槇原敬之 第二次ワーナー時代 2000-2003 レビュー
事件を経ての復帰は意外に早く、捕まった99年の年末には坂本龍一のコンサートにゲスト出演、年明けには矢野顕子のライブにもゲスト出演している。両者はデビュー前の槇原&沢田のコンビでラジオ番組に送られた「HALF」を絶賛していて親交がある先輩ミュージシャンだった。そしてすっかりそれどころではなかったが気がつけば00年はデビュー10周年。これを記念してワーナーが限定生産としてベストアルバム『10.Y.O.』を発売。これはワーナー時代のシングルをリリース順に並べただけだったが、序盤3曲を沢田知久が新たにミックスし直したり、DISC-2にリミックスメドレーを収録したりと、本人稼働は無かったものの、周囲のスタッフにより楽曲に新たな息吹も吹き込まれた。これを機にワーナーから復帰する事が決まり、秋にアルバム『太陽』で活動を再開することになった。翌01年にシングル発売、01年秋にTV出演再開、02年にツアー再開と段階を追って徐々に活動を広げていった。この時期にはアルバム3枚を残し、一般的には復帰三部作と呼ばれている。基本内省的で地味な曲が多かったため、セールスは出すたびに下がっていったが、02年にはSMAPに「世界に一つだけの花」を提供。03年にはシングル化され大ヒットしたことで、作者である槇原本人への再注目が始まった…ところで第二次ワーナー時代は終了する。この時代のシングルではC/Wにて旧作の別バージョンを毎回収録していたのも特徴だ。
またソニー時代から引き続いてエンジニアとして沢田知久が関与していたものの、このワーナー時代後半になると槇原は飯尾芳史を急激に積極起用しまくるようになり(2作のDVD-Audio盤を出す際に飯尾に改めてミックスをやってもらったのがきっかけか?)、沢田は録音やミックスから退き、一部シングル作品のマスタリング担当(オリジナルアルバムでマスタリングまで担当したのはソニー時代の『Cicada』のみ)になるなどしていたが徐々にフェードアウト。結果的にこの第二次ワーナー時代のラスト作品「Good Morining!」のマスタリングのみを担当したのが沢田と槇原の現時点で最後の仕事となった。
※2014年執筆
彗星
復帰作1曲目を飾った楽曲。力みまくっての大々的な復活というよりかは、本当に静かに何もない所からまた歌い始めたみたいなさりげなくも静かな決意表明だ。逮捕から復帰までの思いが詰まった1曲でただ静かに聞き入りたい。
★★★★☆
10thアルバム『太陽』1stライブアルバム『THE CONCERT CONCERT TOUR 2002〜Home Sweet Home〜』
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”〜Heart Beat〜』
太陽
アルバム表題曲。ボーカルが加工され、暗闇の中にいた逮捕直前までの自分を表現した1番はダークな雰囲気。2番以降はボーカルは元に戻り、視界が開ける。アルバム全体がここまでモヤがかかったかのような曇り空だったのが、このタイミングで一筋の光が差したかのような体感を得ることができる。単独で聞いても感動するけど、アルバム通して聞くとさらに感動する。事件があったことによる内省の楽曲ではあるんだけど、落ち込んだところからの復活など多くの人にも置き換えられる名曲。なおDVD-Audio盤では全曲がDVD-Audio用にリミックスされているが、この曲に関しては1番でのボーカル加工無しというレアバージョンな「太陽」を聞く事ができる。アルバムリマスターによる変化よりも圧倒的にわかりやすい違いがあるので、滅亡してしまい入手困難なDVD-Audio盤だが苦労して入手するだけの価値はあると思う。それ以外でもオリジナルではあまり聞こえないベース音が随分前に出て楽曲を引っ張っていたりと随分と違いがある。
★★★★★
10thアルバム『太陽』
7thベスト『Song Book“since 1997〜2001”』
10thベスト『Best LIFE』1stライブアルバム『THE CONCERT CONCERT TOUR 2002〜Home Sweet Home〜』
