TUBE 35年で61シングル回顧+5~2006-2012~

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TUBE 35周年シングル回顧+5~2006-2012~

20周年を越えての円熟期。06年は童謡半カバーのキッズソングをやったり、07年はまさかのシングルリリース無し、夏のアルバムも無しでついに欠かさず続けてきた新作リリースが止まってしまうのかと思われる中で年末に80年代以来の冬のアルバム『WINTER LETTER』をシングルなしの全曲新曲構成でリリース。久々の冬ツアーを行うなど、ルーティン的な年間スケジュールを崩すような試みも行われた。

またビーイング系のアレンジャーが共同名義で多数参加するようになり、03年にプロデュースにKANONJIこと長戸大幸が復帰、05年にクレジットのメンバー直下にProduction ManagerとしてZAIN PRODUCTS所属となっていた元FIELD OF VIEW新津健二が表記されるなどビーイングの関与が高まっていたが、06年にKANONJIのプロデュース表記が再度外れスペシャルサンクス枠に長戸大幸という表記へ変更されると、08年を最後にZAIN PRODUCTS所属スタッフが全員外れ、09年に制作陣を一新してからはビーイング系のアレンジャーも一切参加しなくなり、ビーイング制作陣の関与がほぼ無くなった(実質的にビーイング離脱といっていい状況)。以後も継続して演奏参加があったのはDIMENSIONの勝田一樹や小野塚晃程度であった。

制作陣を一新した09年の『Blue Splash』では初期のディレクターだった小松久を共同プロデューサーに迎えての原点回帰が試みられ、続く2010年の25周年をやや新鮮な空気感で迎えた。

しかし2012年はバンド名義での編曲から撤退、1stシングルに関わっていた武部聡志をプロデューサーに迎え外部アレンジによる制作となった。またこれを最後に2013年は新作を制作しない事を決定。ついに1985年~2012年まで毎年作り続けたオリジナルアルバム制作を止める決断を下したのだった。

2013、2014年はライブは行われていたが、30周2015年年まで新作リリースは止まった。

2015年執筆、2020年全面修正+連載時は無かったアルバム曲を少し追加

47th みんなのうみ

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06年6月21日
作詞:林柳波、前田亘輝、作曲:井上武士、春畑道哉、編曲:服部隆之
編曲:TUBE(Album version)

NHK「みんなのうた」6~7月度OA。キッズソングというか童謡。1941年に生まれた童謡「海」の作詞作曲者の遺族に許可をもらって(2人とも偶然にも生まれ年と死んだ年が同じで1894年生まれの1974年逝去)オリジナル楽曲と合体させた半カバー半新曲で、作詞作曲は「海」作者と連名表記になっている。

オリジナル童謡→「海」カバー→「海」の歌詞を先ほどのオリジナルメロディーに乗せる、という三部構成になっているが、さすがに誰もが幼少期に耳にして歌ったスタンダード「海」と初めて聞くオリジナル童謡が並んでもオリジナル童謡が印象で勝てるわけも無く、2ヶ月OAされておしまいでは残りようもない。ちょっとこれは企画として無謀だったんじゃないかと。その後もお馴染みの楽曲としてNHKが毎年夏に使い続ければもう少し馴染んでいたかもしれないが、全く浸透しないままに忘れ去られてしまった。

シングルバージョンは服部隆之の編曲になっているのでオーケストラや子供たちの合唱がフューチャーされていて後半はバンド演奏やギターソロも出てくるもののオーケストラや合唱の印象が強く、TUBEっぽさはかなり薄い。Album versionでは編曲がTUBE名義になり、シンプルながらほぼ序盤からシンプルなバンド演奏で仕上げた全くの別アレンジになっている。バンドっぽいのはAlbum versionだが、それでもBonus Track扱いにされるくらいには本編からは浮いてしまう雰囲気。

リミックスアルバム『MIX TUBE』では1曲目に配置されたが、童謡「海」カバー部分だけで、オリジナル部分は全カット。単なるアルバムの導入パート的な扱いで、それはそれであんまりだった。

