2023年夏クールカンテレ制作のフジテレビ系「火ドラ★イレブン」枠(23:00~23:30)。
原作は2017年から連載中の時名きういによる漫画。完結していない事もあってか中盤までは原作要素を織り交ぜていたようだが終盤はほぼドラマオリジナル展開となった。
1話
お人好しすぎる八重(長濱ねる)は妊婦に席を譲るために(1度断られたが辛そうなので)降りる予定ではないバス停で降りてしまったり、カフェ店員の派遣切りで優秀だった八重は残ったが切られた相手に同情して自らが派遣切りになったり、噂が立たないように夢があるので辞めると同僚に告げたり、彼氏が海外に行くけど連れてはいけないと言われると自ら別れを切り出したり(本当は彼氏はそれでも一緒に行きたいというなら覚悟を決めるつもりだったとズルいお言葉)と、嘘で取り繕って損ばかりをしていた。
匠(菊池風磨)は「夏目設計」の社長として成功していたが、「二木谷ホールディングス」の社長二木谷(鶴見辰吾)に取り入るために既婚と嘘をついており、パーティーに妻同伴で出席するように言われて窮地に立たされていた。また既婚宣言はフリーのデザイナーとして関わっている進藤(渡辺翔太)にも疑われていてそろそろ厳しいと感じていた。
そんな中、派遣切り&彼氏と別れ、ルームシェアしている友人が彼氏と過ごすので家も出てきて失意の豪雨の中ですっ転んだ八重の前に立っていたのは幼馴染の匠だった。八重を助けて自宅で濡れた服を乾かす間に匠はウソ婚バイトの話を持ち掛けるが八重は断る。嘘は良くないという八重に匠はオマエも嘘つきだろうと指摘。ごもっともでこの日だけでも八重は相手を気遣い過ぎていくつもの嘘を重ねていた。そして帰宅後、八重は友人から結婚するのでルームシェア解消を切り出され、ここでもちょうどよかった!と嘘をつき、即座に匠にウソ婚バイト話を引き受けると電話。
ぶっきらぼうに快諾の電話を受けていた匠だったが電話を切ると猛烈にイヨッシャァァァァァァ!!!!!と喜んで暴れ出す。子供の頃から八重に冷たい態度を取って八重を怒らせていた匠だったが実は八重が大好きで今でも好きだったことが明かされ、はしゃぎまくりながら当時馬鹿にした八重の夢「お姫様になりたい」を叶えてやるぜ!と燃える匠で次回へ続く。
実は初恋相手だったという大まかな概要は明かされていたものの最終盤までドSクールぶっていた匠の最後のはじけっぷりが予想以上に振り切っていて笑えた。豪雨失望の中で偶然再会とか随所に漂ういかにもな少女漫画感は否めないものの、表(クール)と裏(ハイテンション)を使い分ける菊池風磨でけっこうおもしろいドラマになるかも。
キャストの年齢設定は表記されていないが、原作は29歳である事や菊池風磨を始めとして同僚や他の幼馴染として出てくるキャスト陣が基本的にアラサーなので、長濱ねるも20代終盤の設定なんだろうか。まだ24歳(9月でようやく25)なのがちょっと驚き。アイドル時代のもっと幼いイメージから復帰後は大人っぽくなったせいか別に老け顔ではないのにアラサーキャスト陣と並んでもあまり違和感が無い。アイドル時代からなんとも間の悪い人、いつも選択を間違えてしまう人(加入経緯、けやき坂46と欅坂46の選択の際に泥船欅坂を選択してしまう、卒業経緯)という印象も強かったので、人がいいのに悪い方向に向かっていく序盤の展開とは少し重なるところも…。後輩若手イメージが未だに強いSexy Zoneもいよいよアラサーかぁ…(遠い目)。
2話
話を進めるのではなく、匠の視点での過去回想+1話の裏側を見せる構成。20年前の少年少女時代は子役、10年前(高校3年生)からは菊池風磨、長濱ねる本人が演じる形で、もう1人の幼馴染だった健斗(黒羽麻璃央)も交えての関係性が示された。子供の頃からお人好し&嘘つき(相手のために嘘をつく)だった八重を心配して悪態をつきながら見守っていた匠、匠が絶対に勝てないと思っていた健斗と八重が仲が良かったので高校時代にはこの2人は恋人同士となっているように見え、匠は健斗になら八重を任せられるとずっと思いを隠していた。しかし健斗は親の仕事の都合でシンガポールへ引っ越してしまい、去り際にLINEで八重を任せたとメッセージを残して行ってしまった。それ以外でも匠の八重への思いを見透かしていたような発言もしていた健斗。結局八重とは再会もせず匠はそのまま社会人に。
