ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない

1994年3月12日公開。
『ドラゴンボール』通算劇場版第13作。

B06Y17NQ7C

この時点でのアニメは16歳に成長した悟飯が主役となり、グレートサイヤマンとして活躍する話からビーデルに正体がバレ、天下一武道会に出場するよう言われ、久々に仲間達も天下一武道会に集結するのに合わせて悟空が占いババの力であの世から1日だけ帰還、しかしそこにバビディの魔の手が迫り…という悟飯が急襲され、界王神の依頼で魔人ブウ復活を阻止するために大会を放棄してバビディの部下との戦いに挑み始めた頃だった。悟飯主役への移行に伴い、OP/EDも一新され、「WE GOTTA POWER」「僕達は天使だった」となった。悟空はあの世で見守る存在、OP/ED映像は悟飯を主役として描いたものに変更され、当時はかなり本気で主役交代を行う流れになっていた。そのせいで終わる頃にはほとんど活躍の無い悟飯が主人公のようになっているOP/ED映像がかなり虚しい事に…。

今作では悟飯がグレートサイヤマンである事がビーデルにバレた後に舞空術を指南した直後でビーデルは既に舞空術を会得して空を飛ぶことが可能だが、まだ超サイヤ人や本格的な強さの事は隠している設定になっている。青年悟飯のまともな戦闘シーンがまだ出ていなかったためか、悟飯の強さが曖昧になっており、超サイヤ人2に変身しているのかも不透明となっている(特有のスパークが発生していない)。青年悟飯の髪型が少年時代と異なり、元から逆立っているので黒髪ノーマル、超サイヤ人、超サイヤ人2と変身してもずっと同じで少年時代の超サイヤ人→超サイヤ人2のように明確な変化がないのも分かりにくさに拍車をかけた。

そもそも原作/アニメでもバビディの手下に急襲される直前にキビトに言われて変身した際はスパークありの超サイヤ人2に明確に変身していたが、ベジータには子供の頃よりは弱いと評されたくらいしか描写が無かった。悟飯が少年時代より弱体化している事が本格的に示唆されたのは公開2ヶ月後に放送されたダーブラ戦でこの際は終始スパークが描かれず、仙豆で回復してブウと戦った際も終始スパークは無く、超サイヤ人2の力を引き出しきれていないかのようだった(同時進行で悟空とベジータが戦っている際は「あの頃の悟飯以上」の力で両者スパーク全開で明確に超サイヤ人2であるように描かれた)。よって青年悟飯がスパークのある超サイヤ人2に明確に変身したのはキビトに変身しろと言われて変身した1回限りだった。

前々作『燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』で悟空に腹部から貫かれて敗北し、星の爆発で死んだと思われたブロリーだったが、実は「1人乗りのポッド」(ブロリー用のちゃんと用意されてた)でギリギリ脱出していた事が判明。パラガスは元々星の爆発で地球の戦力を一掃した後に地球を征服して拠点にする事を計画していたため事前に行き先を地球にセットしてあったと思われ、綺麗に後付けの辻褄も合う。地球に到着したブロリーだったが瀕死の状態でポッドから出て動けないところで墜落で出来たクレーターに山中の水が流れ込んできて氷河地帯だったのでそのまま冷凍されてしまい7年が経過した…。

神龍が見たいというビーデルと食べ物や遊園地という願いを求めた悟天とトランクスはドラゴンボール集めをしていた(悟飯不在)。既に6個集め最後のドラゴンボールを求めてナタデ村にたどり着くと村を襲う怪物を恐れて祈祷師にいいなりに少女ココを生贄に捧げようとしていた。怪物討伐を引き受けた3人は怪物を待ち構えている間にお供え物をこっそり食べたトランクス、後追いした悟天だけをビーデルが辞めなさいと叩いたために悟天がトランクス君だけズルいと嘘泣きして抗議。山中に響き渡った悟天の本気の嘘泣きはカカロットの赤ん坊時代の声とそっくりで、近くで7年氷漬けになっていたブロリーが反応、目覚めてしまった。

出現した怪物は悟天とトランクスがあっさり退治したが、翌朝出現した超サイヤ人状態のブロリーにビーデルがやられ、駆け付けた悟天とトランクスのうちカカロットそっくりな悟天を見たブロリーは悟天を狙い撃ちしてきた。超サイヤ人に変身しても全く敵わない相手だったため2人は逃げ惑うが、途中でドラゴンボールが転がっているのを発見。7つ揃えて神龍に消してもらおうと考える。

トランクスが囮になって恐怖に震えながら逃げ回る中、悟天は呑気なまま落としたドラゴンボールをおしっこしてからのんびり探したり、トランクスが震えて隠れているところに呑気に大声出して近づいてきてブロリーに見つかったりと危機感のない行動を連発。挙句の果てにボールに直接願い事を言うという愚行でドラゴンボールが無反応。壊れてるんじゃないか、ここが狭いからなのかと考えて移動を開始してしまう。トランクスはブロリーに捕まり、恐怖に震えついにブロリー相手に失禁するほど震え上がっているのに何この落差…。

最初は一緒にビビってたのに、途中からトランクスが震え上がる中で異常に呑気なままの悟天…という構図はやりすぎた感が否めず、こんなんだから悟天の人気も存在感も皆無なのではないか…。一応トランクスを助けはしたものの結局ブロリーに吹き飛ばされて行動不能になる寸前まで呑気なままって…。