2作連続で1曲+カラオケで1020円というソニー価格も無謀で今作の初登場20位という記録はシングルカットの「Purity」除くと「Stories」の21位以来となる20位台となったが、同じく「Stories」以来となる3作連続トップ10落ちとなった。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
26thアルバム『B☆B☆Q』(Album version)

B☆B☆Q

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06年7月12日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
26thアルバム『B☆B☆Q』表題曲にして1曲目。アメコミ風イラストによる異色のジャケットととなったこのアルバムはチョイ悪オヤジ感を醸し出しつつも全体に落ち着いた雰囲気を押し出した内容となっていた。

03年の『OASIS』から続いていたアルバム1曲目のみんなで踊ろう的なユルいノリの方向性はどんどんド派手になっていたが今作はユルさはそのままに妙に落ち着いた渋さを滲ませたチョイ悪オヤジ感を漂わせた仕上がりに。楽しい要素もあるが、意外とサウンドがオシャレで落ち着いているところもあり意外と聞き応えもある。ノリだけで聞くと今年は一気に落ち着いたなと思うが、じっくり聞くと割と見えてくる1曲
★★★☆☆
26thアルバム『B☆B☆Q

Bad Beach Quest

B000FJA9IE
06年7月12日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
アルバム『B☆B☆Q』実質的な最終曲(この後にボーナス扱いの「みんなのうみ~Album version~」)。ややマンネリ感の強い落ち着いた雰囲気の楽曲が続くアルバムだったが最終曲は定番バラードではなく、ずんずん突き進むアドベンチャー系(?)ナンバー。ほぼ同じパートを繰り返す構成だが、Questというタイトル通り、たぶんもういい歳(今作時点で全員40代に突入)になったけどまだまだ俺は冒険心を持って突き進みたいんだという思いを前面に押し出したような30代前後の頃ともまた違う思いが出ている1曲だと思う。
★★★☆☆
26thアルバム『B☆B☆Q

冬のプレゼント

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07年12月12日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:大島こうすけ&TUBE
2007年はライブは行われていてライブで新曲「蛍」も披露していたもののシングルが出ない。それどころかアルバムも出ないまま夏が過ぎていってしまい、ついに毎年のアルバムリリースも途絶えてしまうのかというところで年末に発売されたのは『Remember Me』以来となる冬のアルバム『WINTER LETTER』だった。全曲新曲という異色の構成(「蛍」は季節が合わないので見送りになって翌年シングルになった)。80年代の冬のアルバムでも海のイメージは残していて夏を振り返るみたいな視点の曲も多かったが、今作は真っ向勝負で冬。今まで使った事のない冬の単語、音色などがふんだんに取り入れられたアルバムとなった。

1曲目リード曲的存在の今作はまさに今までと違うTUBE冬の世界へとリスナーを誘うAOR風味の落ち着いたミディアムナンバー。冒頭から“マジで嫌いな冬の訪れ 冷めた銀の世界 でもチョット今年はね 違う感じ”といきなり堂々冬が到来する。“マフラー”、”クリスマス”、”暖炉”、”薪”などいきなり普段使わない冬ワードがぶちこまれまくり。歌詞だけ見るとあまりの冬っぷりに逆に少し笑ってしまうくらいだが、AOR風味なオシャレなアレンジや温かくも優しいメロディーは単純に心地よい。さらっと鳴っている鐘の音も冬だ。夏のTUBEに参加する大島こうすけはダンサブルなノリばかりだが、こういうAORもやれるという意外性もあった。
★★★★☆
27thアルバム『WINTER LETTER

ナデシコ

B000XCZC9E
07年12月12日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:寺地秀行・窪田博之&TUBE
『WINTER LETTER』2曲目。普段とは異なる寺地秀行・窪田博之といったアレンジャーが参加。メロディー自体は徐々に王道になりつつあった派手ではない落ち着いた美メロバラード路線。そこまで冬を押し出した曲ではないが、こういった落ち着いたバラードは夏だけじゃなくて秋冬にけっこうハマるんじゃないかと思う。

このアルバムは以降も落ち着いた冬の優しいバラードが延々と続いていく…があまりに同じ路線で続きすぎるのがちょっともったいない。こうなってくるとどうしても前半の曲に印象が集中してしまうところはあった。
★★★★☆
27thアルバム『WINTER LETTER