普通に社畜風サラリーマン生活を送り、下っ端としてこき使われ期、上司に反抗期、無気力になって絶望期を経て3年前までサラリーマンだった匠だが、同級生同士のLINEで八重も上京している事を知ると突如として覚醒。メチャクチャ怪しい超本気覚醒の顔芸を見せると2年前には起業して「夏目設計」の社長として花橋いデビューを飾っていた。
いや待て、突如覚醒したとはいえさほど優秀というわけでもなさそうだった平のサラリーマンがなんで1年で設計事務所の社長として独立を果たしているんだ。
会社が成功してそのまま勢いで八重と再会してプロポーズしようと結婚指輪まで買い込んで八重の元へとルンルンで向かった匠だったが八重にはとっくに恋人がいた(1話で別れてた人)のを見て撃沈。ヤケクソになっていたが、翌日に二木谷(鶴見辰吾)へのプレゼンの際に結婚している男が一人前という古い価値観と分かった上で条件を出され、前日購入していた結婚指輪を活用。一緒にプレゼンしたデザイナー進藤(渡辺翔太)、二木谷の娘で次期社長で明らかに匠に気があったレミ(トリンドル玲奈)がプレゼンの後で嘘だろうと決めつける中、1年かけてエア嫁の存在を演出(セルフ愛妻弁当、スマホ2台持ちによるセルフ嫁からの電話等)して、新婚アピールをしてきた匠だったが、ここで1話に合流し、実物の嫁が必要になってしまい、ついに窮地に…。
行き詰っていたが、コケていた八重を助けて再会したのは狙っていたのではなく偶然だったようで(八重の元に向かおうとはしていたっぽいが)、八重だと気付くと動揺の顔芸からの真顔戻し、八重を自宅に招いてからもバックハグからのプロポーズ妄想、八重と会話中も背を向けている間に彼氏と別れたと聞いて歓喜の顔芸…と1話では映っていなかった随所で動揺・歓喜・顔芸しまくっていた事が明らかとなった。いかんせん本人を前にするとクールドSぶってしまうため、当初の計画とは違ったが、紆余曲折で八重の方から嫁バイトをしてくれると言ってくれたので結果オーライだったようだ。
裏で見せていた顔芸ハイテンションが面白かっただけに、嫁バイト話断って八重帰宅→ルームシェア解消で行き場無くなる→匠にやっぱ嫁バイトやると電話するまでの間に匠にとっては計画失敗絶望の1~数時間があったはずでこの時の絶望の顔芸がすっ飛ばされてしまったのは残念。絶望の顔芸からの歓喜のヒャッホイの超落差は見せてほしかったなー。
3話
ようやく話が進行し、ウソ婚生活がスタート。匠が用意した膨大な設定資料とマナー動画講座等を一通りこなしてパーティーの場へ備える八重。いざパーティーの場で難なく二木谷はかわすことが出来たが、レミは歴代の彼女とタイプが違うのでニセ妻じゃないかと疑い、たしなめていた進藤もそこまで言うなら探ってみる?という態度。しかし実際の匠は子供の頃から八重一直線だったわけだから、レミビジョンの匠の方が虚像って事なんだよな…。
1話で自らが辞める事で本来クビになるはずだったカフェ同僚美咲(野村麻純)の派遣切りを救ったはずの八重だったが、元々派遣切り対象に選ばれるくらい当日欠勤を問題視されていたので結局カフェは派遣切りになっていた。この事は同居していたはるか(織田梨沙)に結婚報告をする際にそのカフェを選んでいて同僚に聞いたので八重も把握していた。パーティー当日のウェイターの1人として登場したのがなんと美咲。とっとと次の派遣先でしっかり働いている辺り、子供都合での当日欠勤以外の仕事ぶりは悪くは無かったのだろうか(カフェでは八重の方が優秀っぽく言われていたが…)。
