1992年3月7日公開。
『ドラゴンボール』通算劇場版第9作。
この時点でのアニメは人造人間19号をベジータが撃破し、逃げた20号を追いかけて17号18号とトランクスも知らない16号が目覚めた頃だった。その後17号18号との戦いを経てピッコロは神との融合を決意し、同時に創造主がいなくなりドラゴンボールが消失。セルゲーム直前の時期にドラ本ボール復活のために悟空がナメック星からデンデに新たな神となるように依頼し、デンデによってドラゴンボールが復活する。
今作ではデンデが地球の神になっているのだが、当時原作でもデンデが神になるエピソードに到達しておらず全く描かれていなかった。鳥山明の編集担当が脚本家にアドバイスしたとされており、今後予定されている展開をかなり先行して映画で見せたような形となった。そして前述のように原作/アニメの本来の時間軸ではデンデが神になるのはセルゲーム直前であるため、この部分だけを見た場合に今作は次回作より未来で次々回作とほぼ同時期ということになってしまう。しかし今作ではデンデが神である以外は概ね人造人間編開始時点での戦力になっているようで(この時点では悟空は心臓病で寝ている最中だが、元気なので発病していた19号戦よりは強いはず)、悟空とベジータがノーマルの超サイヤ人に変身できるだけで、トランクスも登場しないし、悟飯も超サイヤ人には変身できない。ピッコロも神と融合していたらこの時点での超サイヤ人悟空・ベジータより強いはずだがそんな様子が無いので人造人間20号相手に優勢だった融合前くらいの強さで設定されている感じ。
という事で冒頭で新ナメック星が謎の機械惑星ビッグゲテスターに寄生されて危機を迎える様子が描かれ、新たな地球の神となったデンデが故郷を救ってくれるよう悟空たちにお願いしたとナレーションで強烈なデンデ神先行ネタバレと新ナメック星に向かう経緯をバッサリ省略してOPに突入。OPはTV版同様に超サイヤ人バージョンにアップデートされ、必殺技のシーンも地球の戦士からベジータとトランクス、キメのシーンにも2人が加わって亀仙人はリストラ、如意棒装備の悟空から超サイヤ人に変身する悟空に変更になった。
あまり危機感が無かったのか、何故か宇宙船には悟空・悟飯・ピッコロ・クリリン・亀仙人・ヤジロベー・ウーロンと戦力外メンバーまで謎に乗り込んでいた。ウーロンの映画版登場頻度が凄い。クリリンは悟空がいればちょちょいのちょいで片付くから宇宙旅行を楽しもうぜと呑気な態度で、悟空も悟飯に学校じゃ見れないところだからよく見ておけ、そうすればチチも喜ぶからと言っていて戦力ではなく社会見学のノリで悟飯の同行が許された様子で、ヤジロベーはブルマの口車に乗せられたが今回は仙豆はいらないだろと発言していたのでヤジロベー=仙豆管理人と思われているらしい。仙豆だけもらってくればいいだろ…。戦力外メンツはメタ的にギャグ要員として同行した感。
ナメック星に到着した一行はナメック星人を連行している量産型のロボット兵の大群に遭遇。そこにビッグゲテスターで蘇ったメタルクウラが登場し、悟空はメタルクウラとの1対1に挑み、ピッコロ・悟飯・クリリンはロボット兵に挑む。数が多すぎる上に装甲が硬すぎて攻撃が通じないロボット兵相手に3人は苦戦。数がさばききれない間に亀仙人・ヤジロベー・ウーロンは連行されていってしまった(亀仙人はロボット兵に一撃挑むも全く効かずに痛がり捕まるという事で一応久々に戦闘もした)。ピッコロは気を一点に集中して攻撃する事を指示し、この戦法で3人はロボット兵を次々に破壊していく。しかし悟飯とクリリンは戦力不足で数に押されて捕らえられてしまい、ピッコロには大群が集中砲火。ピッコロはこれを耐え抜き一帯を消し飛ばす爆発波でロボット兵を殲滅し、ビッグゲテスター内部に救出に向かうが、道中でメタルクウラに遭遇して追い詰められてしまう。
悟空とメタルクウラの一騎打ちはノーマル状態ではドンドン差が広がり、赤いオーラの界王拳を発動しても全く攻撃が効かない。悟空が瞬間移動で攻撃を回避するとメタルクウラはお前も使えるのか?と驚き、瞬間移動合戦となるがこれも劣勢となり、追い込まれた悟空は超サイヤ人に変身。今度は圧倒してメタルクウラの半身を破壊したが、瞬時に再生したメタルクウラは強化されてしまい、超サイヤ人の攻撃力でも通じなくなってしまった。
