1996年の中学2年生時にホリプロのオーディションでグランプリを受賞して翌1997年に俳優デビュー。当初はチョイ役だったが1998年1月クールの『ニュースの女』では主演の鈴木保奈美が連れ子のいる男性と結婚するも直後に夫が事故死し、連れ子の滝沢秀明と同居する事になるというストーリーで滝沢秀明が2番手、深田恭子は序列こそかなり下の方でメインのストーリーに絡んでくる役どころではなかったが滝沢秀明の同級生で片想いをしているというそこそこ目立つ役どころで今後の躍進の気配を見せ、夏クールの『神様、もう少しだけ』ではヒロインに抜擢され、エイズに感染しながら金城武との純愛を貫き出産して最後は亡くなって終わるというハードなストーリーの難役に体当たりで挑み大ヒットして大ブレイクを果たした。
翌1999年に歌手デビュー。1997年の広末涼子ほどの予算も話題性も無く、大ヒットには至らなかったものの4年間でシングル7枚、アルバム2枚、ピアノインスト1枚、リミックス1枚を発表。ベスト盤はリリースされずフェードアウトする形で最後は歌手撤退となった。ピアノを習っていたという事でピアノのインストアルバムを出したり、早期に自作曲を出したりとアーティストっぽい方針も見られたが後期はアイドルっぽい方向性になるなど通常とは真逆のルートを辿った。また
歌手活動撤退から数年後2005年から『新堂本兄弟』に何故かピアノ担当の演奏者レギュラーとして2011年3月まで長期に渡って出演していた。トーク要員では無かったのは確かでトークパートでは基本置物で何も喋らない事もあったのでメインはピアノ演奏だったと思われる。音楽活動にも意欲があったからこそ長年担当していたと思われるし、結果的に最後になった2ndアルバムのインタビューでも今後についてもっと積極的に制作に関わっていきたい意向は語っていたというし、何なら俳優ではなく歌手志望だったなんて話もあるので音楽志向が強かったのは確かと思われる。
ただ一定以上の時が経過してからファン向けにライブ活動や歌手再開をするみたいな動きも全く無いままだし、『新堂本兄弟』を降板して以降は2015年にミュージカルに出演した事はあったがこれも1回ポッキリで、CMで歌ったりとか役でとかはあっても本格的な音楽活動は途絶えたままだ。ポニーキャニオンだし、せめてベスト盤くらいは出てもいいと思うんだけど『GOLDEN☆BEST』が出る気配すらない。事務所側で止めているのかなんなのか…。
長らく中古CDを探すしか聞く手段が無くなっていたが、2023年7月に突如としてDL/ST全音源解禁となった。
1st 最後の果実
1999年5月19日
1998年夏クールのドラマ『神様、もう少しだけ』での大ブレイクに続いて1999年は年明けから冬クールのドラマ『鬼の棲家』で初主演、夏クールの『to Heart〜恋して死にたい〜』ヒロイン(堂本剛主演で相手役)を担当したがその合間のドラマ出演が無かった春クールのタイミングでの歌手デビュー作。
ジャケット違いの初回盤・通常盤の2種発売で当時は珍しかった収録曲違いになっていた。初回盤は3曲目にbonus trackとしてもう1曲収録、8Pブックレット仕様。通常盤は3曲目が表題曲カラオケ(inst)に差し替えとなっていた。当時のO社では複数商法に対応したルールが無かったので2種別集計となり、初回盤は初登場4位、通常盤は初登場59位となった。2週目には20位まで沈み込むなど話題性に反して伸び悩み、4週目に初回盤が38位となった際に通常盤は48位で最高位を記録している。共に6週ランクインで初回盤12.7万、通常盤2.5万、合わせてかろうじての15万越え、最大のヒット作となった。
2023年7月のDL/ST一斉解禁の際には初回盤・通常盤しっかり別々に配信されており、現在お手軽に両方聞く事ができる。
最後の果実
作詞:黒須チヒロ、作編曲:小森田実