設定が1年以上前から結婚していたという事だったため、婚約者がいて友人と同居していて金欠という八重が美咲に語っていた基本プロフィールが潜入スパイレベルで全部嘘だった事になってしまい(婚約者の写真も匠ではない別人だし)2人の関係には亀裂が入ってしまう。この間には挨拶まわりで八重の元を離れていた匠だが、戻ってくると即座に辛そうな八重にやはり嘘は辛いから辞めようか?と提案。見てなかったどころか美咲が誰なのかも知らないはずなのに全て把握したかのように優しい言葉をかける辺りが少女漫画チックに優しい…。匠の嘘を見抜いた八重は続けると宣言するが、すると匠はパーティー前に言った困ったら笑っておけを撤回し、辛い時は無理に笑わなくていいと告げ(少女漫画ポインツ)、屋上で連れ出し、夜景を見せる。自身が設計した建物も見える事から辛いとこにここに来て気分転換にしているという。自分には何もないという八重に、あの建物には八重も協力していると告げる匠。子供の頃に夏休みの宿題で模型を作っていた匠は八重の大人になったら作ってよという言葉で本当に建築士を目指したという(少女漫画ポインツ)。八重は改めて美咲の元に向かい、もらったクッキーのおかげで会いたかった人に会えて救われた(雨の中で匠と再会した時に匠が拾ったのがそのクッキー)と感謝を告げるのだった。
なんだかんだ匠もクールなだけではなくけっこう本心を明かしまくっているし、さらっと八重に「会いたかった人」扱いされてて喜んでるし、何より全くの他人を連れてきたわけではなく、幼馴染という関係性はウソ婚プロジェクトにおいても強い。レミは歴代の彼女とタイプが違うというだけで疑っていたが、正直「幼馴染」というパワーワードに「初恋の人だった」とでも付け加えれば、匠と八重がよほど狼狽してボロ出さなければ疑う余地もない。ただの嫌がらせ役程度にしかならなそうだけど…。そこまで物語が引っ掻き回されそうな感じは既にしないな…。八重の直近の過去洗われると時系列で一気に苦しくなるが。
4話
レミが疑い、確認を引き受けた進藤(渡辺翔太)が自宅を訪ねることになり、匠と八重は1年前から住んでいる自然感を出すために準備を開始。なんだかんだ仲良く試行錯誤したり、一緒に家具を買いそろえたえりと楽しそうでいい感じで進行。
終盤は進藤目線の振り返りパートとなったが、実は匠の事が好きでした独白パートとなり、最近あまりにも多すぎる性別の壁を越えたラブ展開がここにまで…。最早1クール数本ドラマを見るとして1人はいる勢い。当然匠は気づいておらず、複雑な心情の進藤が家に到着してどうなる?というところで次回へ続く。
30分ドラマなのに時系列戻しの別人物目線による振り返りパートが入ったりするので思った以上に展開が遅い。原作とはだいぶ展開を変えているようだが…。
5話
序盤こそコメディノリでバレないようにあたふたしていたが、匠が八重を初恋だったと設定ではない本当のことをさらっと告げた辺りからしっとり真面目モードに。さりげなく匠と進藤の友情、進藤の秘めた思い、なんとなく八重に話しやすくて自身をパセリに例えて本音を見せる進藤と進藤を肯定する八重、それに救われてすっかり信用する進藤…となんかいい雰囲気に。
関係を壊さずに乗り切り、進藤は改めて結婚おめでとうを告げる事ができた。一方結婚が本当だろうという進藤からの報告を受けたレミはショックを受けていたが、進藤がその場で取った最新写真だけでなくドバイの合成新婚写真まで一緒にLINEで送り付けていたため、レミの元にやってきたドバイに住んでいた匠の元上司(橋本淳)がフェイク写真だと見抜いてしまい次回へ続く…。
なんでドバイ新婚旅行なんて難易度の高い設定用意したんだ…。しかも元上司がドバイにいたのにその時は会いに行かなかったなんて厄介な設定付与してまでドバイにするとかリスキーすぎるでしょ…。昨今のご時世なら新婚旅行はまだしてない設定の方が自然
6話