異変を察知した悟飯が駆けつけるがブロリーは悟飯に攻撃すると見せかけてほとんど行動不能なビーデル・悟天・トランクスにフェイントで気弾を発射。悟飯はノーマルのまま気弾を弾いてバリアを張るが、はじいた気弾の爆発力はすさまじく山が吹き飛んでマグマが掘り出されるほど地形が変わってしまい、3人も吹き飛ばされて完全にダウンしてしまう。

悟飯は超サイヤ人に変身して勝負を挑むが、ブロリーも伝説の超サイヤ人に変身。7年前のようにノーガードノーダメージというほどではなく、一応悟飯が打撃を与えれば少しはのけぞるくらいではあったが戦力差は歴然だった。

わずかな攻防で勝てないと悟った悟飯はマグマに引き付けてマグマに飲ませてブロリーを倒す作戦を決行。この際に悟飯は直接マグマに触れてはいないが、マグマに接近しただけでダメージを受けたのか、服はボロボロになり、脱出した後は近くの岩場で気絶してしまった。その岩場もマグマに飲まれようというところでピッコロらしき姿が悟飯を救助。ピッコロが来たと安堵してまた気絶した悟飯が本格的に意識を取り戻すとそれはピッコロではなく、ピッコロの衣装を着たクリリン(髪あり)だった。ピッコロがいつもやっていたコレを1度やってみたかったという。

直後にバリアを張っていたブロリーが浮上、クリリンは瞬殺され岩にめりこんだままエンディングでも放置され、悟飯は抵抗する余力がなく一方的に締めあげられてしまう。意識朦朧のビーデルが放り投げた水晶でブロリーの気がそれ、脱出した悟飯は最後の力で超サイヤ人となりかめはめ波で攻撃。悟天も加わり兄弟かめはめ波となったが完全に押されており、そこで今まで7つ揃っても無反応だったドラゴンボールが光り輝き空が暗くなると神龍は出現しないままに悟空が突如出現。2人を叱咤激励した後に一緒にかめはめ波に参加。親子3人のかめはめ波となり、蚊帳の外のトランクスは気弾でブロリーの気をそらし、その隙に親子3人かめはめ波がぶち抜いてブロリーをそのまま太陽まで吹き飛ばして今度こそ粉砕して勝利となった。悟空はすぐに消え、ドラゴンボールが散らばる描写もあったが、神龍が出ないままだったので「不思議なこと」「奇跡」扱いであえて曖昧にしたまま終了。

前回のブロリーは特に伝説の超サイヤ人になってからはかなりお喋りだったが、今作では何故か「カカロット」以外は笑い声しかなく、最後の最後でようやく「無駄な事を!今楽にしてやる!」と言ったのが唯一のまともな台詞。悟天の鳴き声をカカロットに重ねて7年ぶりに復活し、悟天を見るやカカロットに重ねて殴り掛かってきたのに、以降は悟天が脇をすり抜けるのをスルーしてお尻ぺんぺんで挑発して時間稼ぎを狙うトランクスに向かっていき、その後は悟天が出てきても「カカロットォォォ」と迫るような事はしなくなってしまい、悟天へ執着する事も無かった。また瞬殺できる2人を妙にのんびり追いかけていて、いたぶるよりも何もしていない時の方が長いほどで何をしたいのか良く分からない。死にかけでの7年氷漬けになっていた事で自我や思考力がほとんど無い状態となりほぼ無意識の本能だけで動いていたのだろうか。

今作では敵わないながらもあのブロリー相手に悟飯がスパークなしの超サイヤ人で一応ブロリーがのけぞるくらいの打撃力は見せていた。ただ本気同士での格闘が少ししか無く、ノーマルVS通常の超サイヤ人状態の時に悟飯はブロリーの強さを評して相変わらず化け物だとしながら自分だってあの頃より相当パワーアップしているはずなのに…と自身が少年時代より強さを増していると自負している事から、今作は本編世界ではなく「悟飯が修行を怠らずに少年時代より強さを増しているパラレル設定」と考察する者もいるらしい。いずれにせよこの時期の悟飯の強さはまだ定まっておらず、インフレ上等のこの世界で少年から青年に成長して弱体化しているなんて奴はドラゴンボール史上初。しかもそれが主人公なので前よりパワーダウンしているのでは話にならないし、扱いに困るところではあったのかも。また超サイヤ人→超サイヤ人2となった前作のように2段階変身が無く、最後にパワーアップして無双する展開でもないのでどこか盛り上がりに欠けてパッとしない。制作側もそう感じたのか主人公のはずの悟飯がこの後の3作で主役になることはなく、青年悟飯では主役になれないという印象はどんどん強くなっていってしまった。

次世代を強調したかったのか、悟空の仲間達がクリリン以外登場せず、ベジータは息子の危機なのに来ないし、まさかのピッコロまでリストラ(クリリンがピッコロの衣装を着ていて当初誤認したため、映像でも判明するまではピッコロになっている)というのは番組リニューアルの気合の現われか。今作には新キャラ/新デザインのキャラのみが出ていてビーデルと悟天、そして時空が違う別キャラの少年トランクス、容姿の変わった青年悟飯と坊主を止めて髪を生やしたクリリンが出ている一方で容姿が変わっていなかったベジータ・ピッコロやその他の非戦闘員キャラは全員出ていない。皆勤のウーロンまで切り捨てられた。そこまで気合入れてリニューアルしていたのに何で敵は既存のボスキャラ再利用だったのかは正直謎。クウラ→メタルクウラと違って変化も無いし。

★★★☆☆

コメント

タイトルとURLをコピーしました