1993年7月10日公開。
『ドラゴンボール』通算劇場版第12作。
この時点でのアニメは悟空が死亡して悟飯がセルを倒し、エピローグと未来トランクスの帰還、そしてアニメオリジナルのあの世一武道会を挟んでOP/EDが一新され悟飯が主役に切り替わる過渡期の頃だった。これまでのパラレル設定と異なり、今作はセルゲームの後、未来トランクスが未来に帰って未来の17号18号セルを相次いで撃破、これらの報告をするために再度現代に挨拶しに行こうとしていたセル編ラストの直後、未来トランクスが現代に報告にやってきた時に起きた出来事として矛盾なく収まるようになっている。もちろん厳密ではなく「もうみんなに会う事は無いと思う」と去っていった天津飯まで大会に出場してきてあっさり再会していたりと矛盾が無いわけではない。
OP「CHA-LA HEAD-CHA-LA」はこれが最後。また『ドラゴンボール』時代3作全てに出演した後に『Z』最初となった4作目『ドラゴンボールZ』に出番が無かった以外は『この世で一番強いヤツ』以降も非戦闘員キャラで唯一連続出演し続けていたウーロンの皆勤記録は今作を最後に途絶えた。
悟空は界王様と共に天界で見守る存在として継続して登場。セルの自爆に巻き込まれたため界王星も消滅しており、今作ではアニメオリジナルのあの世一武道会編に出向いていく前と同じ蛇の道の途中に仮設小屋を建てて滞在している状況となっている。
前作でもほとんど活躍が無かったが、本編でもセル撃破で味方最強となり、味方側の主人公・最大戦力はついに悟飯となり、今作では超サイヤ人2にも覚醒する。
大富豪ギョーサン・マネー主催の天下一大武道大会が開催されベジータ以外の地球の戦士達も出場。8つのブロックでの予選バトルロワイアルで1名ずつ選出して8人を選出→1対1で決勝進出者4人を選出→4人はバトルエリアに散って銀河戦士を倒して1番早く戻った者が優勝、さらにミスター・サタンへの挑戦権を得られるというというルール。銀河戦士は実はミスター・サタンが用意した弟子だった。
予選ではヤムチャが仲間達の出場を知って戦意喪失して寝ている間に落ちて失格。8人の準決勝では悟飯はウドーという一般戦士を一撃瞬殺、クリリンVSピッコロはピッコロが骨のある奴がいない、やってられるかと飛び去ってしまったのでクリリンが残り、トランクスVS天津飯は超サイヤ人なしではそこそこいい勝負をしていたがトランクスが超サイヤ人になるとさすがにあっさりトランクスの勝利、もう1ブロックは一般選手同士で見た目そのまま相撲取りで台詞が「ドスコイ」しかなく、後に殺害されるときに締め上げられて苦しんでいる時もドスコイドスコイドス…コイ…という徹底した死に様名前もそのままドスコイが残った。この段階でミスター・サタンはセルゲームでの本当の勝者である悟飯たちが来ているのに気づいて逃走を図ろうとするが周囲の期待や島での開催で逃げ場がなく困り果てる。
決勝でバトルエリアに4人が送られた直後から異変が起こり、銀河戦士は全員ボージャック率いる本物の銀河戦士ゴクア、ザンギャ、ビドー、ブージンにすり替わっていた(サタンの弟子は全員殺されたらしい)。クリリンはザンギャにやられてしまい、ドスコイ氏はビドーに絞殺されてしまい、会場もパニックに。
邪魔なしで離れた場所で1対1の状況で戦えたトランクスVSゴクアは早期に決着がついた。このゴクアは部下の中で唯一ボージャック同様のパワーアップ形態持ちだったが超サイヤ人になったトランクスは単独でゴクアを撃破。直後に出現したボージャックのほとんど不意打ちに近い一撃でトランクスはやられてしまったが、結果的に悟飯以外の戦士の唯一の単独勝利となった。
ボージャックの部下一行は相手の動きを止める超能力を駆使した連携前提の戦い方をするので、悟飯はこの最初の1対1で戦えた際に対戦相手となっていた最も超能力に長けた厄介なブージンを仕留めておけばよかったのにこの段階では異変を察知しつつも様子見でほとんど回避しかせずに、あろうことかクリリンを倒したザンギャ、トランクスを倒したボージャック、ドスコイを殺したビドーと敵が集結してきている中央エリアまでブージンを引き連れて移動してしまう失態。結果、中央エリアではクリリン、トランクスが気絶したまま横たわっており、駆け付けたヤムチャ・天津飯は使い物にならず瞬殺され、悟飯は1対4を強いられてしまった。実際にはボージャックは高みの見物を決め込み部下3人と悟飯の戦闘となったがいきなり超サイヤ人で挑んでも3人相手には劣勢で悟飯もあっさりやられてしまい、トドメだけボージャックによる攻撃。これをピッコロが駆け付けて悟飯を助けたが、ピッコロはいきなりボスのボージャックに特攻してあっさり戦闘不能にされてしまう。復帰したトランクスもピッコロへのトドメを阻止しに登場したのもあるが、不意打ちでやられたのが不服だったのか、さっきのお返しをたっぷりしてやるぜ!とか言ってやっぱりボージャックに攻撃を開始。全く効かずにエネルギー弾の無駄打ちをした挙句に背後にいたブージンに無警戒でまんまと超能力にかかってしまいやられてしまう始末。