48th 蛍

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08年4月30日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE&吉村龍太
07年は初めてシングル発売が無かったが、今作は07年に新曲として既にライブで披露されていた。07年12月の『WINTER LETTER』は季節が合わないので外され、08年になってからシングル化。今作で初めてシングルの初回盤DVD付が導入されたが、00年代前半にはこの売り方が浸透していたのでTUBEが参入したのはかなり遅い方だった(しかもその後も定着せずにグッズ特典になったりした)。ジャケットの美少女は当時14歳の福田麻由子でMVに出ていた女優は黒谷友香。3作連続トップ10落ちからのトップ10復帰となったが、リリースが開いていたため実に04年12月の「Miracle Game」以来のトップ10入りという事になりかなり久々だった。以降ますますチャートのレベルが下がる中で一定の固定ファンにより下げ幅を抑えられたため、ちょっと激戦だった週だとトップ10落ちするけど概ねトップ10後半には毎回ランクインできるくらいの状態へと再度浮上した。

落ち着いたミディアムバラード。最初聞いた時は随分落ち着いた曲が来たなと思ったんだけど、抑えた雰囲気とメロディーの良さが際立った会心の1曲。以降わりとこんな感じの落ち着いた作風が主流になっていくけど、この曲に関しては地味になってしまったというより、見事なまでの新しい名曲といった印象が強かった。この年のアルバムがラテン系でガットギターやパーカッションを多用しており、その流れで07年当初のアレンジから変更されたそうで、スパイス的にそれらが加味されているが、スパイス的でありあまりそれらが前面に出ている印象は無い。
★★★★★
28thアルバム『Paradiso

49th Paradiso~愛の迷宮~

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08年6月25日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:大島こうすけ&TUBE
前年に南ヨーロッパを訪れそこにインスパイアされてこの年のTUBEは久々にラテン色を強めた。90年代末期の生音中心のラテン系では無く、ブラス風のキーボードや打ち込みの音を前面に出していて系統としては90年代前半のラテン歌謡に近いものがある。ただこれまでと違うのはイタリア語を随所に盛り込むなど現地の空気をダイレクトに反映させていることか。このためこれまでのラテン系よりもヨーロピアン(?)な空気が漂っているが…どうにも暑苦しさばかりが際立ってしまっているような…。

個人的に好きなラテン系は「情熱」や「-純情-」のような生ギターとパーカッションをメインにしたサウンドだったんだけど、この年にアルバム含めてやったのはその真逆でブラスやシンセ・キーボードの音色をパーパラパーパラとメインで鳴らしているものだったのでこれがどうにも安っぽく聞こえてしまって残念だった。実はパーカッションやガットギターもよく聞くとかなり入ってはいるんだけどそれらを消し去る勢いでパラッパパラッパとシンセやブラス音が入ってくるのでパーカッションやギターがスパイス程度の存在感で目立たない…というバランスの悪さが気になった(90年代後半のラテン路線では逆でパーカッションやギターを前に出していたのでシンセやブラスはスパイス的に加味されているような聴感だった)。

アルバム『Paradiso』もやたら共作アレンジャーを迎えて色々やっているものの個人的にどん詰まり感があるアルバムという印象だったが、メンバー間でも現体制のままではそろそろ…という思いはあったのかZAIN PRODUCTS、ビーイング系のスタッフ、アレンジャー陣はDIMENSION以外は今作を最後に一掃された。
★★★☆☆
28thアルバム『Paradiso

50th Summer Greeting

B002206UGE B002206UGO
09年6月10日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
スローサマー(忙しなさばかりが増していく世の中の風潮に対して当時提唱されていた「スローライフ」みたいなもの?)を掲げたミディアムナンバー。すっかりご無沙汰な友人からSummer Greetingが届き懐かしむ大人が主人公。地味といえば曲だが、すっかり落ち着ききったような大人の佇まいがこれはこれで心地いい。ビーイング系のスタッフ・アレンジャー陣を一掃して初期の小松久を久々に共同プロデューサーに迎えた制作陣一新もあってサウンドもスッキリした。この年は原点回帰的なさわやかさを重視したようでアルバムにおいてもさわやか&ロック一色だった。アルバムにもいい曲は多かったが、肝心の先行シングルで会った今作はゆっくり聞き込んで味が出てくるタイプの曲でシングルとしてはやや地味だったように思う。

