デッドプール&ウルヴァリン

2024年7月公開。原題はそのまま『Deadpool & Wolverine』。

B0DGTS1BVZ

2016年の『デッドプール』、2018年の『デッドプール2』に続くシリーズ3作目。しかし2019年に20世紀フォックスがディズニーに買収された事で今作よりディズニー主導の制作となり、独立したシリーズだったX-MENシリーズもMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)シリーズ入りするのではないかという状況になっていた。今作では『LOGAN/ローガン』(2017年)でローガンを引退したヒュー・ジャックマンがローガン役に復帰した。

10月にはいち早くDL配信を開始、11月末にはレンタル配信を開始し、続けて12月には4K UHD/Blu-ray 3D/Blu-rayの3枚セット、Blu-ray/DVDの2枚セットの2種で販売された。単独Blu-ray、DVDの発売はなく、Blu-ray/DVDのレンタル版が無い。このためセットのパッケージ2種のどちらかを買うか、配信購入、配信レンタルでしか視聴できない。

今作では露骨にウェイド/デッドプールがMCU入りの面接を受けて落とされるというメタネタから始まる。前作の事件でタイムマシンが出てきたため過去亡くなったウェイドの関係者を軒並み復活させてハッピーエンドになっていたが、神聖時間軸・アース616(MCUの時間軸)に移動したウェイドはMCU入り面接に落とされてデッドプール稼業を引退。せっかく生き返らせたヴァネッサとの関係も悪化して別れてしまうが、それでも復活させたメンバー含む前2作の仲間達が誕生日に駆け付けてくれるくらいには穏やかな日々を過ごしていた。

そこに時間変異取締局(TVA)が現れ連れ去られたウェイドはリーダーのパラドックスからMCU入りを打診される。条件として現在の時間軸はウェイド以外消滅させるという。この時間軸の主要な存在「アンカー」であるローガン/ウルヴァリンが死亡した事でこの時間軸は緩やかな滅亡が確定。パラドックスは緩やかな終わりを見届けるよりもウェイドだけ引き入れてとっとと滅亡させてしまおうと考えていた。大切な仲間達が消される事を知ったウェイドは反発。ローガンは不死身だとしてLOGAN/ローガン』(2017年公開)の最後の地へ行き掘り起こすがマジでローガンは死んでおり、アダマンチウムの骨だけが掘り返された。TVAの追っ手をローガンの骨をバラバラに使用して全員殺害するという罰当たりすぎる不謹慎な行動に出たウェイドは仕方なく別次元のローガンを探すとして様々な時空のローガンと接触、最終的にたどり着いたのは原作漫画の黄色いX-MENコスチュームを使用するローガンだった。その世界のローガンは無気力でX-MEN入りを打診されるも断り続けて自身不在の際に人間の襲撃でX-MEN仲間を全滅させられ、怒りのままに人間を皆殺しにしたためヒーローとは程遠い存在となっていた。

これしかいないのでこのローガンを連れてアンカーを発見したと主張するウェイドだったが揃って「虚無」に飛ばされてしまう。そこは危険分子や忘れられたキャラクターが閉じ込められている空間で、
チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXの双子の妹であるカサンドラ・ノヴァ(エマ・コリン)が支配していた。カサンドラの能力が無いと元の世界に戻れないが1度目の接触では逃げるに精一杯で失敗。しかしエリック・ブルックス/ブレイド、エレクトラ・ナチオス、レミー・ルボー/ガンビット、ローラ/X-23の4人と出会った事で彼らの協力で再度挑むことに。特に『LOGAN/ローガン』(2017年)でローガンの最後を見届けたローラ(役者も同じダフネ・キーン)の言葉はローラの事は知らないこの別次元のローガンにも刺さり、以降は協力体制となった。最終的にカサンドラ・ノヴァ、パラドックスの両方の野望を打ち砕いて世界を救ったウェイドとローガンは仲間達、さらにローラら4人の仲間も合流して楽しくワイワイしながらハッピーエンドとなった。

…と、ヒュー・ジャックマンの最終作だったLOGAN/ローガン』(2017年)からの繋がりが多い。『LOGAN/ローガン』は2029年の話かつ25年新たなミュータントが生まれてない=2004年から生まれてない)という独立した設定なので厳密には繋がらないんだけど…。それでも(成長したローラの登場は熱い。X-MENの多くの仲間は名前のみ登場するが、今回登場するローガンは彼らを失ったという設定なので出てくるのはそれ以外の敵役。1作目『X-MEN』(2000年)のセイバートゥース、『X-MEN2』『X-MEN ファイナル ディシジョン』のパイロはなんと当時の役者がそのまま再演して登場。トード、アザゼル、ユリコ、ジャガーノートなど見覚えのある風貌や能力の持ち主も登場するがさすがに揃って当時の役者を起用する事は出来なかったらしく別人が演じている。

ただX-MENシリーズだけならまだしも、文字通り20世紀FOXの忘れられた古い別作品の主演陣が当時の再演で出てきてもさすがに分からないって…。2011年~2017年までMCUでキャプテン・アメリカを演じたクリス・エヴァンスは今作ではウェイドもしばらくキャプテン・アメリカかだと思っていたら必殺技のポーズで『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』(2005年)のジョニーだった…という登場の仕方をするが、クリス・エヴァンスが演じていたキャプテン・アメリカに加えて20年近く前の『ファンタスティック・フォー』シリーズ2作を見ていないと分からない(2015年にリメイクされたやつではない)。

終盤で仲間になる4人もローラ以外分からん。1998、2002、2004年に3作公開された『ブレイド』シリーズの主人公ブレイド、2003年『デアデビル』主要人物で2005年『エレクトラ』主人公エレクトラ・ナチオスとか当時見ていれば久々の再演が熱いんだろうけどさ…。ガンビットなんかチャニング・テイタム主演でX-MENシリーズスピンオフ映画の予定に入っていたが実現せずに企画消滅したという当時演じるはずだった役をチャニング・テイタムにやってもらうというメタすぎる起用(彼だけ自身の出自が良く分からないようなことをブツブツ言っているのもメタネタである)。

全体に世界を広げ過ぎたアベンジャーズシリーズへの皮肉もたっぷりとなっていて、このままシリーズに組み込まれて今作以上に全部見てないとワケ分からん世界観の中でデッドプールやX-MENメンバーが出てくるのは追いきれないなぁ…。今作でも本来の『デッドプール』シリーズの主要人物みんなそのまま出演してくれているのに最初と最後のパーティーのシーンしか出番無いし。

★★★☆☆

コメント

タイトルとURLをコピーしました