TKブームが去りつつあったのか、実験サウンドに挑みまくって徐々に自らヒットから離れていったのか、どっちが先だったかは微妙なところではあるが、1998年を境にTKプロデュースの大ヒット期は終焉していった。まさかのデキレースレコード大賞略してデコ大受賞もあったが、1999年以降は路線を大幅変更。宇多田ヒカル以降変わってしまったヒット戦線に挑むかのようにR&Bになったかと思ったら、早々に離脱して良く分からない実験サウンドへ突き抜けていき、明確な着地点が見えない実験を繰り広げたまま2000年代へと突入していった。
4連続シングルリリース時は50万前後の売上を記録しており、4thアルバム『Relation』は3rdを上回る売上でミリオンヒットを記録した。しかし1999年になると「MISS YOUR BODY」で大暴落し、ベスト+ニューアルバムと銘打った『CRUISE RECORD 1995-2000』こそ276万枚の特大ヒットを記録したもののこれが完全な区切りとなった。2001年の『outernet』では一転して15万枚を割り込むほど低迷した。
「Perfume of love」からの「MISS YOUR BODY」はJ-POP史の中でも稀に見る恐ろしいまでの落差、変貌だと思う。そんなTKブーム末期、実験期を振り返る。
2025.9 30周年『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』に合わせて2から1へ2シングル移動して前過去曲回顧ブログから現行ブログへ移植、
ソロシングル3作を追記。
文章自体は微修正程度でほとんど手を加えていません。
- 13th wanna Be A Dreammaker
- 14th Sa Yo Na Ra
- 15th sweet heart
- 16th Perfume of love
- winter comes around again
- 17th MISS YOUR BODY
- 18th still growin' up
- 19th biting her nails
- on the way to YOU /globe featuring KEIKO
- THE MAIN LORD /globe featuring MARC
- Throwin'down in the double 0(lunar mix) /globe featuring TK
- 20th とにかく無性に…
- 21st DON'T LOOK BACK/like a prayer
13th wanna Be A Dreammaker

1998年9月2日
BRAND NEW globe 4 SINGLESと銘打った4連続リリースの第1弾。4週連続ではなく、2~4作目は3週連続だったが今作から次回作までは3週間開けている。間があった事もあって4枚の中では最大のヒットを記録したがそれでも50万枚に乗せるのがやっと。ミリオンが当たり前の時代、春のGLAYの2枚同時(両方ミリオン)、夏のラルクの3枚同時(3作中2作がミリオン)が話題になる中で明らかにそれらを意識した企画だったが、4,50万台に留まったというのは正直人気失速がけっこうあかさらまに出てしまった結果だったと思う。
しかし何かの政治力か、2枚同時や3枚同時よりも4連続リリースの方が凄いという事だったのか、GLAYもラルクも、前年直接対決で大敗したSPEEDもELTもこの年のglobeを2倍以上上回るミリオンアーティストが実に4組もノミネートしていた1998年の日本レコード大賞においてこの曲がまさかの大賞を受賞。中学2年生当時このあまりの珍事に我々は大人の世界のおかしさと汚さを目の当たりにし、年明けにあれおかしくなかった?と話題になったのを記憶している。これを一定の年齢以下で目の当たりにした世代であればレコード大賞がデコ大(デキレース・レコード・大賞)だったことに目覚めるきっかけになったのではないだろうか。
そんなBRAND NEWなglobeの4連続の1作目である今作だが物凄く複雑怪奇。不協和音のようなノイジーな音が鳴り響きまくり、あちこちがぶっ壊れているかのようなデジロックナンバー。wanna Be A Dreammakerは文字通り悲鳴みたいに響き渡るし、1番のサビでいきなりバックトラックがオフになるし…。BRAND NEWを銘打っただけの事はある実験作。翌年以降は完全に売れ線も捨て去ってしまう小室サウンドの全盛期末期だけあって実験しまくりながらもヒット曲としてしっかりインパクトを残すという点でもギリギリのところで踏みとどまっているような印象も。
シングルバージョンはStraight Run。『Relation』では表記は無いがアルバムバージョン。現在の公式サイトディスコグラフィーではAlbum Mixと表記されている。『Relation』では複雑さは変わらないがシングルバージョンほどのハチャメチャ感は無くなり、全体の雰囲気が整理整頓されたような仕上がりに(1番サビもバックトラックオフにならない)。ややバンドっぽい質感になったが一応ドラムも打ち込みのまま。整合性は明らかにアルバムバージョンの方が取れていると思うけど、整合性のとれてなさがシングル曲としてのこの曲の肝でもあったのかなとも思う。
