第62回 LINDBERG 1995-1999
95年12月、デビュー以来の徳間JAPANを離れてテイチクが親会社のTMCに新レーベル246RECORDSを作って移籍。ベスト盤では無視し続けたデビュー曲「ROUTE 246」を彼らは忘れていなかったのだ。吹っ切れたかのような移籍直後は売上を回復させたものの、すぐに迷走。10周年を迎えて原点回帰を図るも、ベスト盤を区切りについにヒットが出せなくなり転落一直線。テイチクとの契約もきられることとなる。そんな99年までを振り返る。
23rdシングル もっと愛しあいましょ
95年11月1日
超怪作。移籍第1弾なのに真面目にやらずに、前作がコケたのに懲りずにむしろさらにおふざけに徹し、半ば捨て身でリリースされたと思われる珍曲。ヒゲダンスのようなサウンドに合わせてPVでもお姫様、水戸黄門などなど様々な仮装で踊りまくるメンバー。しかも微妙にうろ覚えでグダっている。歌声も完全にかわいらしい声に変貌してしまい、もはや誰だか分からない。だがどういうわけかこの捨て身の一撃は強烈なインパクトを放ち、奇跡の大当たり。久々のトップ10ヒットになった。本当世の中分からねぇ…。ただ下手にこれが当たってしまったことが本格的な迷走を招き、それが壊滅的な人気ダウンに繋がった事まで考えると解散の遠因になった罪な1曲なのかもしれない。初めて3rdベストを聞いた頃は基本的にこれだけ飛ばしていたが、現在は迷走暴走路線の中では最もキャッチーで1曲だし、まあたまにはこういうのがあってもいいよね、とは思う。それにしても歌詞に「イチロー」が出てくるのが凄い。95年当時を知る人にだけ有名な選手とかじゃなくて国民的に有名な選手にまで成長したから発売からどれだけ経過しても誰?ってならないし。まあ安打じゃなくて満塁ホームラン打ってるんだけど。
★★★☆☆
9thアルバム『LINDBERG\』(Remix)
3rdベスト『LINDBERG BEST FLIGHT RECORDERV』
5thベスト『WORKS COMPOSER'S BEST』
6thベスト『BEST OF SINGLES』
7thベスト『FINAL BEST』
10thベスト『SUPER BEST』
11thベスト『BEST FLGHT』
2ndライブ盤『FINAL FLIGHT』
20周年リテイクベスト『LINDBERG]]』(09年再録音)
24thシングル 君のいちばんに…
96年5月1日
おふざけなし、久々にギターロック調で勢いのある楽曲。結果的にテイチク以降では最大のヒット作となり、見事に本来のバンド路線でも人気復活を果たした。UKロック調というのはちょっと今までになかった部分でもあり、1番好きな曲は個人的にはこれ。特にドラムプレイに関しては正直良し悪しはよく分からないし、用語もさっぱりなんだけどなんかこの曲のリズムが1番好きかもしれない。失恋からの復活への応援歌なのだがサビだけ聞けば生きることへの応援歌にも聞こえるので元気になれる1曲。
★★★★★
9thアルバム『LINDBERG\』(Remix)
3rdベスト『LINDBERG BEST FLIGHT RECORDERV』
5thベスト『WORKS COMPOSER'S BEST』
6thベスト『BEST OF SINGLES』
7thベスト『FINAL BEST』
10thベスト『SUPER BEST』
11thベスト『BEST FLGHT』
2ndライブ盤『FINAL FLIGHT』
25thシングル every little thing every precious thing
96年7月1日
壮大なロックバラード。スタジアムの中央で歌っている姿が絵になるような(PVでは渡瀬マキが1人でスタジアムで歌っているカットもある)、オリンピックとかのテーマソングにピッタリな曲。バラードのLINDBERGとしてはダントツでこの曲だろう。実際歌詞もスポーツ選手への応援歌みたいになっているのだが、タイアップはパナソニックのCMソング。アトランタオリンピックの年なので、企業を通してオリンピックの応援歌という感じはあったのかもしれないけど。シングルではフェードアウトなのが9thアルバム『LINDBERG\』のRemixではしっかりエンディングを迎える。また後のシングル「願いがかなうように」のC/Wではアナザーバージョンで収録されている。完全なリミックスではあるがメロディーの良さを感じられる仕上がり。売上でも30万枚を3作連続で越えたのは実は初めてというほどに好調だった。07年には阪神の藤川球児の応援歌として再注目を集め、藤川ジャケット&マキシ化して再発売されリバイバルヒットを飛ばした。後期LINDBERGの金字塔にして、結果的にはこれが最後の大ヒット曲か…。