そこにベジータが参戦(ラストシーンで1人用宇宙船で先に帰還していくシーンがあるのでわざわざ1人用宇宙船で後から追いかけてきたらしい)。一気に超サイヤ人に変身してメタルクウラに挑むが次の瞬間には彼方に吹き飛ばされるわ、悟空とクウラが瞬間移動でやり合って置いてけぼりになってしまったのでクソッタレ!とキレて悟空もろとも当てる勢いでビッグバンアタックをぶっ放すが揃って瞬間移動で回避されてメタルクウラにボコられる始末。いいところなしで早くも満身創痍になってしまい、先が無いと悟った悟空の提案で2人がかりでの全力特攻を決行。2人がかりで突撃してメタルクウラを破壊し、再生し始めたところに追撃の連続エネルギー弾でメタルクウラを完全消滅させることに成功した。
…が疲労困憊の2人の前に数百のメタルクウラが登場。メタルクウラは量産型で本体ではなかったのだった。圧巻の軍勢に笑うしかない2人の反撃虚しく捕まってしまった。脳だけがクウラ本体のもので機械化されているメタルクウラ・コアの元で拘束された2人に、コアはビッグゲテスターに流れ着いた脳だけのクウラが融合してビッグゲテスターを支配していると語り、超サイヤ人の力を吸収。思った以上にパワーがあったので危ないところで回路を閉じたはずだったが、2人はまだ超サイヤ人状態のままで無理やりエネルギーを送り込み続け、容量越えでオーバーヒート。制御不能となったため本体のメタルクウラ・コアを残してメタルクウラやロボット兵は全て自爆してしまい、ビッグゲテスターもナメック星から離れて行ってしまった。
仲間達とナメック星人はビッグゲテスターから脱出してナメック星に戻り、悟空とベジータはコアとの最終決戦に挑む。ベジータは気絶してただけ。コアは機械化したむき出しの肉体を構成して悟空を締めあげるが、オーバーヒート以降気絶したままだったベジータが最後の力で気円斬を放って締め上げていた腕を切断し再度気絶。拘束を解いた悟空は凝縮した気弾をコアに放ち、ビッグゲテスターとコアを完全に破壊するのだった。
ベジータが映画初登場で超サイヤ人となり、主戦力として登場。『ドラゴンボールZ』のピッコロ以来となる悟空と共闘できる同格の強さの相棒…ではあるんだけどまだまだ勝手な奴という印象で味方になりきれていない扱いだったためか、後年ほど協力的ではない。ていうか遅れてカッコよく登場したので少しは善戦してくれるのかと思ったら、この時点で既にメタルクウラが強化済みのため、登場した次の瞬間からやられっぱなしで単独でいいところほとんどなし。しかも先に長く戦っていた悟空以上にとっとと消耗してしまい、最後の方はほとんど気絶しているし、もう少しタフに頑張ってほしかった…。悟空とベジータが一緒に攻撃する場面は原作/アニメでも全く無かったので2人の共闘には熱いものはあった。
最後の決め技が技名のない謎気弾なのは一体…。前作で太陽まで押し返したのも両手が離れててかめはめ波じゃなかったのを今作回想で無理やり「かめはめ波」アテレコ追加してかめはめ波にしてしまったが、今作の謎気弾はこの後も技名がつけられていない。妙にホワホワ効果音が出ているのは気になる。
超サイヤ人になってから使用しなくなった界王拳を前作に続いて今作でも披露しているのはレアだが、如意棒や筋斗雲もそうだったように原作/アニメで使わなくなった道具や技をもう少し後の時期まで使用するというのは映画版ならではの部分だったと思う。
悟飯・クリリンは原作/アニメ当時でまともな戦闘シーンが無く、今作でも後半は亀仙人・ヤジロベー・ウーロンと一緒のギャグ要員となってしまうが、悟飯とクリリンも合流してセクハラ相手がいないと亀仙人がギャグをかます余地が無くなり空気化してしまいちょっと人数多すぎになってしまった感はある。このギャグシーンでのロボットが「みなさんをすり潰します」とか殴り掛かったヤジロベーに「元気があっていいですね。では貴方から」とか爽やかガイド風に恐ろしい事を言いまくり、殺されそうなヤジロベーに悟飯が「がんばってください」と謎の応援をしてヤジロベーが「何を頑張るんだ」というボケとツッコミなど当時も面白かった記憶があって、今作で1番覚えていた。
★★★★☆
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