★★★★☆
C/W(Sigmund Freud Mix)
4thアルバム『Relation』(表記は無いがアルバムバージョン)
5th+1stベスト『CRUISE RECORD 1995-2000』
2ndベスト『8 YEARS~Many Classic Moments~』
4thベスト『globe decade-single history 1995-2004-』
1stBOX『globe decade-complete box 1995-2004-』(シングル29作+アルバム9作)
5thベスト『15YEARS-BEST HIT SELECTION-』(Album Mix)
2ndBOX『15YEARS-ANNIVERSARY BOX-』(アルバム12作+リミックスアルバム5作)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
2ndリミックスアルバム『SUPER EUROBEAT presents EURO global』(Euro-Power Mix)
3rdリミックスアルバム『global trance』(Vapor Mix)
5thリミックス(ベスト)アルバム『global trance best』(Vapor Mix)
6thリミックスアルバム『house of globe』(Remixed by DEXPISTOLS)
8thリミックスアルバム『globe EDM Sessions』(2013 ORIGINAL PANTHER D.B.R REMIX)
9thリミックスアルバム『GDM』(Hard Lady mix)
1stリプロダクトアルバム『Remode 1』(リプロダクト)
トリビュートアルバム『#globe20th-SPECIAL COVER BEST-』(TRFによるカバー)
トリビュートアルバム『#globe20th-SPECIAL COVER BEST-』Disc 2 ORIGINALS
14th Sa Yo Na Ra

1998年9月23日
4連続の2作目。前作から3週間後のリリースとなったが、ここからは3週連続リリース。4作の中では最も明るい風の3連リズムのロッカバラードナンバー。ローマ字表記だが日本語タイトルのシングル表題曲というのも今作が初だった。4作の中では最もシンプルながらシンプルゆえに分かりやすくて聞きやすい1曲だが、けっこう重心がしっかりしているというか、バンド風サウンドゆえの骨太さもある。
シングルバージョンはStraight Run。『Relation』では表記は無いがアルバムバージョン(現在の公式サイトディスコグラフィーではalbum versionと表記されている)。アレンジが変わっているわけではないが全体のミックスがやや異なっている。またバンドっぽいというか実際にドラムが生になっている。
★★★★☆
C/W(BUZZ mix)
4thアルバム『Relation』(album version)
5th+1stベスト『CRUISE RECORD 1995-2000』
3rd(バラード)ベスト『Ballads&Memories』
4thベスト『globe decade-single history 1995-2004-』
1stBOX『globe decade-complete box 1995-2004-』(シングル29作+アルバム9作)
5thベスト『15YEARS-BEST HIT SELECTION-』(album version)
2ndBOX『15YEARS-ANNIVERSARY BOX-』(アルバム12作+リミックスアルバム5作)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
1stリミックスアルバム『FIRST REPRODUCTS』(Junior’s global mix)
トリビュートアルバム『#globe20th-SPECIAL COVER BEST-』(梅田彩佳(NMB48)によるカバー)
トリビュートアルバム『#globe20th-SPECIAL COVER BEST-』Disc 2 ORIGINALS
15th sweet heart

1998年9月30日
2nd以来となるジャングルのビートとテクノやらユーロやらがミックスされたような複雑な楽曲。サビでのそこそこのキャッチーさはさすがだが、4作の中で今作だけ40万を下回って(39.3万)1番売れなかったのは何となく納得。特に2~4作目は3週連続リリースの中で流されていきがちだし、やっぱ1番人気無さそうな感じではある。ただ4作中最も売上が低かったとはいえ、今作が結果的にglobe最後のシングル1位獲得作品となった。
シングルバージョンはStraight Run。『Relation』では表記は無いがアルバムバージョンで現在の公式サイトディスコグラフィーではFull Length Versionと表記されている。アルバム『Relation』ではMARCのパートが大幅増加し、これがフルバージョンというような扱いになっている。アルバムの方が全体にアクも強い気がする。サウンドもそうだがMARCのやけにダミ声がかったラップスタイルもまた4作通してBRAND NEWだったかもしれない。