★★★★★
9thアルバム『LINDBERG\』(Remix)
3rdベスト『LINDBERG BEST FLIGHT RECORDERV』
5thベスト『WORKS COMPOSER'S BEST』
6thベスト『BEST OF SINGLES』
7thベスト『FINAL BEST』
9thベスト『Supporters' songs』
10thベスト『SUPER BEST』
11thベスト『BEST FLGHT』
12thベスト『LINDBERG★BEST』
31stシングルC/W(another version)
11thベスト『BEST FLGHT』('98 LIVE VERSION)
20周年リテイクベスト『LINDBERG]]』(09年再録音)every little thing every precious thing
26thシングル Green eyed Monster
96年8月19日
最後のトップ10ヒット作品。勢い的には前2作を引きずっているがややポップさも取り入れたようなギターロック路線。これまたサウンドが最高。歌詞はOLの日常ではあるが恋愛お気楽路線ではなく、日々に忙殺されてお疲れ気味の主人公の日々何かに追われて狙われて自分を見失いそうになる感覚が表現されている。Green eyed Monster=緑の眼をした怪物が何者なのかは明言されておらずその存在は曖昧だが言うなればそれは社会であり裏を返せば自分を見失って自分ではないものに変わっていってしまう自分の心の中に巣食ったモンスター…なのかもしれない。ここまでの3シングルの路線を中心に続けてくれればよかったのにアルバムや今後では全く違うパーティー路線をやりすぎて迷走してしまったのが残念。なお全編CGアニメで制作されたPVではCGキャラクターとなったメンバーが登場。街を支配した「緑の目をした怪物」と戦うストーリー仕立て。そんな安直にGreen eyed Monsterを具現化させなくても…とも思うが…分かりやすいっちゃ分かりやすいけどさ…。しかしこのPV構成に難があり、4人が揃うまでの話を引っ張りすぎて、4人が揃ってGreen eyed Monsterに挑みに行く時点でもう歌が終わってしまう。最後のアウトロ演奏のところで急転直下で強そうなボスを速攻で瞬殺して、エンディングクレジットが凄い勢いで流れて演奏終了までに無理やりTHE END!!あまりの急展開っぷりはかなり笑える。
★★★★★
9thアルバム『LINDBERG\』(Remix)
4thベスト『LINDBERG BESTU FLIGHT RECORDERW』
6thベスト『BEST OF SINGLES』
7thベスト『FINAL BEST』
10thベスト『SUPER BEST』
11thベスト『BEST FLGHT』
20周年リテイクベスト『LINDBERG]]』(09年再録音)
ねむりたい
アルバム冒頭1曲目からにぎやかサウンド。パーティーロック路線の本格幕開けではあるが、バンド自体がどんどんおとなしくなっていたので新たなチャレンジへの意欲も感じられるのも確か。WA Oh oh WA Oh ohがかなり印象的だが何だかこの曲は全てWA Oh oh WA Oh ohのインパクトだけのような気もする。
★★★☆☆
9thアルバム『LINDBERG\』
渚の新郎BAD
LINDBERG史上最大の怪作。ドラムの小柳とのツインボーカル共作詞で贈る超歌謡曲。これはヤバイ。アルバム自体、王道を外してにぎやか路線ばっかりだったがこの曲は「もっと愛しあいましょ」さえ霞む超絶なインパクトだった。なお渡瀬マキが翌年に結婚したのはギターの平川達也だった。
★☆★☆★(測定不能)
9thアルバム『LINDBERG\』
かなしそうな顔
「Green eyed Monster」C/W。正統派ロックバラード。変な曲の多いアルバムの中で、かなり正統ロックを感じる1曲。これまでにはあまりなかった退廃的な雰囲気は新鮮だが、歌い方が変わってしまってかわいらしい声になってしまっているのでちょっとイメージと異なる。
★★★☆☆
26thシングルC/W
9thアルバム『LINDBERG\』(Remix)
4thベスト『LINDBERG BESTU FLIGHT RECORDERW』
5thベスト『WORKS COMPOSER'S BEST』
11thベスト『BEST FLGHT』
27thシングル YAH! YAH! YAH!
