が細かくてややこしい。

冒頭での3人は一緒に旅行に行く話など全くしておらず、剣持は妻と行くつもり、金田一と美雪は個々でそれぞれ船旅に行こうと思い立って3者知らせずに別々に同じ船に偶然乗り込んでいた事が示され、剣持は安ツアーにしたので妻に見限られ出向直前に妻が乗っていなかった事に気づき、妻にアッカンベーされて逃げられる(原作では同行する)、美雪はミス研の2人との女子3人旅行金田一は妄想タイタニックのままに1人旅という超設定である。冒頭から乗船のきっかけが細かすぎるし、謎過ぎる…。特に金田一、孤独を愛しすぎだろ…。あと美雪が「金田一をつけてきた」事にしているHuluのあらすじは捏造しすぎだろ。どういう事だ?という金田一にミス研の旅行でーす!と返しているだけで運命の出会いとか期待してた?タイタ…(ニックごっこをからかって口を塞がれる)と言っているだけで、美雪1人で金田一をつけてきたなら分かるが(それはそれで怖)ミス研の2人と女子3人旅だぞ…。

原作ではもっと若い感じの登場人物たちだったが、船長が団時朗、航海士が伊武雅刀、石原良純、ブラザー・コーン、機関長がいかりや長介と渋いオジサマが集結していて無駄に豪華(良純は既に天気予報&お坊ちゃまイジられキレキャラで役者よりもバラエティタレント化してたけど)。この渋い面々をしかも『帰ってきたウルトラマン』団時朗に合わせたのか、事件のきっかけになった船の事故の犠牲者で責任を押し付けられた相手の船の船長役が『ウルトラセブン』森次晃嗣である。どこに力入れているんだ。

犯人である雛形あきこと序盤で船が揺れた際に事故でキスしてしまって以降金田一が意識してしまい、あからさまに呆けている金田一の様子からくっついていた美雪もそれに気づいてなんか美雪が不憫な感じに…。他人に興味無さそうでスケベでもないこの金田一でなんでそんな余計な要素入れたのか。結果、犯人と分かった時の「謎はすべてとけた」に覇気がなく、ショックを隠せないという…。やはりSPからは設定変更しているように思う。あと騙し芝居から謎解きにそのまま行ったので犯人暴く時にもう雛形と良純の容疑者候補2人しかその場にいない(ミス研女子2人もリストラ)ってのはあんまりだ。

3話 仏蘭西銀貨殺人事件

原作のファイル17。原作当時はノベルス版の作者だった天樹が原案としてもクレジットされるようになった時期で当時のコミックスでは「原作:金成陽三郎 漫画:さとうふみや」の横に少し小さく「原案:天樹征丸」だったが、ドラマ版ではこの話より最終回まで一貫してクレジットは「原作:天樹征丸、原案協力:金成陽三郎」となった。後の文庫版や復刻版等での表記でもここまで格下げした表記にはしておらず、原作は2人の連名扱い(天樹が当時より格上げ、金成陽三郎はステイ)となっているだけに、何故こんな表記になってしまったのか。金成陽三郎が完全に名前が消えてしまったのがCase 2の『銀幕の殺人鬼』(この時は「脚本」扱いに変わっていた)でCase 3からは名前が消え、短編を挟みつつCase 7で原作は終了していた。

冒頭では何の説明もなくミス研の部室らしいところでTVを見ている美雪と女子2人(『幽霊客船殺人事件』でも同行していた空気な部員2名)、そして佐木と金田一。しかし何故か全員私服姿。窓にミス研と貼ってあるのが見えるので部室で間違いないはずだが何故私服なのか。夏休みなので部室に私服で来てOKという事なのか。そもそもSPで5年ぶりの再会だったのにしれっと同じ部室に出入りしているという事は何の説明もなくSPから連ドラの間に金田一は美雪の高校に転校してきていたという事?ウェディングモデルを見て盛り上がる女子3人、自身のキメキメの白スーツ姿を妄想して鏡の前でポーズをキメまくるキモ田一の姿を見て呆れる佐木含めた4人、女子1人は「あれさえ無ければいい人なのにねぇ」という金田一評。金田一の学校での人間関係の情報が少なすぎて一体どうなっているのか分からん…。美雪から話には聞いていたけど金田一と基本的にSPで初対面で佐木はSP、女子2人は『幽霊客船』(SPでの女子2人は宿泊せずに引き返して帰った)で行動を共にしているとはいえほとんど接点が無かった。それで妄想癖が認知されているという事は転校してきてから数ヶ月でそれなりに部室に入り浸って妄想癖を晒しまくっていたのだろうか。『幽霊客船』では女子2人とも「金田一さん」呼びしてて距離感あったんだけど(美雪と5年会ってなかった設定が生きてた)この辺りでしれっと設定変えたっぽいな。