2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”〜Heart Beat〜』
4thライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA "cELEBRATION 2010"〜Sing Out Gleefully!〜』
Ordinary Days
アルバム最終曲。誰かを励ましているようでたぶん自分自身に言い聞かせているようにも聞こえる応援歌。ようやく生きている実感を取り戻したかのように"当たり前さそれが普通さ"と力強く歌われるサビが印象的。
★★★★☆
10thアルバム『太陽』
23rd 桃
01年4月25日
復帰第1弾シングル。事件を経ての心境の変化も受けてラブソングのようでありながらライフソングでもあるような両方の要素をあわせもったような楽曲。「君」の振る舞いを見て「僕」が「気づく」というこの「気づき」系の楽曲がここからしばらく続くことになる。このため、パッと最初に聞いたときは何を歌っているのかよく分からなかった。
★★★☆☆
11thアルバム『Home Sweet Home』
7thベスト『Song Book“since 1997〜2001”』
8thベスト『Completely Recorded』
9thベスト『Best LOVE』
28thシングル『Wow』C/W(2003 飯尾芳史MIX)1stライブアルバム『THE CONCERT CONCERT TOUR 2002〜Home Sweet Home〜』
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”〜Heart Beat〜』C/W 1秒前の君にはもう2度と会えない
同じくラブソングでライフソング。これまた「気づき」の曲で自分の勝手さを思い知った主人公が当たり前のものを失う怖さに気づき、君を大切に思う、という。かなり説明調でくどいんだけど、まだそこまでエスカレートしてないから聞きやすい。広がりのあるサビメロもかなりグッドメロディー。ALBUM VERSIONはアレンジがけっこう変わっており、終始電子音が薄くループして鳴っていたりと全体的に抑えめでシリアスになっている。歌詞を見るとこっちの方が合っているような気もするけど、シングルの方が好み。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
11thアルバム『Home Sweet Home』(ALBUM VERSION)C/W PLEASURE(アルバム・ヴァージョン)
シングルカット。わざわざアルバム・ヴァージョンなどと書かれているが、要するに何もいじらずにそのままシングルカットしたということであり、この表記いらなくね?これまた内省&気づきの曲なんだけど、前2曲に比べてもシリアスで重たい。
★★☆☆☆
10thアルバム『太陽』
10thベスト『Best LIFE』
28thシングル『WoW』C/W(2003 槇原敬之MIX)2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』
初回盤のみC/W 遠く遠く(桜ヴァージョン)
3rdアルバム『君は僕の宝物』収録曲のリメイク。第二次ワーナー期のシングルC/Wにおいては第一次ワーナー時代のリメイクバージョンが続く。Rhythm Treatmentのクレジットが毛利泰士になっている。彼は『太陽』以降から参加したシンセプログラマーなので原曲当時には参加していなかったが、アレンジ自体は随所で原曲には無かったような音も聞こえるという程度でほぼ原曲通り。このシングルが3曲とも「気づき」の曲で息が詰まりそうだっただけにひときわ輝いて見えた。後の'06と違ってこのバージョンは原曲とほとんど同じなので、わざわざこのバージョンがアルバム収録されることもないだろうなと思っていたが、秋冬ベストを出した際に何故か春の曲にも関わらず原曲が収録されてしまったため、続く春夏ベストが出た際には重複させない苦肉の策としてなのかこのバージョンが収録され、まさかのアルバム初収録となった。
★★★★★
12thベスト『春うた、夏うた。〜どんなときも。』
24th Are You OK?