そしてどういうわけかこの曲、リミックスアルバムに1度も選ばれた事がない模様。既に十分複雑なので逆にユーロビートにもトランスにも出来ない、いじりがいが無い…という事なんだろうか。
★★★☆☆
C/W(LA Intensive Remix)
4thアルバム『Relation』(Full Length Version)
5th+1stベスト『CRUISE RECORD 1995-2000』
4thベスト『globe decade-single history 1995-2004-』
1stBOX『globe decade-complete box 1995-2004-』(シングル29作+アルバム9作)
5thベスト『15YEARS-BEST HIT SELECTION-』(Full Length Version)
2ndBOX『15YEARS-ANNIVERSARY BOX-』(アルバム12作+リミックスアルバム5作)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
16th Perfume of love

1998年10月7日
日本テレビ系土9ドラマ『P.A.プライベート・アクトレス』主題歌。4連続の最後を飾るロックバラード。ここまでの3作で1位を獲得していたが今作はラルクの「snow drop」にドロップされてしまい(?)2位となった。しかしアルバム発売が迫る中で46.9万枚で伸ばして0.1万枚差で「Sa Yo Na Ra」を越えて4作中2番目のヒットを記録。結果的にはglobe最後のヒット作となり、次回作以降は今作の半分どころか20万枚越えすら1作も出ていない。この曲でglobeの記憶がプッツリ途絶えているリスナーも多かったのではないかと思う。
最後に持ってきただけあって勝負曲というか売れ線全開にしてここまでのglobeの集大成的名曲。「DEPARTURES」のようなコテコテの歌謡メロディに『FACES PLACES』期のようなロックサウンド、押しまくりのサビの泣きメロはどこまでも圧倒的にglobe王道を極めている。これで燃え尽きたのか、この方向性に興味を無くしたのか、曲が書けなくなったのかは不明だけど、一時代を築いたTKブームとしてもこの曲が最終到達点だったようにも今にしてみると思う。個人的にはgoobeの最高傑作にして聞いたことのあるTKプロデュースの中でも最高傑作に位置する1曲。唯一の難点はイントロが1分も溜めるところで、たぶんカラオケで入れるとなんともいえない1分間になってしまうところだが、その分曲が始まってからはとにかく最高なので良し。
シングルバージョンはStraight Run。『Relation』ではアルバムバージョンというのが定説になっているが、現在の公式サイトディスコグラフィーでは4シングルのうち今作にだけはアルバムバージョンの表記は無い。ファンサイト全盛の00年代前半頃に公開されていたものだと思うがアルバムバージョンではドラマーが変更されていると書かれているのを見た記憶があるが(そのファンサイトは既に消滅しているっぽい)、シングル盤には元々演奏クレジットがないため真偽不明である。そもそも聞いてもどこが違うのか全く分からない。
★★★★★
C/W(Aromatic mix)
4thアルバム『Relation』
5th+1stベスト『CRUISE RECORD 1995-2000』
4thベスト『globe decade-single history 1995-2004-』
1stBOX『globe decade-complete box 1995-2004-』(シングル29作+アルバム9作)
5thベスト『15YEARS-BEST HIT SELECTION-』
2ndBOX『15YEARS-ANNIVERSARY BOX-』(アルバム12作+リミックスアルバム5作)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
1stリミックスアルバム『FIRST REPRODUCTS』(Junior’s club mix)
6thリミックスアルバム『house of globe』(Remixed by Hiroshi Kawanabe (TOKYO No.1 SOUL SET/InK)
9thリミックスアルバム『GDM』(Popn’ Drums mix)
2ndリプロダクトアルバム『Remode 2』
winter comes around again
1998年末頃(非売品・4枚全購入者応募特典)
4連続リリースを全て購入して応募すると全員がもらえた非売品シングル。ジャケットデザインは4作を踏襲、CD盤面がレッドカラーになっている。見た目が4シングルとほとんど変わらないので、HARD OFFのジャンク8センチコーナーに普通に紛れている事もあり、けっこう何度も見かけた事がある(当時はカセット録音だったので回収して取り込み保存済み)。小遣い月千円とか二千円レベルだった中学2年生当時、友人1名がこれに挑み今作をゲットしたので借りて聞かせてもらった。友人は間髪を入れずにアルバム『Relation』の発売決定の報に唖然としていたが今作の出来にはもっと唖然として、率直に言ってけっこう怒っていた。