『神様、もう少しだけ』『鬼の棲家』と連続してあまり明るくない役どころだったのもあって当時の深田恭子は物静かな美少女イメージ、そこからどこか不思議ちゃんでミステリアスな雰囲気もあったので、歌手活動前半においてはアイドル色よりもシリアスさ、アーティスト路線を打ち出していた。今作も16歳のデビュー作にしては妙にミステリーちっくな雰囲気の楽曲。難しい言葉は使われていないが歌詞も雰囲気重視で意味が良く分からない。小森田実はシンガーソングライターとしては全く芽が出なかったもののSMAPへの提供曲ヒット(「SHAKE」「ダイナマイト」等)で既に名前が知れていて(この後も「らいおんハート」でミリオンヒットも生み出した)、ピコピコした明るいダンスナンバーのイメージも強いが今作はJニーズ系への提供とは一線を画すようなシリアス路線だ。
同じ小森田実の作編曲だった前年のaikoのデビュー作「あした」との類似性も指摘されているが、今作は「あした」のリメイクとも言われている。歌詞はaiko本人が書いた「あした」と黒須チヒロが書いた今作で全くの別物、メロディーもサビの雰囲気は似ているが全く同じではないし、AメロBメロはほぼ別物であるが、アレンジはかなり似ている。「あした」をベースにして再利用した兄弟曲というのが1番近い形容だろうか。シングル盤では演奏クレジットが無かったが、1stアルバム『moon』で初公開となった今作の演奏クレジットでは思いっきり“background chorus:小森田実&aiko、secret voice:aiko”とクレジットされていてaiko本人が参加している事が正式に判明しているので小森田実が作者権限で勝手にやったのではなく、aiko公認・参加で作られた曲である事は確かだろう。”secret voice”というのはBメロでの“許されるのなら”の後の歌詞記載のないエフェクトのかかったパートの事だと思われる(ボイスというよりは歌メロだが…)。エフェクトはかかっているが確かにaikoっぽい声だ。
通常盤のみ収録のカラオケ「最後の果実(inst)」ではコーラスパートありなので、Bメロの”secret voice”もそのまま聞けるが、サビでのaikoのコーラスを単独で聞けるのが最大の聴きどころ。ただBメロの”secret voice”も加工気味ながらaikoの歌声と認識できるのに対してサビのコーラスはさらに加工感が強く、aikoだと言われればaikoに聞こえるかもしれない…というレベル。クレジット上コーラスには小森田実も参加しているはずだがサビのコーラスはaiko単独っぽいので、ウォオオ重ねている声の方なのかも。
★★★★☆
1stアルバム『moon』
リミックスアルバム『Flow Kyoko Fukada Remixes』(Brent Mini’s Haunted Mix)
C/W 海の彼方 空の果て
作詞:黒須チヒロ・羽野アキラ、作曲:黒須チヒロ、編曲:鈴木俊介、弦編曲:村山達哉
全面打ち込み電子ナンバーだった表題曲とは一転してギターとピアノ主体の素朴なバンドサウンドによるミディアムナンバー。16歳のデビュー作っぽくはなく、20年後くらいにメインで歌っててもおかしくないような落ち着いた雰囲気。サウンドには暖かみがあるのだが、ボーカルがクールというか感情があまり乗っていないせいなのか、かなり淡々として聞こえる。
★★★☆☆
アルバム未収録
初回盤のみC/W
あなたが知っている私が本当の私とは限らない(bonus track)
作詞:黒須チヒロ、作曲:市川ハルユキ、編曲:鈴木俊介
通常盤には代わりにカラオケ「最後の果実(inst)」が収録されている。初回盤には「最後の果実(inst)」は未収録。
ざっくりした生のバンドサウンドによる比較的アップテンポ寄りのナンバー。これももう少し明るく歌えばもっと普通に明るいナンバーになっていたと思うんだけど、特有のブレない歌唱スタイルによりあまり明るく聞こえない。高音の伸びる綺麗な声をしていて素材はかなり良かったと思うので(本人は華原朋美に憧れていたという)、当時のアイドル女優系シンガーの中でもうまい方だったとは思うんだけど、それよりも棒読み歌唱、棒歌唱と言われがちだったのはどんな曲を歌っても全部同じ一定のトーンで歌って感情が乗っていない感じがするからだった。
