パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜 最新章SP+Season 3 全5話

2024年6月16日放送。2022年春クールに日本テレビ系「土曜ドラマ」枠で放送され、直後にHulu限定でSeason2が制作されたドラマの続編。Hulu限定でSeason3が開始される当日にSeason3の0話扱いで『ACMA:GAME』最終話翌週、次回作までの繋ぎの「日曜ドラマ」枠で放送。このためSPだが通常枠(22時30分~23時25分)だった。

AI「メーティス」が暴走し、全国で停電や通信障害を発生させる。「メーティス」は交渉相手として小比類巻(ディーン・フジオカ)と最上(岸井ゆきの)を指名。開発者青柳誠一郎(神尾佑)の息子で特殊詐欺グループのメンバーで殺人で手配された青柳結弦(青木柚)を連れてくるように要求する。長谷部(ユースケ・サンタマリア)と奥田(吉本実憂)の活躍で結弦を確保して「メーティス」と対面させるとやがて「メーティス」の正体と目的が…。

結弦は組織から抜け出せなくなって殺人に手を出すまでに至り、亡くなったばかりの母の死にも立ち会えなかったが母は「メーティス」の原型にも関与しており、母の遺志が「メーティス」の遺志となり息子と会いたかったのではないかと示唆するような結末となるなど最新科学にこうなのかも?的なファンタジックな飛躍した要素を織り交ぜる独特の作風は2年経っても変わらず健在。変わらぬレギュラーキャスト陣の久々の2年前からの地続きの登場も含めて”帰ってきた”感のある内容だった。ほとんどみんなそのままだったがさすがに娘役の子役は2年で大きくなった。

ただよく続編行けたなこれ。視聴率5%台で終わり、Huluとの共同企画なのでSeason2は最初から確定案件だったとはいえ、毎年続編を作り続けて映画まで行った某ゾンビドラマと違って翌年(2023年)に続編が無かった時点で終了になったものだと思っていた。しかも奥田(吉本実憂)が登場したのはHulu限定のSeason2からなので、2年ぶりというただでさえ記憶が曖昧な状況で地上波としてはいきなり長谷部の相方に知らない若い女がついている事になるのは攻めすぎ。まああの『古畑任三郎』でも何の加入エピソードも無く最初から知り合いかのように途中から西園寺が加わっていたりとかあったのでそんなに珍しくはないのかもしれないけど…。それにしたって今回勤務時間外にいきなり事件発生になったので、科学犯罪対策室のシーンが無く、対策室メンバーが4人揃っているシーンがゼロ。長谷部(ユースケ・サンタマリア)と奥田(吉本実憂)はメインキャスト勢と一緒のシーンが無い完全別撮影のまま終わってしまったのは斬新だった。

Season 3 全5話

最新章SP放送直後からHulu限定で5話連続配信。Season2に続いてのHulu限定。最新章SPはそれだけで話が完結していて、引き継いだ要素はせいぜい最新章SPで初登場した小比類巻の同期のテロ対策課長の橘(駿河太郎)が引き続き登場しているくらい。最新章SPではAIとの対話がメインで小比類巻と最上が呼ばれるという話の展開上、小比類巻&最上と長谷部&奥田が終始別行動で4人揃わなかったがこちらでは冒頭から4人揃っていて、ここでようやく続編が本格的に始まった感じがした。

今回は概ね3話+2話で構成。警官が突如として一般人を銃撃しまくってその間記憶がないという怖すぎる連続殺人事件が発生し解決に奔走する展開と、その事件で捕まった首謀者が留置場で顔からキノコが生えた変死体で発見され、古代から復活した人に寄生する怖すぎるキノコを巡って研究者の御門(田中みな実)と最上が向き合い、キノコを狙う組織が実は…という展開。

今回も面白くはあったのだが若干肩透かしに終わった感もあり、前半の事件の犯人は結局何を狙ってそんな大掛かりな事をやろうとしたのかイマイチ見えないままになってしまった。起こった連続殺人事件は目的の副産物的な事故であって、本当の目的を遂行するためになるべく真相を隠蔽しようとしていたというのはまだいいとして、小比類巻ら科学犯罪対策室の活躍で真相が明らかになってしまい、ド派手なテロを起こそうとしているテロリスト扱いされて完全に詰んだ状態でも「お前が思っているような事は起こらない」としか言わずに強引に”トリガー”を引こうとしてテロリストとして逮捕されてしまい、結局何をしようとしていたのか、バックに誰がいるのかも全く話さないまま。

しかも留置場で即キノコ死したのと、犯人のバックに謎の組織がいるっぽい事は見えていたので、組織がキノコを使った高度な暗殺術で犯人を始末したのかと思いきや、終わってみれば敵組織ではありませんでした、利権のために追ってただけでキノコで暗殺どころかそのキノコ確保のために追っていただけでした…という連ドラ時代やSeason2のような明確な黒幕が不在のまま幕引き。前半の犯人さんは前半の事件が起きるより前にキノコ胞子を吸い込んでしまっていて都合よく捕まって留置場にいた絶妙なタイミングで体内で致命傷レベルなキノコ発動で死亡したらしい。てことは待て、犯人が前半の事件を成功させていた場合作戦成功だと歓喜しているタイミングで突如苦しがって血まみれになるほどかきむしり始めたと思ったらキノコ生やして死亡という壮絶死をその辺の街中か自宅でやっていたかもしれない事に…。

この犯人のキノコ死のタイミングは絶妙すぎたが、それでも一応辻褄は合っており、事故が起きた際にその場にいた研究員の人は今作が始まる前にキノコ死していたようで回想のみの登場、犯人はこのキノコ拡散事故の際に最初に対応に当たって巻き込まれており、後半2話でもう1人犠牲になった人は2人より遅れて現場に来た際に最も大量に胞子まみれになっていたと思われる研究員の人にぶつかられて吸い込んでおり、3人がキノコ死したタイミングは巻き込まれて胞子を吸い込んだ順番や現場でどれだけ大量に吸い込む状況だったのかの様子とは概ね一致するように作られてはいたが…。いずれにしても前半から科学者をそそのかして何かやらせようとしている組織の存在を匂わせてこの尻すぼみな終わり方はちょっとモヤるなぁ…。

一方で子役の成長に合わせて娘の星来(鈴木凜子)は小学生に進級。前作の頃よりも明らかにおませさん&子供らしくよく喋る子に成長していて微笑ましかったが、母が既に死んでいて冷凍保存下にある事を小比類巻が説明しなければならない時期は確実に目前に迫っており(さらに成長すれば自分で気づく)、もしそこまで描けるなら大きなターニングポイントになりそう。

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