TVに映っていたモデルの1人が金田一と美雪の小学校時代のますみ(吹石一恵)だった。しかし直後にますみが悪い彼氏をSATSUGAIしてしまったという衝撃映像で初の最初から犯人分かってるパターンに。湖に沈めに行くところでスーツケースに死体入れた状態でタクシーに乗るところで金田一に遭遇。追い払うために招待券を渡したますみだったがこれをきっかけに金田一と美雪がショーにやってくる。そんな中ますみが沈めるまでの写真が取られていて脅されながら更なる殺人に手を染める事に…という犯人二重パターンは原作ファイルシリーズ後期の中では新機軸で面白く、1時間で足早にまとめたものの面白かった。ただ詰め込み過ぎたせいかますみと奈緒子が精神的双子だから行動が同じという説明はカット、六条や小夜子殺害動機までバッサリカットされてて一切説明されなかった上に小夜子が犬飼の愛人設定も破棄したため何で奈緒子は次々と殺させたの?状態に(特に小夜子が殺された理由が全然分からねぇよ)…。殺し方(トリック)の説明しかしてないじゃないか。

吹石一恵は松本潤よりも1歳年上で普通にお姉さんに見えるのですました顔してけっこう頑張ってたけど14歳の鈴木杏と並ぶとどうしたって鈴木杏だけお子様に見えてしまい同級生に見えん…。真犯人の鳥丸奈緒子(高橋理奈)と幼馴染の弓削(甲本雅裕)は原作のイメージより少し年上なイメージだった。原作が28歳で当時の2人が30代だからまあそうなるか。

エピローグで謎に剣持、金田一、美雪が海辺の道をドライブしてどこかへ向かっているが(事件解決後にますみと面会した後なので事件の帰り道ではない)、これは次の話の『黒死蝶殺人事件』の舞台に向かっているっていう設定?

4,5話 黒死蝶殺人事件

原作のファイル16。3話ラストで海辺を車で走っていたところから繋がっていて、金田一、美雪、剣持で海で遊んでいたところ(金田一は巨大な砂の城の制作を時代劇妄想しながら行っている)、
家出してきた揚羽(成宮寛貴)と追いかけてきた舞子(佐藤仁美)と出会い、どんなにひどい家から見せてやるという名目で班目家へ行くことになるという設定。なお今作も『悲恋湖』と繋がっていて犯人の遠野そっくりの謎の人物が出てきていたが、やはり堂本版と繋がりが無いため関連設定は破棄

全員女性だった姉妹のうち次女だった揚羽が名前そのままに男性の成宮寛貴に変更。六波羅和馬が舞子(佐藤仁美)と女性に変更された上に遠野要素を除いた深山の設定(次女と恋人同士の設定)も割り振る形に変更。成宮寛貴は新人で初ドラマ出演だったが、なんといきなり父の趣味で着物&化粧姿でパーティーに参加させられるという中性的な役どころなっており、「そっちの人?」と聞かれる(父の趣味だとして否定している)という後の引退理由の1つとして本人がコメントした内容を考えるとかなり際どい事をやらせている…。

外道な元凶、紫紋はムッシュかまやつ。けっこうハマっている。原作と順番を変えて真っ先に殺された長女の舘羽(山口佳奈子)が棒演技すぎる。この人だけ俳優としてのwikiも作られていないが本業じゃなかったのか…?