『moon』では2000 Mixとしてミックス変更されているが、オリジナルよりもギターベースドラム、特にAメロでのベースラインの音が大きくなり、ロックバンド感を強調したミックスになっている。『moon』にてドラムが島村英二、ベースが小松秀行、ギターが鈴木俊介、パーカッションが浜口茂外也、 ハモンドB-3が河合大介、さらにトランペット、トロンボーン奏者も参加していた事が判明している。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
1stアルバム『moon』(2000 Mix)
2nd イージーライダー
1999年9月1日
今作は1種のみでの発売。C/Wに新曲が用意されずリミックスとなった。前作の通常盤にならって3曲目にはカラオケ「イージーライダー (inst)」を収録。
初登場6位から7週ランクインでかろうじて10万枚を突破した2番ヒット作。
イージーライダー
作詞:黒須チヒロ、作編曲:深沼元昭
角川文庫’99夏の名作150 CMソング。夏休み向けの文庫本販促フェアのCMタイアップなのに発売9月って遅すぎる気がしなくもないが…。前作から一転して爽やかポップ。夏らしい清涼感というよりはややオシャレ風味なポップスでドラムは打ち込みだが、深沼元昭によるギター&ベースと流麗なストリングスはそれなりに聞き応えがあり、単なるアイドルポップスに留まらないこだわりも感じられる。ただ相変わらずの一定のトーンでの棒歌唱により、あまり爽やかに聞こえないし、明るい曲のはずなのにあまり明るく感じられないしで、かなり耳に残る良曲なのにどこか中途半端な感じも否めない。現代で再利用して適度にリメイクしたら通じそうな1曲ではあるんだけど…。
★★★☆☆
1stアルバム『moon』
C/W(DJ SOMA GROW SOUND MIX)
リミックスアルバム『Flow Kyoko Fukada Remixes』(Groove That Soul Mix)
C/W イージーライダー(DJ SOMA GROW SOUND MIX)
Remix:DJ SOMA
ラテンっぽいギターサウンドによりラテン・フラメンコ風味になった謎のリミックス。歌はやや空間がいじられている感じではあるがほぼそのまま残されていてほぼ別アレンジとして聞ける。ただ爽やかポップス風味の曲を何故ラテンっぽくするのか、妙なミスマッチ感に加えてこのアレンジの方が感情の薄い棒歌唱が余計に際立つ…という事で何とも言えない不思議な仕上がりに。
最終作『Flow Kyoko Fukada Remixes』に収録されたGroove That Soul Mixの方がいかにもなトラックメイカー系リミックスといった印象だが、メロディーにはそっちの方が合っていた。
★★★☆☆
アルバム未収録
3rd 煌めきの瞬間
2000年2月2日
1999年11月にピアノインストミニアルバム『Dear』という本人ピアノ演奏のみで歌わない謎ミニアルバムリリースを経て5ヵ月ぶりの歌の入った新作。1stアルバム『moon』1ヶ月前先行シングル。
サザンオールスターズ「TSUNAMI」、モーニング娘。「恋のダンスサイト」、椎名林檎「ギブス」「罪と罰」、鈴木あみ「Don’t need to say good bye」らが1~6位まで一挙初登場した異常な高レベル週の翌週でまだ余波が残っていて、「TSUNAMI」、「恋のダンスサイト」が1位2位のままで初登場勢のV6、野猿、SOPHIAも好調な売上を記録しながらいつもより順位が低くなってしまった週で、初動4.5万枚でもトップ10に届かない初登場16位となり、3作目にしてトップ10落ち。ドラマ主題歌とはいえドラマもコケてしまい、アルバム先行シングルだったのも響いて5週ランクイン、6.8万枚となり前作初動にも及ばなかった。
煌めきの瞬間
作詞:黒須チヒロ、作曲:ハルユキ、編曲:亀田誠治
