2024年12月14日放送。
2019年に春から梅雨に移動し、2020年以降は夏と秋となっていたが、今回は秋から冬にずれ込んだ。「冬」1996年以来となり、12月放送は1992年以来となる。
フリー
清野菜名主演。
下請けの映像制作会社社員のリカ(清野菜名)は深夜残業の最中に突如コピー機から謎のおじさん(福津健創)の顔素材が大量に印刷されだし、そのおじさんが来訪してくるという恐怖体験に見舞われる。直後に心配して駆け付けた先輩の航輝(細田善彦)にコピー素材を見せると、これはリカが先日作ったCMに素材として出ていたおじさんではないかと言われる。見返してみると締切に追われてよく確認せずに検索してヒットしたこのおじさんだけのフリーサイトから引っ張ってきた素材だった。よく見ると使用条件等が一切書かれていなかった。
その後もおじさんが出没するようになり、航輝が調べたところによるとオジサンの名前はウラベミチオで同じような下請けの仕事をしていたが契約打ち切りで会社に抗議した結果警察沙汰になった事があるらしい。リカは単身ウラベミチオの実家に出向き調査。家にあったUSBのデータを見てみるとそこにはフリー素材の元になっていたと思われる動画が入っており、それは自撮りの音声日記だった。会社に契約を切られたのではなく悪徳会社で給料支払いをしないままに仕事を発注し続けていて正当な抗議をしたところ警察沙汰にされてしまったらしい。孤独な絶望を語るウラベミチオの姿に共鳴したリカは駆け付けた航輝に対してやるべきことが分かったと告げ、その会社を告発。
これにてウラベミチオが現れなくなり許されたと安心していたが再びウラベミチオが背後に現われ…。
航輝がリカがもう2日も行方不明だと社内で騒いでいて警察に相談に行くと会社を出て行った別の部屋でフリー素材を探していた社員は多数のフリー素材の中に微笑むウラベミチオと困り顔のリカが一緒に実家にいるフリー素材を発見してBAD END。
最後の動画で首吊り用ロープらしきものを持っていた事や、消えたり現れたりワープしたりしていた事から、ウラベミチオは自殺して亡霊化していたと思われ、さらにウラベミチオが孤独を訴えていたのに対して貴方は1人じゃない!と訴えかけたため、行き過ぎてウラベミチオに惚れられてしまい連れて行かれてしまった…という雑にそんな感じか
今回唯一の明確なBAD END。王道ホラーとして怖いには怖かったし、”福津健創”という名前は知らないけどなんかドラマ/映画の脇役で見た事はあるという立ち位置のキャスティングが絶妙だった。
第1回田中家父親オーディション
主演は田中卓志(アンガールズ)。田中そのままだが一応本人役ではなくフルネームは「田中賢一」という別人役。
あまりいい父親していなかった仕事に追われる田中はある日、妻のあず沙(池津祥子)、息子の一郎(藤本洸大)、娘の杏(林芽亜里)から「第1回田中家父親オーディション」を開催すると宣言される。ネット中継もされ盛り上がる中、この家の父親は俺だと自身も応募して書類審査に残され、候補者4枠に入った田中だったがダメさ加減が露呈して自信を喪失していく。終盤にはマジでこれが最後かも…とすっかりあきらめた田中は最終面接で家族愛を熱弁。しかしこの本音が効いて田中は無事父親に選ばれるというひねりも何もないストレートなオチ。3人のうち1人は他のオーディションにも受かっていたのを隠していたという半ば不正ではじかれ、1人は若すぎてサッカー選手の夢を取るとかなんとかで場違いな事実上辞退、もう1人は自身の苗字の小倉に改姓してほしいと言ってきて娘の杏がそれでは「オグラアン(小倉餡)」になってしまうから却下、田中の熱弁が1番だったという茶番であった。
いい話風ではあったけどコメディとしての振り切りっぷりも別に大したことなく、弱すぎるオチをひっくり返す「田中家追加オーディション」開催告知も滑り切ったままだったような…。
ヒョロヒョロだった田中卓志も加齢のせいかなんか一気に顔が四角くなったな…と思ったけど、結婚した影響?(幸せ太り?)。
City Lives
佐藤勝利主演。今作は本人役で特に前半はフェイクドキュメント風に進行する。
動物番組のロケと聞かされてロケバスで待機していた佐藤勝利、そして番組メイキングカメラマンの水谷(板倉武志)。前半は水谷の撮影している映像という形で進行して手ブレが激しい。突如としてスタッフ一行がいなくなってしまい、街に取り残された2人だったが、そこに辻(片山友希)が現れる。「街」という都市型の巨大生物だと説明され、辻は4歳になるこの「街」を誕生の時から見守っている都市型生物保護機構の保護官だという。「街」の感覚は少しズレたところがあり、警戒されているのではないかとのこと。また2人以外のスタッフが「排出」されたのは他のスタッフ勢は忙しくて全員が栄養ドリンクを飲んでいたためで「街」が栄養ドリンクの匂いを苦手としていたためと説明された。
辻の手引きの元で街とのふれあいを通じて徐々に警戒を解いてもらった佐藤。そろそろ街を出られるのではないかと動き始めるが、街は辻も見た事のない要塞へと変化して佐藤と水谷を逃がすまいとしてきた。上層部からの指示で鎮静剤を使う事になるが、鎮静剤を使うと「街」が崩壊死亡した事例もあり、辻も辛そう。佐藤は「街」と心を通わせることができるのではないかとこれまでの行動からヒントを導き出し、ギターで一緒に音楽を奏でるという形で街と共鳴するのだった。脱出に成功して番組も盛況だったため第2弾が企画されて終了。
「街」をペットや動物に見立てたようかなりぶっ飛んだ話だったが、嫌な終わり方にはならなかったのは良かった。もっとサバイバルな展開になる事を匂わせていたのはミスリードか。佐藤がアコースティックギターを片手に冒頭で作曲している様子もあったのでてっきり街を伴奏にして佐藤がシンガーソングライターとして歌唱するのかと思ったら、佐藤はギター演奏と口笛だけでインストコラボだったのはちょっと意外。
ああ祖国よ
尾上松也主演。1969年の星新一の小説が原作。主人公に名前は無く、「私」のみ、2番手である上司も「上役」だけ。
アフリカ大陸の近海にある小国パギジア共和国が、日本に対して宣戦布告して小型船2隻で進撃してくるという情報が「上役」(津田寛治)から入り、番組を任された「私」(尾上松也)は番組をエンタメとして盛り上げるために半信半疑危機感皆無のまま奔走するというブラックコメディ。敵国兵士にして今作で唯一名前のあるガボア・ポキン(Fenix D’Joan/日本語吹き替え:美山加恋)に取材に行くもどこか外タレインタビューみたいに好きなタイプを聞いたり、放送後に国民がアイドル的に熱狂してガボアブームになったり、どうせ最後は誰かが何とかしてくれるとエンタメ化に徹する「上役」、これでいいのかと嘆きながら従う「私」などひたすら揶揄が続く。そして政府も総理は頼りなく対応を迫られても「検討します」。外交官は同盟国に助けを求めるが、散々うちから武器もお買い上げなんだからそれで戦えば?と協力を放棄され、いざガボア・ポキン一行到着時はひたすら低姿勢でおもてなしして1億ドルの要求もあっさり呑んでしまって友好ムード(パギジアは勝ったつもり)、そのまま御一行を国内観光させて特番で稼ぐぞと盛り上がるという中、最後はまた同じような小国が宣戦布告してきて終了。
徹底した平和ボケ日本への揶揄を全力全開で展開するという尖りまくりの珍作だった。
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