その内容は…確かにこれは…。歌詞は違うんだけど明らかに聞き覚えのある2つのメロディーを流用しつつ新たなメロディーも繋いだ7分35秒に及ぶ大作で、 「DEPARTURES」+「Can’t Stop Fallin’ in Love」を適当にくっつけて適当に歌詞変えて適当な繋ぎのメロディー作ってテキトーに繋いだような(中学2年生の耳にはそうとしか聞こえないような)オマケの域を出ないオマケのためのオマケ曲。タイトルに関してはたぶんTM NETWORKの「Winter Comes Around(冬の一日)」をセルフパロディした遊び心と思われる。改めて聞くとさすがに当時よりは面白さは感じられるものの、聞き覚えのある大ヒット2曲のメロディーが強すぎるので新しいメロディー部分がほとんど印象に残らず、やはりオマケ曲…。
幻のままでも良かったと思うが、後に『8 YEARS~Many Classic Moments~』に収録されたがTK Mixとして新バージョンで収録。7分47秒と更に長くなっているが、重めのサウンドだったオリジナルに対して当時流行のR&Bトラックのような軽めのサウンドに変貌しており、ミックス変更というより印象は別アレンジに近い。
小室哲哉が引退を発表したために制作された2018年の『TETSUYA KOMURO ARCHIVES “T”』『TETSUYA KOMURO ARCHIVES “K”』の約1年後の2019年4月にこの2作からセレクションする形で配信リリースした『TETSUYA KOMURO ARCHIVES T SELECTION』・『TETSUYA KOMURO ARCHIVES K SELECTION』と同時配信されたCD未収録の楽曲を集めたモアセレクション的な内容の『TETSUYA KOMURO ARCHIVES EX』に今作のオリジナルバージョンが収録されており、配信で聞けるようになった。その後2022年のBOX『10000 DAYS』に収録されCDアルバム初収録となった。
★★★☆☆
2ndベスト『8 YEARS~Many Classic Moments~』(TK Mix)
4thBOX『10000 DAYS』
17th MISS YOUR BODY

1999年3月25日
4thアルバム『Relation』が3rd『Love again』を上回って大ヒットを記録した後、年明けにリリースされいきなり累計10.3万枚に超失速。初動でも驚きなのに累計である(初動は6.3万枚)。いわゆる大コケしちゃった衝撃作。また小室はマニアックな音作りにのみ集中していたのか、ここからの4シングルは全て作詞をせず、KEIKOとMARCが連名で作詞を担当している。
クールなR&Bでこれといったキャッチーなメロディーも無く、平坦で薄味。宇多田ヒカルの大ヒットでR&Bがブームになりつつあったが宇多田ヒカルの一連のヒット曲にしても確かなメロディーがあった上でヒットしていたわけで、こんな洋楽ライクなクールなトラックをシングルにされても困る。若造に先を越されたのに焦って本場のR&Bだ!どうだ!というドヤ顔で出したのかどうかは不明だが、ここまでコケるとはさすがに誰1人思っていなかったのでは…。
実験的な作品はさらに続き、続く作品は公開レコーディングでスタジオライブを行ってそれをアルバムにするというものだったが、そうして発売された『FIRST REPRODUCTS』は大半がスタジオライブ無関係のリミックス曲で、スタジオライブ音源は数曲しか収録されなかった。公開レコーディングとはなんだったのか…。
シングルバージョンはStudio tracks。シングルバージョンの名称としては唯一の珍しいバージョン名となり、さらに「DEPARTURES」ではシングルバージョンの名称に使用されていたRadio EditがC/Wに収録されている。変則的なバージョン名になったのは『FIRST REPRODUCTS』があったためと思われ、Studio tracks=『FIRST REPRODUCTS』収録音源。
C/WのLive tracksが公開レコーディング音源…かと思いきや当日披露したのはもっとデモなアレンジだったらしくそれを基にして完成させたバージョンらしい。このLive tracksはクールな打ち込みトラックではなく、バンドサウンドになっていて音に厚みがあって個人的にはこれが1番聞きやすい。
ヒットしなかったのがよほど悔しかったのか、次のシングルC/Wにはミックスを変更したtan line mixを収録。さらにベスト+ニューアルバムと銘打った『CRUISE RECORD 1995-2000』ではヒット曲を差し置いて1曲目オープニング的なインストの後の2曲目という実質トップバッターとしてtan line mixを収録。