自身主演ドラマ『イマジン』主題歌。黒木瞳と親娘役でのW主演。父親不在の母子家庭で育った恋に奥手な娘・深田恭子とキャリアウーマンでイケイケな母・黒木瞳がそれぞれ新たな恋をする…みたいな話だったが、17歳にして早くも学生役を脱却して新人OL役に挑んだものの、特に大きな出来事も起こらず、普通にいい人の中村俊介とのほのかな恋模様が描かれた…が、正直内容をほとんど覚えてないほど平坦なドラマで視聴率も当時のヒット基準15%を下回るコケっぷりであった。
1stアルバムの演奏クレジットによればドラムは河村”カースケ”智康、ギターは西川進、ベースは亀田誠治、シンセプログラミングに中山信彦という布陣。椎名林檎のアレンジで頭角を現した亀田誠治がその仕事っぷりをそのまま持ち込んだ感じのノイジーな破壊的爆音ロックサウンドが凄まじい超絶楽曲。歪みまくりのギターにドガシャンドガシャン鳴りまくるドラム、特にシンバル音は終始クラッシュし続けてサウンドを覆っており、そんな破壊的なサウンドでも全く変わらぬ棒歌唱トーンで歌い上げるボーカル。さすがにそのままだと埋もれてしまうためかややリバーブがかっているように聞こえるがこれが逆に破壊的なサウンドの中のエンジェルボイスのようにも聞こえてくる独特の効果を生んでいる(なお本人は2006年の映画『天使』で台詞無しの主演:天使役で文字通り天使になっている)。ドラマ主題歌でこれをやるのが凄いが、さすがに主題歌として聞いていた時はこんなやべぇ曲だとは思っていなかったので抑えられていたのかもしれない。いざCDで聞いたらなんか思ってたよりうるせぇやべぇ曲で驚いた記憶。
このように亀田誠治の名が売れた頃は王道J-POPのストリングスアレンジャーではなく、オルタナティブなロック系でどちらかというと売れ線に対するカウンター狙いみたいなイメージのアレンジャーだったので数年後にはいつの間にか王道J-POPストリングスアレンジャーとしてど真ん中の存在になっているとは思わなかった。
Alternative Mixはよりオルタナティブにロックになったのかと思いきや、むしろ全力で抑えて整えに行ったようなミックス変更。ノイジーだった部分を徹底して抑え込んでおり、クラッシュしまくっていたシンバル音も消し去る勢いで薄れ、歪んでいたギターも遠くなり、その分ボーカルが普通に通るようになったためかエンジェルボイス感のあったリバーブも無くなり…と元がクレイジーなのでこれだけ聞けばまだまだクレイジーなんだけどシングル聞いた後だとあまりにもやりすぎた事で面白くなってた部分が全部無くなってしまった感じ。少し長くなりフェードアウトだったのが最後まで演奏されるようになったが、ミックスはシングルのままの完奏バージョンで聞きたかった。まあアルバムのバランスを考えるとシングルのままだとさすがに難しかったか。
以前の過去曲回顧ではシングルバージョンこそが真骨頂だからシングルCDで聞け!!と締めていたがそれは“廃盤でもうレンタル屋にも残ってない/そもそもレンタル屋が無いので中古を探して買ってきて聞け!”という意味になり地味にハードルの高い状態になっていたが、配信解禁に伴いシングルバージョンも破壊サウンドだけ楽しめるインストバージョンもAlternative Mixも全部聞けるようになった。シングル音源を聞け!!
★★★★★
シングルバージョンアルバム未収録
1stアルバム『moon』(Alternative Mix)
C/W アトム ハート マザー
作詞:黒須チヒロ、作曲:DOREMI、編曲:有賀啓雄
壮大なシンセっぽいストリングスラインとリズムで淡々と進行する打ち込みナンバー。サビで頭が跳ね上がったり、最後に裏声ギリギリまで上がっていく部分などなんだかかなり歌いにくそうなメロディーラインと高音にちょっとギリギリ感があり、あまり上手に聞こえない。これまでどんな曲でも一定のトーンで棒歌唱していたのが今作ばかりはちょっと頑張って張り上げてます感が出ているような…。制作陣もなんでもかんでも一本調子に歌いこなす(?)のでちょっとギリギリを攻めて揺さぶってみたかったのかもしれないがこれは普通に合ってない。
★★★☆☆
アルバム未収録
4th How?