そこに今度はベジータがカプセルコーポレーションに置きっぱなしになっていたトランクスの剣を持って救援に駆け付けた。ベジータは悟空が死んで戦う気をなくしてしまいここまで何もしていなかったとされており、恐らくベジータ史上唯一一切の特訓をしていないなまった状態。そんなベジータもボージャック一直線で瞬殺されてしまう。という事で救援者が次々とボスに勝手に挑んでは順番に戦闘不能になるという連携皆無の大失態で結局悟飯しか残らない始末。
この戦いはひとまず厄介な部下を先に倒すべく各自が部下に1対1で挑んで戦況を見てサポートし合いながらも1人ずつ消して、最後に全員でボージャックに挑むのが最適解なのが明白だったが、誰1人それを提言できず好き勝手にボージャック一直線をやらかしたのは痛い。その点では悟飯とほぼ同時に敵陣にたどり着いた天津飯とヤムチャはボスのボージャックや次に見た目強そうなビドーにいきなり殴りかからず、天津飯は背後にいたブージンに真っ先に挑み、ヤムチャはザンギャに挑んでいてあくまで主力の悟飯のサポートを念頭に戦おうとしていた様子だったがいかんせん実力不足で瞬殺されてしまったのが惜しい…(ヤムチャは位置的にすぐそばにいたビドーからの攻撃も受けていて2人がかりでやられてしまった)。
今度こそ全員気絶していて再度復活してくる様子もなく悟飯1人では全く太刀打ちできず、3人がかりの超能力で拘束されて身動きもできない。そこに無理やり現地に送られたサタンのマシンが突っ込んできたのでブージンが回避した事で拘束能力が解除され(拘束の超能力はみんな使えるようだったが、要となるのはブージンだけでザンギャやビドーは増幅装置のような役割なのだろうか)、ボージャック自らの抱きついて締め上げる攻撃(セルにもやられたやつ)に切り替え。あの世で見ていて我慢できなくなった悟空が瞬間移動で現世に一瞬だけ実体化して現れボージャックを殴り飛ばすと光の球体となって悟飯を地面に降ろしながら悟飯を鼓舞する言葉を残して消え去った。これを受けた悟飯は超サイヤ人2に変身すると、ブージン&ビドーの拘束の超能力をものともせずに前進を続けちょっと開放しただけで能力を吹き飛ばし、襲い掛かってきた2人は一撃でセルジュニア相手のように両断して瞬殺。
恐怖で震え上がるザンギャをボージャックは何故か突き飛ばすとザンギャごとエネルギー弾で撃ちぬいて悟飯に攻撃。あっさり回避したのでザンギャは無駄死にとなり、続くボージャックの気弾はノーガードノーダメージ。悟飯の一撃で腹がぶち抜かれ、それでもなお最後の気弾攻撃を繰り出すボージャックだったが悟飯はノーダメージでかめはめ波で押し返して直接衝突の末にノーダメージでボージャックにトドメを刺して勝利するのだった。
最後の入院シーンは仙豆orデンデは…?
結局悟飯が超サイヤ人2になれば1人で全員瞬殺できる圧倒的強さで、悟飯無双という後にも先にも見れない最大級の活躍を見る事が出来たとはいえ、前述のように戦士たちの過去最高のまとまりの無さがちょっとヒドイ。これは悟空というなんだかんだみんな信頼して頼れる中心人物が不在になってしまった弊害なのだろうか。『極限バトル!!三大超サイヤ人』の時はベジータもリーダー格13号に挑まずに1番格下っぽい15号を自ら選んで相手にしていて倒してから13号のところに来るという戦い方を出来ていたのになぁ…。ピッコロももっと冷静なやつじゃなかったか。
ザンギャだけボージャックが謎に殺すという変な顛末になったのは女性キャラを主人公サイドが殺すというのはマズいという判断だったと思われるが、男女平等絶対主義となった現代ではこの描写は差別になるのだろうか。悟飯が容赦なくブージン&ビドーと一緒に真っ二つにしてブチ殺していたら現代でも文句が出そうな気もしなくもないが…(じゃあどうすりゃいいんだよ的な)。面白かったのはこの時期に出たスーパーファミコンソフト『超武闘伝2』ではボージャックとザンギャの2人が今作から登場していて、対戦相手によって変わる台詞(声無しの台詞表示)で、ボージャックがザンギャと戦って勝つと「ザンギャ、えいがではスマン!」と謝罪するというネタがあって笑った。
★★★★☆
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