空と風と時と 小田和正の世界

2023年11月22日発売。
著者は追分日出子。

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著者が約20年にもおよぶ年月をかけて幼少期から現在までの76年の小田和正の音楽人生を本人インタビューを中心に取材した内容を2022~2023年に行われた最新のツアーのドキュメントまで時系列にまとめた評伝本。親族やオフコースメンバーによる証言も掲載されている。

2018~2019年にかけてオフコース~小田和正の全アルバムを聞き通していった際に大雑把な歴史もいくつか把握していたが、特にオフコースの鈴木康博脱退~4人時代の話は色々と伝えられてはいるもののファンの間での定説的なものが多く本人証言によるものはあまり目にしなかったのと過去にも本は出ているが今回は集大成的な内容になっていそうなので読んでみた。CDアルバム1枚と変わらない値段だったが、それだけの事はある辞書並のかなり分厚い本だったが全体には整理された内容で読みやすかった。

オフコース時代が元メンバーの証言も交えてオブラートに包まずに鈴木脱退に至る真相に近い証言が得られているのはやはり貴重なんじゃないかと思う。肝心の鈴木康博本人へは取材はしているものの他のメンバーと違って当時の詳細を語る事は避けていて真意はここにも載ってはいない。ただ最新の鈴木康博のライブ取材が行われており、ライブのMCで語られた小田和正との思い出話や当時の話はライブのレポという形ならOKという許可が出ているのでその中で断片的に語られるといった形。どうしてもオフコースメンバー3人の話を軸にして鈴木脱退に至る経緯が書かれているのであくまで残されたメンバー視点ではあるんだけど十分にやはりそうなんだろうなと思える内容だった。4人時代の終焉に関してもハッキリ語られているが、これもまあ4人時代末期の音を聞けば察せられるような感じではあったように今回ちゃんとフラットに真相が書いてあるように思う。

ソロ以降だと近年「クリスマスの約束」が連続で制作されなくなっているが、思った以上の熱量とこだわりで制作されていた事が改めて書かれており、現状ツアーをやるなら余力が無いのもなんとなく納得。変わらぬ歌声に関してもさすがに年齢的な不安は当たり前にあったみたいだし。気難しい人というイメージもあったけど、ミュージシャンとしての生き様は単純に凄いと思えた。

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