2000年7月19日
2月に前作、3月に1stアルバムで今作が7月とここまでは順調だったが今作を最後に1年近く歌手活動が停止状態となった。俳優活動ではこの夏クールの時期には草彅剛主演『フードファイト』のヒロインとして出演していたが、秋クールはドラマ出演はSPドラマのみ(同じ草彅剛主演の『TEAM』SP1作目のゲストメインキャスト)だったので、2000年は秋から年末にかけて露出が減っていった。
初登場20位と低迷し、5週ランクイン5万枚を割り込んだ。
How?
作詞:岩里祐穂、作曲:織田哲郎、編曲:葉山たけし
自身主演映画『死者の学園祭』主題歌。ブレイク以降ヒロインでドラマ/映画に出演しまくっていたものの、主演主題歌パターンはドラマは前作、映画は今作の2回だけで結果的に終了。まあ歌手活動していた時期の主演映画はそもそも今作だけで、連ドラも前年夏の『to Heart 〜恋して死にたい〜』、今作当時出演中の『フードファイト』、翌年冬クールの『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』とJニーズ主演の相手役ヒロインばかりで、単独主演はこの後2001年夏クールの『ファイティングガール』くらいしか無かったが主題歌をやらなかった。このように意外と主演主題歌やれる作品自体が無かったりもした。
ギターベースキーボードプラグラミングを葉山たけしが一手に手掛けベースのみ渡辺直樹が演奏。まさかの90年代ビーイングでZARD、DEEN、FIELD OF VIEWのポカリスエットCMタイアップによるミリオンヒットを手掛けていた黄金コンビ織田哲郎×葉山たけしが互いにビーイングを離れた後にこんなところで再度実現。さすがにあの頃のビーイング系のサウンドそのままではないが、だいぶ彷彿とさせるような爽やかナンバー。織田哲郎のかつての名曲群と並べると地味な方にはなってしまうが確かな良曲だ。『死者の学園祭』ってタイトルからしてもミステリー系なのにこんな爽やかな主題歌で大丈夫なのかと思うが、主題歌くらいは爽やかなので締めたかったのだろうたぶんそうだろう…。
映画サントラ盤の最終曲として別バージョン「How(Full Length Version)」が収録されているが、聞いたことがない。配信ではこの曲だけ綺麗にカットされた状態になっており、CDを探してこないと聞く事が出来ない模様。2023年7月5日の深田恭子全曲解禁の直前である6月30日にサントラの配信解禁がされていたようなのだが、順番が逆だったら収録されていたのでは…。
★★★★☆
2ndアルバム『Universe』
C/W 左手
作詞:岩里祐穂、作曲:宮崎歩、編曲:河野伸
後半にかけて多少派手にはなっていくが、シンプルなアレンジのバラードナンバー。さすがにこれだけ落ち着いたバラードで同じような一本調子歌唱というわけではなく、普段より抑えめな歌唱にはなっているが…やはりどこか無感情ではある。歌い手次第ではもう少し暖かみのある雰囲気にもなったかもしれない。
★★★☆☆
アルバム未収録
5th スイミング
2001年6月6日
前作以降歌手活動が停滞していたが、11ヶ月ぶりの新作。ここからは2ndアルバムまで間を開けずにリリースが続いた。俳優活動ではこの後7月~9月の夏クールに単独主演ドラマ『ファイティングガール』があり、主演主題歌をやる絶好のタイミングだったはずだが何故かスルーしている。
初登場15位6週ランクインで前作とほぼ同じ売上を記録。ブランクの割には下げ止まった。1st通常盤以来のC/W2曲収録(+表題カラオケ)。
スイミング
作詞:こなかりゆ、作曲:ハルユキ、編曲:亀田誠治
コーセー「Fashio」CMソング。他にタイアップがとれなかったのかなんなのかここから最後まで3作連続このCMタイアップとなった。CMとの1年以上の契約だったのだろうか。同じタイアップにぶら下がり続けるより『ファイティングガール』主題歌を取りに行けよ…「煌めきの瞬間」、そして1stアルバムで2曲手掛けていた亀田誠治が再度アレンジで登場。「煌めきの瞬間」同様に亀田誠治が自らベースを演奏、ドラムは倉内充、ギターは西川進、キーボードは皆川真人、プログラミングは中山信彦、さらにミックスは工藤雅史になっており亀田誠治お気に入りの制作陣がだいぶ出来上がってきている感じも。
