金田一少年の事件簿(亀梨和也版)

3代目。金田一をCDデビュー前KAT-TUN亀梨和也、美雪を上野樹里、剣持警部を加藤雅也が演じた。亀梨、上野共に同い年の1986年生まれで当時19歳。

2005年にSPで放送されるもSP1回ポッキリで終わってしまい、連ドラ制作に至らなかった。ラストカットで剣持が「乞うご期待」扇子を持っているシーンもあり、連ドラ化は視野に入れていたと思われるが…。視聴率も悪くはないどころか堂本剛版に続く高視聴率で18.6%を記録している。これは松本潤版の全てを上回る(1番高かった『魔術列車』でも18.1)数字である(山田版は15%に届かない平均でギリ2ケタ、道枝版は堂々のオール1ケタ)。

吸血鬼伝説殺人事件

2005年9月24日放送。2時間越え(21時~23時9分)のSPドラマ。2000年の原作終了後『探偵学園Q』を連載していたが一時休載して2004年に復活連載した新シリーズ1作目が原作。結局『探偵学園Q』は2005年夏に連載終了、『金田一少年の事件簿』が大体年に1回のペースでの集中連載の形で本格復活したのと同時期の放送となった。

主題歌はKAT-TUN「ツキノミチ」。KAT-TUNのCDデビューは翌2006年3月だったため当時CD化されず、デビューを引っ張ったためオリジナル曲が多数溜まっていたために『Best of KAT-TUN』(半数がデビュー前の曲)、『cartoon KAT-TUNⅡ You』(初回盤特典ディスクがデビュー前の曲)に収録してもなお音源化されない曲が多数出てしまい、音源化されないまま放置された楽曲の1つになってしまった。楽曲自体はどうやらドラマ放送前には存在していたようで05年1月開催のライブを収録したライブDVD『KAT-TUN Live 海賊帆』にライブ映像で収録されているほか、デビュー後のライブDVD『Live of KAT-TUN “Real Face”』でも当時のオリジナル6人でのライブ映像が残っている模様。4人時代のライブDVD『COUNTDOWN LIVE 2013 KAT-TUN』のメドレーの中の1曲としても収録されているようだ。2021年のシングル『Roar』ファンクラブ限定盤のみC/Wとして現3人による新録音バージョンが収録されたようで16年近い時を経て初CD化となった。続けてライブでも披露したためライブBlu-ray/DVD『15TH ANNIVERSARY LIVE KAT-TUN』にも3人でのライブ映像が収録された。

CD化されたとはいえ販路限定のファンクラブ限定盤C/Wな上に、KAT-TUNは当時よりメンバーが半減しており、当時OAされた6人でのスタジオレコーディング音源は今作のエンディング部分で薄くかかっているのをわずかに聞く事ができるのみであることに変わりはない。

今作にはチョイ役でKAT-TUNから田中聖、中丸雄一が出演していた。今作が当時映像化されなかった事には関係が無いと思われるが、2013年に田中はジャニーズからJOKER(解雇)されその後クスリで何度かJOKER(逮捕)された。2022年の再放送や未映像作のDVD/Blu-ray化の際には2月に田中聖がJOKERされたてJOKERだったのも重なり田中の出演シーンを全JOKER(カット)、セットで出ていたので中丸も巻き添え全カット、再編集している。道枝版を5代目として大々的に宣伝している中で、今作だけ無かった事にするのは不自然で、ただでさえSP1作だけで映像化もされないままで忘れられがちだったのに何も悪いことしてない亀梨和也が不憫すぎるし、かといってそのまま出すわけにもJOKERという中で手間をかけてでもJOKERをJOKERする再編集に踏み切ったものと思われる。

物語の導入部がほぼ全カットになったと思われ、冒頭で金田一がゲーセンでナンパしている時に何故か剣持が部下と見回りしていて初対面で金田一が剣持に補導されかける(警視庁の警部殿がなんで部下と一緒にゲーセン見回りなんかしてんのよ…)というシーンの後は、編集テロップで友人に誘われてペンションに向かったという簡易な説明が加えられただけ。美雪のファーストカットが現場へ向かっている途中になってしまったので、陸上部という設定もエンディングで日常に戻るまで出てこない始末。

なおその友人というのが偽えなり君みたいでえなり君のようでなんか微妙に違う風貌。役者を見たら江成正元。リアル弟だった。

事件自体は血の抜き差しがトリックのカギになっていて何とも気持ち悪い内容。しかも美雪が偶然その場で目撃者役にされてしまったので、美雪はいきなり殺人目撃者にされる、気絶させられる、血を抜かれる&血を戻される(真相解明時に知らされる)、髪を切られる(真相解明前に気づく)と散々。その後の殺人でも背中に血をベッタリくっつけられてシャツが1枚オシャカにされる、自室に血だまり、自室に死体、あんまりな状況にこれ美雪犯人じゃね?ムードになって追い込まれて階段から転落とトラウマ級の不幸が続き、さらには風呂に入ってさっぱりしようとしたら風呂場で3つ目の死体目撃…と歴代美雪史上最高の巻き込まれっぷり。過去の事件のように外傷を負わされたわけではないものの、血の抜き差しという際どい案件はある意味それ以上である。