これにより、るり(柳英里紗)が2番目の犠牲者になったが、原作以上に金田一との交流が描かれ、次に殺されるかもしれないというるりを金田一が絶対守ってやるとボディーガードのように一緒にいる展開が追加された。ここまでの金田一は美雪と剣持以外の他人にほとんど興味を示さなかったが(というか全体にこのシリーズだけ同級生がほとんど出てこないのもある)、るりには妙にお兄さんぶって交流を深めている。美雪もそっちのけな勢いだが、美雪も子供相手に嫉妬する事も無く見守る感じ。しかしあえなく眠らされ、その間にるりは殺されてしまう(現在でも最年少被害者)。

金田一は酷く落ち込んでしまうという珍しい展開となり、剣持が必死に焚きつけるがそれでも心折れたままで、剣持が体を張って捜査を継続(正直あまり意味はない泥池の手探り捜索)しているのを見て、元気を取り戻す。その後美雪も含めた3人で資料を整理する中で、剣持から金田一への呼び方がはじめ呼びに変わり、美雪がいち早く呼び方が変わったことに反応する。3人の関係が深まっていくのが描写された。そもそも部員抜きで3人で海に遊びに行っている時点でだいぶ仲良くなっているが…。

紫紋も殺されて4話が終了したので犠牲者が全員出た後での完結編5話となり、比較的時間のある謎解き&クライマックスへと展開。25年前に自殺した須賀実(舞の海秀平)が20年間植物状態で生きていて5年前に亡くなっていたというオリジナル設定に変更され、これに伴い死後に遺品整理で遺書に近い当時の日記を発見した息子の徹こと小野寺将之(本宮泰風)が5年で復讐の準備を進めていた事になり、人工授精で次々と須賀実の子を産み、紫紋が死ぬ直前にお前の子供じゃないお前が研究を盗んだ須賀実の子供たちだと告げて絶望の中で死なせてやる事こそ復讐と緑(小柳ルミ子)が緑なりの復讐を考えたのは意識不明の状態の中でふいに実が悔しさを無意識で口にしたからに改変。しかしムッシュ紫紋の外道っぷりからしてそんな事を聞かされても絶望以前に動揺しなさそうなんだけど…緑さん的にその復讐、ムッシュ紫紋と夫婦として暮らす中で思った以上の外道っぷりにこの計画を遂行しても復讐にならないかもしれない…とは思わなかったのだろうか。

いずれにせよ紫紋殺害には一片の悔いも無いにしての勘違いで実の妹2名を殺してしまったと知った小野寺は自身のあまりのアホさ加減に絶望して自らにナイフを突き立て、緑もせめて一緒に死んでやると火を放って炎の中で2人揃って自殺。

…するはずが、もう誰も死なせないと熱血な金田一、そして揚羽の性別を変更したのがここで活きて金田一に熱弁された揚羽が漢を見せて奮起し、金田一と揚羽で2人を救い出してしまい自殺を阻止。なんか全然傷が浅そうで普通に意識ある小野寺が地獄だし、揚羽は実が悔しさを口にしたのは緑を疑って自殺してしまった事を悔いてそう言ったのではないかと超解釈を言い出すし、金田一と揚羽的には万事OKで感動的でもちょっとこれはやりきれない…。女装させられていた揚羽が俺だって男だから!で奮起して男を見せるという、ステレオタイプの男だから女だから路線も当時はまだしも昨今じゃこの改変脚本は通らない世の中に変わったよな…と遠い目になってしまった。

あとなんかこの話の美雪は蚊帳の外感が無くて、金田一、剣持と一緒に3人で調べものしたり、3人でノリツッコミワイワイやってたり、これに伴って1人だけ子供っぽいのも薄れて最も原作美雪のイメージに近い美少女ビジュアルも含めて全盛期極まってた。

長女棒読み、元凶ムッシュ紫紋、着物メイクされる新人成宮寛貴、回想で出てきた須賀実が大相撲引退して2年くらいの舞の海…とキャスト選びが常時前傾姿勢で攻めしかない

6話 速水玲香誘拐殺人事件

原作のファイル19。Fileシリーズはこれにて完結。原作は27巻でリセットされて次からはCase 1,2と巻数も改められた(これまでは2,3巻にまたがって事件を収録していたが、Case以降は1事件を1冊にまとめる事になった。しかしそれはそれで1冊に収録可能な話数の制限が生じたため結局前編・後編の2冊編成になったりもしたので数字と巻数は一致しなくなった)。今作をもってファイルシリーズはファイル18「魔神遺跡殺人事件」以外は全てドラマ化されたことになるが、何故か「魔神遺跡殺人事件」はその後3~5代目でもスルーされっぱなしで1度もドラマ化されていない。