合成したドバイの夜景には昨秋には無かった建物が写っていた事からフェイクと見破った匠の元上司新田淳(橋本淳)。しかしレミに対してはこれで結婚が嘘というわけではない、嘘だとしてもこの状況なら自分でも同じことをするかも、その気になれば婚姻届けをいつ出したかまでも調べる事はできるが結婚の形は色々あるし外から2人の関係を嘘と断定する事はできない…等々と色々と庇うような事も言い出す。
結局、新田は家にやってくると匠を追い払って八重と2人になり、「匠に全て聞かされた」「叱っておいた」と全て知っているかのように平然と言い放って八重を動揺させ、ウソ婚だったという確証を得ようとしてきた。八重はしばしフリーズしていたが、新田がドバイの写真に「写ってはいけないものがある」とさらなる揺さぶりをかけてきたのを逆手に取って瞬時にここに切り込むことに決めると即座に「元々自分のスマホで撮った写真だったがドジで消してしまった」「進藤が来る時に写真が無いと不自然だという事になって咄嗟にフェイク写真を作った」「良くない事なので匠をよく叱っておく」と滑らかに自然な設定を組み立てて切り抜けた。新田もこれには感嘆するほどで、逆に八重を気に入ったのかお嬢(レミ)には気をつけるように忠告するととっとと去っていってしまった。呑気に帰宅した匠は事情を聞かさせて改めて警戒感を募らせていたが、そんな事より八重のとんでもねぇファインプレイはもっと褒めてあげていいと思う。
匠が設計したグランピングリゾートのプレオープンに2人で出向いて宿泊する事になったが、プロジェクトの主催者であるレミも登場。早速威圧を放ってくるが八重はイヤリングを片方していないことにすぐに気づいてレミに指摘。レミは気にしていないフリをしていたが、初任給で買った思い出の品だった事が回想で明かされると社長の娘だった事から社内でも陰口を叩かれまくっていた事、そんな中で分け隔てなく接する匠に特別な思いを抱いたことなどがレミ視点で明かされて次回へ続く。次回はレミ編か。さすがに後半になってきたし、今回軽めにレミ視点回想を済ませたので次回丸々レミ視点に費やして進行が止まる事は無さそう。
7話
グランピングの部屋から星が見える仕様は匠のこだわりで、これを八重に見せた匠はクリスマスイブも予約したと宣言。クリスマスイブには半年のウソ婚契約切れてるんじゃないかと気づく八重だが匠は分かっていてそうしたとさりげなく告げるとさらに進藤が来た時に行った言葉(「初恋だから、八重は」)も本当だと告げ、もう一歩踏み込もうとするがレミから強引な呼び出しが。行ってみるとレミが無理やり襲い掛かってくるので匠は拒絶。レミは翌日無理やり歩いて帰ろうとするが気づいた八重が追いかけてきて無理やりついていくことに。道中で匠への恋愛ではないが好きだという思いを正直に話したレミと否定せずに奇跡は受け取っておけばいいと告げた八重は本音をぶつけ合った事で和解。戻ってきたレミと八重が親友のようになっていて匠は驚くが、八重からクリスマスイブを楽しみにしている聞かされウッキウキで次回へ続く。
今回は八重の見えないところで歓喜と動揺の顔芸を連発する匠が久々に炸裂。一方の八重はドキドキはしている様子だが…。レミが匠への複雑な思いを吐露した時に共感するかのような高校時代に彼女と匠がいるのを目撃してちょっと…という八重の回想シーンはあったが…高校時代の匠は八重は健斗が好きだと思い込んでいて、健斗は匠が八重を好きだと気付いていて背中を押そうとしているようだったが御本人登場で話は動くか。
8話
契約の先のクリスマスの約束を取り付けて浮かれ顔芸の匠、匠を意識し始める八重。2人は二木谷から食事に誘われた帰り際に突如として健斗(黒羽麻璃央)に遭遇。2人が結婚していると知り喜ぶ健斗と再会を喜ぶ八重。自宅でも距離の近い2人に八重は健斗を好きだったと考えている匠は終始落ち着かない表情。