こんな状況では美雪は精神的にも追い込まれる一方なのでどうしようもなく、今作の美雪は正直暗い&悲惨なイメージが強すぎる。だからミス研ではなく陸上部で快活なイメージを少しでも出そうとしたのかもしれないがその導入部がJOKERしてしまったので再編集版ではエンディングで初めて陸上部っぽい事が分かる仕様で意味が無くなってしまった。上野樹里は『のだめカンタービレ』のちょうど1年前。『のだめ』に出てからしばらくはのだめが抜けきっていないどこか気の抜けたほわんとした感じの役が続くようになってイメージ変わってしまったが『のだめ』以前の上野樹里ってこんな感じでもう少ししっかりした役が多かったなと改めて思い出した。

剣持は初対面なので偉そうな態度ではあるんだけど、常に扇子常備、正しい日本語をやたら指導したがる割に自分はそんな丁寧な日本語使いでもないという変な人という謎の属性が加えられている。しかも素人とバカにしつつ、金田一の覚醒を促して事件解決に協力するよう煽ったりと金田一を認めているんだかいないんだか良く分からないキャラになっていてこの剣持は明確にちょっとナシかなぁ…。初登場時はどうしても仕方ない部分はあるけど、日本語指導とか面白くもなってないし…。

金田一は祖父を嫌っているという新設定。謎解きもしたことが無くする気も無い。チャラいノリで登場するが再編集により日常パートがほとんど描かれていない上に事件が始まってからはさすがにチャラいノリは無い普通の若者になるので見た目だけ妙にチャラいという印象になっている。20代半ば頃から爽やかな好青年然とした風貌になり、元メンバーや相方が続々やらかして辞めたり、逮捕されたりしていく中で素行不良が報じられたことが無くすっかり真面目なイメージとなったが、この当時はやはり見た目がチャラいなぁ…。

美雪が早々に事件に巻き込まれる形になったため、美雪に事件を解いてくれと言われるが、何言ってんの?一般人だよ俺?刑事いるし警察の仕事でしょ?みたいな態度を取る金田一は斬新だ。ていうかよく考えたらこれがごく普通の高校生の反応なんだけど、事件を解こうとしない金田一に美雪も剣持までもが情けない奴だみたいな扱いをしてくる。これおかしい事言っているのは美雪や剣持の方であって、金田一は当たり前の反応しているだけなんだけど、『金田一』世界では逆で謎を解きに行かない金田一は金田一ではないのである。それを『金田一』の世界の中でやるという斬新さはこの3代目の最大の特徴だ。なんか予想外のオモシロシュールな責められっぷりだった。

その後も何度か拒絶した金田一だがついに美雪が犯人扱いされて追い込まれて階段から転落した後は事件を解くしかないと動き出し、剣持も協力。しかし祖父の事は嫌っているのでジッチャンの名にかける事は最後まで無いままで「謎は全て解けた」のみ。祖父を嫌っていた金田一が「ジッチャンの名にかける」日が来るという熱い展開を取っておいたのかもしれないが、まさかのこれっきりだったのでジッチャンの名にかけた事無い歴代唯一の金田一に…。

2代目以上に今までと違う金田一にしようとして色々な新設定を盛り込んだりして迷走した感もある。今作は設定が不評すぎて黒歴史になったとする見方もあるが前述のように視聴率は2代目を全作突破しており(これより視聴率が高いのは『学園七不思議』以外の初代全て)、原作者本人が亀梨和也にスケジュールが取れずに続編が作れなかった事を示唆していた事もある。ただこの設定と残ってた原作ストックで連ドラにするには厳しかった気はするなぁ…。

実は2022年時点では『37歳』に年齢が1番近いのがこの亀梨版である。

『37歳』って2018年に始まって天樹氏が堂本剛を念頭に置いていたとか、天樹氏が難聴以降の剛がドラマ出演は厳しくて全て断っているのを知らなかったとか色々言われているらしいけど、2018年時点で剛はもう39歳。連載開始時点で既に37歳は越えてしまっている上に連載ストックが溜まってドラマ化する頃にはとっくに40歳を越えて37歳を演じるにはズレが生じてきてしまう事は確実だった。そもそも95~97年に初代を16~18歳の時に演じていたのだから初代は40歳を越えてしまう事くらい少し考えれば分かるはずなのに剛でドラマ化念頭で何故37歳だったのか…というのがまずある。『37歳』で堂本剛で実写化狙って連載するなら数年は遅かった。

結局37歳に近いのはすぐに2代目3代目(2022年時点では松本潤が8月で39歳、亀梨和也が最も近い36歳、山田涼介だと29歳でさすがにまだ早い)になってしまったが今更初代人気を差し置いて2代目3代目で『37歳』実写化など正直ほとんど望まれていないし、なんで初代じゃないんだと散々言われるのがオチ。結局『37歳』の映像化は無理だろう。4代目が37歳になる頃には可能性が再度上がるかもしれないが…(その頃には初代~3代目が37歳は確実に無理がある年齢になっててあきらめがつく)。

コメント

タイトルとURLをコピーしました