今回はCMタイアップもあってか、ごく普通に爽やかな爽快サマーロックナンバー。ただ他の曲に比べるとやはりかなりロックバンドっぽい印象ではあるし、この当時はまだ亀田誠治=ロックなイメージだった。こなかりゆによるティーンっぽい女の子全開な歌詞は女の子がどういうものなのかを教えてくれるような内容だが話があっちこっち脈絡なく飛んでいくというどこか不思議ちゃんな謎歌詞になっている。この方向性はこのまま『Universe』の作風にも繋がっていった。タワレコのこなかりゆの紹介に”メルヘンチックな歌詞”とあるからそういう作風の人なのだろう。深田恭子のどこか掴めないキャラクターとの相性は良かった。
2ndアルバムにかけてこのくらいの作風を堅持できれば良かったんだけど今作くらいの爽快ポップロックでもちょっとアーティスト路線に思えるくらいに何故かアイドル方面に逆走してしまったのが改めて残念。
★★★★☆
2ndアルバム『Universe』
C/W Universe
作詞:こなかりゆ、作曲:ハルユキ、編曲:河野伸
作詞作曲は「スイミング」と同じだがあまり共通点の無いゆったりしたミディアムナンバー。私は私なのよ的な(超・超訳)歌詞は早くも作詞家の個性全開な感じはする。
オリジナルでもストリングスは入っていたが、Strings VersionはStrings Versionと言っているだけあってバンド風の演奏を全てカットしてストリングスのみでリアレンジしたシンフォニックな仕上がり。アルバムのど真ん中にそんなストリングスだけのシンフォニックアレンジを唐突に差し込むよりもオリジナルをアルバムに収録、Strings Versionは別アレンジとしてC/Wという分け方の方が正解だったのではないかとは思う。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
2ndアルバム『Universe』(Strings Version)
C/W フィギュア
作詞:こなかりゆ、作曲:ハルユキ、編曲:河野伸
シンフォニックなミディアムナンバー。ドラムこそ打ち込みだがギターは2人も参加しており、ベース、ストリングスも招いている(キーボードとプログラミングが河野伸)。ポコパカポコパカポコパカとちょこまかした軽めのリズムアレンジと雄大なストリングスのラインとのミスマッチ感が不思議な雰囲気を醸し出している…というよりリズムトラックだけこれなんか違くない?
★★★☆☆
2ndアルバム『Universe』
6th キミノヒトミニコイシテル
2001年10月3日
2ndアルバム『Universe』先行シングル。前2作よりさらに売上を落としてこの時点での最低初動(2万割れ)、最低売上(4.2万)は引き続き更新し続ける状態だった。しかし初登場週が低レベル週だったため初登場9位となり、1st2nd以来のトップ10入り。見た目には久々のトップ10復帰で前2作よりヒットした感が醸し出された。
2nd同様に新曲が用意されず、C/Wはリミックス2曲(+表題カラオケ)。
キミノヒトミニコイシテル
作詞作曲編曲:小西康陽
コーセー「Fashio」CMソング。正規のタイアップとしては前作からの引継ぎだが、1年後の2002年秋に公開された北野武監督映画『Dolls』にて深田恭子演じるアイドルが持ち歌として今作を歌唱するシーンがあった。この時点で歌手活動は終了状態となっていたし、今作が再ランクインするような事も無かったが、この劇中歌唱映像により他のシングルよりは一定以上の知名度は得たのではないかと思われる。また配信解禁直後の2023年8月公開の映画『しん次元! クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦〜とべとべ手巻き寿司〜』でも挿入歌として何故か今作が使用されているらしい。最早歌手活動で最大の代表曲なのかもしれない。