『雪夜叉伝説』『タロット山荘』は堂本版で映像化されているため、速水玲香(酒井若菜)の設定を一新。トップアイドル設定はそのままに以前の事件に巻き込まれた設定は破棄され、金田一と美雪の小学校時代の同級生で、金田一が初恋の人としてバラエティ番組に出演、その直後に誘拐事件に巻き込まれたのでそのまま身代金の運搬役に金田一が指名されたという流れ。同級生なので玲香ちゃんではなく金田一は「玲香」と呼び捨て『仏蘭西銀貨』では原作そのままの小学校時代の同級生設定があったので、小学校時代の同級生という設定を安直に使い回した感もあるが…続きモノで続いてないリセット設定で手っ取り早く物語を始めるにはまあこれくらいしか…。

原作では最後に高遠が暗躍しており犯人の計画をプロデュースしていたことが判明し、しかし失敗したのを犯人のせいにして芸術を台無しにしたとかで自殺に見せかけて毒殺するという悪行を行い、以降高遠の犯罪プロデュースネタが増加、ついには原作終了後の次回作『探偵学園Q』では個人ではなく組織としての犯罪プロデュース集団と探偵集団が戦うという天樹さんあんたどんだけ”犯罪プロデュース”ネタにハマったんだよ…とげんなりする勢いだったが、1話完結でそんなことしている時間も意味すら無いので普通に真奈美(有森也実)が自分で考えた犯行という設定に。

改めて見てそれでまとまっているし、高遠がプロデュースする必要全く無いよなこの事件…。不定期登場のライバルにしたかったんだろうけど、やっぱり天樹氏が”犯罪プロデュース”というダークな響きにハマってしまっただけなのでは。マジで高遠が出てくると毎回同じパターンかつ犯人の動機も存在感も薄れるので原作熱一気に冷めたからなぁ…。金成降板からプロデュースネタが本格化した辺りからしてもなんだかね。

事務所社長に浅香光代。当時野村沙知代と互いを批判し合うワイドショーネタ「ミッチー・サッチー騒動」を繰り広げている一方で既にドラマにはあまり出てなかったのでワイドショーなおばあちゃんイメージが強かったのでは…。原作と違って病気設定も無くただケチなだけなのでそこまで好感度は落ちない仕様。

ラストで金田一だけが玲香の本当の母なのではないかと気づき本人は肯定も否定もしない三田村圭子はいしだあゆみ。この設定は原作の方がとってつけ感があるというか玲香の幼少期が『タロット山荘』で判明した過去と合わせてとんでもなく複雑な事になってしまうため、この設定だけの方がスッキリまとまっている。堂本版でドラマ化されてたら混乱招いてそう。

『仏蘭西銀貨』に続いて1話でまとめる弊害なのか推理の一部がカットされていて、発見された時点での玲香の服や靴の汚れの不自然さを金田一が気にかけているかのようなカットはあるが推理で全く言及しないほか、被害者を湖に捨てた理由にも言及せず、ヒゲの長短で玲香の感覚を1日狂わせていた事を暴くのみ。

冒頭でTV出演前に謎に佐木が登場。あまりに出番が作れないので無理やり出した感がハンパなく、いつの間にそんなにじゃれ合うほど仲良くなったんだ

美雪は別行動していて事件を知り、捜査に向かっている剣持を探して飛び込んできて強引に同乗。その後も剣持の制止を聞かずに金田一を心配して先走り、最終的には(誘拐犯に見られたらTHE ENDと思われていて剣持たちも姿を見せるわけにはいかない状況で)つり橋から落ちそうな金田一を助けに飛び出してしまい、その後金田一に玲香がこれで死んだかもしれないんだぞと物凄く冷たい目で突き放される。そこまでの暴走っぷりがウザ酷い勢いだったとはいえ、この突き放しが決定的過ぎて以後出番無く事件にも関与せず。結果的に同級生設定なのに美雪と玲香が全く絡まない展開になってしまった。