01年10月24日
今作でTV復帰。Mステで楽しそうに歌っていたのが記憶に残っている。復帰後は内省的で真面目なミディアム〜バラードの連発だった中でようやくの明るい曲調。ビッグバンド調の陽気な楽曲で本格復活がアピールされた。しかし歌詞は相変わらずの「気づき」路線。雨の日自転車でこけた主人公を誰も助けてくれず、そのことから主人公は自身も困っている誰かを助けようなんて思ったことがなかった事に気づき反省。今日してもらいたかったことを誰かにしようと決意→同じように転んだ子を助けてあげる→凝りもせずまた転んだ僕を今度は助けてくれる人が!という道徳の教科書のようなストーリーが展開する。『太陽』や前作に比べるとかなりコミカルかつライトなタッチで描かれているのでだいぶ聞きやすくはなったが…世間的にはとっつきにくかったのか、復帰以降の存在感はどんどん薄くなっていった。またこの時期しつこいくらいにこの「気づき」パターンの歌詞が繰り返されたが、これは自身の反省もそうなんだろうけど、それ以上に逮捕後に周囲の態度が豹変するのを目の当たりにした本人の経験が強く反映されているようだ。
★★★★☆
11thアルバム『Home Sweet Home』
8thベスト『Completely Recorded』1stライブアルバム『THE CONCERT CONCERT TOUR 2002〜Home Sweet Home〜』
C/W ファミレス
日常の大切さを歌った「気づき」食事編。ケンカした君と仲直りするためにファミレスに行こうと持ち掛ける。ここにきて楽曲の暖かさもだいぶ戻ったような印象。
★★★☆☆
11thアルバム『Home Sweet Home』初回盤のみC/W Witch hazel (French Disco Version)
4thアルバム『SELF PORTRAIT』収録曲のリメイク。これも基本的には原曲通りだが、やはり細部が微妙に違っていて原曲では聞こえなかったような音が聞こえる。また何より分かりやすいのは間奏が長くなっている。今作リリース時は原曲はベスト盤で聞いて耳に残っていた程度だったので、リアルタイムで改めてこの曲を聞く事でいい曲だなと認識したのを記憶している。個人的にはベスト盤で後追いで聞いた曲たちを改めてしっかりリアルタイムで聞く事ができたこの時期のリメイク展開は好きだった。当時はどうしても「前の方が耳に残る曲出してたんじゃね?」という感覚が強くなってしまったのも確かだけど。
★★★★☆
アルバム未収録
Happy Birthday Song
単純な誕生日おめでとうソングではなく、人生色々あるけど誰かに何かすれば自分にも返ってきて人生は豊かになる、最後の日に生まれた事に感謝できるといいよね(超訳)というこの時期歌っていた初期ライフソングの集大成的な楽曲。歯切れのいいギターのカッティングなどポップなアレンジが気持ちよく、このあたりの明るさは前作ではまだなかったものだ。
★★★★☆
11thアルバム『Home Sweet Home』1stライブアルバム『THE CONCERT CONCERT TOUR 2002〜Home Sweet Home〜』
2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』
天国と地獄へのエレベーター
考え方次第で天国にも地獄にもなるという内省の説明文。ひたすら説教調の教訓が綴られていて耳が痛いが、楽曲自体はかなりノリが良い。これからは耳が痛いことも歌わなきゃいけないと本人もコメントしていたので、楽曲の明るさで耳の痛い歌詞の内容をカバーしたのかもしれない。そんなわけで言いたいことが詰まっている上に、ライブでも盛り上がるノリのいい曲調であるためか以降の3作のライブアルバムに連続で収録された。特に2枚目のライブアルバムでは何故かアンコールでもう1回歌ったため、DISC-2に2回も収録(しかもわずか6曲後)されるなどしたため、個人的にはかなりウザい楽曲という印象が根付いてしまった。09年のクリスマスコンサート、2010年のcELEBRATIONの2本を見に行ったことがあるんだけど、この曲絶対来るんだろうなと思っていたら2回とも来なくて、その後の『Best LIFE』にも収録されなかった。一定時期を過ぎてからは重要度が格段に下がったようだ。これによりようやく落ち着いた感覚でこの曲を聞く事ができるようになり、少し印象が上がった。
★★★☆☆
11thアルバム『Home Sweet Home』1stライブアルバム『THE CONCERT CONCERT TOUR 2002〜Home Sweet Home〜』
2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』(アンコールでもう1回披露したので2回収録)
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”〜Heart Beat〜』
Home Sweet Home
「気づき」我が家編。我が家の暖かさに気づく楽曲。気づくだけで終わらずに「ここがそうじゃないならそうなるようにすればいいんだ」と我が家が暖かくない人向けにも前向きな言葉が繰り出される。さらに「Happy Birthday Song」の最終フレーズをラストでリフレインする事でこのポジティブさをさらに強調。今作がもう少し売れていたらこの段階で世間的にも完全復活と言われていたんじゃないかと思う。
★★★★☆
11thアルバム『Home Sweet Home』1stライブアルバム『THE CONCERT CONCERT TOUR 2002〜Home Sweet Home〜』
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”〜Heart Beat〜』
25th 雨ニモ負ケズ
02年5月22日
シングル盤では歌詞の後に「この曲は、ボクが敬愛する宮沢賢治さんの作品にインスパイアされたものです」というコメントが記載されていた。『Home Sweet Home』期の明るさから一転して、この時期はシングルをシングルとして売る気が全く感じられない実験的というか地味な楽曲が続くことになり、セールスも低迷していった。この曲では延々と教訓が繰り返されるばかりで、最後までサビっぽい盛り上がりが来ないという焦らし具合。ようやく来たサビもそこまでカタルシスがあるわけでもないという…。そんなわけで最初はナンダコレ…と全く良さが分からなかったんだけど、何度か聞いているうちにメッセージもだんだん入ってきて意外と悪くない1曲に印象が変わった。ここからの非売れ線3部作といってもいい02年の3作の中では今作が1番好き。
★★★☆☆
12thアルバム『本日ハ晴天ナリ』(Album Ver.)
