2017年11月15日さいたまスーパーアリーナで開催された「TUBE LIVE AROUND 2017 ”Unknown 4” ~冬でもアリ!?ーナ~」に行ってきた。
07年の冬のアルバム『WINTER LETTER』リリース時以来10年ぶりとなる冬のアリーナツアーと銘打たれたこのツアーはツアーと言ってもさいたまスーパーアリーナと愛知県体育館、大阪城ホールの3公演のみ。10年前は7会場8公演やっているので、日本武道館や横浜スタジアムなどの大会場でのライブは近年も行われているものの今回はさすがに規模が以前よりは小さくなっているようだ。ただし10年前のやつはアリーナとホールが混在してのツアーだったのでライブタイトルにアリーナの文字が含まれていなかった模様。またTUBEの場合夏は90年代のピーク時からホールツアー&スタジアムというスタイルで、アリーナクラスでのツアーは過去何度かあるがいずれも冬だったようである。
既に今年はミニアルバムを出して全国を回るホールツアー29公演を5~7月に行って、8月に横浜スタジアムでスペシャルライブを行っている。そこから特に冬に向けての新作もリリースされていない中でのアリーナツアー。何もないタイミングでアリーナをやるのはさすがにちょっときついのではないかと思いつつ、アリーナなら確実にチケットが取れそうだという確信があったのと、たまアリはやはり近い。自転車で行ける。最悪歩いても行ける。というわけで申し込んだところあっさりチケットを確保。
こうして初TUBEライブとなった。
以下ネタバレ注意
アリーナの特殊な座席表記
さいたまスーパーアリーナの座席はアリーナ席、200レベル、300レベル、400レベル、500レベルと階層が分かれている。最寄りの新都心駅からアクセスすると改札が既に2階の高さになっていてそのままインするので、最初から200レベルの位置、アリーナ席だと1度下に降りる形になる(外から階段を降りて機材搬入場所みたいな下から入る場合も多い)。
300レベルはほぼ関係者席のような位置づけで四隅に少ししかない。一般的には200の上は400レベル、そしてもう1つ上に数は多くないが500レベルがある。建物に入った時点で200レベルの階層にいるので400や500レベルは建物の中にあるエスカレーターで上がっていきそこから客席へ入っていく経路を辿る。今まで過去ここで見てきたライブは基本的にこれら全てが解放された状態であった。Twitterの写真になっている神龍もとい見沼の竜神様が出現した成人式もそうだった。
いつものたまアリと違う!?
しかし、今回会場に入ると異変が。誰1人上に上がっていかない(400レベルの階層へ行かない)のである。そして客席へ入ると驚きの光景が。
天 井 が 異 様 に 低 い
アリーナってこんな天井低かったか?という圧迫感。アリーナって最早怖いくらいの高さのある会場だったはずだが…。そして今いる位置もなんだかおかしい。
200レベルなのにこれより上が存在しねぇ…
座席は200レベルの1番上(のステージに近い縦軸では前の方)だったんだけど、自分より上が存在しない。そんなはずはない。300レベルはともかく400と500はどこ行った?空席になっているとかじゃない。400と500が無いのだ。
これはまさか…
天 井 ご と 改 変 し た
この会場は用途に応じてスタジアムモードやアリーナモード等様々な形態変化を可能としているとは聞いていた。まさか高さまで変えられるとは。たまアリの可変モードはハンパ無かった。
何と天井ごと下げてしまい、300以上を無かったことにして、最初から200レベルまでしかないですけどNANIKA?満員ですけどNANIKA?状態を華麗に演出したのである。すげぇ。
近くにいた夫婦はこの違和感に我慢しきれなくなって係員に聞きに行ったらしく、「本当は上があるけど天井を下げている」「こういう使い方は珍しい」という話を聞き出したらしく、戻ってきてそのことを反芻しながら天井の低さに納得していた。
こんな使い方は初めて見たが、天井が狭いと感じる部分を除けば見た目は満員に見えるので心理的にはこれはいい。なんだかんだ武道館の通常使用(ステージ裏を使わない)よりは十分に入っているように見えるし。恐らくチケットの売れ行きから早めに判断して天井を低くすることを決定し、200レベルまでしか割り振らなかったのが綺麗にキマった感じ。