エピローグで金田一が美雪に素直に言い過ぎた事を謝罪しているのは好感度高めだが幼馴染を強調しすぎたので美雪はほとんど告白みたいな勢いで好きな人相手に気持ちが抑えられなかったという思いを吐露するがどうせこの気持ちも分からないんでしょうずっと幼馴染でいようと怒って去ってしまい金田一戸惑う。歴代美雪の中でも最も踏み込んだシーンだった。この展開は次へ、そして最終回へ続いていくので明確に完結していないとはいえなんだかんだ最終回にかけて2人の関係の進展も描こうとしていたことが伺える。道枝版ェ

あとやっぱり玲香(酒井若菜)がギャルくないか。キャラ的にはギャル感無かったし、もう少し清純派寄りなルックスの時もあったように記憶しているんだけど前年の『池袋ウエストゲートパーク』もあって酒井若菜が当時こんなギャルい感じだったんだっけ。モーニング娘。全盛期(売上はチョイ過ぎだがタレント人気は絶頂期)で黒髪が珍しいくらい割とみんな茶髪でギャルっぽいのがブームな時代だったのもあるのか。今見るとトップアイドルや若手有望株女優というよりただただギャルタレントにしか見えん…。しかも酒井若菜ってどっちかというと堂本剛世代(80年生まれ、堂本ともさかは79年生まれ)なので松本潤よりも3歳年上で鈴木杏とは7歳も離れている。美雪との共演シーンは無かったが並んだらさすがに吹石一恵以上に同級生には見えなかっただろうな…。

7話 魔犬の森の殺人

原作のCase 1。ファイル19「速水玲香誘拐殺人事件」27巻でリセットされ、リニューアルしてCaseシリーズへ移行。短編を挟みながら短編は短編として少し大きいデラックス版コミックとして適宜まとめ(全6巻)、長編はこれまでのようにコミックをまたがずに1事件1巻でまとめるように変更。しかしそれはそれでコミック1冊分で話をまとめるのが制約になってしまったためか、上下巻の2冊構成もありになったのでCaseシリーズはCase 1~7の7事件だがコミック自体は10冊出た。

セミレギュラーになっていた千家が犯人だったという衝撃の結末だったが、堂本版でさえ千家は出ていないので、準レギュラーだった千堂(山田優)に変更して男女を逆に(彼氏が殺された)。前回ラストに続いて金田一と美雪がケンカ中だったが、ミス研メンバーでキャンプに来ていて、佐木ともう1人の美雪の友人は放置して見せたいものがあると千堂が金田一と美雪を誘い出して悪天候&犬の襲撃によって医大生たちのいる建物に逃げ込んで事件に巻き込まれる形に。置いてけぼりで連絡も取れなくなった佐木ともう1人の友人が不憫…しかも千堂殺人犯でしたと後で知らされるわけだが…その様子すら出てこない…。

作中では金田一も美雪も千堂の事を名前の「恭子」呼びしているが、そもそもこれまでほとんど出番がなく名前を呼んでいるようなシーンも無くほとんど名もなき友人A,B状態であった。「魔術列車」は冒頭だけで帰ったし、「仏蘭西銀貨」でも冒頭の部室シーンだけ、事件に関与したのは「幽霊客船」だけだったが空気で出番はほとんどなかった。今作はキャストクレジットでも主要人物以外は役名が表示されず役者の名前だけ流れていく仕様なのでいつも「山田優」しか表示が無かった。しかし設定上は元々は千堂「百恵」だったのをこの話で急に「恭子」に変更していたらしい。ダイイングメッセージのトリックが名前に数字が入っているというものなので千堂百恵だと数字が2つになってややこしいということなのかもしれないが、千家→千堂構想が最初からあったにしてはお粗末な変更だ。どういうつもりだったのか。前述のように実際には名もなき友人A,B状態だったので見ていても名前が変わった!?と思う事も無く、へ~恭子だったんだー、苗字は千堂だったんだー程度である。

事件自体は不気味な雰囲気と魔犬ケルベロス感を醸し出すために加えて犬の襲撃を恐れて締め切って閉鎖している設定なのもあって終始画面が真っ暗で見にくかった。事件そのものよりも生き残ったメンバーに現在も名脇役な田口浩正ドラマ初出演で貴重な棒演技を見せる綾瀬はるかがいる方が見どころだった。