8thベスト『Completely Recorded』C/W 縁
ずっと一緒にいてくれた相手に対して感謝するのではなく、サビに持ってきたのは神様にこんな縁をくれてありがとうと感謝するというやや地味目の神様系ミディアムナンバー。こういった系統の曲だと出会えて良かったとか相手に対して自分と出会ってくれてありがとうと感謝する形式が多いけど、ここまで神様への感謝を押し出すというのは珍しく、エイベックス期への伏線のような曲にも思える。
★★★☆☆
12thアルバム『本日ハ晴天ナリ』初回盤のみC/W PENGUIN(North Pole Version)
7thアルバム『UNDERWEAR』収録曲のリメイク。前2作と同様で原曲当時は参加していなかった毛利泰士が今作ではシンセプログラミングで参加している。加えてこの曲ではこのシングル以降、沢田知久に代わって録音ミックスのエンジニアとしてメインで起用されるようになった飯尾芳史によるRe-mixという表記がある。冒頭のコーラスの語尾が笑えるほどスーパーロングトーンに引き伸ばされているのがインパクト絶大。この引き伸ばしのせいで楽曲の尺も原曲より長くなっている。こういった部分などいかにもリミックスっぽい部分が増えているのは前2作と異なる部分だ。発売当時はいかんせん上の2曲が地味だっただけに、ベスト盤でなんとなく聞いていた程度だったこの曲の印象が格段に上がったのを記憶している。
★★★★☆
アルバム未収録
26th 花火の夜
02年8月7日
ラテン調のサマーソング。タイトル通りに花火の夜の日を歌っているが、基本的に回想のような形で「君」を思い出していて現在の情景は花火が上がっているのを見ているということだけ。ほとんどノスタルジーも切なさも感じられず、何とも地味〜な雰囲気でどうにも苦手な1曲。
★★☆☆☆
12thアルバム『本日ハ晴天ナリ』
8thベスト『Completely Recorded』
12thベスト『春うた、夏うた。〜どんなときも。』3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”〜Heart Beat〜』
C/W TWO MOONS (go home version)
11thシングル「2つの願い」C/W及び5thアルバム『PHARMACY』収録曲のリメイク。これまでと違い新曲C/Wが無く、さらに初回限定トラックでもない。さらにこの時期の他のリメイクバージョンとは違い、今作のみ小倉博和のアコギを生かしたシンプルな編成による完全なリアレンジになっている。原曲のアカペラで始まっていた部分に関してはそっちの方がよかったと思うけど、全体通してシンプルに貫き通す今バージョンはアコースティックコーナー的な味わいがあってこれも悪くない。
★★★☆☆
アルバム未収録
27th これはただの例え話じゃない
02年9月26日
全シングルの中でも最も実験性が高い曲。イライラしてコップを割りその破片で血を流す"彼"、目の前の汚い格好をした子供を追い払った"彼女"だったが子供は似顔絵を描いて渡そうとしていただけだったといった悲劇の"例え話"を出して悲しみを提示し、こういう行動をとっていればその報いはくるので、正しくあらねばならないと淡々と告げる。気づきというよりも警告ソングとでもいうべきか。これがアルバム前の最終シングルとかアルバムが売れるわけがないだろうと思ったけど、案の定『本日ハ晴天ナリ』は低迷してしまった。
★★☆☆☆
12thアルバム『本日ハ晴天ナリ』
8thベスト『Completely Recorded』
C/W Turtle Walk
アルバムでは最終曲。前向きでポップなマッキー節がだいぶ戻っているような印象のポップソング。なんでこれがC/Wなのか…。自分のペースでゆっくり歩いて行こうと決意し、さらに誰かと争うことをやめたと宣言する歌詞からは後の「世界に一つだけの花」への伏線も垣間見える。アルバムでは前曲にしてタイトル作「本日ハ晴天ナリ」で"事件後"を終えた槇原がここからさらに幸せになるために新たな道を進んでいき、その去っていく後ろ姿を"僕の背中だと分かるように"リスナーに示しながらComing Soon!!みたいな物凄く前向きなイメージ。C/Wという立ち位置ではさほど実感できなかったがアルバム最終曲になった事で非常に輝きを見せた1曲だ。