3月に解散したばかりのピチカート・ファイヴの小西康陽による作詞作曲編曲プロデュース。ピチカート・ファイヴは渋谷系、いわゆるサブカル系に属するタイプで大きくヒットはしていないが評価と界隈知名度が異常に高いという存在だったが、小西康陽は1年前の2000年に「慎吾ママのおはロック」を同じように作詞作曲編曲プロデュースしてミリオンヒットという大実績を手にしており、波に乗った時期でもあり、今作も話題性はあった。なおプロデュース表記はあるがプログラミングは坂元俊介の担当となっていて演奏クレジットはそれとコーラスのみ。
ピコピコした電子サウンドとサビのマメミムメモ・マミメムマモ・マメミム・マジカルビーム♪の破壊力とインパクトは抜群。イントロで出てくるピポピポピポピポ⤵ピポピポピポピポ⤵ピポピポピポピポ⤵ピポピポピポピポ⤵と段々下降するフレーズは延々ループし続け、Aメロとサビでも鳴りっぱなしなので出てこないのはBメロだけ。よってカラオケバージョンを聞くとほとんどピポピポピポピポ⤵ピポピポピポピポ⤵ピポピポピポピポ⤵ピポピポピポピポ⤵しているだけでイントロからの歌入りのタイミングも分からなくなるし、今どこなのか分からなくなる。
1度聞いただけで忘れられなくなる圧倒的中毒性は歌手活動全楽曲の中でもダントツ。当時を生きていれば1番ヒットした1作目の「最後の果実」がどんなだったか覚えていないが、マメミムメモ・マミメムマモ・マメミム・マジカルビーム♪は覚えている、聴けばすぐ思い出すというリスナーは多いのではないか。Bメロでは“深田も最近”と何故か苗字が登場。深田恭子が自分の事を「深田」と言っていたなんて事は1度も無く、何故唐突にこんな歌詞にしたのかは謎だがこれもインパクト狙いの一環だったのだろうか。次回作ではサビで”深田”を登場させているのでヤスハル的にはオルオッケー(違う人の違う曲)だったっぽい。
アイドルっぽい曲でデビューして徐々にアイドルから遠ざかってアーティスト系、バラード系に走って売れなくなってきてリリースが止まって歌手活動撤退…というのが一般的な若手アイドル系女性の典型パターンだが、最初はアーティストっぽくアイドル色がほとんどなかったのに末期になって急にアイドル全開になったというのは後にも先にもあまり見かけない。カワイイことはカワイイし、“カワイイ深キョン”のアイドルソングというのを世に残しておいたというのは功績だったとも言えるのかもしれない。もっと全力全開でぶりっ子歌唱できるアイドルが歌っていたらこの曲はカロリー高すぎたと思うので感情が乗ってない棒歌唱はカロリーオフ的効果があり聞きやすくなっている。
★★★☆☆
2ndアルバム『Universe』
C/W(Yukihiro Fukutomi Remix)
2ndアルバム『Universe』(Yukihiro Fukutomi Remix)
リミックスアルバム『Flow Kyoko Fukada Remixes』(Jazztronik Mix)
C/W キミノヒトミニコイシテル(Yukihiro Fukutomi Remix)
Remix:福富幸宏
リミキサーの名前そのままなリミックス。冒頭でマメミムメモ・マミメムマモ・マメミム・マジカルビーム♪を加工した音声がループするのでいきなりリミックスだなぁ…と思うが、その後は別アレンジ的に進行。跳ねたリズムトラックに乗せて古いフランス映画のサントラみたいなフレーズもループするがフレンチポップの別な解釈なのか何なのか良く分からない。何故かこのバージョンが2ndアルバムの1曲目を飾っており、8曲目にオリジナルバージョンが収録されている。何故2回も聞かされるのか、そしてアルバム1曲目がいきなりリミックス音源なのは違和感が凄い。
★★★☆☆
2ndアルバム『Universe』
C/W スイミング(Mansfield Mix)
Remix:池田正典
前作のリミックスバージョン。Mansfieldというのはリミックスを担当した池田正典によるソロユニット名。つまりYukihiro Fukutomi Remixと同様に単にリミキサーの名前をリミックス名にしただけでイングランドやアメリカにいくつかある同名の都市Mansfieldとは関係がないようだ。リミックスというよりも別アレンジのようなサウンドで、凝ってはいるんだけど歌と声とアレンジが合ってないというか無理やり別アレンジを当てはめたような違和感はある。DJ界隈ではこの2曲に一定の評価があった事から大真面目にリミックスアルバム『Flow Kyoko Fukada Remixes』制作への流れに繋がった…のだろうか…。一般リスナーはワケ分からんかったんですけど。
