1990年3月10日公開。
『ドラゴンボール』通算劇場版第5作。
1作目が冬で2~4作目は夏休みの時期の公開だったが、1990年より春と夏の年2作制作で固定となった。また今作より上映時間が40分台から60分に拡大された。
公開時点ではベジータとの激闘が終了し、悟空は入院中、クリリン・悟飯・ブルマが死んだ仲間を生き返らせるためにナメック星へ向かった時期だった。今作ではステータスはベジータ戦に設定されているようで悟飯の髪型はまだ長髪でベジータ戦と同じ。悟空の強さもベジータ戦と同じ界王様の修行を受けた後の状態で無理すれば3倍界王拳、瞬間的に4倍界王拳まで引き上げてのかめはめ波を最大出力として元気玉も習得している。また死んだ仲間のうちピッコロだけは生存していて普通に登場、それ以外は原作でも生存していた悟飯・クリリンと亀仙人が戦闘に参加する。ただし作中の悟飯の妄想歌シーンでピッコロとの過去の交流の回想が出てきた際にピッコロの死因となったナッパの攻撃から悟飯を守ったシーンが堂々歌の最後の締め部分で目立つように使用されている。今作の世界線ではあのナッパの攻撃で死なずに生き残れたのだろうか。
チチは前作ではまだ悟飯を守るために格闘家としての姿勢を見せていたが今作では教育ママの側面が強くなってきて、以後も教育ママとしての言動がアニメ・映画の両方で少ない出番ながらヒステリックにキレ散らかすキャラクターが強調されるようになった(原作だけを見ると主張する時はするが危険に巻き込みたくないという事で怒っていたり、悟空に働けとまともな事言っているだけなので実はアニメ/映画がヒステリックさ理不尽さを強調していた事が分かる)。
誰かがドラゴンボールが集めているようでドラゴンレーダーで1ヵ所にどんどん集まっている事を確認したウーロンが何故か悟飯を連れ出して願いを横取りしようとドラゴンボールが揃った永久氷壁のツルマイツブリ山に出向いていた。そこでは悪の天才科学者Dr.ウイローの助手であるDr.コーチンが永久氷壁に閉じ込められたDr.ウイローを50年ぶりに復活させる願いをかなえており(要塞ごと復活)、ウーロンと悟飯は間に合わなかった。早速量産型バイオ戦士(栽培マンのパチモンみたいの)に不意打ち襲撃された悟飯はボコボコにされてしまうが、たまたまツルマイツブリ山で修行していたピッコロが駆け付けてバイオ戦士集団を撃破。しかし謎の拘束光線に捉えられてしまった。悟飯は気絶したままウーロンと共に岩の隙間に落下しており、ピッコロが助けに来たところまでは把握していたが、ピッコロの姿は既に見当たらなかった。勝手な行動をしたウーロンが(ブルマとチチ双方から怒られるので)保身でとにかく誰にも言うなと言って帰宅したため、ピッコロの行方は不明のままとなってしまう。ウーロン願い横取り・結局間に合わない見通しの甘さ・悟飯勝手に連れ出す・保身で黙っているように言うとか序盤から思考がおかしいぞ。
後日バイオ戦士とDr.コーチンが亀仙人を「この世で1番強い男」として一緒に来るようにカメハウスまでやってきた。亀仙人はバイオ戦士を一蹴する強さを見せるがブルマを人質にされたため同行。その場にいたウーロンはバイオ戦士を目撃した事で悟空にツルマイツブリ山で見た一部始終を告白。悟空は単独でツルマイツブリ山へ向かうが、チチの反対を押し切り悟飯も後を追う。
ツルマイツブリのDr.ウイローの要塞では一足先に到着していた亀仙人がDr.コーチンの制作した凶暴バイオ戦士キシーメ、エビフリャー、ミソカッツンと戦わされる。3人がかりとはいえ序盤の様子見程度の攻撃に最初から押され気味でDr.コーチンも拍子抜けの表情。それでもそこそこ持ちこたえた亀仙人だったが渾身のかめはめ波をゴムゴムのミソカッツンに跳ね返された後は一方的にやられてしまった。これがこの世で1番強い男なのか…と呆然とするコーチンにブルマは50年前の認識で馬鹿じゃないのか、今は孫悟空が1番強いと豪語。これに反応したウイローは壁に埋めこまれた水槽に巨大な脳だけの姿で登場、さらに悟空が迫っている気を察知して悟空の体を手に入れると宣言。このサイボーグ気を察知する能力あんの?