翌年にTOKIOに提供された「-遥か-」は同時期にOAが始まっていたので制作は同時期と思われ雰囲気が非常に似ている。「-遥か-」だけ聞くとあまりTUBEっぽくないなぁと大多数が感じると思うけど、今作と合わせて聞くと雰囲気がそっくりなのでTUBEが提供した時にこういうモードだったのかと分かると思う。
★★★☆☆
29thアルバム『Blue Splash

Blue Splash

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09年7月8日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
29thアルバム『Blue Splash』表題曲にして1曲目。爽やかなんだけどこれまでに比べると非常に軽やかさを感じさせる涼し気なサマーポップ。前年の『Paradisso』の暑苦しさとは正反対で、まさに制作陣一新の効果が存分に出た。重い荷物を脱ぎ捨てて軽くなったかのようだし、たぶんこれを求めてのこのタイミングでの制作陣一新だったのだろう。落ち着いた佇まいのいい大人がもう1度フレッシュさを取り戻そうとしているような歌詞もいい。この手のもう1度的な曲は90年代にもあったがあの時ほどがっついたり強い決意がみなぎっているのではなく、もっと静かにだけど確実に湧いてくる思いに身を任せているみたいな、ここまで来たからこそ説得力のある1曲。

というかこれなんで先行シングルにしなかった…?キーが下がってきてからの爽やかな曲としては最高峰の名曲
★★★★★
29thアルバム『Blue Splash

51st 灼熱らぶ

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10年6月2日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
デビュー25周年を迎えた2010年だったが、記念作は往年のヒット曲をリミックスしたリミックスアルバム『MIX TUBE』程度でまたしてもベスト盤チャンスをスルー。あくまで新作勝負を続ける25周年を飾るシングルがまさかの過去最高にTHE Show和!な昭和歌謡。ド頭からビロ~~~ン昭和全開のエレキギターが鳴り響き、湘南や鵠沼などかつて「湘南My Love」で登場した地名が登場するザ・湘南の夏っぽい感じは、「あー夏休み」も普通に思えるほど圧倒的昭和感。この外しっぷりはやがて続くアルバムが『Surprise!』だった事で、25周年でまさかのこれというTUBE流のサプライズであったことが判明した。大胆不敵すぎるし、面白すぎるところではあるが、あまり話題にもならなかったし、ファンが驚いて終わりだったような…。

初回盤はDVD付ではなく卓上カレンダー付属というグッズ特典になってしまい、以降3作連続でグッズ特典が続くなどとことんマイペースだった。
★★★☆☆
30thアルバム『Surprise!

B003DRVGDC B003DRVGEQ
10年6月2日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
シングル「灼熱らぶ」C/Wで『Surprise!』にも収録された。こちらはそのままメンバー同士、リスナーへと置き換える事もできる内容で、25年共にいる友人への絆と感謝を歌った25周年記念ソングっぽいどっしりとしたミディアムナンバー。25周年でこれかよという衝撃の「灼熱らぶ」だったがしっかり真面目にC/Wでストレートな思いを伝えてくれるのが嬉しい。
★★★☆☆
30thアルバム『Surprise!

太陽のサプライズ

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10年7月7日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE&佐藤晶
アルバム『Surprise!』実質的な表題曲で1曲目。軽やかで爽やかな王道のサマーポップ。タイトルの割に全くサプライズ感のない安心の王道ナンバーだが、「灼熱らぶ」がシングル表題で、「絆」がC/Wで、これまたシングルよりシングルっぽい今作がアルバムリード曲で…というなんか売り方間違ってる感のあるチョイスの全てがサプライズだったのだ。きっとサプライズだったのだ。