97年2月13日
4年前の某大ヒット曲に真っ向からタイトル被りを挑んだ無謀極まりない1作。一応「!」つけてるけど。サウンドはけっこうギターロックしているし、メッビベッビヤーヤーヤーヤーハッピベッビシャララララーと歌われるサビはポップで覚えやすい。しかし歌詞は恋に御無沙汰な主人公が運命の人を待ちわびるという内容で、ラストはオーマイダーリーン♪チゥゥゥッ…パッ!と恐ろしくわざとらしいキス音で終わるなどかなり遊びまくり。歌声もかなりキュート方面に振り切っている。前年せっかく復活した売上を元に戻してしまい、転落への序曲となったパーティーロック路線の象徴曲。まさに迷走という言葉がしっくり来る。ここからの迷走3部作の中では唯一ベスト盤に収録されている。
★★★☆☆
10thアルバム『LINDBERG]』
4thベスト『LINDBERG BESTU FLIGHT RECORDERW』
11thベスト『BEST FLGHT』
28thシングル 明日は明日の風が吹く
97年4月16日
さかさまジャケットの裏側にはメンバーの下半身が写っていて川添だけ何故かパンツというシュールなギャグが炸裂したジャケットの時点で既に迷走している迷走3部作の第2弾。彼氏との遠距離恋愛が決定した主人公が寂しさを乗り越えて前向きに考える様子が描かれている"OLの日常恋愛路線"のど真ん中な歌詞。イントロのパパララパーパパーパラーパーパというやる気なさすぎのチープなサウンドの時点で壮大にずっこける。個人的に迷走3部作の中で歌詞や歌声だけでなく、サウンド面まで残念、つまり全てにおいて残念なのは今作だけ。かつてLINDBERGに励まされてきた中高生が見切りをつけていくには十分すぎるくらいに完全に滑ってる感が…。なおC/Wには初のリミックス(この曲の)とさらに「もっと愛しあいましょ」のリミックスと何故かリミックス攻めになっていたというのもなんか迷走しまくりだった。
★★☆☆☆
10thアルバム『LINDBERG]』
29thシングル Sugar Free
97年5月28日
2ヵ月連続リリースとなった迷走3部作の最終章。ジャケットでは皮ジャンでカッコよく決めており、再生してみればいきなりベースとリズムがズンドコと炸裂し予想外のカッコ良さにしびれまくり。低音響きまくりの重たいサウンドが展開し、そのヘビーさはLINDBERG史上最重量クラス。シングル3曲目に入っているインストで聞くと文句なしにメチャメチャカッコいい。しかし歌詞は去年のクリスマスにフラれて以来ヌケガラ状態で過食して太ってしまったという予想の遥か斜め下を行く内容。ヘビーなロックサウンドに「試着室で戦う あがらない銀のファスナー」とか「おねえさんそんな目で見ないでよ 誤解しないでこれは全部筋肉なの」などといったありえないワードが次々繰り出されるのは色んな意味で圧巻。絶句必至な迷曲。しかし無駄に音がカッコいいので(PVも笑顔を見せずにクールなロックバンドに徹していてちょっとカッコいい)個人的には迷走3部作の中ではこれが1番クセになる。シュガァフリィ!フィールソッグッ!!ファイッ!!(コーラス)
★★★☆☆
10thアルバム『LINDBERG]』
懲りない恋
「Sugar Free」C/W。迷走しまくりなパーティーロックサウンドが展開しまくるアルバムの中では一番本来の雰囲気に近い元気サウンドが炸裂する曲。この曲で少しホッとする。だが歌詞は相変わらずのポップな恋愛路線。
★★★☆☆
29thシングルC/W
10thアルバム『LINDBERG]』
30thシングル 風
98年3月4日
原点回帰の1曲。バンドサウンドが前面に押し出されており元気ロック路線完全復活。歌詞も凄く久しぶりの応援歌。空撮で撮られたPVも迫力があった。しかし迷走の果てに今更になって「どこまでも行けるはずさ」などと根拠のない応援歌を歌われてもかつてのファンは逆により見切りをつけるきっかけになったのか、この年のベスト盤を最後に急速に人気は冷え切ってしまった。97年は長い全国ツアーの最終地が武道館だったのに、わずか2年でSHIBUYA-AXが限界に。この沈没ぶりはここまでのキャリアを誇ったベテランバンドにはありないほどの超転落であった…。確かに全盛期に比べるとパワーダウンしたのは否めないけど、迷走があったからこそ逆に輝く曲だと思うし、けっこう好きな曲だ。
★★★★☆
11thアルバム『LINDBERG]T』
3rdベスト『LINDBERG BEST FLIGHT RECORDERV』
5thベスト『WORKS COMPOSER'S BEST』
7thベスト『FINAL BEST』
9thベスト『Supporters' songs』