シングル(3月25日)に3バージョン、『FIRST REPRODUCTS』(3月31日)にもう1回Studio tracks、「still growin’ up」C/W(9月8日)に4バージョン目となるtan line mix、『CRUISE RECORD 1995-2000』(9月22日)でもう1回tan line mixとなんと4バージョン制作して1999年の間だけで4度に渡って世に出したというのはなかなか執拗だった。ちゃんと聞いてくれよ!と叫びが聞こえるようだったが、正直何度聞かされてもこれは地味だ…。
★★★☆☆
C/W(Live tracks)
C/W(Radio Edit)
1stリミックスアルバム『FIRST REPRODUCTS』
18thシングルC/W(tan line mix)
5th+1stベスト『CRUISE RECORD 1995-2000』(tan line mix)
4thベスト『globe decade-single history 1995-2004-』
1stBOX『globe decade-complete box 1995-2004-』(シングル29作+アルバム9作)
2ndBOX『15YEARS-ANNIVERSARY BOX-』(アルバム12作+リミックスアルバム5作)
3rdBOX『15YEARS-TK SELECTION-』(tan line mix)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
18th still growin’ up

1999年9月8日
これまでのシングルはC/Wが表題曲のリミックス、インストのみだったが、今作では初めてC/Wに違う曲が収録された(前作のtan line mix)。また3曲目のInstrumental(カラオケ)の名称が謎に”Just Backtracks”と題されている。初登場4位で売上は16万枚と前作より持ち直したものの…。なんだかんだこの直近2シングルの状況からベスト+ニューアルバム『CRUISE RECORD 1995-2000』を276万枚大ヒットまで引っ張れたのだからヒット期の貯金は大きかった。
以前のglobeの雰囲気と前作の薄味トラックを融合させたような1曲。路線変更するならまず最初はこっち出しておいた方が良かったんじゃないの的な佳作。KEIKOとMARCのスピーディーなラップの掛け合いは薄味ながらも前作にはなかったスリリングさが、そして歌メロでのキャッチーさにはglobeらしさが十分に戻っていた。ただ歌メロにかかる不気味なオートチューンはなんだこれは。鈴木あみの一連のヒット曲でも聞くことができるが、鈴木あみの歌声が不安定だから修正のために多用していたのではなく、単に小室がオートチューンにハマっていただけだったのだろうか。
残念ながら離れたリスナーが戻る事は無かったし、シングルリリース時はスルーしてしまった。しかしとりあえず最後のつもりで聞いた『CRUISE RECORD 1995-2000』で最初に聞いた時この曲だけは変貌以降で唯一かなりいいじゃないかと思えた。
シングルバージョンはSingle Edit。既にアルバムバージョンも制作されていたための名称と思われ、『CRUISE RECORD 1995-2000』では表記は無いがアルバムバージョンとなり構成が変更されている(バージョン名は無い)。シングルではイントロが存在し、イントロからKEIKOとMARCのラップの掛け合いに突入するが、アルバムバージョンではイントロなしでいきなりキャッチーな歌メロ部分(“口に出しちゃいけないこと”)から入り、全体も50秒ほど長い(下記の視聴で聞けるのはシングル、アルバムどちらもド頭部分なのに全然違う事が分かる)。結果的にサビが登場するのは遠くなったが、アルバムバージョンの方が掴みがバッチリで聞きやすい。しかもアルバムにおいてはインスト、前作、「biting her nails」というアルバム開始後全くキャッチーさ皆無の状態が続いていたので、ド頭の歌メロからようやくああこれがglobeだと感じることができる。
★★★★☆
5th+1stベスト『CRUISE RECORD 1995-2000』(アルバムバージョン)
2ndベスト『8 YEARS~Many Classic Moments~』
4thベスト『globe decade-single history 1995-2004-』
1stBOX『globe decade-complete box 1995-2004-』(シングル29作+アルバム9作)
5thベスト『15YEARS-BEST HIT SELECTION-』(アルバムバージョン)
2ndBOX『15YEARS-ANNIVERSARY BOX-』(アルバム12作+リミックスアルバム5作)
3rdBOX『15YEARS-TK SELECTION-』
4thBOX『10000 DAYS』(アルバムバージョン)
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
1stリプロダクトアルバム『Remode 1』
19th biting her nails

1999年12月15日