そして30周年ベストには当時の最新シングル「SUMMER TIME」を除いて、最新なのがExciting枠のこの曲とBallad枠の「最後のLove Song」であった。今作はエキサイティングというほどエキサイティングではない気もするが(前向きさはあるが落ち着きもあるので)、結局王道ナンバー選んでるじゃないか
★★★★☆
30thアルバム『Surprise!
4thベスト『Best of TUBEst~All Time Best~

最後のLove Song

B003OTLU8U B003IGMJF2
10年7月7日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
『Surprise!』最終曲、25周年を締めるバラード。20周年の時の「a song for love」に続く1曲という印象が強いのは30周年ベストの『Ballad』をこの2曲で締めくくっているためか。ここに来てついに最後のLove Songという究極的なところに打って出てきたが、もちろんこれがTUBE最後のラブソングだったわけでも、これで引退するつもりだったわけでもない。あくまでそれくらいの気持ちだというラブソングである。若い頃にいくらこれが最後の○○だ!と言ったところで正直信用できないが、25年も経っていい大人になっていれば「最後のLove Song」というのも確かに信用できるような気はする。そんな貫禄がある。

30周年ベストはとにかく後半15年、特に00年代以降が冷遇され過ぎて各ディスク最後に1,2曲しか入ってないので00年代のTUBEがどうだったのか全く掴めない、むしろこれだけでは勢いが落ちたようにすら感じてしまうが、Ballad枠である今作が1番貫禄の面で過去とはまた別の良さもしっかり感じられると思う。それでもまあBallad枠の締めは次のシングル「空と海があるように」の方がふさわしかったとも思っている…
★★★☆☆
30thアルバム『Surprise!
4thベスト『Best of TUBEst~All Time Best~

52nd 空と海があるように

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10年12月8日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
2010年最後のサプライズは「Miracle Game」以来6年ぶりの12月リリース。かつて冬のTUBEシンボルのようになっていたわたせせいぞうのイラストを01年バラードベスト『Melodies&MemoriesⅡ』以来9年ぶりに起用した。今回はリリースのみで冬のツアーやライブは行われなかった。

抑えた感じのアレンジであるのを差し引いても何故か音量が小さめなのが気になるが、久々にメロディーの良さにぐいぐいひきつけられた名曲。そんなに派手に盛り上がるわけではないのにスケールの大きさを感じさせ、TUBEが新たなる高みに達したかのような不思議な空気感がある。歌詞が少し壮大なのとギターサウンドに高揚感があるからだろうか。

前作が衝撃だったので「蛍」以来久々に超名曲来たこれ!と当時も思ったがもうファン以外に聞かれない状況になっていたのか全然話題にならなかった…。個人的に2010年代TUBE最大級の名曲。何故これが30周年ベストに入らなかったのか。
★★★★★
31stアルバム『RE-CREATION

RESTART
/RESTART JAPAN with TUBE

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11年6月8日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
東日本大震災のチャリティ企画としてTUBEが楽曲を制作、各界に呼びかけて総勢173名以上がボーカル・コーラス参加し、1曲入り500円2012年1月31日までの期間限定生産シングルとして発売し、収益は被災地へ寄付された。参加メンバーはズラッと歌詞カードにも並べられているが長すぎるでここでは割愛する。同業ミュージシャンよりも芸能界、スポーツ選手の参加が多いがジャイアンツ選手のみ参加者が多すぎたためか原監督以外は“他計33名”と名前がカットされている。なお前田と離婚して10年が経過していた飯島直子も普通に参加している。

楽曲自体は確かな希望を感じさせる前向きでポップな楽曲。作詞作曲アレンジ演奏まではTUBEのみで制作しているのもあって奇をてらわないシンプルなバンド演奏になっていて普段のTUBEの曲よりも普通な感じではある。というか制作体制だけ見るとwith TUBEというよりTUBE with RESTART JAPANじゃね?という気がするが…。

対してボーカルは大挙して参加しているので次から次へと色々な声が入ってくるが、誰が歌っているのか一切の記載が無く、CD音源歌唱者による映像も商品化されていない上、前述のように同業の歌手ではない人たちが多いため、そもそも歌声がCD化されるのこれが初めてなんじゃね?という人も多く、最早誰の声なのかさっぱり分からない。チャリティ優先とはいえもう少しその辺りリスナーに分かるような提示はしてほしかった。発売後のイベント等での映像は検索するといくつか出てくるが、メンバーが毎回変わっているので当然CDとは異なっている。

