バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜

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2021年4月公開。

テレビ東京系ドラマ『バイプレイヤーズ』シリーズの映画化で、2021年冬クールに放送された3作目『バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~』と設定を共有しており、バイプレウッドが舞台となっているほか、『名脇役の森の100日間』で撮影していた各局の連ドラ撮影がまだ続いている設定で大半の役者が再登場する。

連ドラ時代のように各ドラマの撮影を巡るドタバタは出てこないので、一部役者は出てこないか完全に背景となっていてほぼ出番はなく、登場自体に関してはほぼ全員の登場にストーリー的な意味はない。また1期レギュラーで2期で降板して『名脇役の森の100日間』で1話だけゲスト出演した寺島進は一切登場しない。遠藤憲一も相変わらずフィリピン設定でほとんど参加していない。

主役は事実上は若手5人

濱田岳、柄本時生、菜々緒、高杉真宙、芳根京子が濱田岳を監督として古い脚本の自主映画撮影に役者自らスタッフもかねて取り組んでいて、そこに田口トモロヲ、松重豊、光石研が助言や見守る形で絡んでいくといった基本構成だが、様々な脇役を大量に出すためにストーリーが展開するので、連ドラ時代に出てきた各局の撮影模様などは、菜々緒や犬などが各撮影場所を駆け巡るというストーリーにして無理やり登場させていく。

ストーリーとしては正直けっこう無理があって個々のドタバタは面白いものの、『名脇役の森の100日間』よりも間延びしている上に、結果的に全く出てくる必要のない大半の人たちを100分の間に登場させなければならないので遠回りに続く遠回りをし続け、面白くもなんともない。お祭り映画の側面が強い。

あからさまなフラグの数々

今回はジャスミンも遠藤憲一についていったという設定なのでほとんど登場せず、連ドラ時代は食堂として機能していた「さざなみ庵」は単なる拠点になってしまっているが、「さざなみ庵」(漣)、キーとなる犬の名前が風(ふう)、飼い主だというバイプレウッドの「所長」は言及のみで一切登場せず…と、あからさまにあの方を匂わせる要素が満載で結末も大体読める。

田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一が事前に語っていた事

概ね要約すると大杉蓮が亡くなった事でもう無理だと思っていたし、やるつもりもなかったが、大杉蓮が『バイプレイヤーズ』を映画にしたいと言っていた事もあってどんどん話が進んでやらざるを得ない状況になった。やるのであれば大杉蓮がいた時と同じことはできないので、次の世代にバトンを渡していく役回りにしたいという意向。

連ドラ時代に4人がほとんど出てこなかった事や今回は若手5人をメインに置いている事から明らかだが、一応映画としては4人が主演になっている事もあって連ドラ時代よりは出てはいる。どちらかというと最低限の責務は果たしている感じか。

遠藤憲一はそれでも出たくないと拒否していたが、撮影は1日だけと条件をつけ、フィリピンに行っている設定にしたいと言ってそれも通った。このためにほとんど一緒にいない。50音順で4人の中で1番最初に来るはずの遠藤憲一が4番目になっているのはこれが理由と思われる。連ドラ時代と同様のフィリピンコントを繰り広げているだけだが、さすがにリモートでちょくちょく登場してメイン勢とは絡む。それでも終盤ジャスミンと一緒に帰還しての「帰ってきたよぉ!」は連ドラの時と全く同じだし(予告でも使っていた)、ジャスミンはその後はレギュラー陣と一緒にいるのに遠藤憲一はまたフィリピンに戻った設定でいなくなるしで、やるならちゃんと出てほしかったとは思う。

大杉蓮への追悼と感謝

というわけで早い段階で察することができるようにやりたかったことはこれに尽き、そこのためだけに無理やりでも全部合わせていったというような映画だった。

風(ふう)とは大杉蓮が飼っていた犬と同じ名前で、所長=大杉蓮であったことがラストで示され、満を持して『名脇役の森の100日間』では出さなかった大杉蓮の写真を最後に提示。これをもって故人の遺志を叶え、4人の役割を終えさせる。そのための映画だった。

やりたかった事としてはとてもいい締め方ではあるんだけど、いかんせん前フリが長すぎた…。事前に連ドラにして大量の役者を出して主役不在感を出すことで今作の設定(4人が主役だが主役ではない)に先に慣れさせておこうという意図もあったのかもしれないが…終わり良ければ総て良しというよりは終わりだけ良し終わりのためだけに無理をし過ぎた作品だったかな…。

★★★☆☆

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