健斗は純粋に2人をくっつけようとシンガポール行きを決意したっぽかったが、高校時代に匠が来るか来ないかで決めたと今更告げてきたり、その賭けは勝ちなのか負けなのかの問いに答えなかったりと八重に気があったっぽいが匠が八重をずっと好きなのを知ってて遠慮していたかのようでもあり真意は不明のまま次回へ続く。そしてグランピングの紹介Web記事に載った匠と妻(八重の顔はハッキリ写っていない)を見て何かを思う謎の女性も出現し…。最終展開は匠の元カノと健斗で引っ張っていく流れかな。匠の浮かれ顔芸は見れなくなりそうだ。健斗に嘘をついていいのかと話し合っている時の匠と八重の距離がほぼゼロ距離にくっついていたり、無意識に近くなっている距離は最終的には活きてくるんだろう。
9話
ハッピーエンドに向けてのこじれ回といった装い。匠が初回から渡そうとしてずっと渡せなかったアクセサリーと同じものを健斗が偶然発見するとすぐに八重にプレゼントするというフッ軽っぷりで匠がぐうの音も出ない敗北感を味わう事になってしまう。
さらに高校時代の匠の一瞬付き合った彼女紗智(中村ゆりか)が前回のグランピング写真で匠が結婚していたのを知ると最早調査しているシーンすらカットで自宅を調べ上げてマンションの前に出没。八重と遭遇し、八重が匠不在の中で家にあげてしまう。紗智は高校時代に匠が好きで告白して付き合う事になったがその前後程度しか実際には付き合いは無かったようで、お祭りの日エピソード(誕生日だったのに言えず、匠は八重や健斗らとの花火に合流するためとっとと行ってしまった)を引きずっており、八重の同情心を引きまくる。ついに何か出来る事は…?と聞いた八重に別れてほしいと匠の気持ち無視でトンデモ発言をする紗智。これで次回お別れ展開からの最終回か…。
ストーカーのような破壊力のある役どころとなったが、中村ゆりかもあちこちかき回しに出てくるなぁ…。特徴的な声色が重い雰囲気と合ってて八重を迷走させるのにも最適な存在感だった。
それぞれ個別に信頼を築いたので匠不在の中で自宅に八重、進藤、レミ、健斗の4人が集結した時に八重と進藤、そして特に八重とレミが親友レベルに仲良くなっていたのは今回唯一明るかった部分だった。
10話
紗智に別れてほしいと言われて動揺して様子がおかしくなり、クリスマスイブのグランピングもキャンセルを申し出る八重。匠も異変にすぐ気づきグラスが2つあった事から何者かが来たことは察するが紗智だなどとは想像が及ばない。進藤もレミも匠が考え込んでいる様子から心配して八重に電話をかけてくるのがなんかいい関係になったなぁ…とほっこりするのはこのくらい。健斗と話して八重に本当のことを言わせるには自分も本当の事を言うべきだとアドバイスされた匠は本心を伝える決意を固める。
一方で紗智の話は実はまだ続きがあり、「別れてほしい」発言の後もつらつらと匠への思いを語り続けて八重にいなくなってほしいと思ってしまって申し訳ないなど申し訳なさそうにしながら言いたい事ほぼ全部言い尽くし、今の自分を見てもらうために努力して告白するつもりだったなどと一方的な再告白計画まで話し始める始末。他のいかなるケースにおいてもただのヤバイストーカー女にしかならないシチューエーションでも、このウソ婚&八重の性格という条件下においてのみトンデモな精神攻撃と化した。
匠はついにバックハグからのプロポーズという最終回ならハッピーエンド確実の大告白を誠実に告げるが八重は断ってしまい、匠が能面状態のまま次回へ続く。次回最終回ではなくもう1回あるので次回がお別れ展開で重めか…。
11話