金田一と美雪がサバイバルな状況+友人が犯人だったという衝撃もあって中盤以降は自然と仲直り。最後に剣持にケンカ中だと聞いていたのに仲良くくっついているとからかわれている時は2人揃ってまだケンカ中だとわめきながらもすっかり仲直りしていて微笑ましい。

8,9話 露西亜人形殺人事件

原作のCase 5。ここまでで最も新しい事件(最終巻の2つ前)。高遠が再登場するが、事件自体は高遠プロデュースではない

死んだ大作家の山之内恒聖(黒沢年雄)が遺産を巡る暗号解読ゲームを仕掛ける。原作とは設定を変え、原作の犬飼高志の設定を全て佐木(長谷川純)に移植。佐木の依頼で金田一、美雪、さらに原作では同行しない剣持も同行するという形に。1番最初のSP『魔術列車』でこそ美雪の友人2人が帰る中で残って終始同行したものの連ドラになってからはビデオ要員として活躍する原作が全く採用されず山田・道枝版での佐木は出番が無くてもくっついてくるけどな、結局出てきたのは『仏蘭西銀貨』の冒頭部室のシーンと『速水玲香誘拐』冒頭の金田一との謎のいちゃつき、『魔犬の森』ではもう1人の友人と共に置き去り放置出番終了(その間に友人1人が犯人になってた)…という惨劇状態だったが、まさかの最後に超大役。しかしほとんど出番がない中で犬飼高志の設定をそのまま受け継いだため、父親の事業の失敗が原因で借金を抱えていて飼い犬も差し押さえられたというほどの困窮状態だったことが間もなく発覚。無邪気な後輩キャラノリで金田一たちに協力を依頼してきたのが、山之内の遺言ビデオメッセージが参加者の闇を暴く内容だったためあっさり借金が知られることとなり、気まずい空気に…。

それでも発覚時点まではまだ後輩キャラを保っていたが、殺人事件が発生すると剣持が異様に張り切りだして暗号ゲームは終了だと警察命令を出して場を仕切り始めた。これまでの剣持に比べてもかなり強引でついには拳銃をちらつかせて無理やり言う事を聞かせようとするほど強硬に暗号ゲーム終了を言い渡すほど。これに他の候補者たち以上に動揺・憤慨した佐木は幽月(山咲千里)の依頼で同行していた高遠に剣持の拳銃を渡して裏切る。高遠が姿を見せて金田一と剣持が驚愕する中で(原作では『魔術列車』の最後で脱獄しているので脱獄は周知だったが、ドラマでは脱獄していないので2人とも脱獄していたのを初めて知る)高遠は佐木から受け取っていた拳銃で剣持の足を撃ちぬいて行動不能にして暗号ゲームを再開させる展開に。以後剣持はケガをしているので行動を制限され、エピローグでも完治せずに足を引きずったままという痛々しい姿に。

実家の借金があった設定に加えて史上最悪な佐木になってしまったが、事件を解くしかないと金田一がその気になった後も「取引ですか?」などと偉そうな態度を崩さず。金田一はそれでも佐木に強く当たったりはしなかったが、美雪は許せない想いを金田一に吐露する…というほどの態度の悪さ。ただ最終的にはおとなしくなっていきほぼ元の後輩キャラに戻っていった。しかしエンディングで特にフォローも無く、借金も返せないまま、登場もしなかったのでどうなってしまったのか…

最初に殺されるのがそのまんま東(後の知事東国原英夫)だったり、初代マンのハヤタ(黒部進)と有名人が出番少ないままにあっさり殺されてしまう一方で、生き残る片桐はいりが当時から片桐はいりで強烈な個性は全く変わっていない。執事は宍戸錠、山之内は黒沢年雄、犯人の父はラサール石井と割と有名な人たちが並ぶ中で幽月役の山咲千里、犯人の橘実里と女性陣2名は歴は長いけど正直あまり見た記憶がない役者だったな…。