★★★☆☆
アルバム未収録
7th ルート246
/深田恭子&The Two Tones
2002年5月22日
2ndアルバム『Universe』からも半年ぶりの新作。”深田恭子&The Two Tones”という名義だがThe Two Tonesは特に誰という事もなく、昭和の”ソロ名義+バックバンド名”文化のパロディと思われ、実質これまでと変わらぬソロ名義。PVに出ている同じ衣装のバックバンド風の3人や、同じ衣装でバイク姿の女性2名を従えているのでこれらが”&The Two Tones”に該当すると思われる。
初めて初回盤DVD付でDVDにはPVを収録。2001年に業界初のDVD付シングルをリリースしたTommy february6の先例にならって当初のDVD付シングルはDUOケース仕様で発売される事が多く、今作も初回盤はDUOケース仕様。一方で通常盤は初のマキシシングルケースとなった(これまではアルバムと同じケースだった)。
前作のトップ10ヒットの実績を買って小西康陽の連続起用になったのか不明だが、前述のように前作はたまたまトップ10入りできただけの最低売上更新であり、特に好評だったわけでもなかった。今作はさらに攻めまくった楽曲だったが初登場28位→73位の2週ランクインと最低位、最低登場週、最低売上を大幅更新。地平の彼方まで滑っていって見えなくな歌手活動終了の英断となってしまった。
結果的に本人稼働最終作となり、このまま歌手活動はフェードアウトした。8月にリリースされた本人稼働無しのリミックスミニアルバム『Flow〜Kyoko Fukada Remixes〜』が最終作となり、ベスト盤もリリースされなかった。
ルート246
作詞作曲編曲:小西康陽
コーセー「Fashio」CMソング。前2作から引き継ぎで3作連続同じタイアップとなった。前作とは打って変わって昭和歌謡インパクトによる時代性全開なナンバー。前作のBメロで”深田も最近”と歌ったのに続いて今作ではなんとサビに”深田”を持ってきて“深田もゴーゴーゴー”とか歌い出しているが完全に滑り倒している。大事故である。暴走爆走で地平の彼方まで滑り倒していってしまった。奇跡的に受ける可能性よりもこれは失敗するリスクが高すぎる。いやマジでこれにどういう勝算があったのか。ビジュアル込みだと白髪ズラとダサ合成映像でますます寒くなるし、大コケは致し方なし。終わらせたくてわざと地平の彼方まで自爆スライディングかましたわけじゃないよな…。
★★☆☆☆
アルバム未収録
C/W ルート246(キョーコとよしおの東京ラヴストーリーmix)
Remix:DJよしお
小西康陽の変名でのリミックスだが歌はまともに進行せず、Bメロのフレーズ“若い娘はそういうものなの”のところだけをしつこく連打させるだけのほぼインストトラック。歌がほとんどない代わりに新規で追加された深田恭子の台詞がメインとなっており「よしおくんのバカッ!」「よしおくんって本当に女の子の気持ちが分からないのね!」「よしおくなんてダイキライ!」等の深田恭子がカワイイ声でよしお君に対してプリプリ怒っている台詞が随所で登場する。
よしお…おま…深田恭子にただかわいく怒られたいだけじゃねぇか…。
この私物化極まりないけしからん珍トラックがカラオケを除くシングル最終収録曲となったが、なんとこの後の『Flow Kyoko Fukada Remixes』の先行シングルだった事が判明、『Flow Kyoko Fukada Remixes』の最終曲としてオリジナル差し置いてちゃっかりアルバム収録を果たし、なんとシングルだけでなくアルバムの最終収録曲もこの音源になった。
★★☆☆☆
リミックスアルバム『Flow Kyoko Fukada Remixes』
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