桑田佳祐はチーム・アミューズ!!の曲を作り直してソロでもセルフカバーしていたが、TUBEとしての前田単独ボーカルバージョンの制作も一切しなかった。この曲自体も期間限定だったのでそれっきりとなっていて現在は半ば幻の1曲となりつつある。

それなりに当時話題にはなったものの、メディアで曲が流れる機会もさほどなかった。また初登場8位というTUBEの前後のシングルと全く同じ順位だったが、当時のTUBEはシングル売上1.5万前後、アルバムでも4万弱程度になっていた中で今作は初動2万からの累計4.7万を記録。普段の数倍は売れるくらいには広がっていた。ただメディアでの震災復興ソングのイメージは概ねチーム・アミューズ!!の大ヒットとNHKが流し続けた「花は咲く」で固まっていて(色々な人が歌っているのでライブ披露はなかなか難しかったがMV作って流しまくっていたのが大きかった)、今作は正直TUBEファンでもない限りはさほど記憶されていない、埋もれたわけではないが、微妙にあまり知られていない曲になったのかなという感じではある。
★★★☆☆
アルバム未収録

53rd A Day In The Summer~想い出は笑顔のまま~

B004U7LJ8G B004U7LJHM
11年7月6日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE&佐藤晶
前作同様に落ち着いた雰囲気を漂わせつつ美メロで聞かせる1曲。この頃になるとキーも明らかに下がってきていて本当に落ち着いた感じが漂うんだけど、前作と今作はメロディーの良さが妙に冴え渡っていたように思う。最大のヒット作「夏を抱きしめて」を彷彿とさせまくりのメロディーやアレンジは明らかに狙ってやっているんだろうけど、あの曲が好きなリスナーなら確実に感じるものがある曲だと思う。

歌詞は東日本大震災の犠牲者を想うような内容になっていて、歌われている相手がもうこの世にはいない事、それでもいつかみんなが愛したあの海を取り戻せるという希望が歌われている。けっこう特別な1曲だと思う。そして2020年夏はこんな夏になってしまったが、この時とはまた別の意味合いでみんなが愛したあの海にもう1度出会える日はきっとくるはず…。
★★★★☆
31stアルバム『RE-CREATION


 

54th Touch Happy!

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11年8月24日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:ピストン西沢
アルバムの後にシングルを出すという久々の盛夏シングル。アルバムが震災の影響で落ち着いた真面目な方向性だったのもあってこんなノリの曲を入れる余地が無く、別にシングルで出すことになったと思われるが、03~06年までアルバム冒頭の定番、シングルとしては「恋してムーチョ」や「Yheei!」直系のにぎやか系ダンスナンバーが久々に帰ってきた。ナナナのコーラスなどから「海の家」の進化形のようでもある。これまでよりも妙にシャッキリした感じの良くも悪くもTUBEらしくなくリミックスっぽいサウンドになっているのは2010年のリミックスアルバム『MIX TUBE』を担当したピストン西沢に編曲を依頼したためだろう。今作以降アレンジの外部委託がしばらく続くが、マンネリを強く感じていたのかもしれない。また前3作はグッズ特典だったが今作は初回盤すら無い単なる1種発売ととことん時代に逆行。せっかく賑やかなMVを制作したのにそれが商品化されることも無かった。

さほどヒットもしなかった今作だが、当時よく見ていた「AKBINGO!」のCM枠でとっくにチャートアウトしてからも数ヵ月間延々と必ずこの曲のCMが流れていたためサビメロと踊っている前田&ダンサーズが脳裏に焼き付いた。AKB48の人気は絶頂期だったので、直近10年のTUBE全く知らんけどなんか廻れゴー!ゴー!とか言いながら中年のオッサンが踊ってるCMが毎週流れてたのだけ記憶にある当時のAKBINGO!視聴者は多いのでは(年末になると今度はジェロのCMに変わってこれも延々と使用され続けた)。