高遠は黒髪を降ろしておとなしかった『魔術列車』からグラサンで髪を染めてツンツンヘアーにして割とイケイケでサイコな感じの雰囲気になっていて原作の高遠とは違ってややチンピラとかマフィア感もあったけど、これはこれでけっこうハマっていた。金田一と渡り合う流れにしても最後に人の闇を金田一に突きつけて去っていくところもこの話での高遠は立ち回りがけっこういい。ていうか事件をプロデュースして裏でコソコソして余裕ぶった態度取っているよりもこういう強気な態度での立ち回りの方が光と闇の対比もあってうまく回るような気がする。元々役者ではないミュージシャンの藤井尚之が集中的に役者業でゲスト出演していたのはこの前後の数年間程度しか無かったけどその割には難役を好演していたと思う。

ラストシーンでは初めて制服姿の金田一と美雪(あと友人(神崎詩織))が登場。佐木がどうなったか不明で登場すらしないのと友人が1人になってしまった(2人のうち1人は前話で犯人になってしまったので…)のが少し寂しい…。6話で美雪がほぼ告白めいたことを言ったのを受けてもう少し踏み込むのかと思いきや、金田一がふいに美雪の手を掴んで歩き出してちょっといい感じ程度のままフェードアウト。あわよくば続編への含みも持たせたかったのかもしれないが、せっかくなのでもう少し金田一側からのアンサーは欲しかったかな…。

3年続いた堂本版から4年で今作はやはり当時見ていたらもっと厳しかっただろうなと思った。ていうか当時は見る気すらしなくてスルーしてしまったほど。あの斬新でインパクト溢れる作風も無いので(大げさなくらいにデン!デン!シャキーン!シャキーン!と効果音を鳴らしまくる特有の演出)、全体にインパクト不足に感じてしまうし、音楽も堂本版の印象が強すぎて全くどんな音楽が鳴っていたのか印象に残らない。たぶん前作から4年でこの普通演出というのはリアルタイムで見ていたら致命的でなんだか悪くは無いけどフツー、インパクトが無いという印象だけになっていたと思う。実際は堂本版の堤監督の演出が派手過ぎるだけなんだけど1作目があの個性的な演出だったのは後のシリーズの評価にも未だに強く影響してしまっていて、要するに堂本版演出の刺激があまりに強すぎて2代目以降の刺激が足りない=堂本版が1番面白かった、になってしまうのだ。

今となっては堂本版の要素を一切残さずに新しい『金田一』を普通に作ろうとしたんだなという事で別物としてはまあ普通に面白かった

松本潤の金田一は松本潤のイメージそのままという感じでクールで終始カッコよくやや偉そう。基本的に歴代の中でも最もキツイ口調で犯人を追い詰めているが、犯人を追い込む過程で犯人の失言にニヤリとするような事は無く、強い口調からは正義感の強さも伝わってくるし、最終回では高遠との対比もあって鮮やかに決まっていてよかった。これをドSと雑に解釈したプロデューサーが道枝版で変な指示を出したのが道枝版の「犯人を追い込むのを楽しんでいる?」ように見える態度に繋がったのかなと改めて思った。全然違うよ

『魔術列車』のままではクールすぎるのでもう少しコミカルな面も…という事になったのか、連ドラでは変な妄想癖が加わり毎回冒頭で変な妄想劇を繰り広げて周囲が呆れるというお笑い要素も入れていたがこれは正直滑り気味だったし意味不明だった(その割には無駄に予算かかってたのは時代か)。あとSP版での美雪と5年会ってなかった設定も意味が分からなかった。連ドラ以降は普通に同級生になっているし。ていうか高校のシーン皆無なのが驚き。原作ストックに学園舞台なのが『銀幕の殺人鬼』くらいしか残ってなかったのもあるけど、最終回ラストシーンが初にして唯一の学生服って。

まあこれはほとんど夏休みだったって事で…。『魔術列車』は冬休みか春休みっぽいけど(ミス研の旅行)、連ドラ以降は金田一1人旅&剣持夫婦旅(妻逃亡につき1人旅)、美雪はミス研旅行で『幽霊客船』、『仏蘭西銀貨』は小学校同級生絡みで招待旅行、剣持との3人海旅行で『黒死蝶』に巻き込まれ、『速水玲香誘拐』も小学校同級生絡み、『魔犬の森』もミス研のキャンプ…と基本的にきっかけが遊んでばかりなので全部夏休みだろう。つーか出番ほとんどなかったのにミス研旅行頻度高くね?