到着した悟空はミソカッツン、自動攻撃してくる大量の機械軍と早速戦闘。機械軍は全て撃ち落したが、ゴムゴムのミソカッツンには攻撃が通用しないため、勢いをつけて突っ込んでさらに界王拳で上乗せしてゴムゴミソカッツンをぶち破って勝利。
続くキシーメ、エビフリャーとの戦闘では素の格闘能力では優勢だったが、消える能力を持つキシーメの動きに加えて電撃触手ムチの能力、強力なエビフリャーの凍結拳に苦戦。凍結拳で凍らされてしまい動けなくなってしまった。後追いしていた悟飯とここまで全く登場していなかったクリリンまで突如参上し、2人で凍結拳を1度防ぐも2人の実力では全く役に立たず電撃触手ムチ+凍結拳で氷漬けになってしまった。マジで何しに来結局悟空は界王拳を再度使って凍結拳を熱で吹っ飛ばしてそのまま圧倒的戦力でキシーメ、エビフリャーをまとめて撃破。
Dr.ウイロー、コーチン、捕まったブルマの元に到着した悟空たちだったが、操られたピッコロが登場。ピッコロが敵の手に落ちたとは信じられない悟飯が目を覚ましてとわめきちらすが、全く効果なしで襲い掛かってきたので仕方なく悟空が応戦する形となるが、悟飯が辞めろと言っているのにしつこくピッコロに目を覚ますよう迫ってはピッコロが反応して悟飯に襲い掛かるので悟空が必死で守るという膠着状態となってしまう。ただし悟空は界王拳なしの素の状態で応戦しており、前作で互角だったところから既に圧倒的戦力差が…。
悲しみをウイロー、コーチンへの怒りに転化した悟飯はお前たちが悪いんだと衝撃波を放って、ウイロー周辺の壁を破壊。要塞全体にダメージを与えてピッコロの洗脳リングも破壊。コーチンはブルマとクリリンを狙うが目を覚ました亀仙人が駆け付けてコーチンの改造された腕を破壊する。ウイローは私の出番が来たというと自ら壁から出てきて巨大水槽の脳を中心とした巨大なサイボーグ体で姿を見せた。この際に足場が崩れて落下したコーチンはエネルギーの柱に接触してショートし、全身サイボーグ化されていた姿を見せた後に爆散。後のドクターゲロもそうだけど、自身を脳以外ほぼ完全機械化するのに何で若い姿にせずに老いたジジイの姿にするんだろうか。皮膚は人工ではなく老いた生身をそのまま使用しているからなのだろうか。
よくも操ってくれたなと怒ったピッコロが実力差を分からずに特攻して速攻やられ、悟空・クリリン・亀仙人の3人かめはめ波も全く効かない。クリリン・亀仙人が一撃で沈み、悟空は界王拳しか通じないかと考えるがここでまたしても悟飯が無謀に特攻。実は隠し持っていた如意棒を振り回しながら飛んでいって振りかぶるがどういうわけかその上から叩かれてあっさりダウン。悟飯が落とした如意棒を悟空が使って伸びろ如意棒!したため、前作に続いて今作でも悟空の如意棒アクションが継続した。その後は結局界王拳3倍+3倍界王拳かめはめ波→4倍だぁ!になったので如意棒はどっかに行ってしまったが、逃げる際に悟飯が持っていたのでちゃんと回収はした模様。元気玉の準備をする悟空は上空からの爆撃で1度はやられてしまうが、ピッコロ・悟飯・クリリンの特攻と元気玉自体は無事だったためこれにて元気玉で完全勝利となった。
今作のDr.ウイロー一味は永久氷壁に閉じ込められ50年ぶりに目覚めた…という設定だが、地球の戦力が超絶インフレをし始めたのはここ10年程度の間だったわけで、50年前時点でこの戦力と科学力は相当ヤバイ。何せキシーメ、エビフリャー、ミソカッツン相手でもクリリンや悟飯といったこの時点で戦闘力1000以上ある面々が相手にならず戦闘不能にあっさり追い込まれていてまるで相手にならない。界王拳なしでも5000以上はあったはずの悟空でさえ、3体の能力に苦戦し、最終的には全員界王拳を使って倒している。3体ともナッパレベルである。