気まずい状態が続く中で、とりあえず契約期間は全うしつつも八重は自立の準備を開始。匠は健斗からの紗智に連絡先を聞かれたというLINEからようやく紗智の存在にたどり着き紗智に電話。描かれていなかったが八重は紗智にウソ婚である事まで喋ってしまっていたらしいが、設定は改変して自分の方から頼み込んだ事にして話していたらしい。匠に嘘を背負わせるなんて…と八重の文句を言うKYな紗智に改めて八重が好きだという匠。ショックを受けつつも八重は好きではないと言っていたと精一杯糸口を探る紗智だったが匠はとっとと電話を切ってしまい哀れストーカー紗智、告白も出来ずにフラれて終了。無駄に強烈に重いだけの最終こじれ展開の舞台装置みたいな存在だった紗智だが一昔前のドラマだと匠のこの雑な後処理が問題となり、愛情が憎しみに変わり、ハッピーエンドのはずがナイフ特攻によるどっちか死亡ENDで悲劇のズンドコ…となりかねないが…まあこのドラマは『チープ・ラブ』みたいなハードボイルドな作風ではないので大丈夫だろう。
紗智の「嘘を背負わせる」という言葉がそのまま自身に突き刺さって改めて八重に酷い事をしていたと自覚した匠は八重に謝罪と別れを告げ、契約期間を残してウソ婚も強制終了させてしまう。失意のまま、進藤とレミには真実を話して謝罪。2人とも既に八重とも仲良くなっていたのと裏の事情まで汲んでくれたのか割とあっさり許してくれた。二木谷にも謝罪しに行き、二木谷は嘘をつかせてしまうほど追い込んだ事を謝罪したものの取引は考えさせてもらうと告げる。社員の新田に会社を託そうと残務処理も行っていく匠だったが失踪。
レミと進藤が八重も連れて自宅に探しに行くとそこには匠が大切にしていた八重の子供の頃のお姫様になる夢の絵が大事にしまってあった。そしてそこにウェディングドレスも到着。八重は本心を2人に話し、背中を押されて匠がいるであろう場所に走るが…。
匠は健斗に八重を託すLINEを送り、追いかけてきた八重は間に合わず踏切越しになってしまう。八重は匠といたいと本心を叫ぶが最も肝心な部分は全て電車の轟音にかき消されて匠に届かず、踏切が開いたら匠もいなくなっていた。八重の相手を気遣い過ぎてしまう性格が仇になり、匠が全面的に身を引いてしまうすれ違い展開で最終回へ続く。
ようやく八重が本心を明らかにしたのと、進藤とレミがさほど怒らなかったのは八重の事も良く理解していて本当に契約結婚なだけではなかった事も既に分かっていたというところはこれまでの積み重ねが効いていた。まあ30分枠のドラマなので嘘で激怒してこじれている時間が無
12話
八重を任された健斗は早速八重の元へ。八重は大事な約束であるウソ婚の事を紗智にバラしたせいでフラれたと思い込んで泣き崩れていた。その様子を見た健斗はあまりの的外れっぷりに呆れて…。恐らくこの段階で今回の計画を提案して実行に向けて動き出したと思われるが、八重側の心情はこれ以上描かれなかった(匠には聞こえなかったとはいえ八重の本心は前回の電車轟音かき消され演説に全て含まれているためと思われる)。
健斗はさらに匠とも合流。10年も八重に会わなかった理由を初めて何かを手にしてからじゃないと健斗に勝てないと思ったからだと語る匠。健斗は何それといつもの余裕のおとぼけで交わすが、さらっと八重の王子様=あの絵に描かれていた男の子は匠の方だと思っていたと語る。それもそんなの分かって当然でしょうとばかりの態度だったが、しかし匠には理由が分からない。八重同様に肝心なところ分かってないんだなとでも言いたげに呆れ気味の健斗は突如として来週海外に戻るので八重を連れて行くと宣言。
帰宅した匠に進藤が匠が設計した式場で結婚式を行う事が決まったと告げそれでいいのか問いかけるが、匠はそれでいいんだという態度でさすがの進藤もブチ切れる始末。匠も八重も肝心なところで似た者同士だなと口走っていた事と、この後の計画には匠以外の関係者が全員関わっていた事からこいつらしょうがねぇなぁと思いながら健斗も進藤も匠を焚きつけようとしていたものと思われるが、匠が会場に来ないと仕掛けが作動しないので内心けっこう焦っていたのではないか…。