ベスト+ニューアルバムと銘打った『CRUISE RECORD 1995-2000』に収録されていた新曲のシングルカット。そして初のマキシシングル。ベスト+ニューアルバムで新曲10曲とか言っていたもののインストまみれで歌入りの新曲は4曲しかなく、4曲ともシングルカットに耐えうるような曲ではなかったのに何故シングルカットなんてしたのか…。案の定初のトップ10落ち(13位)、ついに累計10万割れ(5.6万)となった。マキシシングルとなった事で1曲増え、リミックスとインストの他に『CRUISE RECORD 1995-2000』の新曲をリミックスした「SHOCK INSIDE MY BRAIN-ten pound mix」が収録されている。
再び非キャッチーで平坦な地味曲だが一応「MISS YOUR BODY」よりは起伏があるというかバイティンハッネイッバイティンハッネイッ♪とやけにドスの効いた声でタイトルを連呼するサビのような箇所は一応多少の引っかかりポイントにはなっていると思う。ループや音数のそぎ落とし、自らが作り上げたカラオケ文化を否定するような非ポップな楽曲、やりたかったのはそういうことだとは思うんだけど、実験というか迷走というか。
アルバム音源=シングル音源とで、シングルにもバージョン名が無い。
★★★☆☆
5th+1stベスト『CRUISE RECORD 1995-2000』
C/W(down to the bone mix)
4thベスト『globe decade-single history 1995-2004-』
1stBOX『globe decade-complete box 1995-2004-』(シングル29作+アルバム9作)
2ndBOX『15YEARS-ANNIVERSARY BOX-』(アルバム12作+リミックスアルバム5作)
3rdBOX『15YEARS-TK SELECTION-』
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
2ndリミックスアルバム『SUPER EUROBEAT presents EURO global』(WAKE UP REMIX)
6thリミックスアルバム『house of globe』(Remixed by BLACK SEBBATH (NERDZ ERA/RAID SYSTEM))
on the way to YOU
/globe featuring KEIKO

2000年3月29日
ソロプロジェクトとして”globe featuring”名義で3人のソロシングルを同時発売。作編曲は3曲とも一貫して小室哲哉が手掛けているが、作詞はKEIKOが単独で担当した。やはりメインボーカルだけあって3作の中では初登場5位でダントツで売れて10万枚を突破して13.3万枚。とはいえ「MISS YOUR BODY」は上回ったが、「still growin’up」は下回り、次回作「とにかく無性に…」とは同程度。3作とも『globe decade-single history 1995-2004-』では飛ばされたが、3作の中でこの曲のみ扱いが良くその他のベスト盤には何度か収録されている。
globeとしてのシングルではさすがにやっていなかったが、アルバムでは割と普通にやっていたマーク不参加でKEIKOしか歌ってないバラードナンバー。ソロ名義ならシングルでもいいだろうという事で厳かに歌い上げるソロバラードがシングルになり、この時期としては名バラードと呼んでもいいような良メロを聞かせてくれる。とはいえアルバムではやっていたようなソロバラードなのでどうせならもっと新しさを感じる曲でも良かったような。
『outernet』では表記は無いがglobeバージョンとして作り直されており、基本アレンジはそのままだが冒頭のOVERTURE的なストリングス演奏はカット、間奏でマークのラップを追加しつつ全体にロックバンド感が増しておりドラムやギターがオリジナルより目立ち、ドラムが入るタイミングもかなり早い。『outernet』バージョンの方が普通に聞きやすい。
★★★☆☆
★★★☆☆(アルバムバージョン)
C/W(acoustic mix)
6thアルバム『outernet』(アルバムバージョン)
3rd(バラード)ベスト『Ballads&Memories』
5thベスト『15YEARS-BEST HIT SELECTION-』(アルバムバージョン)
3rdBOX『15YEARS-TK SELECTION-』(アルバムバージョン?)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
1stリプロダクトアルバム『Remode 1』(リプロダクト)
THE MAIN LORD
/globe featuring MARC

2000年3月29日
作詞はMARCが単独で担当。3作の中では1番売れず、インストの小室ソロにも及ばずに初登場15位で唯一トップ10入りを逃すというあんまりな結果に…。今作の売上が3.1万枚でMARCだけ買ったというファンは正直ほとんどいないと思うので3作全部ちゃんと買ったというファンが最高でこのくらいしかいなくなっていた…という事か。