作風が異色すぎたせいというか次のアルバムが武部聡志プロデュースだったので入れる余地が無く、収録を外されてしまい、30周年ベストのユニーク枠にも華麗にスルーされ、現在もアルバム未収録のまま放置されている。正直『TUBEst』シリーズが復活して3作の続編をきっちりやるか、やり直しオールタイム完全版として5枚組のSUPER TUBEstみたいなのが出ない限り、今作がアルバム収録される未来は来ないような気がする。
★★★☆☆
アルバム未収録

55th いつも、いつまでも

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12年5月9日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:武部聡志
編曲は1stシングル「ベストセラー・サマー」を鈴木キサブローとの共同編曲で手掛けていた武部聡志が単独で担当。武部聡志がデビュー以来参加するのを大きくアピールしての宣伝だったが、前述のように作曲者の鈴木キサブローとの共同編曲名義な上にその1回ポッキリだったので実質ほとんど初参加みたいなものであった。ただ武部聡志としては作曲家との共同での編曲参加だろうとしっかり自身のプロデュースワークに含めているらしく2017年の自身の60歳記念でのコンピ盤『日本の音楽と、武部聡志。~Happy 60~』には2曲目にしっかりと「ベストセラー・サマー」を収録する一方で単独でガッツリプロデュースを担当した今作やアルバム『SUMMER ADDICTION』からは選曲していない(何故なら「ベストセラー・サマー」の方がヒット曲だから)

デビューから毎年新曲とアルバムを発表し続けたTUBEがついにこの年を最後に毎年の新曲リリースをストップ。13年、14年は新曲一切無しでライブのみを行った。今作で一気に編曲を外部アレンジャーに任せるようになってしまったので、行き詰ってきたのかなという感じはした。C/W「明日は明日の…」は武部聡志とTUBEの共同編曲名義だがバンドではなくアコースティック編成による93年以来の全員ボーカル曲。

かつてないほど貫禄たっぷりで堅実な3連ミディアム。そこはかとなく加山雄三(「君といつまでも」のイメージ)が頭をよぎり、間奏で台詞が入ってきたりはしないが、正直最後のサビ前の間奏で”幸せだなァ 僕は君といる時が一番幸せなんだ”とか言い出してもたぶんそんなに違和感が無い。それくらい古き良き昭和、元祖海の男加山雄三の後ろ姿が見える1曲。当時全く印象に残らない楽曲だったが、30周年時に改めて聞き直したら渋みと深みがあってけっこう良さが分かってきて、現在はけっこう好きな1曲。
★★★★☆
32ndアルバム『SUMMER ADDICTION

JUST IN TIME SUMMER

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12年6月27日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:鳥山雄司
32ndアルバム『SUMMER ADDICTION』1曲目。このアルバムには秋元康が1曲作詞で参加していたが、その秋元康プロデュースのAKB48から前田敦子が卒業を発表した直後だった。このためアルバムのキャッチコピーは“夏の前田は卒業しません!”と前田敦子卒業に思いっきり便乗。しかし卒業しませんと言っておいて、デビュー以来続いたアルバム制作をそのまま2013年、2014年と停止してしまったので毎年のアルバム制作は卒業してんじゃねぇかよォォォォォ!!と正直不安になった。

武部聡志プロデュースで大半は武部聡志の編曲だが別のアレンジャーも参加していて、後に2015年の全編曲を担当する鳥山雄司も3曲参加している。そのうちの1曲が今作だ。同じ鳥山雄司の編曲でも今作はあくまで武部聡志が全体のプロデュースを担当しているためか、2015年のあまりにまとめすぎ、キー下げて落ち着かせすぎな鳥山雄司の作風とは異なっていて、バンド感のあるかなり勢いのある仕上がりで一線を画している。特に前作の落ち着きからすると久々にメンバー全員が躍動してはじけているようなロックバンド感が出ていて目が覚めるような勢いだ。全体には昭和の匂いが強い貫禄のアルバムだが今作に関しては貫禄と勢いが共存していると思う。
★★★☆☆
32ndアルバム『SUMMER ADDICTION

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