堂本版以上にレギュラーキャラは絞っていて、基本は金田一・美雪・剣持の3人のみ。学校が舞台にならないので佐木と友人2名もほぼ空気で、wikiには今作の金田一は”美雪を除く他者とは深く関わろうとせず”と書いてあるけど、これは佐木と友人2名が関わるシーンがほとんどないだけだ。ミス研部室には姿を見せていて妄想癖も知られていたり、佐木と番組出演前にドタバタやっていた事、事件においても剣持と早い段階で信頼関係を築いたり、『幽霊客船』で犯人だった大人の女性に惚れたり、『黒死蝶』で原作以上にるりを守ろうとしていたり、『露西亜人形』での佐木の酷い裏切りに美雪がどうしても許せないと苦悩する中で寛大な心で許していたりと他者との交流はちゃんと描かれていた。ましてや『魔術列車』で5年ぶり美雪と再会から新学期に転校してきたのだとすれば(この設定明らかに破棄されているっぽいけど)夏までに佐木や友人2名に妄想癖を知られるくらいには素を見せていた事になる。

剣持は歴代の中でも原作に近い人物像だったが、それ以上に熱血、ノリノリな面も目立った。『黒死蝶』での金田一・美雪と3人で海に遊びに行くフランクさと落ち込んだ金田一を励ます熱血っぷり、『露西亜人形』でゲーム中止を強行する態度に出て金田一と美雪以外の反感を買って高遠に撃たれるというのが印象的だった。

美雪はこれは…当時見ていたらウザくて嫌いになっていたと思う。ズケズケ踏み込んでくる、アホっぽい、ワガママ…と子供っぽい一面が目立ち幼馴染というより妹っぽいし。同級生の設定が基本的に松本潤と同い年か1,2歳差の役者で揃えられていた上に、佐木役の長谷川純よりも年下だし、唯一友人2人のうち山田優ではない方の神崎詩織だけが鈴木杏と同い年だった。17,8歳が並んでいる中で14歳では幼く見えるのは仕方ない。それゆえのそのまま幼いキャラにしたのかもしれないが、最終的に駄々こねてまで金田一への好き好きアピールまでしたのに金田一側からは美雪に対しては幼馴染以上の感情が無くラストで手を握ってもらうくらいしかアンサーしてもらえなかっただけにますます空回ってしまった。

ただそこを含めても黒髪ロングストレートで黙っている時の鈴木杏は原作美雪を歴代最も完璧再現していてたぶんこの当時の鈴木杏のこれは原作美雪だ…と思うような圧倒的なビジュアルが起用の決め手だったんじゃないかとは思った。実際に鈴木杏が美雪に近い年齢なのは03年『Stand Up!!』(高校1年生16歳)ヒロイン時か05年の『がんばっていきまっしょい』主演時(高校3年生18歳)だが(04年は映画『花とアリス』くらいで連ドラには出ていない)、その頃だともう少し成長していてまだかわいらしさは残っているが今作時ほど美雪感は無くまたちょっとイメージが違う。この瞬間しか無かったような美少女っぷりではあって、なんだかんだこのワガママで子供っぽい美雪も今となっては微笑ましく見れるところもあった。02年の映画『リターナー』はリアルタイムで当時見たけどこの時期の鈴木杏ってちょっとワガママで生意気なだけど甘えん坊で年相応の子供っぽい部分もあってそこがなんだかかわいらしいというのが魅力だったとも思うし、その後なんかまったく違う雰囲気の大人に成長していったのもあってこの時にしか存在しえなかった美雪だったのかなと。

そんなわけで当時見ずに回避した2代目金田一だが、逆に5代目よりも後に見たためか今となってはこれはこれで良かった。続編があった場合にもう少し進展させる余地を残したんだろうけど(高遠も2回出してるし、もう1回連ドラはストック的に厳しい中で原作最終回である『決死行』をやらずに残したのってあわよくば続編SPで…っていう事だったのでは。)、ちゃんと完結させられなかったのが惜しい。

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