1995年3月4日公開。
『ドラゴンボール』通算劇場版第15作。
この時点でのアニメはベジータは死亡退場、悟飯は仲間には死んだと思われたが界王神に救われ界王神界でゼットソードの修行を経て出現した老界王神に潜在能力を引き出す儀式をしてもらっている最中、悟空はあの世に帰って悟飯生存を知って界王神界に合流、そして地球では修行を終えたゴテンクスがブウと戦っている頃だった。
今作では悟空とベジータが死んだままでブウを倒して平和が戻っているパラレル設定。悟空が超サイヤ人3になった際に、ここまでさせたのはブウに続いて2人目だとブウの存在に言及する場面がある。あの世がメインの舞台となり、現世組の悟飯・悟天・トランクスらはその影響で復活した亡霊や過去の戦士と戦うんだけどオマケ的なギャグ描写に留まり、主人公は完全に悟空に返上してしまっている。アニメでは到達前だが原作で既に出ていたポタラ合体のベジットに対して今作ではフュージョンで合体したゴジータがアニメオリジナルで登場する。またセル編とブウ編の間にアニメオリジナルで描かれたあの世一武道会のエピソードで登場したパイクーハンが登場する。『改』ではカットされているので、『改』世代が後追いで見ると今作にだけ出てくるこいつ誰だ?となる。
正史では閻魔がもしもの事態を考えて占いババの1日だけ現世に戻れる能力で戦力として投入できるように死んだベジータの肉体を残して待機させていたが、今作ではブウを倒した世界線であるためかベジータは魂だけになって地獄行きになっている。これにより正史ではあの世で超サイヤ人3やフュージョンのポーズも見ていて知っていたが(後半は見ていなかったらしくブルマも殺されている事やゴテンクスが吸収されてブウがパワーアップした事は把握していなかった)、今作ではフュージョンの事も知らない設定になっている。
悟飯とビーデルの関係は強さや超サイヤ人を隠していた前々作と違い、既に全部知っている関係へと進展。原作/アニメではビーデルが全ての事実を理解して受け入れた直後に悟飯を戦場へ送り出して以降、エピローグまで2人が再会する事がなかった。今作では既に平和が戻っているため、2人の仲が進展して以前よりラブラブになっている関係が初めて描かれている。ビーデルは出会った当初はグレートサイヤマンの格好やキメポーズにはカッコ悪いと言っていたが、今作以降何故か悟飯君カッコいいと賞賛するようになっており、次回作ではついにビーデルまでグレートサイヤマン2号に変身するようになりバカップルっぷりが進化していった。恋がビーデルを変えたのだろうか…。
「あの世一武道会」が再度開催され、悟空とパイクーハンが対決している中、閻魔の元では地獄行きの魂を浄化するスピリッツロンダリング装置担当の若いサイケ鬼が仕事をさぼり上司のタンク交換をしろという忠告を受けても無視したため、満タンになったタンクから悪の気があふれ出してしまい暴走。サイケ鬼を飲み込んで巨大な怪物ジャネンバとなって、閻魔の館を結界で封じ込めてしまい、あの世とこの世の境界が乱れてしまった。あの世は変わり果てた不思議空間と化し、この世では死者が蘇る事態が発生。
良く分からないまま悟飯(グレートサイヤマン)・ビーデルは出動し、蘇ったフリーザをノーマルのまま一撃で葬った悟飯。悟天トランクスがドラゴンボールを集めて神龍に事態の解決を願うも神龍の力の範疇を越えており不可能だという。悟飯・ビーデル・悟天・トランクス・ブルマは途方に暮れ、悟飯・ビーデルの出番はこれで終了。悟天・トランクスはさらに軍隊を引き連れて迫ってくるヒトラーもどきのような独裁者とコミカルな攻防を繰り広げた。
閻魔の館をパイクーハンに任せ、悟空はジャネンバと対峙。予測不可能な攻撃にしばらくノーマルで様子見したが、一気に片をつけるとして超サイヤ人2へ変身し、間髪を入れずに超サイヤ人3へ変身。圧倒的力でジャネンバを沈めるが、直後元の面影が無いスマートな赤い姿となって復活したジャネンバは超サイヤ人3の悟空を追い詰める。力尽きた悟空の前に地獄で魂だけになっていたはずのベジータがあの世の混乱によって肉体を持った死者として復活。ベジータはジャネンバに挑むが敵わず悟空はフュージョンを提案。ベジータは拒否したかと思えば突然泣き出して死んでも悟空との差は埋まらないのかと言い出す。悟空はあの世で修行し続けた自分と魂だけになったベジータでは差がついて当然だと言い、結局ベジータは快諾。なんかベジータ情緒不安定…。
1度目は太ったベクウになってしまい失敗。しかしコミカルな動きとギャグ補正でジャネンバを翻弄した事で30分持ちこたえ、再変身の際はパイクーハンが時間稼ぎしてくれて成功。ゴジータ(本人は「オレは悟空でもベジータでもない、オレはキサマを倒す者だ」と言っただけで名乗っておらず、見ていた界王たちが名付けた)はあっという間にジャネンバを葬り去り、ジャネンバは元のサイケ鬼に戻った。
この世ではゴジータの気を感知した悟天トランクスが呼応してゴテンクスとなり、ヒトラーもどき独裁者を一掃。ただしあの世が正常化したら現世に出ていた死者は自然消滅したのでわざわざ殲滅する必要はなく完全な無駄打ちである。
ベジータは再度魂だけになって消えていき、この世では悟天トランクスは解決したのは悟空とベジータだと分かっていたが、途中から出番のなかった悟飯とビーデルは分からず教えてくれよとわちゃわちゃ騒いだまま終了。
ゴジータカッコいいに尽きる1作。ジャネンバのブロック状に瞬間移動するのを始めとした特殊能力と圧倒的強さは新鮮で久々の新しい敵キャラとしても魅力的だった。一方で引き続きOP映像が虚しくなるような悟飯の脇役っぷり、アニメで絶賛活躍中だった悟天・トランクスも脇役と化し、主人公の座は完全に悟空に戻ってしまった。タイミング的にはゴテンクスとアルティメット悟飯が敵を倒す映画1本作ってもいいような時期だったと思うんだけど、前2作を経てやはり悟空が主人公じゃないとダメだと完全に空気が変わってしまったのも良く分かる1作になった。
★★★★☆
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