浜崎あゆみがガッラガラだった時はスッカスカなところに飛び飛びに無理やり配置させていたので少し上の方になると1人で左右5,6席使い放題みたいになっていた。なので天井は不変だと思っていたが、浜崎あゆみがあのような空席を晒す道を選んだのはプライド的な問題だったのか、まだ売れると判断して下の階層に詰め込まずに上の方の席まで飛び飛びで割り振ってしまった結果の惨状だったのか。
なお本気を出すとこんな狭いホール状態にもできるらしい。
さすがにこれをやるとあまりの狭さに笑いのネタにされてしまいそうではあるが、アリーナ公演を達成したという実績は確かに作れるわけで、空席を晒すしかない日本武道館で武道半などとネタにされるよりは、可変モードをフル活用して見た目満員にするほうが精神衛生上、ミュージシャンもファンも幸せだ。
なおMCにおいて前田がさいたまスーパーアリーナでやりたいと言ったのは自分でどうしてもここでやりたかったので事務所にやらせろと我儘を言った、と発言していた。
セットリスト
01.心までSUNSHINE
02.My sunny day
03.茅ヶ崎Pipeline
04.センチメンタルに首ったけ
05.春畑ソロ1(インスト) September Ocean
06.春畑ソロ2(インスト) Midnight Snow
07.月光
08.ナデシコ
09.冬の海岸通り
10.君となら
11.松本ソロ(特殊な打楽器を数種類披露インスト)
12.雨の日の過ごし方
13.いつも、いつまでも
14.サンキュー
15.真夏へCount Down
16.角野ソロ(ボーカル) Back To Good Days~上を向いて歩こう(カバー)~Back To Good DaysMC
17.あの時君は若かった(ザ・スパイダースのカバー)
ゲスト堺正章登場
18.タンバリンパフォーマンス~Twist And Shout(堺正章とコラボ、60年代洋楽カバー(ビートルズのカバーが有名なやつ)
19.街の灯り(堺正章とコラボ、堺正章の曲)20.いまさらサーフサイド
21.夏を抱きしめて
22.SUMMER TIME
23.裸足のラッキーガールアンコール
24.Remember Me(前田ピアノ弾き語り)
MC
25.明日への道(終盤まで前田ピアノ弾き語り、終盤はピアノを降りてバンド演奏)
26.空と海があるように
MC
27.青の道標
サポートメンバーがいっぱい
ダンサー6名、ストリングス4名が曲によって登場。キーボードで武部聡志。さらにもう1人キーボード。
ここまではいいんだけどさらにギター、ベース、ドラムが1人ずつ。
なんとメンバーの担当楽器全てにもう1人つけるという体制。このため演奏にかなり自由度があり、各ソロの時は他のメンバーは引っ込み、バンド演奏は全部サポートが担当したり、メンバーが演奏せずにサポートに任せる場面もいくつか。
前半
1曲目はいきなり4人全員アコースティックギター&全員ボーカルリレーでスタート。この際もサポートメンバーがバンド演奏を担当しており、2曲目からは春畑はギター、角野はベースとなったが、松本はドラムセットに行かずに角野の前でしばらく簡易なリズムセット(ミニ太鼓2つとミニシンバルだけみたいなやつ)を立って叩いていてメインのドラムはサポートが担当していた。「センチメンタルに首ったけ」辺りでようやく本来のドラムを演奏し始めたんじゃなかったか。
「センチメンタルに首ったけ」では前田がサーフボードに乗って空中浮遊を披露。バックのスクリーンと合成していたので正面から見ると合わさって面白かったんだろうけど、サイドから見ていると全く合わさらないので、サイドスクリーン頼み。しかしサイドスクリーンのカメラワークがなかなか正面から映像と前田の動きがカチッとハマった位置に持ってきてくれないのが惜しかった。
「月光」辺りからは1本の桜の木で季節を巡っていく演出が取られ、枯れ葉散る→雪が降る→松本ソロの間に冬を越す(演奏だけ見ていると珍品みたいな楽器を次々意味不明に演奏を繰り広げたようにも見えたが恐らく季節が変わっていく演出だったと思われる)→雨→桜と進化していった。これも正面から見ると木の映像と演奏が合わさって凄いリアルに見えたんだろうけど、サイドからだと演奏と映像がバラバラに見えているので演出を理解するのが難しかった。
角野がソロボーカルを歌った後は3人が出てきてようやく初MC。今回ここまで喋らせてもらえなかった、喋りたくてしょうがなかったと語っていたので普段はもっとMCを早くしているようだ。