シングルバージョンは『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』で初めて聞いた。サビに該当する部分はそれなりに歌メロっぽくもあるけど、マークのラップしかないし、サウンドもなんとも形容しがたいマニアックさでとにかくマニアックな印象しか残らず、分かりにくい…。2分過ぎくらいに音飛びでも発生したかのようなリアルなディレイ加工が入るので一瞬機器が壊れたのかと焦る。
『outernet』では表記は無いがglobeバージョンとして作り直されており、KEIKOとMARCのWボーカルになり、さらに疾走感のあるロックバンドアレンジに大きく変貌。元々があまりキャッチーではないとはいえ、ロックアレンジで引っ張ってなかなか爽快な仕上がり。アルバムバージョンを聞いた後だとシングルバージョンがC/Wのリミックスかのように聞こえる。
★★☆☆☆
★★★☆☆(アルバムバージョン)
C/W(fatbeat remix)
C/W(Dave Ford mix)
6thアルバム『outernet』(アルバムバージョン)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
Throwin’down in the double 0(lunar mix)
/globe featuring TK

2000年3月29日
シングルタイトルは『Throwin’ down in the double 0』だが、lunar mix、Lethal dose remix、construction mixの3音源が収録されており、1曲目のlunar mixがシングルバージョン扱い。インストナンバーだったがなんだかんだ一定のTKファンがいてMARCファンよりも多い事を示すかのように初登場10位で4.4万枚。MARCと1万枚以上差をつけてしまった。
シングルバージョンは『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』で初めて聞いた。サンプリングのようなつぶやき、そしてウォーオイェー!という声が連呼されるものの、明確なメインメロディーの無いインストナンバー。6分も延々続いて長さしか感じないし、シングル曲としてはワケが分からない。これで本人の声が入っているマークの曲より売れてしまうんだからTK個人の人気で凄かったんだな。
『outernet』では表記は無いがアルバムバージョン。他の2曲と違ってKEIKOとマークが参加している様子はなくTKインストのまま。それどころか元々メインのメロディーの無いトラックだったのにそのトラックをほぼ丸ごと作り直してしまっているので全く同じ曲に聞こえない。かろうじて残されたウォーオイェー!のサンプリングボイス連呼があるから首の皮1枚で繋がりを保っているもののこれが無かったら気づかないレベル(コードが同じだとか分かる人は同一曲判定できるのかもしれないが…)。このバージョンの方が電子音がトランスっぽい。TKの興味の移り変わり、トランスへの傾倒が時系列で反映されたといえる。
★☆☆☆☆
C/W(Lethal dose remix)
C/W(construction mix)
6thアルバム『outernet』(アルバムバージョン)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
20th とにかく無性に…

2000年6月14日
唯一の日本語表記タイトルシングル。3月のソロシングルから3ヶ月、globe本体としては半年ぶりのシングル。初登場4位で累計13.3万枚だったので「MISS YOUR BODY」は上回り、KEIKOソロの「on the way to YOU」と同等。
実験全開というかR&Bともなんか違う気がするし最早何がしたかったのか良く分からない謎曲。当時の『CDTV』でもホドーンホドーン♪という謎の連呼と丸刈りにしているオッサンの後頭部が流れてナニコレ…?と硬直したのを記憶している。そして『CDTV』でglobeの新曲がかかっているのをリアルタイムで記憶しているのはこれが最後となった(あとは「Stop! In the Name of Love」がドラマ主題歌でヒットした時くらいだがこれはカバーだったのでオリジナルではホドーンホドーンが最後の記憶)。前述のようにこれで「MISS YOUR BODY」は上回っていたのであのシングルどんだけ不調だったんだよ…とも思っ明確なサビも無く、インパクトポイントはホドーンホドーンの連呼くらいで、リズムとトラックにのみひたすら注力したような楽曲なので、良く聞くと何だか凝っているような気はするんだけど、ここまでヒットチャートに背を向けるっていうのもなかなか凄い。とにかく無性にこういうことがやりたかったのだろう。ホドーンホドーンホドホドホドーン♪
シングルバージョンはStraight Run。4曲目には「とにかく無性に・・・ (Accappella)」と題されたオケを抜いた声だけのバージョン(カラオケの逆)を収録。そんなん誰が聞きたいんだ…。リミキサー用?