結婚式当日、進藤から初期の頃に撮影した匠と八重の2ショット写真が送られてきた。例の王子様の絵を見ていた匠は写真の自分が常に右に写っている=正面向いて立っている時はいつも左側を要求していた事に気づく。左に人に立たれるのも嫌なようで先日健斗と合流した際も左に立とうとする健斗を右に移動させていたほどで、この匠の習性は健斗も理解してああそうだったねという感じで移動していた。匠はこの自身の習性をあまり自覚していなかったようでこれまでの八重との写真も全て自分が右側だった事を思い出して改めて認識。例の絵の王子さまは右側にいた。健斗があの王子さまは健斗だという匠に対してずっと匠だと思っていたという理由は明快だった。健斗がそうだったねと思い出すくらい昔からの習性なので幼い八重もそれを認識していたはず。
これでようやく匠は行動を開始。ギリギリだった。進藤のアシスト写真送付が無かったら匠が動かずに終わっていたが、これも計画破綻寸前を察した健斗が進藤と結託して追加で仕掛けたものだったのだろうか。
式場へ向かう前になんと紗智を呼び出して改めて当時の非礼を詫びる匠。ノコノコやってきた紗智はあまりに爽やかかつ誠実に謝ってくる匠にまたしても告白も出来ずに、八重が匠を好きではないと言っていたというには嘘で本当は大好きだと言っていたと白状。ていうか描写されなかったところでどんだけ本音ぶつけ合い地獄タイムを過ごしたんだ紗智と八重…。当時は振り返らずに去っていった匠だが今回は1度立ち止まり振り返って去って行った事で紗智も別れを受け入れる事ができた感じで出番終了。
式場に駆け付けた匠は八重は最初からお姫様なんだよ!と演説し、本人的にお祝いの言葉のつもりだったらしく満足して去ろうとしたが、八重は「嘘だよ」と告げ、健斗が匠とポジションチェンジ。この結婚式自体が相思相愛の2人を改めてくっつけて結婚させるために仕掛けられたものだった事が判明し、八重の方から抱き着いて匠も受け入れてハッピーエンド。しっかり二木谷も呼ばれて感動していたので仕事も大丈夫そうだ。
健斗の本心は結局最後までハッキリ明かされず、どこか残念そうにでも清々しい表情で終了。最後は2人で新婚生活の模様でウソ婚が本当の結婚になっておしまい。
かなり綱渡りで匠をその気にさせて会場に駆けつけさせないと破綻するというギリギリのドッキリ計画だったなぁ…。
全部終わっての感想
後半は原作無視のオリジナル展開だったようで、ハッピーエンド自体はいいんだけど舞台装置と化して重すぎる紗智、最終展開の「ウソ婚」ドッキリは色々と端折られていたのでかなり無鉄砲な計画に見えてしまいなかなかにトリッキーだった。2人とも相手への本心を最終回前に明かしてしまっているので、この最後の舞台である結婚式場では八重側の心情は語られず匠も最初からお姫様だという演説をお祝いの言葉のように告げるという少々変わったクライマックスだったなという印象。
八重が冒頭の号泣からどう立ち直ったのか、この計画を指揮したのは誰か、関係者を巻き込んで説明協力させたのは誰か、それらは全て健斗の尽力だったと思われるが、健斗も八重を好きっぽい描写は多々あったので何故そこまでしてくれるのか、本心を語らないその姿は八重以上で本当にそれでいいのかは気になった。ていうか匠も健斗への嫉妬心をかなり募らせていただけに匠と健斗が友人関係でいられるのもなかなか奇跡のバランスだったような…。それも全て健斗の立ち回りの上手さだったんだろうなという、健斗の特異さが最後に改めて際立った。新田が何故かレミにプロポーズでエピローグで無理やりカップル成立させてたけど、功労者健斗にも何か救済を…。
長濱ねるはこれまでの経緯の立ち回りの悪さと八重のキャラクターが被っている部分が多くてはまり役だったと思う。菊池風磨は『嘘の戦争』の草彅剛のバーター出演くらいしか印象が無く生意気そうなカッコいい人というイメージしか無かったが今作ではそのイメージを生かしつつ序盤は顔芸やハイテンションも満載で面白かった。終盤がシリアス続きで顔芸で一喜一憂する作風ではなくなってしまったのは残念だったが、最後はカッコよくハッピーエンドを飾れたので美男美女のいい締めになった。
コメント