大御所接待
渚のオールスターズで関わった話からムッシュかまやつの思い出話になり、スクリーンには06年の渚のオールスターズの集合写真も映し出された。嗚呼Miyu…。今はどこで…何を…と遠い目になった元ZONEファンが他にこの会場にいただろうか…。
このムッシュかまやつの話からザ・スパイダースのカバーになり、まさか来てくれるとは…という形で堺正章が登場。
タンバリン協会の会長だという話になり、タンバリンを力説して前田にレクチャーするという謎展開が延々続く。最初は堺正章の芸風であるおとぼけっぷりが面白かったんだけどいかんせんこの人ボケまくって話が進まないもんだから終わりが見えなくなってきた。
タンバリンパフォーマンスをサポート含めた全員で披露した後は「Twist&Shout」はメンバー全員ボーカルで披露したが、この演奏終わりの締めも堺正章が引っ張る引っ張る…。さすがにこんだけ引っ張ったんだから終わりかと思いきや、まだ堺正章の曲をもう1曲歌うという。
わざわざ歌ってもいいですか?の客煽りもしつこく繰り返し、最初は堺正章の芸風が面白かったんだけどさすがにここまで来るとちょっとさぁ…という気分になってきた。トドメに「街の灯り」のイントロの間に前田と話し込んだ堺正章が歌の入りを流してしまい、歌うの忘れちゃったよ!と叫んで演奏ストップでやり直しになってしまう始末。ここまで来るとさすがにちょっとイラッと来た。割とマジで間違えたっぽかったけど、これがわざとボケたなら加減を分かってない面倒な大御所だし、そもそも素で間違えたなら他人のライブにゲストで出ておいて気を抜きすぎでありどっちみち面倒な大御所だ。
途中までは堺正章面白いなと思っていたんだけど、去っていく頃にはすっかり大御所接待コーナーみたいに感じられて、こういう大御所ってめんどいな…と思ってしまった。しかもこの堺正章パートが異様に長かったため、その後4曲で本編が終了してしまったのは妙に早く感じてしまった。
感想総括
セットリストは「知らない曲ばかりでしょう?」「そういう曲ばかり選曲した」とMCで語ったくらい、新旧織り交ぜたアルバム曲の大連発。アンコールで「Remember Me」ピアノ弾き語りした後のMCでもTUBEのバラードは結婚式で使われているものも多くよく歌わされるとして実例の「10年先のラブストーリー」「君となら」、最近だと「プロポーズ」(「プロポーズ」も早13年も前で最近じゃな)と人気曲を挙げるもこれらを披露せず、TUBEで1番最初のバラードだと言って『Beach Time』収録の「明日への道」を歌った辺りも顕著だった。
2年前のベスト盤を前半10年に異様に傾けたのが信じられないくらい、80年代も90年代も今世紀以降も含まれていてバランスが良かった。ただアルバムを全作聞いたとはいえ、さすがに覚えてない曲の方が多く、ほとんどの曲は既に聞き覚えすらなかった。
秋の代表曲である「月光」は確実に来ると思っていたので期待通りだった。また1番好きなアルバム『LANI KAI』からの「真夏へCount Down」は個人的に最も熱い流れだった。2015年の秋冬シングル「TONIGHT」「灯台」も来ると思っていたのに来なかったのは残念だったが、終盤で「空と海があるように」が聞けたのは最高だった。
直近の曲以外はほとんど2つや3つキーを下げていたと思うんだけど、さほど気にはならなかった。歌い回しも変わってはいるんだろうけど、基本的な声の雰囲気そのものはさほど変わっていないので、加齢や喉壊してキー下げを余儀なくされている往年のシンガーの中ではかなり幸せというか、これはまだまだうらやましい部類なんじゃないかなと思う。毎回今日は調子がどんなもんなのか心配モードからライブが始まるDEENに慣れす
全体には盛り上がりどころはあまりなく、聞かせる曲が多かったけどこの季節に開き直ったように夏曲ばかりとかそもそも期待してないし、膨大な曲数があるんだからこういう王道じゃない選曲も面白かった。いつもより客数が多いアリーナなのに攻めるなぁとも思ったけど、これは1番ライブを見ているDEENがあまりに選曲・構成共に長年同じパターンを守りすぎているっていうことなのかもしれない。こういう適度な刺激があった方がファンは喜ぶし残るよね。
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