11thベスト『BEST FLGHT』
夕焼け
アルバム冒頭を飾ったストリングスとストレートなバンドサウンドの融合。アレンジがマッチしてて良い。ややキーが低めになってきた気がするが、一時期に比べればかつてに雰囲気は近く、『]』を聞いた後だとLINDBERGが戻ってきた事を感じる。
★★★★☆
11thアルバム『LINDBERG]T』
5thベスト『WORKS COMPOSER'S BEST』(LIVE)
太陽のかけら
アルバム曲でPVが作られた珍しい曲。それだけあってシングル級の出来。落ち込んでも「もうすぐ雨はやむよ 何度も立ち上がり歩こう」と前向きな復活への歌。「風」よりも歌詞も曲調も地に足がついている感じがする。アルバム曲でこれほどの名曲は本当に久々だし、98年の作品では最大の名曲。
★★★★★
11thアルバム『LINDBERG]T』
5thベスト『WORKS COMPOSER'S BEST』
星に願いを
後期の代表的楽曲。解散ライブ会場のみで発売されていた最後の新録音ベストの中で後期唯一収録されたのがこの曲で、09年にもリテイクされるなど後期では最高の扱いを受けている。元々は妙にまったりした雰囲気のアレンジで、正直大した曲ではなく、原曲アレンジだと正直★3程度。ライブバージョンやリテイクバージョンは完全な別アレンジで正統派のロックバラードになっている。このため原曲を聞くとこんなんだったっけ?といつも思ってしまう。
★★★★☆
11thアルバム『LINDBERG]T』
5thベスト『WORKS COMPOSER'S BEST』
解散ライブ会場限定ベスト『FLIGHT RECORDER-FINAL MEMORIES-』(02年再録音)
4thベスト『LINDBERG BESTU FLIGHT RECORDERW』('98 LIVE VERSION)
20周年リテイクベスト『LINDBERG]]』(09年再録音)
31stシングル 願いがかなうように
99年10月21日
初のマキシ。今作からはデビュー以来のプロデューサー月光恵亮の元からも離れることになりセルフプロデュースへ移行した。この曲は「風」以上にシンプルな応援歌。パッと聞いた感じ、過去の焼き直しにしか思えず大した曲には思えない。曲自体もそんなに盛り上がらずどこか淡々としている気もするので最初は過去の劣化版としか思ってなかった。だが聞き込むとシンプルさの中に強さがある事に気づく。ここまで来てそれでもなお信じて進むんだという力強い意志を感じる。まさにここまで続けたから出来たような円熟味のある1曲である。個人的には大学受験の直前や、20代幾度となく壁に立ちふさがって悩んでいる時などにやるだけやってみようと思わせてくれたのでこの曲は思い入れがある。
★★★★☆
12thアルバム『LINDBERG]U』
5thベスト『WORKS COMPOSER'S BEST』
7thベスト『FINAL BEST』
9thベスト『Supporters' songs』
花
アルバム冒頭を飾る名曲。売上激減後の後期の中では最大の名曲だと思う。根付いてる応援歌。勢いはやはりもう全盛期のものはない。だがここまで来たからこその年月の説得力みたいなものがあって、力強い。結局色々悩んだだところで答えはシンプルなところに戻ってくるのだ。「前に進めるかどうかでしょ」「前を向けるかどうかでしょ」。音だけ聞いていると分からないがサビ終りの「はなのように」は全部名称が違う花を「はな」と読ませている細かい演出が地味に好き。
★★★★★
12thアルバム『LINDBERG]U』
5thベスト『WORKS COMPOSER'S BEST』
9thベスト『Supporters' songs』
いちばん大事なもの
前作は原点回帰したとはいえ、まだ恋愛の歌が多かった。それ以前はもうY辺りからラブソングばかりになってしまっていたのだが]U最大の特徴は応援歌が多いことだ。メロディーの若干のインパクト不足は仕方ないにしてもここまで来たからこそ歌えるような曲も多く、少しくじけそうなところから前向きな気持ちにさせてくれる曲が多い。特にアルバム後半の曲はどれも素晴らしい。「ゆずれない夢ありますか?いちばん大事なものはなんですか?」。ここまでのキャリアがあるからこの歌詞は響く。
★★★★☆
12thアルバム『LINDBERG]U』
青い時計
「消えないように 枯れないように」。辛くても頑張ろうという曲がラスト。メッセージソング連発のアルバムの最後をきっちり締める名曲なのだが、アレンジで違いを出しているものの通して聞くと少々飽きが来ている感もしなくない。単体で聞くと効果を発揮する。
★★★★☆
12thアルバム『LINDBERG]U』