★★★★☆
シングルバージョンアルバム未収録
12thアルバム『本日ハ晴天ナリ』(Album Ver.)4thライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA "cELEBRATION 2010"〜Sing Out Gleefully!〜』
初回盤のみC/W モグラの詩
ギタリスト小倉博和が96年SMAP香取主演の土曜9時ドラマ「透明人間」サントラにのみ収録していた楽曲。このため作詞作曲は小倉博和で編曲のみ槇原。当時たまたまドラマを見ていてサントラも手に取っていたので原曲を知っていた。小倉博和が「1曲うたいま〜す」とかのほほんと歌い始めたんだけどこれがとてもピュアな名曲でテープに録音して数回聞いただけなのに妙に記憶に残っていた曲だった。こういう形でまさか再び世に出るとは思わなかったが、この当時の槇原が歌うことでより説得力を増したと思う。このシングルで最大の名曲。
★★★★★
アルバム未収録
さよなら小さな街
同日発売の野宮真貴のアルバムへ提供した楽曲をセルフカバー。このため提供とセルフカバーが同時発表となった。家出して高い煙突から街を見下ろして世間の広さを知り外の世界へ飛び出していく事を決めるという昔ながらの冒険活劇アニメの第1話のような"始まり"を感じさせるポップナンバー。さらっと聞ける小品のような曲だがホーンやパーカッションなど打ち込みで済まさずに人員を大量に動員して生音で構成しているのが珍しい。
★★★☆☆
12thアルバム『本日ハ晴天ナリ』
本日ハ晴天ナリ
冒頭で反戦の意志を明確に示し、平和を願うかのように穏やかな晴天の時が描かれる。ラストに配置されたフレーズは1stアルバムに返っていくように"君が笑うとき君の胸が痛むようなことなどないように"と歌われる。何か微妙に言い回しがややこしくなっている…。随分遠くまで来たけど変わらないものもある。復帰三部作と言われたこの3枚のアルバム、この曲を持って事件以降の禊が本当に終わったようにも感じられる。事件後の厳かなムードのまま静かにこの曲を歌い切った後に、これに続くのが自分のペースで明るく前を歩いていくポップな「Turtle Walk」というのが象徴的だ。
★★★★☆
12thアルバム『本日ハ晴天ナリ』
28th Wow
03年2月13日
アルバムからのシングルカット。当初SMAPに提供される予定だった曲とされ、のちにスマスマで一緒に歌っていた。子供が生まれた喜びを歌った曲で、子供が生まれたばかりだったキムタクにしかリアルな実感は無かったと思われるが、ジャニーズ的には家庭の空気を前に出すのは今もご法度っぽく、ドラマでキムタクが父親役を演じることすら頑なに避けているほどなので、当然キムタクと工藤静香の家庭が連想されるようなこの曲は即却下!だったのかも。ただ楽曲のポップ性はアルバムの中でも随一。シングルカットゆえ全く売れなかったが前3シングルどころか、第二次ワーナー期シングルの中では最も一般受けがよさそうな曲だと思う。
★★★★☆
12thアルバム『本日ハ晴天ナリ』
8thベスト『Completely Recorded』4thライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA "cELEBRATION 2010"〜Sing Out Gleefully!〜』
C/W PLEASURE (2003 槇原敬之MIX)
10thアルバム『太陽』及び23rdシングル『桃』C/Wの槇原本人によるリミックス。音のバランスが変わっていて、原曲ではあまり聞こえなかった電子音などが随所で聞こえたりしている。全体的に原曲よりもトゲトゲしさが無くなってちょっとにぎやかな感じになったかな?
