2nd ANSWER/北風

1991年4月25日
両A面シングルで共に1stアルバムからのシングルカット。ジャケットでは堂々両A面表記になっているほか、反対側のジャケットでは『北風/ANSWER』とひっくり返して表記しているどこからどう見ても純然たる両A面シングルであった。…が、現在のというかかなり早い段階から公式では『ANSWER』単独A面扱い。前作同様に2曲ともアルバムから変更なしでそのまま収録されていて、カラオケも無いので今作のみで聞ける音源は無い。半年も前のアルバムから2曲ともそのままシングルカットでは売れるはずもなく、やはり100位圏外となり全く売れなかった。
前作同様の完全なコレクターアイテム的であったものの、売れなかったので希少価値はそこそこ高い。
ANSWER
編曲:西平彰&槇原敬之
ベスト盤では編曲:西平彰
前作と同じタイプのピアノバラード。1stアルバムの1曲目を飾っているので、後追いで1stアルバムを聞いた当時のリスナーは「NG」よりも、今作が始まりの1曲という感じがするのではないか。前作同様のサビどこ系バラードではあるが、“愛という窮屈をがむしゃらに抱きしめた”のフレーズとメロディーの存在感の強さ、ラスト手前の”春の強い風も~”の部分で少し盛り上がる展開を見せるなど前作よりも緩急があるように思う。またギターベースドラムピアノが全て揃ったフルバンド編成なのは1stアルバムではこの曲だけ。別れそうなカップルが描かれていて一応最後には”君を抱きしめ”ているのだがハッピーエンドにはあまり思えない雰囲気で…。この続きは2ndアルバム収録の「EACH OTHER」で描かれているが、案の定ものの見事に別れてしまっているので切なさが倍増する仕様。
前作と比較しても今作の方が圧倒的に人気が高いようで2010年にコブクロ、2013年に堂本剛が相次いでカバーするなど同業者人気も高い。コブクロのカバーバージョンは槇原敬之公式のトリビュートアルバム『We Love Mackey』にも収録された(なおコブクロにはインディーズ最終作『ANSWER』というアルバムがあるが曲は入っておらず、1stアルバム『Roadmade』に「ANSWER」という曲が収録されているがそっちはコブクロのオリジナル曲でカバーアルバム『ALL COVERS BEST』に収録されているのが今作のカバーである)。
槇原サイドでの扱いも良く、ライブアルバムへの収録も多い。2010年のcELEBRATIONライブに行ったことがあるが、この時に披露された時はピアノのイントロの瞬間に嬉しさで号泣している人を見たのでそのくらい熱い思い入れのあるファンもいるようだ
10.Y.O Versionはオリジナルよりもボーカルのリバーブ感が抑えられている。”春の強い風も~”の部分の演奏の盛り上がりも抑えめになっている。オリジナルの絶妙に響き渡るボーカルに慣れているとなんだか物足りないが、こちらの方がネイキッドであり、そこを目指しての新ミックスなのかなと思う。
★★★☆☆
1stアルバム『君が笑うとき君の胸が痛まないように』
1stベスト『SMILING~THE BEST OF NORIYUKI MAKIHARA~』
5thベスト『10.Y.O~THE ANNIVERSARY COLLECTION~』(10.Y.O Version)
8thベスト『Completely Recorded』
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”~Heart Beat~』(Live)
4thライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2010″~Sing Out Gleefully!~』(Live/メドレーの1曲)
1st配信限定ライブアルバム『MAKIHARA NORIYUKI SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT “cELEBRATION 2015”~Starry Nights~』(Live)
3rd配信限定ライブアルバム『Makihara Noriyuki Concert 2024″TIME TRAVELING TOUR”2nd Season~Yesterday Once More~』(Live)
北風
編曲:西平彰&槇原敬之
ベスト盤では編曲:西平彰
今作が1月にFM802でパワープレイになったとされ、それでシングルカットされたというのが定説となっているが…。それにしては両A面の2曲目、しかも今作の発売日GW前の4月25日であり、北風なんて1番遠い季節でどう考えても雪が降る曲をリリースするタイミングではない。アルバムがそもそも10月25日だったのとパワープレイを受けてのシングルカットなら同じ1月2月くらいが順当なところ。デビュー作から半年も経ってから新曲も出さずにシングルカットって…。次の制作に向けて西平彰を続投させるか、アレンジャーを変えるか、そもそも本人が1人でやりたがっているのでそれを尊重するか、次の制作体制をどうするかっていうのはたぶん年明けには単独で行くのは決まっていたと思われるが少なくとも年明けすぐに単独アレンジに制作体制を変えて新曲というわけには行かず、ある程度は単独アレンジへ移行しての制作に入るまで時間があったのではないか。
