2023年6月17日放送。元々「春」で2019年は6月まで遅れたので「雨」となったが、2020年は「春」に戻る予定だったところ新コロ騒動の大延期で7月放送になり「夏」に改題、そのまま4年連続の「夏」となっている。
お姫様クラブ
普通の主婦南美(鈴木保奈美)の前に「お姫様クラブ」の支配人(松尾貴史)が突如やってくる。10歳の頃に両親が富豪だった事から毎年通わせてもらっていた「お姫様クラブ」の事を思い出してウキウキし始める南美。娘の真弓(新津ちせ)への1日10万円(会員だと100万)の案内だったが、気乗りしない真弓に対して異様に浮かれて行こうと盛り上がる南美。既にこの時点で優雅なクラシックがかかると我を忘れて踊り出してしまう症状が発現していたほか、既に50歳を越えている南美が少女時代の1983年の「お姫様クラブ」の写真に写る支配人の顔が現在の松尾貴史のままである事に不気味さを感じた真弓はそのまま終始乗り気ではなかったが、王子様(栗原類)に選ばれてしまう。早くも勝手に踏み出していって何度も係員に注意されていた南美だったが、王子とのダンスをうまくこなせない真弓にイラつきだしついには静止を振り切って飛び出そうとして私を誰だと思っているの?とお姫様モードへの憑依が激化。支配人の指パッチンで我に返った南美だったが真弓は先に帰ってしまい…。
以後もパート中でもふいに踊り出すなど挙動不審になり、おかしな様子の南美を心配した真弓は母へ花束と日頃の感謝の手紙を送る。大人用の「お姫様クラブ」はその人のためだけの開催で2000万円と言われたのも重なり今の平凡な幸せを大事にしようと決意し直す南美だったが…・翌日真弓が出かけている間に夫(奥田達士)が持病の発作を起こす。薬を渡そうとした南美はTVからクラシックがかかっているのを聞いてお姫様モードに突入するとそのまま我を忘れて悪魔的閃きに従い夫を見殺しに。夫の葬儀の場で真弓と悲しんでいるかに思われた南美だったが、密かに微笑んでおり、夫の保険金2000万円で自分だけのお姫様コースを堪能していたという超絶ブラックオチで終了。
ストーリーテラーのタモリのパートになった直後に、南美が夫を殺害したとして逮捕された新聞記事が表示されてその後の結末が示唆された。
終始イタいオバサンが何のひねりもなくイタさをこじらせて我を忘れて狂っていく狂気だけの謎話だった…。支配人の部下にもいい年してお姫様とか…とバカにされていたが、暗示をかけられたわけでもなく、勝手に抑えきれなくなってお姫様モードになるアラ還オバサンのイタい姿を何度も繰り返すっていきなり何を見せられているんだ…。特に何かに操られているでもなく、6~12歳までお姫様をやれるところ、12歳の年に両親が経営破綻で貧乏になったので楽しみにしていた12歳でのラストお姫様をやれなかった後悔があった事を思い出した程度だったが、11歳までお姫様扱いされて12歳以降封印されていたお姫様への憧れを支配人が刺激した…という程度でなんか元々異常者の素養があっただけにも思えるしなぁ…。支配人が80年代から初老の姿のままというのも特に意味がなく、「お姫様クラブ」自体が奇妙な世界というわけでもなかったし、最初から最後まで奇妙なのは主人公のイタさだけって。怖すぎるよ…。
「パプリカ」の1番小さい子だった新津ちせがいきなり大きくなっていたのが1番ビビった。「パプリカ」やってた期間はお子様のままであまり成長している様子が無く、2年前の『君と世界が終わる日に』でゾンビになった時もまだかなり幼い低学年くらいの風貌だったのに急成長したな…。
小林家ワンダーランド
社会人として働いていた達也(中川大志)は休日に家にいるように父(田口浩正)に言われ、休日起きていくとTVには「小林家ワンダーランド」オープンの特集が流れていた。窓際族からついにクビになり、借金もかなりあった父は一念発起して自宅をテーマパークにするという。母(三石琴乃)も反抗期の妹(松崎未夢)もノリノリで1人ナンダソレ状態で乗り気になれなかった達也だったが会社の憧れの先輩(篠崎愛)がテーマパーク好きで絶対に行くと言ってきたので急にやる気を出して会社を休職。
父がおやじトーク、母が風呂場で海賊ごっこ、妹は自室で寝ているだけというトンデモな内容で達也は案内係を任されるが謎の大盛況。バラバラになっていた家族も一致団結して順調な好スタートだったが、近所に金持のテーマパークがオープンした事で客の興味が移ってしまい暗雲が…。慌てた父はパワーアップさせた新アトラクションを打ち出すが大失敗。険悪になった家族だったが、達也が昔はいい家族だった、ここ最近は昔に戻ったみたいで楽しかったと熱弁、再奮起を促して家族は絆を取り戻す。
