11th WORST CRIME~About a rock star who was a swindler~/Blind To My Heart
96年2月26日
前作から2ヶ月での早いペースでの発売となった。当時はこの後にアルバム制作をしているという情報もあったが、実際には今後の方向性を巡って会社と対立。プロデューサーがドラゴンボール主題歌用に持ってきた曲は以前のポップ路線だったため、上杉はもう続けられないとして脱退を決意。1ヶ月後にリリースされた『SINGLES COLLECTION +6』を最後に上杉・柴崎が同時に脱退。2期の最終作となった。
脱退に至る経緯は上杉昇の著書にて明らかにされているが、それがいつなのは細かくは不明で、一応al.ni.co始動時のインタビュー記事では1996年6月30日付で辞めたという記述があったらしいが、3期WANDSの始動発表は97年後半でal.ni.coもそれに合わせたように始動を発表していて隔たりがある。2人の脱退はギリギリまで伏せられていた上に、脱退した前後の時期にも普通にFC会報が出ていたようで時系列の詳細までは判然としていない。
また96年半ばまでに辞めていたとすると少なくとも『ドラゴンボールGT』タイアップ話のタイミングも2期EDのZARD「Don’t you see!」のタイミングだった事になり、「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」ではない事は確実、WANDSが流れてZARDになっていた可能性が高くなる。97年年明けまで脱退するかしないかで話し合いをしていてこの頃にタイアップ話が来ていたとすればZARDの次の予定で穴が開いてしまって工藤静香になり、そして「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」になったというシナリオも考えられる。
今作はジャケットの表裏だけでなく、背文字部分でも両A面扱い、公式サイトや公式のディスコグラフィーでも正式に両A面扱いされているWANDS唯一の正式両A面シングル。とはいえベスト盤では「Blind To My Heart」はオールスルーされていて実質C/W扱い。
前作よりさらに落としてついに初動は10万割れ、初登場9位とギリギリのトップ10入りとなり、2週目は28位まで吹き飛び6週で100位圏外。前作初動をわずかに上回る程度の13万枚の売上に終わった。次のシングル用に用意された曲がポップな路線だったというのはこの連続急落を考えれば仕方ないともいえるし、2作とももう少し売れていればB’z的な未来(好き放題にロックに傾倒できる)もあったのかもしれない。
WORST CRIME~About a rock star who was a swindler~
作詞:上杉昇、作編曲:柴崎浩
今回は柴崎が編曲まで単独で担当。激しくがなり立てるボーカルに加えて、激しい爆音ギターが鳴り響きまくるが、前作と違ってアップテンポでメロディー自体は割とキャッチーなのでシングルA面っぽい強さもある。メロディーメイカー柴崎浩と上杉昇の激しいロック魂がもう少しうまく双方の良さを生かして混ざり合えば無敵だったのではないかと思えてくる。
About a rock star who was a swindlerとは自身への揶揄だったのか、というか詐欺師だったロックスターとかそうとしか思えないような自虐っぷり。それでもこっちが先だったら「Same Side」よりは売れていたし、リスナーももう少し受け止め切れたのではないかと思う。またこの後のal.ni.coは上杉が自分がやりたい事しかやらないという姿勢でいてほぼ全部自分で曲を書いて柴崎にアレンジを指示するような制作体制となって、WANDS時代のやらされていた事への反動が凄すぎたのかメロディーにも良さが感じられなくなってしまった。結局これが柴崎との決定的な音楽性の違いとなって解散してしまうので、このままWANDSでもう少しバランスを取りながら好きな事を時間をかけて進めていってほしかったとはどうしても思う。
個人的には『BEST OF WANDS HISTORY』を聞いた当初はうるさいだけで意味不明だったのだが、自己嫌悪と肯定を繰り返しながら進んでいく歌詞の内容含めて大学受験期になって急に良さに目覚めた。ていうか小中学生くらいでこの歌詞が素晴らしいぜ共感するぜグッヘヘヘとか言ってたらそれはそれで病み過ぎである
『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』ではライナーでリミックスしたとは明言されていないが、他のミックス変更された曲は全て野村昌之が担当していてこの曲も野村昌之である事、明らかに激しいサウンドが平坦に押さえつけられている感があるのでリミックスされていると思われる。
★★★★★
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(リミックス)
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
Worst Crime – About a Rock Star Who Was a Swindler
WANDS
Worst Crime – About a Rock Star Who Was a Swindler
WANDS
Blind To My Heart
作詞作曲:上杉昇、編曲:柴崎浩
上杉が単独作曲したのはWANDSでは「Keep My Rock’n Road」に続いて2曲目。歌詞のほうはかなりダークでやりたい音楽とWANDSとの狭間で相当悩んでいたのだろうが投げやりな雰囲気が漂う。サウンドもずっしりとヘビーなロックナンバーだが、なんだかんだサビのメロディーはそれなりに開けた感じにはなるし、この点は同じ上杉曲でもal.ni.coでは見られない傾向。ある程度はWANDSのシングル曲というのも意識していたのだろうか。
A面扱いなのに一切アルバム未収録なのが惜しい。
★★★★☆
アルバム未収録
コメント