次回作で触れるように「どんなときも。」映画タイアップ決定の報は大学合格通知と同日とされている。2月26日に入試が全て終了した翌27日に映画タイアップ話を持ち掛けられたというのは『槇原敬之の本』でも『歌の履歴書』でも揃って日付が書かれているので確定。『歌の履歴書』には1週間で仕上げる事が条件だったとされているので3月前半のうちに結果が出ていたと思われる。必然的に3枚目のシングルは「どんなときも。」で決定となったと思われるが、映画は6月なのでそれまで「どんなときも。」は出せない。しかし10月25日デビューから6月まで何も出さないといきなり空白が半年を越えてしまうので”繋ぎ”でシングルカットする事にした…というのが実際のところなのかもしれない。なお実際に入学したのは青山学院大学文学部第二部英米文学科だが2月26日の試験が青学だったのか、映画タイアップ決定の報と同日の合格通知というのが青学だったのかは不明である。
1992年に「北風~君にとどきますように~」としてリメイクされてヒットしたため、基本的にヒット曲としてメディアでかかるのは「北風~君にとどきますように~」の方であり、原曲である「北風」がかかる事はほとんどない(特にTVは歌唱映像が「北風~君にとどきますように~」しかないはず)。ラジオでもよほど特別に指示が無い限りは(リクエストで指定されているとか、局側が絶対こっちだとかじゃない限り)こっちはかけないんじゃないかと思う。
「北風~君にとどきますように~」と比べて全く違うというほどには変わっていないが今作はかなり音が固めでシンプルな印象。原曲である今作の方が後追いで聞いたのもあるが、普通に「北風~君にとどきますように~」の方が売上全盛期の槇原敬之らしさがあるし完成度も高い。なのでわざわざこっちを聞く事はあまり無かったんだけど、しばらくしてからこっちにはこっちのシンプルな味があって、これはこの時にしか出せなかった味だなとも思えるようになった。
1992~1993年頃のインタビューで既に1stアルバムでアレンジャーが入った事について不満と取れる発言を残しているようなので、「北風」もアレンジに不満があって発売2年で自ら満足いく形にやり直した、と当然思われそうな発言をしていたわけだけど、後年語ったところによれば1stアルバムの中では真っ先に思い入れのある曲として「北風」を挙げており、西平彰との共同アレンジにおいてももともと自分がやっていたアレンジとはほぼ一緒だったとしていて、ふんわりニュアンスを変えている。いずれにしても多少アレンジが固くても確かな名曲には違いない。新緑の季節にシングルカットされても季節外れでいくら名曲でもさすがに魅力は減退するよなとも思ふ
ベスト盤への収録は基本的に「北風~君にとどきますように~」となっているが『SMILINGⅡ』にのみORIGINAL VERSIONの表記をつけて今作を収録し、1曲目を飾っている。後追いのリスナーはここで初めてオリジナルバージョンを聞いた人も多いのではないか。
ライブアルバムでは2010、2015の2度「北風」表記で収録されており、どちらも「北風~君にとどきますように~」の歌始まりではなく、特に2010は原曲のイントロをアレンジしたものになっているので表記ブレではなく明確に「北風」のライブアレンジとして区別しているようだ(2015は「Christmas Medley」の2曲目に配置されておりコーラス隊とオーケストラによる導入インスト的な1曲目「WELCOME CHRISTMAS」からAメロに突入する仕様)。
★★★★☆
1stアルバム『君が笑うとき君の胸が痛まないように』
2ndベスト『SMILINGⅡ~THE BEST OF NORIYUKI MAKIHARA~』(“ORIGINAL VERSION”表記)
4thライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2010″~Sing Out Gleefully!~』(Live/メドレーの1曲)
1st配信限定ライブアルバム『MAKIHARA NORIYUKI SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT “cELEBRATION 2015”~Starry Nights~』(Live/「Christmas Medley」メドレーの1曲)
 
  
  
  
  
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