そして再起をかけた新アトラクションの主役に選ばれた達也だったが、椅子に縛り付けられてしまう。そして客1号の先輩はチェーンソーを渡され、達也にチェーンソーが迫る。悲鳴を上げる達也、満足そうに返り血を拭きながら去っていく先輩。2番目の客のチェーンソーも迫り再度絶叫する達也で投げっぱなしEND。
最初から最後まで設定がぶっ飛びすぎてて、その上コメディにも振り切れていない謎展開。ナンダコレ…今回どうした…?血が飛び散っている上に上半身のみで下半身は映らなくなった達也だが無駄に元気に再絶叫しているのも一体どういう流血状況だったんだろうあれ…。
視線
杏奈(池田エライザ)が大学の授業中に突然全方位からの視線を感じて驚く。その後も街行く人々も全ての視線が自分に向いており、向きが違う人までもがこっちに顔を向けて見てくる。疲弊していた杏奈だったが、大学ですれ違った同級生の青年(醍醐虎汰朗)だけは視線を向けてこなかった。気になって声をかけたところ、青年は目薬が原因だという。杏奈がデザインがかわいいと思って通販で購入した目薬には視線を独り占めするという効能がよく見ると書いており、青年は同じ目薬を持っていたのだった。青年によれば効果は3時間、そして本来こっちに顔が向いていない人までこっちを向いて見えるのは不自然であり、視線が集まっているのは錯覚だという。青年は視線が集まるのが最高と考えており、杏奈とは意見が一致しなかったが…。
杏奈は幼少期に優秀な姉がいて、母親に少しでも見てもらおうと逆上がりに挑んで成功するもその隙に姉が転落死してしまう。目をそらしたばかりに…と悔やんでいる母の印象が強烈だったのと以降母が自分に目を向けてくれなくなったのを杏奈はずっと気にしていた。目薬効果で母から見られている錯覚を得て満足した杏奈は以後目薬を使い続けて依存していく。
一方で一足先に目薬を使い切った青年は再購入が出来なくなって憔悴。杏奈を発見すると譲ってくれと言いだしてついには無理やり奪い取ろうと暴走。お前もいずれ苦しむぞ!と捨て台詞を言われた杏奈だったが、目薬はこの間に破損してしまっていた。母の元で3時間が過ぎてしまい取り乱す杏奈だったが、母は目薬効果なしで杏奈をちゃんと見ていた。ここのところ連日明るく押しかけてきて笑顔の杏奈の様子に母も目を背けてきた杏奈に向き合えるようになっていたのだった。
母娘関係が改善してハッピーエンド…と思いきや街行く中、杏奈は再度視線集中を感じる。一体何事かと思ったら発狂した青年が杏奈を刺し殺そうとしているのでそれで見られていたのだった。視線を浴びて狂喜する青年はそのままナイフを杏奈に振り下ろそうとしたところでTHE END。
パンチの弱いいい話で終わりそうなところ、強制的な刺激オチみたいな…。よほど気に入ったのかタモリのストーリーテラーも視線オチにしていたし。しかし前の2作よりはまともだったけど今回弱いなぁ…。
虹
高価な中古カメラを購入した主人公(25歳:西畑大吾)は虹を撮影しようとファインダーをのぞくがそこには見知らぬセーラー服の少女(井頭愛海)がいた。ファインダーの中にしか見えない少女を追いかけて虹のふもとまで向かった主人公はそこに佇むセーラー服の少女を少し大人にしたような女性(井頭愛海)に遭遇する。話を聞いた女性はそれは少し前に18歳で亡くなった妹だろうと推測。妹がまるで自分たちを出逢わせてくれたみたいだとそのまま交際を重ねた2人は結婚。そして10年20年30年40年が経過し、50年を迎える前に女性は死亡。残された主人公(75歳:奥田瑛二)は孤独に打ちひしがれていたが出現した虹に導かれるようにあの虹のふもとにたどり着くとそこにはセーラー服の少女、そして妻として50年近く添い遂げた女性がいて幸せの意味を説く。その言葉に救われる主人公で終了。
50年の歳月を描くのにとてつもない高速展開。謎に主人公は台詞なし設定にしてあって喋るのは井頭愛海だけだったので一種の芸術作品のようにさらりと描き切っていたが、いくらなんでも高速展開過ぎる。いつも最後の話は無理やり短く圧縮したような話が多いがそれにしたって縮め過ぎじゃないか。いい話系のはずなのに感動する余地も余韻を楽しむ余地も無いままに時空がすっ飛んでいく上に、姉と妹のキャストも使い回し(同じ井頭愛海)だし…。
今回なんかワーストダントツ更新に近い勢いでパッとしなかった…。
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