★★★☆☆
アルバム未収録C/W 桃(2003 飯尾芳史MIX)
23rdシングルのリミックス。こちらは前年より沢田知久に代わってエンジニアに起用され始めていた飯尾芳史がリミックスしている。イントロ直後にサビを持ってきたりという変化はあるが、全体的に原曲で漂っていた中華風の雰囲気をより強調した仕上がり。このシングルに関しては沢田が録音ミックスを担当していたわずか数年前の楽曲をわざわざ槇原本人&別のエンジニアでやり直ししたというのが、槇原が求めるようになった音と沢田の仕上げる音に大きな違いが生じるようになっていたかのようでなんだか複雑な気もする。
★★★☆☆
アルバム未収録
29th 君の名前を呼んだ後に
03年5月22日
住友生命のCMタイアップ。CMとPVに松嶋菜々子が出演。当時の松嶋は人気女優として絶頂期に反町隆史と結婚後は産休で仕事をセーブしていたので復帰への動向が注目されていた時期で、このCMとPV出演が復帰仕事だったので楽曲自体が話題になったというよりも、松嶋菜々子の仕事復帰が話題になり、それに引っ張られる形で久々にトップ10間近まで迫るヒットを記録したような印象。楽曲自体はファルセットを多用したスローバラード。どうもまったりしすぎていてそんなに好きになれない曲。アルバムの作風に合っていたためかEMI移籍後のオリジナルアルバムに持っていって収録されたが、ただでさえゆったりした曲が多かったアルバムだけにまったりさを増幅させるこの曲は収録しなくても良かった気がしなくもない。
★★★☆☆
13thアルバム『EXPLORER』
8thベスト『Completely Recorded』
11thベスト『秋うた、冬うた。〜もう恋なんてしない』
30thシングル『Good Morning!』C/W(英語バージョン「After calling your name」)2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』
C/W 9xForever (2003 IIO MIX)
6thアルバム『THE DIGITAL COWBOY』収録曲のリミックス。IIOというのは飯尾芳史のことで、飯尾によるリミックス。これまでと異なりシンセプログラマーが毛利氏ではなく、原曲の飯田高広のままになっているので当時の音源をそのままミックスし直しただけと思われる。前作を境に〜Versionという名称をやめてエンジニアの名前を持ち出してきた事からかなり飯尾氏のミックスにご執心だったということだろうか。「桃」同様に中華色を強調した仕上がりになっている。
★★★☆☆
アルバム未収録
30th Good Morning!
03年6月25日
何故かコーラスに格闘家の角田信朗を招いた実験的なデジタルナンバー。一聴しただけではあまり槇原らしくないデジタル全開なサウンドになんだこれは…という衝撃しか記憶に残らない謎曲。PVにも角田が出ていたものの、加工されているせいなのかイマイチ角田の声がどれなのか判然としないっていう。サビ頭の英語詞やso so goodが全部角田の声なのだろうか?誰の心の中にも天使と悪魔がいて、天使を呼び起こすにはまずは挨拶からだ!という挨拶推奨ソング。気になるのは「天使は君の人間らしい行いで目を覚ます」と対になる形で「悪魔は君の人間らしくない行いが誰よりも大好き」という理論。何をもって人間らしいとからしくないとか判断しているのかが不明瞭。そもそもここで歌われているような「人間らしくない」行いをしてしまうのもまた人間だと思うので、歌詞にはどうも納得が行かない。基本的には挨拶推奨なので人間らしいとからしくないとかも要するに礼儀正しくあるかそうでないかという程度にしか考えてないと思われ、あまり深く考えない方がいいのかもしれない。今作はEMI移籍後の『EXPLORER』には収録されず、「まだ生きてるよ」以来のオリジナルアルバム未収録曲になった。
★★☆☆☆
8thベスト『Completely Recorded』C/W Good Morning! (English Version)
セイン・カミュ訳詞による英語バージョン。元々サビで英語を多用しているだけあって、いっそ全部英語詞の方がしっくり来るかも。英語になってれば歌詞もそんなに気にならないし。
★★★☆☆
アルバム未収録C/W After calling your name
前作「君の名前を呼んだ後に」の英語バージョン。英語になった以外はそのままだが、これまた英語の方が逆にメロディーの良さが引き立つかもしれない。特にサビ部分の言葉のハマりは英語の方がなんとなく好き。
★★★☆☆
アルバム未収録C/W Cowboy('03 IIO MIX)
14thシングルのリミックス。ここまで来たら英語攻め!ということだったのだろうか。これまた飯尾芳史を起用しているが、前作同様にクレジットは基本的に原曲のまま。ボーカルが原曲よりも加工処理された感じになっており、別ミックスというより一般的な意味でのリミックスっぽさが強い。それでも普通にこのシングルの中で1番いい曲。
★★★★☆
アルバム未収録