1992年7月11日公開。
『ドラゴンボール』通算劇場版第10作。
この時点でのアニメはベジータとトランクスが精神と時の部屋で修行、神と融合したピッコロが17号と激闘を繰り広げ、セルが乱入して2人を圧倒、16号が乱入して互角に戦うも17号が吸収されてセルが第二形態へ進化した頃だった。今作では未来トランクスも加わって、悟空・ベジータ・トランクスの3人が超サイヤ人に変身し、ピッコロも含めた4人が主戦力として扱われている。トランクスが修行前の剣士スタイルで3人ともノーマルの超サイヤ人となっていて悟空とベジータも前作と同等の戦力のままと思われる。そうなると神と融合したピッコロが1つ抜けて仲間内で最強になっているはずだが相変わらず超サイヤ人と同等以下に描かれており、ピッコロのステータスも20号を圧倒していた融合前のままっぽい。つまり戦力は前作から変わらず未来トランクスが加わっただけのようだ。
冒頭で17号がDr.ゲロを殺害するシーンがあるが、原作/アニメと違って扉の向こうまで戦士たちが迫っている様子はなく、また17号18号がどうなったのかも不明で、セルとは別の「孫悟空抹殺」を目的にコンピューターが開発を進めていた人造人間として13、14、15号が登場。13、14、15号は原作の扉絵の人造人間一覧の説明で存在が示唆されており、初期に出てきた8号以外はどれも失敗作とされ、作中では18号には処分されたと言われていたが、この説明では13、14、15号は“かなり完成度が高かったらしい”と書かれていたのでこれを基にしての今作の設定と思われる。合体して物凄く強くなるなどセルの試作のような要素も…。
亀仙人・ウーロン・クリリン・トランクスが「ミスこの世で一番べっぴん世界大会」会場で並び(誰もいなくて明日と間違えていた)、同じ街で悟空・悟飯・チチがショッピングを終えて合流して食事していたところに13号・14号がやってきて悟空を襲撃。自分だけを狙っている2人の様子から人造人間だと気付いた悟空だったが、トランクスも参戦。街が破壊されて被害が拡大していくばかりなのでトランクスの提案で北の氷河地帯に移動して戦う事になった。悟飯も追いかけクリリンも悟飯を心配するチチに無理やり送り出された。
氷河地帯に到着して2対2の戦闘が始まるが、そこに後から目覚めた13号が合流。「ソン…ゴクウ」「トランクス」と相手の名前しか言えず見かけも改造人間っぽい14号・15号と異なり、13号はロン毛の普通の人間の容姿で唯一まともに会話できる人物だった。ベジータも参戦して13号VS悟空、14号VSトランクス、15号VSベジータの構図となるが何故かここまで苦戦続きで勝ち目がないのに全員ノーマル状態のまま戦い続けていて、1対1になっても不利な状況で戦い続け、ようやく3人とも超サイヤ人に変身。14号と15号はこれにてトランクスとベジータが勝利して破壊。13号相手には互角で、見かねた悟飯が横やりで13号に攻撃、13号の悟飯への反撃を止めてピッコロも参戦。
4対1の状況になると13号はバラバラになった14号15号のチップを吸収。すると13号の元の面影皆無なオレンジツンツン髪で全身青色のモンスターへと変貌。変身後の13号は一切の言葉を発せない怪物となり(破壊寸前に「ソンゴクウ」は言ってた)、攻撃をノーガードで受けても微動だにせず、4人全員がノーガードノーダメージで一切攻撃が通らずに瞬殺されてしまった(トランクスに至っては超サイヤ人にならずに突っ込むもんだから攻撃当てる以前に気絶)。
全員気絶してしまったためクリリンも攻撃を仕掛けるが当然全く通じず、悟飯が攻撃を横から相殺してもダメージが深く戦闘不能に。悟飯だけが無傷で戦場に取り残される中で、巨大な元気玉を作りながら悟空が浮上。これをかばうために悟飯が盾になってやられ、律儀にベジータ、トランクス、ピッコロも1人ずつ再起して速攻やられて再気絶を繰り返すが、この隙に元気玉は完成。しかし悟空は超サイヤ人に変身してしまい、クリリン曰く邪悪な気が入ってしまう超サイヤ人では元気玉は作れないという。創作者の界王様じゃなくてなんでクリリンが知っているんだしかし悟空は元気玉のパワーを吸収、攻撃を仕掛けてきた13号の腕が勝手に破壊されるほどの圧倒的なパワーとなり、一撃粉砕で勝利となった。
仙豆が無くなったのか、クリリン(重傷)と悟飯(軽傷)が入院しているエピローグではクリリンが消えていく元気玉を無意識に取り込んだじゃないかと解説しだから創作者の界王様じゃなくてなんでクリリンが悟空本人もよく分かってなくて終了。
複数の敵相手にボス格を狙わずに1番弱そうな15号相手にして1対1で戦ったので映画で唯一ともいえるベジータが敵に完勝する場面が描かれたのは今作最大の特色。ボスに勝てないのはお約束としてもいつもすぐやられてしまっていいところがないのでせめて毎回このくらいの活躍はしてほしかった。
人造人間編に入ってからは原作/アニメでも全く戦闘シーンが無いままだった悟飯は我慢できずに攻撃するシーンはあるが、クリリン同様の戦力外メンバーとなってしまい今作ではほぼ観戦役にまで落ちてしまった。原作/アニメでも人造人間編当初の長髪の悟飯が活躍する場面は無いままだったので仕方ないところではある。長髪の悟飯のバトルは20号が逃げて姿を消してピッコロを急襲してエネルギー吸収を行った際にピッコロの思念を受け取って駆け付けて20号に一撃喰らわせてピッコロを解放した、というのが唯一である(その後は飛行機が破壊されて飛べないブルマwith赤ちゃんトランクスとヤジロベーを運搬するために戦線離脱してそのまま精神と時の部屋での修行まで待機)。
またこれまでの映画と違っていわゆる「舐めプ」が目立ってきた感があり、これまではノーマル状態で一通り戦って敵わないと見ると界王拳や超サイヤ人に変身していてそこそこなテンポだったが、今作では街中での急襲→無人の氷河地帯に移動して被害を気にせず全力で戦える状況になってもノーマルのまま延々苦戦し続ける。誰がどう見てもさっさと超サイヤ人になれよと思うくらい間延びした戦闘を見せられるのはちょっと引っ張りすぎだ。一気に3人変身してクリリンが「3人の超サイヤ人が揃った!」と興奮し、今作のタイトルも「三大超サイヤ人」なので、三大超サイヤ人が揃う場面は引っ張って引っ張ってここぞというところでカッコよく決めたかったんだろうけど…。
久々の元気玉は「悪の気が混ざる超サイヤ人では作れない」という新設定が登場。原作では1度も言及がない設定だが、超サイヤ人になってから元気玉を使わなくなった理由として以前の映画のパンフだかで界王様の解説としてそのような説明を載せていた事があったのを記憶している。アニメ/映画サイドでは既にそういう設定が公言されていたのでクリリンが知っていて解説するっていう構成になっているのだろうか。
元気玉吸収時の後にも先にもない歯茎全開の凄まじい形相は無駄にインパクトがありすぎる。本来1人で抱えきれないようなエネルギーを吸収しているのであんな顔になるほどしんどい相当無理のある技だったのだろうか。
★★★★☆
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