なおキシーメ、エビフリャー、ミソカッツン3人とも一応個別に声優があてられているんだけどウヘヘヘヘとか笑い声とうなり声しか無く台詞が無い。喋っているところもあるんだけど、声は全てコーチンのものとなっていて、別場所にいるコーチンが彼らを通じて悟空と会話しているだけの様子。この3体に明確な言語能力は無く通信機の機能しかないようだ。
しかも作中で登場した部下のバイオ戦士たちは全てコーチン作とされており、そもそも志半ばで倒れたというウイローを脳だけでも残して生かしたのもコーチンだったと明かされている。構想・設計はウイローと思われるが、コーチンの貢献果てしないのでは…。コーチンもバイオ戦士はワシが作ったとさりげに自作アピールしていたし、ウイローのメンテナンス周りとか細かい部分はあのサイボーグ体ではできないだろうからほとんどコーチンだろう。かなり有能な助手であったことは間違いなくもう少し大事にしてあげても良かったのではないか。ていうかこの人だけ最初から無事だったのは謎だが設定上はサイボーグ化して生き永らえていたコーチンが単独で50年かけてなんとか最近脱出→自力で要塞復活はできないからDB探しという事なのか。
そしてDr.ウイローも戦闘力が凄すぎる。培養液に脳を浸した状態のサイボーグで3倍界王拳で腕を破壊は出来たものの、3倍界王拳かめはめ波とエネルギー波の応酬では完全に上回っていて悟空はこの際に押された衝撃で上着が吹き飛んでしまっているほど。直後に4倍界王拳かめはめ波で一気に押し返したが、この4倍界王拳かめはめ波でも脳を浸した水槽はちょっとヒビ割れた程度。この後に地球破壊エネルギー波ぶっ放してくるタフさで元気玉でようやく倒せたという持ち技フル開放全部出してようやく勝てたレベル。やり方次第ならサイヤ人編こいつだけで十分勝てたレベル。
あとウイローの本体はサイボーグ体の部分だけのはずだが、ウイローの復活を神龍に願ったら何故か要塞ごと復活した事、要塞の中心となっているようなエネルギーの柱がウイローと連動していて戦闘力の要になっているっぽい。ウイローが切り離されてからも空間を越えてエネルギーが自動供給されているようで、ウイローが大気圏近くの上空から地球破壊エネルギー波を放った時など要塞のエネルギーの柱が光っていてウイロー本体へエネルギーを供給しているような描写で、元気玉で上空のウイローが爆散した際には何故か攻撃を一切受けてない要塞も同時に爆散している(悟空が爆発に巻き込まれた)。
こんなこの時点での地球最強最大レベルの戦力を生み出せる輩が50年前にいたという事とこんなハンパない奴が永久氷壁に閉じ込められて50年出てこれないというネジの飛んだ設定が凄い。そしてこんな強いのに今更300歳越えで年老いた亀仙人の肉体をもらおうとする思考回路は常人には理解不能だ。地球No.2のピッコロを支配下に置いた時点で何故ピッコロの肉体には興味を持たなかったのか、何よりそのままでも強いんだからそもそもそのままでいいし、Dr.コーチンみたいな人型のサイボーグもバイオ戦士も生み出せるんだったら自分で理想の最強ボディを作った方が早かったでしょ…。ただウイローが「こんな醜い体ではなく」とか言っていたので、なんだかんだ人間体獲得にこだわりがあったのかもしれない。
悟飯は冒頭でピッコロに助けられた後に前作に続く夢の中のメルヘンワールドと共に本人歌唱『ピッコロさんだ〜いすき♡』が流れるなど相変わらずの幼児可愛い路線を継続しているが、そろそろバトル中心の作風と本格的に馴染まなくなってきてて辛い。言動と行動(実力)が噛み合っておらず、勝手な事をして何度悟空が辞めろと叫んだ事か…。秘めた力の発揮はウイローに衝撃波を放った時で終始余裕の態度だったウイローが何だこの力は!?と驚愕するほどの活躍ではあったけど逆にこれと最後のピッコロ・クリリンとの特攻以外はほぼ全部足手まとい。亀仙人でも倒せた量産型バイオ戦士に手も足も出ずボッコボコは戦闘力の波が本編以上に激しすぎるよなぁ…。
★★★★☆
コメント