第7回ドラマ甲子園『言の葉』

2014年~2020年まで行われていた高校生脚本家の一般公募による大賞受賞作のドラマ化。応募条件は現役高校生で演出を務める準備と覚悟があるものとされており、大賞受賞者は脚本採用だけでなくプロのスタッフと共に監督を務めるというスタイルで毎年制作され、秋頃にフジテレビTWOでCS限定放送、FOD配信されていた。

2020年の7回目を持って終了を発表。この平野水乙による『言の葉』が最終作となった。

今作は2020年10月にフジテレビTWOで放送、FODで配信されたのち、2021年6月8日に深夜枠で地上波放送された。

蒔田彩珠・桜田ひよりのW主演。


高校時代の回想という形で話が進行(現在は幼い子供がいるくらい未来の設定)。

喋るのが苦手で感謝していても咄嗟に否定・拒絶するような冷たい言葉を発してしまい相手を傷つけてしまうという特殊なクセがある香里(蒔田彩珠)はその言動からクラスでイジメに遭いつつあり、かばってくれる歩美(箭内夢菜)にも同様の態度で罵声を浴びせてしまい感謝を伝えられずに悩んでいた。そんな中、公園の木の下で突如葉っぱにメッセージを託しながら現れた言葉を発する事ができないという謎の少女咲(桜田ひより)から友達になってほしいと伝えられる。クセを発動させながらも仲良くなった2人、咲の助言で歩美と幼馴染の武史(宮世琉弥)との3人組で仲良くしてもらう事に成功。自身のクセの事も話して徐々に打ち解けていくが一方で咲とは疎遠になっていった。

同居する祖父(泉谷しげる)が「咲」という名前に何か心当たりがありそうな気配を漂わせ、友達は大切にしておいた方がいいと過去の後悔を滲ませながらアドバイスしてきたので一応再度咲に会いに行く香里。咲は明日どうしても会いたいと言ってきたが妙に必死な態度で不信感を持った香里はクセを発動させ咲を突き放してしまう。その後歩美と武史と遊んでいた香里だったが、武史から昨日何故あの公園に”1人で”いたのかと問われ、さらにあの公園で大昔に亡くなった子がいてその子は言葉を話せなくて孤立して死んだ、その子が幽霊になって出没すると近所でも噂になっている、あまりに噂が大きくなったので木を切り倒す事が決定してそれが明日だと告げる。

出現時から幽霊フラグバリバリだったのに今更ようやく咲が幽霊だと気づいた香里は大急ぎで駆けつけて咲と和解。号泣の中で、咲は感謝を告げて消え去っていった。香里は歩美と武史と本当の親友となり高校生活を謳歌、現代に戻って子供を送り出す香里の姿で終了。

言葉の大切さをテーマにした若さ溢れるそこそこいい話…という感じだったが、咲が幽霊だろうというのは「世にも奇妙」よりも遥かに分かりやすいレベルで特にひねりもなかった上に、何故か木が伐採されるより前に満足して消えてしまう、幽霊になっても喋れないままかつ昭和30年代からずっと地縛霊化していたってけっこうどころじゃなくて魂に救いが無さすぎないかというのはちょっとあった。

また祖父が孫から聞いた「咲」という名前だけで何十年も前の事を思い出して気にかけ、卒業アルバムを引っ張り出して当時の咲の写真を確認していたことから咲が祖父と同級生であった事まで判明、祖父は友達になってあげられなかったという後悔を背負っているっぽい事など意味深なカットがドカドカ出てきたのに祖父それっきり出番無いし。まあ確かに同級生とはいえ変わり果てた老人(泉谷しげる)と当時の姿のままの少女(桜田ひより)相対したところで絵にならなすぎるのも分かるが…。

香里の悪癖にしてもそうした悩みを抱えている人もいるんだろうけど、個人で悩み続けたり、理解のある友人と巡り合えたのはラッキーすぎるところで、感情が高ぶったり、言葉に詰まるとペラペラと悪い言葉が出てくるというのは、ちゃんとカウンセリング受けた方がいいんじゃないかと思ってしまったので、高校生脚本家の若い感性は自身にはもう理解が及ばない域にまで失われているなと改めて思った。

若いキャスト陣はみんなよかった。『ゆるキャン△』の箭内夢菜がほんわかいい人役だったり、蒔田彩珠はクセの強い子をうまく演じていてラストで晴れやかな笑顔を見せたり、主婦やってる現代では別人のような表情をしていたり、桜田ひよりは表情だけで難役をうまく演じていたりと、今後に期待が持てるキャスト陣だったし、今後ドラマや映画で多く見かけるようになるだろうなと思う。桜田ひよりは特に来そうだ。

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