★★★☆☆
C/W(TK remix)
C/W(Web addict remix)
C/W(Accapella)
C/Wシークレットトラック(www.secret.mix)
6thアルバム『outernet』
4thベスト『globe decade-single history 1995-2004-』
1stBOX『globe decade-complete box 1995-2004-』(シングル29作+アルバム9作)
2ndBOX『15YEARS-ANNIVERSARY BOX-』(アルバム12作+リミックスアルバム5作)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
21st DON’T LOOK BACK/like a prayer

2000年11月22日
初の両A面シングル。オリジナルアルバム、シングルコレクション的なベストアルバムには2曲仲良く収録されており、対等な扱いをされている。初登場5位で売上は10万枚をかろうじて越え『MISS YOUR BODY』と同じだった。
DON’T LOOK BACK
TK流プログレとでも言うべき8分40秒に及ぶ大作。この長尺の間、ほとんどわずかに印象に残るメロディーはイントロ部分でも採用されているフレーズくらいなもので、ひたすら実験サウンドが展開しまくる。歌じゃない、オケを聞け!とでも言いたげな内容だが、中盤以降はハレルヤ風味でやけに仰々しい盛り上がりも見せるが、これはアルバムバージョンで余計に強調されている。プログレといえば「FACES PLACES」もそのように形容されていたが、あれはよく作りこまれたヒット曲だったんだなぁ…と改めて思ってしまうようなとっちらかりっぷり。とにかく誰も止めずに好き放題やったらこうなった、みたいな…。
シングルバージョンはTK Original Mix。前作に続いてシングルにはアカペラが収録されているがその前にはカラオケも収録されている。8分40秒のカラオケ、8分40秒の歌だけ…ナンダソレ…。『8 YEARS~Many Classic Moments~』のAlbum Editは『outernet』収録のAlbum Versionを2分ほど削ったもの。それでも長いものは長い。
★★★☆☆
C/W(Accappella)
6thアルバム『outernet』(Album Version)
2ndベスト『8 YEARS~Many Classic Moments~』(Album Edit)
4thベスト『globe decade-single history 1995-2004-』
1stBOX『globe decade-complete box 1995-2004-』(シングル29作+アルバム9作)
2ndBOX『15YEARS-ANNIVERSARY BOX-』(アルバム12作+リミックスアルバム5作)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
like a prayer
教会音楽のような聖なる雰囲気が漂うナンバー。「DON’T LOOK BACK」の後だとなんだかどこか違う地平にたどり着いた後みたいな気分になっているので、この曲が来ると非常にスッキリと聞けるところでもあるけど、MARCの高速ラップがボソボソすぎて何を言っているのかさっぱり分からない…。トランス期への過渡期のような楽曲でもある。
シングルバージョンはTK Original Mix。『outernet』では聖なる感じがさらに突き詰められていてよりそぎ落として綺麗にしたような雰囲気になっている。
★★★☆☆
C/W(77 Days Mix)
6thアルバム『outernet』(Album Version)
4thベスト『globe decade-single history 1995-2004-』
1stBOX『globe decade-complete box 1995-2004-』(シングル29作+アルバム9作)
2ndBOX『15YEARS-ANNIVERSARY BOX-』(アルバム12作+リミックスアルバム5作)
4thBOX『10000 DAYS』
6thベスト『ALL SINGLES & OTHER BEST 30 SELECTION』
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